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公開番号2025138147
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-25
出願番号2024037053
出願日2024-03-11
発明の名称エレクトロクロミック素子及びその製造方法
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類G02F 1/1516 20190101AFI20250917BHJP(光学)
要約【課題】応答性を改善しながら高度な信頼性と低コストとを実現したエレクトロクロミック素子を提供する。
【解決手段】三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体の架橋体を含むエレクトロクロミックゲル3を調整し、シールパターン4を形成した第1の電極2a上に配置した後に上記エレクトロクロミックゲル3をシールパターン4内を減圧して第2の電極2bを貼り合わせてエレクトロクロミック素子とする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック層は、三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体の架橋体を含むゲル層であることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
前記エレクトロクロミック層は、JIS K6910:2007によりゲル化時間A法自動化装置で測定した時の回転トルクが500mgf・cm以上であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項3】
前記エレクトロクロミック層は、複数のエレクトロクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項4】
前記複数のエレクトロクロミック化合物は、アノード性エレクトロクロミック化合物及びカソード性エレクトロクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項3に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項5】
前記重合体が、ポリ(4-ビニルピリジン)又はポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート)であることを特徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミック素子。
【請求項6】
第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物と、溶媒と、三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体の架橋体と、を含むエレクトロクロミックゲルを用意するエレクトロクロミックゲル調整工程と、
前記第1の電極上に前記エレクトロクロミックゲルを充填するシールパターンを形成するシールパターン形成工程と、
前記第1の電極上であって前記シールパターンで囲まれた領域に前記エレクトロクロミックゲルを配置した後に前記シールパターン内を減圧する減圧工程と、
減圧下において、前記第1の電極と、前記第2の電極とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、
を有することを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項7】
前記エレクトロクロミックゲルは、JIS K6910:2007によりゲル化時間A法自動化装置で測定した時の回転トルクが500mgf・cm以上であることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項8】
前記エレクトロクロミックゲルは、前記エレクトロクロミック化合物と、前記溶媒と、前記三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体と、架橋剤とを含むエレクトロクロミックゲル化溶液を加熱してゲル化されることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項9】
前記エレクトロクロミック化合物が複数種であることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
【請求項10】
前記複数のエレクトロクロミック化合物は、アノード性エレクトロクロミック化合物及びカソード性エレクトロクロミック化合物を含むことを特徴とする請求項9に記載のエレクトロクロミック素子の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミック素子及びその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミック(以下、「EC」と表記する場合がある)素子は、一対の電極と、その電極間に配置されたEC層と、を有する素子であり、一対の電極間に電圧を印加してEC層内の化合物を酸化若しくは還元することによって可視光帯域の色相や光量を調整する能動的光学素子である。
EC素子は自動車の防眩ミラーや航空機の調光窓として既に広く使用されているが、一般消費者向け製品として今後さらに普及するためには、より簡易な構成及び製法を採用し、コストを下げて提供することが必要となっている。また近年、時計型や眼鏡型等のウエアラブルデバイス端末に調光素子を組み合わせて使用される機会が増え、端末上で機能する調光素子に対しても高度な信頼性が求められている。
