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公開番号
2025134306
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-09-17
出願番号
2024032135
出願日
2024-03-04
発明の名称
リチウム回収方法およびリチウム回収システム
出願人
株式会社豊田中央研究所
代理人
個人
,
個人
主分類
A01G
31/00 20180101AFI20250909BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約
【課題】消費エネルギやコストや環境負荷を抑えてリチウムを生産する。
【解決手段】リチウムを含有する媒体からリチウムを回収するリチウム回収方法は、
塩生植物または耐塩性植物を、前記媒体を用いて栽培し、前記塩生植物または耐塩性植物の植物体の内部で濃縮されたリチウム、または、前記植物体から排出されたリチウムを回収する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
リチウムを含有する媒体からリチウムを回収するリチウム回収方法であって、
塩生植物または耐塩性植物を、前記媒体を用いて栽培し、
前記塩生植物または耐塩性植物の植物体の内部で濃縮されたリチウム、または、前記植物体から排出されたリチウムを回収する
リチウム回収方法。
続きを表示(約 1,000 文字)
【請求項2】
請求項1に記載のリチウム回収方法であって、
前記植物体は塩腺を備え、
前記塩腺から排出されたリチウムを回収する
リチウム回収方法。
【請求項3】
請求項2に記載のリチウム回収方法であって、
前記塩腺から前記植物体の表面に排出されたリチウムを、吸引機を用いて回収する
リチウム回収方法。
【請求項4】
請求項2に記載のリチウム回収方法であって、
前記植物体の表面を洗浄液で洗浄することにより、前記塩腺から前記植物体の表面に排出されたリチウムを回収する
リチウム回収方法。
【請求項5】
請求項2に記載のリチウム回収方法であって、
前記塩腺として、二細胞型塩腺または多細胞型塩腺を備える前記植物体からリチウムを回収する
リチウム回収方法。
【請求項6】
請求項5に記載のリチウム回収方法であって、
前記塩生植物または耐塩性植物として、ローズグラスを用いる
リチウム回収方法。
【請求項7】
請求項1に記載のリチウム回収方法であって、
前記媒体として、1ppm以上、1000ppm以下のリチウムを含有する土壌を用いる
リチウム回収方法。
【請求項8】
請求項1に記載のリチウム回収方法であって、
前記媒体として、1ppm以上、1000ppm以下のリチウムを含有する水溶液を用いる
リチウム回収方法。
【請求項9】
リチウムを含有する媒体からリチウムを回収するリチウム回収システムであって、
塩生植物または耐塩性植物と、栽培用の水溶液である水性媒体と、を備え、前記水性媒体を用いて前記塩生植物または耐塩性植物の栽培を行う栽培部と、
前記栽培部に対して、リチウムの回収対象であるリチウム含有液を前記水性媒体として供給する水性媒体供給部と、
を備える
リチウム回収システム。
【請求項10】
請求項9に記載のリチウム回収システムであって、
前記栽培部は、前記水性媒体を用いて、前記塩生植物または耐塩性植物の水耕栽培を行う
リチウム回収システム。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、リチウム回収方法およびリチウム回収システムに関する。
続きを表示(約 6,300 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムの需要が増加傾向にあり、このような傾向は今後も続くことが予想されている。例えば、リチウムイオン電池は、電気自動車が搭載する主要な電源として利用されているが、温室効果ガス排出量の削減等のために電気自動車の普及が推進しており、今後も需要の増加が見込まれる。しかしながらリチウムは、供給が不安定化しやすいほか、生産の過程で水質・土壌汚染問題などの環境負荷をもたらすといった問題点を抱えている(例えば、非特許文献1参照)。すなわち、従来知られるリチウム資源の供給源は、大陸内塩湖、かん水、海水などの水圏と、リチウム鉱床などの地圏とに大別される。そして、リチウムの生産方法としては、水圏からの「塩湖かん水」等を濃縮する方式と、地圏からの「スポジュメン鉱石(リシア輝石)」等の鉱物(例えば、非特許文献2参照)を精製する方式との、2つの方式が知られている。これらの生産過程では、多くのエネルギやコストを要すると共に、大量の水を消費するため、リチウムの生産が拡大すると、例えば農業用水や生活用水が不足することが懸念される。また、リチウム精製の過程で硫酸ナトリウムなどの副産物が発生することから、リチウム精製で生じる排水によって水質・土壌が汚染されるという問題がある。そのため、消費エネルギを抑えつつ、上記のような環境負荷を軽減することができるリチウム生産技術が望まれていた。また、リチウムに関する環境負荷に係る問題として、さらに、使用済みのリチウムイオン電池から発生する廃棄物を汚染源とする環境問題が生じていた(例えば、非特許文献3参照)。
【0003】
リチウムは、既述したリチウム資源の供給源以外に、例えば、土壌中の主に粘土鉱物において7-200ppm程度の濃度で含有されることが知られており(例えば、非特許文献4参照)、日本の土壌にも10-100ppmのリチウムが含有されていることが知られている(例えば、非特許文献5参照)。
【0004】
