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公開番号
2025095120
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-06-26
出願番号
2023210928
出願日
2023-12-14
発明の名称
系統安定化システムおよび系統安定化方法
出願人
三菱電機株式会社
代理人
弁理士法人深見特許事務所
主分類
H02J
3/24 20060101AFI20250619BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約
【課題】再生可能エネルギー発電装置を優先的に電制対象にするともに、効果的な系統安定化を実現可能な電制対象の選択方法を提供する。
【解決手段】オンライン型の事前演算方式の中央演算装置20を備えた系統安定化システムが提供される。中央演算装置20の事前演算部50は、最初に第1の評価指標(式3)に基づく優先順位で電制対象候補の中から電制対象の再生可能エネルギー発電装置を決定し、安定度計算結果が安定にならない場合に、第2の評価指標(式2)に基づく優先順位に基づいて全電制量ができるだけ小さくなるように電制対象候補の中から電制対象の同期発電機を決定する。第2の評価指標は、電制対象の発電機の遮断によって、電制対象候補のそれぞれの同期発電機に生じる出力変化量の総和であり、第1の評価指標は第2の評価指標を電制対象の発電機の電制量で除した値である。
【選択図】図3
特許請求の範囲
【請求項1】
各々が、同期発電機および再生可能エネルギー発電装置を含む複数の発電機のいずれかに対応付けられ、遮断指令に従って対応する発電機を電力系統から遮断する複数の端末装置と、
前記電力系統で事故が生じた場合に、制御テーブルに従って前記遮断指令を電制対象の発電機に対応する端末装置に送信する事後制御部と、
想定事故ごとに安定度計算を行うことにより電制対象の発電機が前記想定事故に対応付けられた前記制御テーブルを予め作成する事前演算部とを備え、
前記事前演算部は、
前記安定度計算の結果に基づいて電制対象候補となる複数の同期発電機および複数の再生可能エネルギー発電装置を選択する電制候補選択部と、
第1の評価指標に基づく優先順位で前記電制対象候補の中から電制対象の再生可能エネルギー発電装置を決定し、前記電制対象候補の全ての再生可能エネルギー発電装置を電制しても安定度計算結果が安定にならない場合に、第2の評価指標に基づく優先順位に基づいて全電制量ができるだけ小さくなるように前記電制対象候補の中から電制対象の同期発電機を決定する電制対象決定部とを含み、
前記電制対象候補の再生可能エネルギー発電装置のうちでp番目の再生可能エネルギー発電装置に対する前記第1の評価指標は、前記p番目の再生可能エネルギー発電装置を電制したときの前記電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和を、前記p番目の再生可能エネルギー発電装置の電制量で除した値であり、
前記電制対象候補の同期発電機のうちでq番目の同期発電機に対する前記第2の評価指標は、前記q番目の同期発電機を電制したときの前記q番目を除く前記電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和である、系統安定化システム。
続きを表示(約 3,600 文字)
【請求項2】
前記電制候補選択部は、前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角を取得し、前記それぞれの同期発電機の位相角を、前記それぞれの同期発電機の慣性定数で重み付けした加重平均を慣性中心として計算し、
前記電制候補選択部は、前記脱調判定時刻において前記慣性中心よりも位相角が大きい同期発電機を、電制対象候補として選択する、請求項1に記載の系統安定化システム。
【請求項3】
前記電制候補選択部は、前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角と初期位相角からの位相角偏差とを取得し、
前記電制候補選択部は、前記位相角と前記位相角偏差とに基づいて計算される第3の評価指標が閾値を超えている同期発電機を、電制対象候補として選択し、
前記電力系統に設けられた同期発電機のうちでr番目の同期発電機に対する前記第3の評価指標は、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角を前記脱調判定位相角で除した値と、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角偏差を、前記電力系統に設けられた同期発電機のそれぞれの位相角偏差の最大値で除した値との積である、請求項1に記載の系統安定化システム。
