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公開番号2025116704
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-08
出願番号2024011286
出願日2024-01-29
発明の名称固体電解質の特性評価方法、固体電解質の製造方法及び固体電解質の特性評価システム
出願人JX金属株式会社
代理人アクシス国際弁理士法人
主分類G06Q 50/04 20120101AFI20250801BHJP(計算;計数)
要約【課題】シミュレーションによって効率良く、電池特性が良好な全固体リチウムイオン電池が作製可能な固体電解質を決定することができる固体電解質の特性評価方法、固体電解質の製造方法及び固体電解質の特性評価システムを提供する。
【解決手段】Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出し、組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化し、Supercell化した結晶格子に基づき機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行うことでLiの拡散係数を算出し、Liの拡散係数で、または、Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで組成をランキング付けし、ランキング付けされた組成に基づき組成に対応する固体電解質の特性を評価する、固体電解質の特性評価方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出し、前記組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化し、前記Supercell化した結晶格子に基づき機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行うことでLiの拡散係数を算出し、前記Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで前記組成をランキング付けし、前記ランキング付けされた組成に基づき前記組成に対応する固体電解質の特性を評価する、固体電解質の特性評価方法。
続きを表示(約 2,400 文字)【請求項2】
前記Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出するステップと、
前記物性及び結晶構造データにおいて、プロトン、希ガス、アクチノイド系元素を含む組成に関するデータを除外し、残った組成の中で、下記式1を満たす組成を更に除外して組成一覧データを作成するステップと、
E_above_hull > 0.05 ・・・ (式1)
前記式1を満たす組成を更に除外して残った組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように、結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化するステップと、
前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施するステップと、
前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測するステップと、
前記予測したLiの拡散係数に基づき、所定温度下でのMSD(平均二乗変位)を算出し、前記MSDに基づき、Liの拡散係数を算出するステップと、
前記算出したLiの拡散係数を前記組成一覧データに追記するステップと、
前記組成一覧データに記載の組成について、Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで、ランキング付けを行うステップと、
前記ランキング付けされた組成に基づき、前記組成に対応する固体電解質の特性を評価するステップと、
を含む、請求項1に記載の固体電解質の特性評価方法。
【請求項3】
前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施するステップにおいて、Matlantis(登録商標)を用いて前記構造最適化計算を行う、請求項2に記載の固体電解質の特性評価方法。
【請求項4】
前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測するステップにおいて、Matlantis(登録商標)を用いて前記NVT-MD計算を行う、請求項2に記載の固体電解質の特性評価方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の固体電解質の特性評価方法によって、特性を評価した固体電解質から所定の組成を決定するステップと、
前記決定した組成に基づいて原料を秤量して混合し、混合粉を得るステップと、
前記混合粉を焼成するステップと、
を含む、固体電解質の製造方法。
【請求項6】
Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出する抽出部と、
前記組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化するシミュレーション計算部と、
前記Supercell化した結晶格子に基づき機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行う構造最適化計算部と、
前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対しNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測し、前記予測したLiの拡散係数に基づきMSD(平均二乗変位)を算出することで、Liの拡散係数を算出するLiの拡散係数算出部と、
前記Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで前記組成をランキング付けするランキング付け部と、
前記ランキング付けされた組成に基づき前記組成に対応する固体電解質の特性を評価する特性評価部と、
を備えた、固体電解質の特性評価システム。
【請求項7】
前記抽出部は、前記Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出し、前記物性及び結晶構造データにおいて、プロトン、希ガス、アクチノイド系元素を含む組成に関するデータを除外し、残った組成の中で、下記式1を満たす組成を更に除外して組成一覧データを作成し、
E_above_hull > 0.05 ・・・ (式1)
前記シミュレーション計算部は、前記式1を満たす組成を更に除外して残った組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように、結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化し、
前記構造最適化計算部は、前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施し、
前記Liの拡散係数算出部は、前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測し、前記予測したLiの拡散係数に基づき、所定温度下でのMSD(平均二乗変位)を算出し、前記MSDに基づき、Liの拡散係数を算出し、
前記ランキング付け部は、前記算出したLiの拡散係数を前記組成一覧データに追記し、前記組成一覧データに記載の組成について、Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで、ランキング付けを行う、請求項6に記載の固体電解質の特性評価システム。
【請求項8】
前記構造最適化計算部は、Matlantis(登録商標)を用いて前記構造最適化計算を行う、請求項7に記載の固体電解質の特性評価システム。
【請求項9】
前記Liの拡散係数算出部は、Matlantis(登録商標)を用いて前記NVT-MD計算を行う、請求項7に記載の固体電解質の特性評価システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質の特性評価方法、固体電解質の製造方法及び固体電解質の特性評価システムに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
近年におけるパソコン、ビデオカメラ、及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。該電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウムイオン電池が注目を浴びている。また、車載用等の動力源やロードレベリング用といった大型用途におけるリチウム二次電池についても、高エネルギー密度、電池特性向上が求められている。