土壌中の金属を回収する方法として、従来、特定の金属を高濃度で蓄積するハイパーアキュムレーター(Hyperaccumulator)と呼ばれる植物を用いる技術が知られている(例えば、非特許文献6-9、特許文献1-6参照)。より具体的には、ハイパーアキュムレーターなどの植物の金属蓄積能力を用いて、汚染土壌を浄化するファイトレメディエーション(Phytoremediation) や、土壌に微量に含まれるレアメタルを植物で回収するファイトマイニング(Phytomining)という技術が存在する。ファイトレメディエーションは、植物による吸収、蓄積、代謝、分解等の機能により、土壌などから汚染物質を除去する低コストかつ低環境負荷な環境修復技術であり(例えば、非特許文献10-12参照)、対象物質は、汚染源となる重金属やダイオキシンなどの有機性汚染物質である。ファイトマイニングは、主に高付加価値な貴金属やレアメタルを対象とし、土壌などから植物体内に目的の金属イオンを吸着、蓄積させた後その植物体を回収し、目的金属を抽出、精錬する技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2011-45875号公報
特開2007-92172号公報
特開2006-159181号公報
特開2006-75821号公報
特開2004-275051号公報
特開2002-336837号公報
【非特許文献】
【0006】
日本総研 リサーチフォーカス“世界のEVシフトを左右するリチウム生産の課題”,No.2022-012
石原舜三、“リチウムの花崗岩岩石学とペグマタイト資源論”,地質ニュース670号, 27-45頁, 2010年6月
Wojciech Mrozik et al., "Environmental impacts, pollution sources and pathway of spent lithium-ion batterise", Energy Environ. Sci., 2021.
Cannon, H. L. et al., "Lithium in Unconsolidated Sediments and Plants of the Basin and Range Province, Southern California and Nevada" 1975(No.918); United States Government Printing Office: Washington, DC, USA
太田充恒ら、“日本の土壌地球化学図”,地球化学57巻,247-278頁,2023年
Barbara Leitenmaier et al., "Compartmentation and complexation of metals in hyperaccumulator plants", Front. Plant Sci., 4, 374, 2013.
Roger D. Reeves et al., "A global database for plants that hyperaccumulate metal and metalloid trace elements", New Phytol., 218, 407-411, 2017.
Mitch M. Lasat, "Phytoextraction of Toxic Metals: A Review of Biological Mechanisms", J. Environ. Qual., 31, 109-120, 2002.
Laurence Kavanagh et al., "Induced Plant Accumulation of Lithium", Geosciences, 2018, 8, 56.
An Yan et al., "Phytoremediation: A Promising Approach for Revegetation of Heavy Metal-Polluted Land", Front. Plant Sci., 11, 359, 2020.
吉田 光毅ら、“ファイトレメディエーションの現状と課題”,大成建設技術センター報, 第38号, 06, 2005.
王効拳ら、“ファイトレメディエーションによる汚染土壌修復”, 埼玉県環境科学国際センター報, 第3号, 114-123, 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、リチウム資源の供給源からリチウムを生産する従来の方法に対して、消費エネルギやコストを抑えつつ環境負荷をより軽減することができるリチウム精製技術が望まれていたが、このような技術については十分な検討がされていなかった。ハイパーアキュムレーター植物を用いて土壌から特定金属を回収する技術は、少なくとも環境負荷を低減可能な技術と考えられるが、リチウムを回収する技術については知られていなかった。例えば、非特許文献9においては、リチウムを蓄積できる植物としてのアブラナ科の植物について、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)やエチレンジアミン-N,N'-ジコハク酸(EDDS)等のキレート剤を用いることで、植物体におけるリチウムの蓄積が誘導されることが示されているが、リチウムの回収の可否については十分な検討がされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、リチウムを含有する媒体からリチウムを回収するリチウム回収方法が提供される。このリチウム回収方法は、塩生植物または耐塩性植物を、前記媒体を用いて栽培し、前記塩生植物または耐塩性植物の植物体の内部で濃縮されたリチウム、または、前記植物体から排出されたリチウムを回収する。
この形態のリチウム回収方法によれば、塩生植物または耐塩性植物を、リチウムを含有する媒体を用いて栽培し、植物体の内部で濃縮されたリチウムや植物体から排出されたリチウムを回収するという極めて簡便な方法により、上記媒体中のリチウムを回収することができる。そのため、消費エネルギやコストや環境負荷を抑えつつ、リチウムを生産することができる。