EC素子の製造方法として近年多用されている真空貼り合わせ法は従来の真空注入法に比して工程数が少ない素子製造方法であり、大面積化に有利であること、また高粘度溶液に対しても対応可能であること等から採用されることが多くなっている。特許文献1は、EC素子やエレクトロデポジション(以下、「ED」と表記する)素子を用いた表示パネルの真空貼り合わせによる製造方法において、滴下溶液と真空雰囲気とが触れる表面積を小さくすることによって溶媒揮発による滴下痕や充填ムラ等の表示不良を回避するという技術を開示している。
また、高度な信頼性を達成するためには、EC層をゲル化、半固体化若しくは固体化することによって素子破壊時の溶液漏洩を回避することが行われている。特許文献2は、エレクトロクロミックゲル化媒体を真空注入法によって素子に充填し、その後に架橋反応を行ってゲル化、若しくは膜化する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
国際公開第2011/018916号パンフレット
特開2019-91053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された製造方法はゲル化しないEC媒体を真空貼り合わせによって素子化する技術であるため、ゲル化剤に起因する素子プロセス上及び素子性能上の新たな課題には対応していない。また、上記特許文献2に開示された技術は素子作製方法が真空注入法に限定されていること、さらにECゲルはポリマー媒体中において末端に2以上の水酸基を有するEC化合物と2以上のイソシアネート基を有する化合物との架橋重合によって形成されており、ポリマーネットワーク中にEC分子が分岐した形で配置されるために物質移動がし難く、応答性に改善の余地がある。
本発明の課題は上記の問題点に鑑み、応答性を改善しながら高度な信頼性と低コストとを実現したエレクトロクロミック素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子であって、
前記エレクトロクロミック層は、三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体の架橋体を含むゲル層であることを特徴とする。
本発明の第2は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置される少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物を含むエレクトロクロミック層と、を有するエレクトロクロミック素子の製造方法であって、
少なくとも一種のエレクトロクロミック化合物と、溶媒と、三級アミン或いは環状イミンを側鎖に有する化合物の二量体以上の重合体の架橋体と、を含むエレクトロクロミックゲルを用意するエレクトロクロミックゲル調整工程と、
前記第1の電極上に前記エレクトロクロミックゲルを充填するシールパターンを形成するシールパターン形成工程と、
前記第1の電極上であって前記シールパターンで囲まれた領域に前記エレクトロクロミックゲルを配置した後に前記シールパターン内を減圧する減圧工程と、
減圧下において、前記第1の電極と、前記第2の電極とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、EC層をイオン性の化学ゲルとしたEC素子を真空貼り合わせ法で作製することにより、高度な信頼性と応答性とを両立した、表示品位が高いEC素子を簡易な製造方法によって実現することができる。これによって、素子性能及びコスト性能に優れた調光素子、調光フィルム及び調光窓等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のEC素子の一実施形態を示した断面模式図である。
本発明の真空貼り合わせ法によるEC素子の作製方法を示した断面模式図である。
ECゲルのゲル化過程における回転トルク変化を示す図である。
本発明の実施形態に係るEC素子を含む駆動装置の一例を示す模式図である。
(a)光学フィルタがレンズユニットに配置されている撮像装置の一例の模式図である。(b)光学フィルタが撮像装置に配置されている撮像装置の一例の模式図である。
(a)本発明の実施形態に係るEC素子を用いた窓を示す概観図である。(b)本発明の実施形態に係るEC素子を用いた窓の厚さ方向の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明に係るエレクトロクロミック素子(EC素子)の構成について、好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成、相対配置等は、特に記載がない限り、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。
【0009】
(EC素子)
先ず、図1を用いて本発明のEC素子の構成について説明する。図1は本発明のEC素子の一実施形態の厚さ方向の断面模式図である。図1において、1a、1bはそれぞれ第1及び第2の基板で、基板の片面(素子内側)にはそれぞれ第1及び第2の電極2a、2bが形成されている。3はエレクトロクロミック層(EC層)で、4は第1の基板1aと第2の基板1bとを接合すると共に、EC層3を外囲環境(酸素、水)から保護する役目を担っている。
【0010】
第1及び第2の基板1a,1bとしては、ガラスや樹脂等、電気絶縁体で透明性が高く、耐熱性に優れ化学的安定性も高いことが求められる。ガラスとしては、光学ガラス、石英ガラス、白板ガラス、青板ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、化学強化ガラス等を用いることができ、特に透明性や耐久性の点から無アルカリガラスを好適に使用することができる。樹脂としては、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、透明ポリイミド(PI)等を用いることができる。また、これら樹脂の表面には耐擦傷性を向上するためにハードコート層を形成したものを好適に使用することができる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する

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