【0003】
ただ、リチウムイオン電池の場合は、電解液は有機化合物が大半であり、たとえ難燃性の化合物を用いたとしても火災に至る危険性が全くなくなるとは言いきれない。こうした液系リチウムイオン電池の代替候補として、電解質を固体とした全固体リチウムイオン電池が近年注目を集めている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2006-244734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の全固体リチウムイオン電池の需要により、固体電解質について、電池特性が良好である新規な組成を有する化合物の更なる開発研究が望まれている。
【0006】
良好な固体電解質としてリチウムイオンが結晶格子を移動するのに必要なエネルギー障壁(活性化エネルギー)が低い材料であることが期待される。低い活性化エネルギーは高リチウムイオン伝導に寄与する。このため、電池特性の向上の観点から、固体電解質は活性化エネルギーが低いことが好ましい。
【0007】
しかしながら、1つ1つ新規な組成を製造し、全固体リチウムイオン電池を作製して、その電池特性を評価することで有望な組成を探すことは、確実ではあるが、効率の面で大きなデメリットがある。このため、実際に製造しなくとも、シミュレーションによってその電池特性が評価できるような新規な固体電解質の特性評価方法が待ち望まれている。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、シミュレーションによって効率良く、電池特性が良好な全固体リチウムイオン電池が作製可能な固体電解質を決定することができる固体電解質の特性評価方法、固体電解質の製造方法及び固体電解質の特性評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記知見を基礎にして完成した本発明は以下で規定される。
1.Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出し、前記組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化し、前記Supercell化した結晶格子に基づき機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行うことでLiの拡散係数を算出し、前記Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで前記組成をランキング付けし、前記ランキング付けされた組成に基づき前記組成に対応する固体電解質の特性を評価する、固体電解質の特性評価方法。
2.前記Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出するステップと、
前記物性及び結晶構造データにおいて、プロトン、希ガス、アクチノイド系元素を含む組成に関するデータを除外し、残った組成の中で、下記式1を満たす組成を更に除外して組成一覧データを作成するステップと、
E_above_hull > 0.05 ・・・ (式1)
前記式1を満たす組成を更に除外して残った組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように、結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化するステップと、
前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施するステップと、
前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測するステップと、
前記予測したLiの拡散係数に基づき、所定温度下でのMSD(平均二乗変位)を算出し、前記MSDに基づき、Liの拡散係数を算出するステップと、
前記算出したLiの拡散係数を前記組成一覧データに追記するステップと、
前記組成一覧データに記載の組成について、Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで、ランキング付けを行うステップと、
前記ランキング付けされた組成に基づき、前記組成に対応する固体電解質の特性を評価するステップと、
を含む、前記1に記載の固体電解質の特性評価方法。
3.前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施するステップにおいて、Matlantis(登録商標)を用いて前記構造最適化計算を行う、前記2に記載の固体電解質の特性評価方法。
4.前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測するステップにおいて、Matlantis(登録商標)を用いて前記NVT-MD計算を行う、前記2に記載の固体電解質の特性評価方法。
5.前記1~4のいずれかに記載の固体電解質の特性評価方法によって、特性を評価した固体電解質から所定の組成を決定するステップと、
前記決定した組成に基づいて原料を秤量して混合、混合粉を得るステップと、
前記混合粉を焼成するステップと、
を含む、固体電解質の製造方法。
6.Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出する抽出部と、
前記組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化するシミュレーション計算部と、
前記Supercell化した結晶格子に基づき機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行う構造最適化計算部と、
前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対しNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測し、前記予測したLiの拡散係数に基づきMSD(平均二乗変位)を算出することで、Liの拡散係数を算出するLiの拡散係数算出部と、
前記Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで前記組成をランキング付けするランキング付け部と、
前記ランキング付けされた組成に基づき前記組成に対応する固体電解質の特性を評価する特性評価部と、
を備えた、固体電解質の特性評価システム。
7.前記抽出部は、前記Materials Projectに記載の所定の元素を含む組成の物性及び結晶構造データを複数抽出し、前記物性及び結晶構造データにおいて、プロトン、希ガス、アクチノイド系元素を含む組成に関するデータを除外し、残った組成の中で、下記式1を満たす組成を更に除外して組成一覧データを作成し、
E_above_hull > 0.05 ・・・ (式1)
前記シミュレーション計算部は、前記式1を満たす組成を更に除外して残った組成の各結晶構造において、総原子数が所定個超となるように、結晶格子のabc軸を等倍でSupercell化し、
前記構造最適化計算部は、前記Supercell化した結晶格子に基づき、機械学習ポテンシャルで構造最適化計算を行い、最適化されたデータを用いて絶対零度のエンタルピー計算を実施し、
前記Liの拡散係数算出部は、前記構造最適化計算で得られた絶対零度での最安定構造に対し、所定温度下でNVT-MD計算を行い、Liの拡散係数を予測し、前記予測したLiの拡散係数に基づき、所定温度下でのMSD(平均二乗変位)を算出し、前記MSDに基づき、Liの拡散係数を算出し、
前記ランキング付け部は、前記算出したLiの拡散係数を前記組成一覧データに追記し、前記組成一覧データに記載の組成について、Liの拡散係数で、または、前記Liの拡散係数から計算した活性化エネルギーで、ランキング付けを行う、前記6に記載の固体電解質の特性評価システム。
8.前記構造最適化計算部は、Matlantis(登録商標)を用いて前記構造最適化計算を行う、前記7に記載の固体電解質の特性評価システム。
9.前記Liの拡散係数算出部は、Matlantis(登録商標)を用いて前記NVT-MD計算を行う、前記7に記載の固体電解質の特性評価システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シミュレーションによって効率良く、電池特性が良好な全固体リチウムイオン電池が作製可能な固体電解質を決定することができる固体電解質の特性評価方法、固体電解質の製造方法及び固体電解質の特性評価システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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