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公開番号2025106981
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-17
出願番号2024000637
出願日2024-01-05
発明の名称透過率または吸光度の測定方法
出願人日本分光株式会社
代理人個人,個人
主分類G01N 21/59 20060101AFI20250710BHJP(測定;試験)
要約【課題】新しいモデル式を使って分光前後で生じる迷光の影響を軽減可能な透過率または吸光度を測定する方法を提供すること。
【解決手段】波長毎の試料の透過率tで構成される透過率スペクトルをTとし、分光計で測定された波長毎の試料の透過光量vで構成される透過光量スペクトルをVとし、分光計に特有の光量分布成分aijで構成された行列である光量分布パラメータをAとして、「AT=V」で表されるモデル式を使って透過率または吸光度を測定する。ここで、光量分布成分aijは、分光計のブランク測定において、分光前の波長別光量lj(jは分光前の分布波長を示す。)が、分光後の検出光の測定波長iの各帯域にどの程度の光量で分布するかを示す成分であり、予め取得されている。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
波長毎の試料の透過率tで構成される透過率スペクトルをTとし、分光計で測定された波長毎の試料の透過光量vで構成される透過光量スペクトルをVとし、前記分光計に特有の光量分布成分a
ij
で構成された行列である光量分布パラメータをAとして、「AT=V」で表されるモデル式を使って透過率または吸光度を測定する方法であって、
前記光量分布成分a
ij
は、前記分光計のブランク測定において、分光前の波長別光量l

(jは分光前の分布波長を示す。)が、分光後の検出光の測定波長iの各帯域にどの程度の光量で分布するかを示す成分であり、予め取得されている
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
続きを表示(約 3,400 文字)【請求項2】
請求項1記載の透過率または吸光度の測定方法であって、さらに、
複数種類の基準試料の既知の透過率スペクトルで構成された透過率スペクトル行列T
REF
、および、前記分光計で測定された複数種類の前記基準試料の透過光量スペクトルで構成された透過光量スペクトル行列V
REF
の各入力値に対して、モデル式「AT
REF
=V
REF
」を満たす前記光量分布成分a
ij
を予めコンピュータを用いて推定する
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
【請求項3】
請求項2記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
該測定波長iについて「AT
REF
-V
REF
」で表されるベクトルの大きさが最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法によることを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
【請求項4】
請求項2記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
該測定波長iについて「(A/a
sum
)T
REF
-(V
REF
/v
Bi
)」で表されるベクトルの大きさが最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法による
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
ここで、a
sum
は前記測定波長iにおける成分(a
ij
)の総和(j=1~n)であり、v
Bi
は前記測定波長iにおけるブランク測定の測定光量である。
【請求項5】
請求項2記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
該測定波長iについて「-log
10
{(A/a
sum
)T
REF
}+log
10
(V
REF
/v
Bi
)」で表されるベクトルの大きさが最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法による
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
ここで、a
sum
は前記測定波長iにおける成分(a
ij
)の総和(j=1~n)であり、v
Bi
は前記測定波長iにおけるブランク測定の測定光量である。
【請求項6】
請求項2記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
前記測定波長iにおける吸光度が比較的低い基準試料については、前記測定波長iについて「(T
REF


ij
/a
sum
)-(v
is
/v
Bi
)」で表される差分を算出し、前記測定波長iにおける吸光度が比較的高い基準試料については、前記測定波長iについて「-log
10
(T
REF


ij
/a
sum
)+log
10
(v
is
/v
Bi
)」で表される差分を算出し、
これらの差分の二乗和が最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法による
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
ここで、T
REF

はT
REF
の転置行列であり、a
sum
は前記測定波長iにおける成分(a
ij
)の総和(j=1~n)であり、sは基準試料の数(s=1~p)であり、v
Bi
は前記測定波長iにおけるブランク測定の測定光量である。
【請求項7】
請求項2記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
前記測定波長iについて「-log
10
(T
REF


ij
/a
sum
)+log
10
(v
is
/v
Bi
)」で表される差分を算出し、
前記測定波長iにおける基準試料の吸光度に応じて、前記差分に重み付けを実行し、
重み付けされた差分の二乗和が最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法による
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
ここで、T
REF

はT
REF
の転置行列であり、a
sum
は前記測定波長iにおける成分(a
ij
)の総和(j=1~n)であり、sは基準試料の数(s=1~p)であり、v
Bi
は前記測定波長iにおけるブランク測定の測定光量である。
【請求項8】
請求項1記載の透過率または吸光度の測定方法であって、さらに、
1種類の基準試料を複数濃度にしたものを用いて、濃度毎の前記基準試料の既知の透過率スペクトルで構成された透過率スペクトル行列T
REF
、および、前記分光計で測定された濃度毎の前記基準試料の透過光量スペクトルで構成された透過光量スペクトル行列V
REF
の各入力値に対して、前記モデル式「AT
REF
=V
REF
」を満足するような前記光量分布成分a
ij
を予めコンピュータを用いて推定する
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
【請求項9】
請求項8記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
該測定波長iについて「AT
REF
-V
REF
」で表されるベクトルの大きさが最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法によることを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
【請求項10】
請求項8記載の透過率または吸光度の測定方法であって、
前記光量分布成分a
ij
の推定は、測定波長i毎に実行され、
該測定波長iについて「(A/a
sum
)T
REF
-(V
REF
/v
Bi
)」で表されるベクトルの大きさが最小になるような成分(a
ij
)を当該成分の解の設定範囲で最適化することによって得る、という二次計画法による
ことを特徴とする透過率または吸光度の測定方法。
ここで、a
sum
は前記測定波長iにおける成分(a
ij
)の総和(j=1~n)であり、v
Bi
は前記測定波長iにおけるブランク測定の測定光量である。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、回折格子やプリズムを用いている分散型の分光計を用いて試料の透過率または吸光度を測定する方法に関し、特に、分光前後で生じる迷光の影響を軽減する技術に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
測定装置の校正は、校正対象装置での基準試料測定値が規定範囲内に入るようにする行いである。これを実現するための手法は多くあり、大別すると、測定原理に基づく変換式を用いた校正と、測定原理に基づかず基準試料測定値から適当な変換式を導出し、その変換式による校正である。例えば、特許文献1に開示された方法は後者に該当する。一般的に前者は測定原理に基づいているため校正結果が予想しやすく扱いやすいが、後者は校正結果が予想し難く扱い難い。測定原理に基づく校正の場合、その測定原理のモデル化の優劣が校正結果の優劣に直結する。測定原理に基づいた吸光度と迷光(測定波長以外の波長成分光のこと)の最も単純なモデル式として、
abs=-log
10
{(I