(2)上記形態のリチウム回収方法において、前記植物体は塩腺を備え、前記塩腺から排出されたリチウムを回収することとしてもよい。このような構成とすれば、植物体を損なうことなく植物体の生育を継続しながら、また、植物体の回収、溶解、抽出などの工程を不要にして、消費エネルギやコストや環境負荷をより大きく抑えつつ、高い効率で持続的なリチウム回収が可能になる。
(3)上記形態のリチウム回収方法において、前記塩腺から前記植物体の表面に排出されたリチウムを、吸引機を用いて回収することとしてもよい。このような構成とすれば、吸引機を用いるという簡便な方法により、不純物の混入を抑えつつ、一度に大量の回収処理が可能になり、回収効率を高めることができる。
(4)上記形態のリチウム回収方法において、前記植物体の表面を洗浄液で洗浄することにより、前記塩腺から前記植物体の表面に排出されたリチウムを回収することとしてもよい。このような構成とすれば、植物体の表面を洗浄するという簡便な方法により、リチウムを回収することができる。
(5)上記形態のリチウム回収方法において、前記塩腺として、二細胞型塩腺または多細胞型塩腺を備える前記植物体からリチウムを回収することとしてもよい。このような構成とすれば、植物体の表面からリチウムを回収する動作を容易に行うことができる。
(6)上記形態のリチウム回収方法において、前記塩生植物または耐塩性植物として、ローズグラスを用いることとしてもよい。このような構成とすれば、より高い効率で容易にリチウムを回収することが可能になる。
(7)上記形態のリチウム回収方法において、前記媒体として、1ppm以上、1000ppm以下のリチウムを含有する土壌を用いることとしてもよい。このような構成とすれば、従来利用することが困難であったリチウム源からのリチウム回収を行うことができる。
(8)上記形態のリチウム回収方法において、前記媒体として、1ppm以上、1000ppm以下のリチウムを含有する水溶液を用いることとしてもよい。このような構成とすれば、従来利用することが困難であったリチウム源からのリチウム回収を行うことができる。
(9)本開示の他の一形態によれば、リチウムを含有する媒体からリチウムを回収するリチウム回収システムが提供される。このリチウム回収システムは、塩生植物または耐塩性植物と、栽培用の水溶液である水性媒体と、を備え、前記水性媒体を用いて前記塩生植物または耐塩性植物の栽培を行う栽培部と、前記栽培部に対して、リチウムの回収対象であるリチウム含有液を前記水性媒体として供給する水性媒体供給部と、を備える。
この形態のリチウム回収システムによれば、水性媒体供給部から供給されるリチウム含有液である水性媒体を用いて、栽培部において、塩生植物または耐塩性植物を栽培する。そのため、塩生植物または耐塩性植物の植物体の内部で濃縮されたリチウムや植物体から排出されたリチウムを回収することが可能になり、消費エネルギやコストや環境負荷を抑えつつ、水性媒体中のリチウムを回収することができる。
(10)上記形態のリチウム回収システムにおいて、前記栽培部は、前記水性媒体を用いて、前記塩生植物または耐塩性植物の水耕栽培を行うこととしてもよい。このような構成とすれば、塩生植物または耐塩性植物の水耕栽培という簡便な方法により、リチウムを回収することができる。
(11)上記形態のリチウム回収システムにおいて、前記リチウム含有液は、リチウムの生産工程あるいはリチウムのリサイクル工程で発生したリチウム含有廃液であることとしてもよい。このような構成とすれば、リチウムの利用効率を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、リチウムのリサイクル方法、リチウムイオン電池のリサイクル方法、リチウム汚染土壌の浄化方法、リチウム含有廃液の浄化方法、リチウム生産効率の向上方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
リチウム回収方法を示すフローチャート。
リチウム回収システムの一例を模式的に示す説明図。
ローズグラスに関して、栽培条件や測定結果を示す説明図。
ローズグラス以外の植物に関して、栽培条件や測定結果を示す説明図。
水耕栽培装置の構成を模式的に示す説明図。
土壌栽培の様子を模式的に示す説明図。
ローズグラスの第6葉の横断切片の光学顕微鏡像を示す説明図。
ローズグラスの第6葉の横断切片の二次電子像を示す説明図。
播種から24日後の水耕栽培したローズグラスの写真を示す説明図。
ローズグラスの乾燥重量とLiCl濃度との関係を示す説明図。
2mMLiClを添加後の葉の背軸側の光学写真を示す説明図。
排出塩量および排出Li量とLiCl濃度との関係を示す説明図。
排出塩Li濃度、地上部Li濃度と添加LiCl濃度との関係を示す図。
Li添加土壌で栽培した35日後のローズグラスの写真を示す説明図。
土壌栽培後の地上部乾燥重量と排出Li量の測定結果を示す説明図。
バキューム法により葉から塩を回収したときのフィルター写真を示す図。
播種から24日後の水耕栽培した日本晴の写真を示す説明図。
日本晴の乾燥重量とLiCl濃度との関係を示す説明図。
土壌栽培したアイスプラントの写真を示す説明図。
土壌栽培したオカヒジキの写真を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
A.リチウム回収方法:
図1は、本開示の実施形態としてのリチウム回収方法を示すフローチャートである。本実施形態のリチウム回収方法を実行する際には、まず、塩生植物または耐塩性植物と、リチウムを含有する媒体と、を用意する(工程T100)。以下では、「塩生植物」と「耐塩性植物」と合わせて「耐塩性植物等」とも呼び、「リチウムを含有する媒体」を「Li含有媒体」とも呼ぶ。また、リチウムは、リチウムイオンやリチウム塩など種々の態様で存在し得るが、以下の説明では、これらを区別することなく「リチウム」と呼ぶ場合がある。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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