×t+α)/(I

+β)}
ここで、abs:吸光度測定値、


:ブランク光量、
t :測定波長における基準試料透過率、
α :基準試料測定時の迷光量、
β :ブランク測定時の迷光量、
が考えられる。このモデル式において変数はα、βの2個なので、同一基準試料の2濃度の吸光度測定値が得られればα、βを決めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第3694029号
国際公開第2016/129033号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記モデル式の吸光度校正適用範囲は、せいぜい同一基準試料の2濃度間における吸光度校正程度の範囲に限られる。その理由は、実際の分光器においてαは測定波長以外の光量スペクトル(ベクトル)と基準試料の2濃度の透過率スペクトル(ベクトル)間の(ベクトル)内積であり、βは測定波長以外の光量スペクトルの総和であるためである。従って、より精緻で優れたモデルではこの状況を内包する必要がある。
【0005】
このような背景から、例えば、特許文献2の段落[0038]においては、分光器のある測定波長光に含まれる全波長成分量(光量スペクトル)をベクトルとして表し、全測定波長を合成したものを単位行列Iと迷光分布行列Dの行列和「I+D」として表して、モデル式「Ymeas=(I+D)・Y」を分光器の校正に利用している。また、段落[0020]には、迷光モデルの求め方として、「単色光を前記分光素子に導入したときに複数の受光素子の各々から得られる検出信号に基づいて、単色光が迷光として入射した受光素子の位置、及び受光素子に入射した単色光の総光量に対する各受光素子に入射した迷光の光量の比率を、波長が異なる複数の単色光についてそれぞれ求め、前記複数の単色光について求めた、迷光が入射した受光素子の位置及び迷光の光量の比率をパラメータとする近似式を迷光モデルとする」の記載があり、校正対象の分光計で測定した複数の単色光のスペクトルに基づいて迷光モデルを取得する方法が示されている。
【0006】
発明者らは、特許文献2のモデル式「Ymeas=(I+D)・Y」に改善の余地があると考えて、これとは異なる新しいモデル式を使って透過率や吸光度を校正する方法を鋭意研究してきた。すなわち、本発明の目的は、新しいモデル式を使って分光前後で生じる迷光の影響を軽減可能な透過率または吸光度を測定する方法を提供することにある。また、モデル式の取得において、単色法とは異なる手法を採用することで、実用性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
「AT=Vのモデル式による透過率または吸光度の測定」
上記の課題を解決するため、本発明に係る透過率または吸光度の測定方法は、
波長毎の試料の透過率tで構成される透過率スペクトルをTとし、分光計で測定された波長毎の試料の透過光量vで構成される透過光量スペクトルをVとし、前記分光計に特有の光量分布成分a
ij
で構成された行列である光量分布パラメータをAとして、「AT=V」で表されるモデル式を使って透過率または吸光度を測定する方法であって、
前記光量分布成分a
ij
は、前記分光計のブランク測定において、分光前の波長別光量l

(jは分光前の分布波長を示す。)が、分光後の検出光の測定波長iの各帯域にどの程度の光量で分布するかを示す成分であり、予め取得されている、ことを特徴とする。
【0008】
「パラメータAの推定(複数種類の基準試料を用いて)」
ここで、複数種類の基準試料の既知の透過率スペクトルで構成された透過率スペクトル行列T
REF
、および、前記分光計で測定された複数種類の前記基準試料の透過光量スペクトルで構成された透過光量スペクトル行列V
REF
の各入力値に対して、モデル式「AT
REF
=V
REF
」を満たす前記光量分布成分a
ij
を予めコンピュータを用いて推定することが好ましい。
【0009】
「パラメータAの推定(1種類の基準試料を複数濃度にしたものを用いて)」
または、1種類の基準試料を複数濃度にしたものを用いて、濃度毎の前記基準試料の既知の透過率スペクトルで構成された透過率スペクトル行列T
REF
、および、前記分光計で測定された濃度毎の前記基準試料の透過光量スペクトルで構成された透過光量スペクトル行列V
REF
の各入力値に対して、前記モデル式「AT
REF
=V
REF
」を満足するような前記光量分布成分a
ij
を予めコンピュータを用いて推定することが好ましい。
【0010】
「パラメータAの推定(複数種類の基準試料を、基準試料ごとに複数濃度にしたものを用いて)」
または、複数種類の基準試料を用いて、かつ、前記基準試料ごとに複数濃度にしたものを用いて、種類毎および濃度毎の前記基準試料の既知の透過率スペクトルで構成された透過率スペクトル行列T
REF
、および、前記分光計で測定された種類毎および濃度毎の前記基準試料の透過光量スペクトルで構成された透過光量スペクトル行列V
REF
の各入力値に対して、前記モデル式「AT
REF
=V
REF
」を満足するような前記光量分布成分a
ij
を予めコンピュータを用いて推定することが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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