【請求項4】
前記電制候補選択部は、前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角を取得し、
前記電制候補選択部は、前記位相角に基づいて計算される第3の評価指標が閾値を超えている同期発電機を、電制対象候補として選択し、
前記電力系統に設けられた同期発電機のうちでr番目の同期発電機に対する前記第3の評価指標は、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角を前記脱調判定位相角で除した値である、請求項1に記載の系統安定化システム。
【請求項5】
前記電制候補選択部は、前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の初期位相角からの位相角偏差を取得し、
前記電制候補選択部は、前記位相角偏差とに基づいて計算される第3の評価指標が閾値を超えている同期発電機を、電制対象候補として選択し、
前記電力系統に設けられた同期発電機のうちでr番目の同期発電機に対する前記第3の評価指標は、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角偏差を、前記電力系統に設けられた同期発電機のそれぞれの位相角偏差の最大値で除した値である、請求項1に記載の系統安定化システム。
【請求項6】
前記電制候補選択部は、前記電制対象候補の同期発電機の各々について前記第1の評価指標を計算し、前記電制対象候補の同期発電機のうちで前記第1の評価指標の最小値を決定し、
前記電制対象候補の同期発電機のうちでs番目の同期発電機に対する前記第1の評価指標は、前記s番目の同期発電機を電制したときの前記s番目を除く前記電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和を、前記s番目の同期発電機の電制量で除した値であり、
前記電制候補選択部は、前記電力系統に設けられた前記再生可能エネルギー発電装置の各々について前記第1の評価指標を計算し、前記最小値よりも大きい前記第1の評価指標を有する再生可能エネルギー発電装置を前記電制対象候補として選択する、請求項2~5のいずれか1項に記載の系統安定化システム。
【請求項7】
処理回路が、同期発電機および再生可能エネルギー発電装置を含む複数の発電機が設けられた電力系統において事故が生じた場合に、制御テーブルに従って遮断指令を電制対象の発電機に対応する端末装置に送信するステップと、
前記処理回路が、想定事故ごとに安定度計算を行うことにより電制対象の発電機が前記想定事故に対応付けられた前記制御テーブルを予め作成するステップとを備え、
前記制御テーブルを予め作成するステップは、
前記安定度計算の結果に基づいて電制対象候補となる複数の同期発電機を選択するステップと、
前記安定度計算の結果に基づいて電制対象候補となる複数の再生可能エネルギー発電装置を選択するステップと、
第1の評価指標に基づく優先順位で前記電制対象候補の中から電制対象の再生可能エネルギー発電装置を決定するステップと、
前記電制対象候補の全ての再生可能エネルギー発電装置を電制しても安定度計算結果が安定にならない場合に、第2の評価指標に基づく優先順位に基づいて全電制量ができるだけ小さくなるように前記電制対象候補の中から電制対象の同期発電機を決定するステップと、
電制対象として決定した発電機を前記想定事故に対応付けて前記制御テーブルに登録するステップとを備え、
前記電制対象候補の再生可能エネルギー発電装置のうちでp番目の再生可能エネルギー発電装置に対する前記第1の評価指標は、前記p番目の再生可能エネルギー発電装置を電制したときの前記電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和を、前記p番目の再生可能エネルギー発電装置の電制量で除した値であり、
前記電制対象候補の同期発電機のうちでq番目の同期発電機に対する前記第2の評価指標は、前記q番目の同期発電機を電制したときの前記q番目を除く前記電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和である、系統安定化方法。
【請求項8】
電制対象候補となる複数の同期発電機を選択するステップは、
前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角を取得するステップと、
前記取得したそれぞれの同期発電機の位相角を、前記それぞれの同期発電機の慣性定数で重み付けした加重平均を慣性中心として計算するステップと、
前記脱調判定時刻において前記慣性中心よりも位相角が大きい同期発電機を、電制対象候補として選択するステップとを含む、請求項7に記載の系統安定化方法。
【請求項9】
電制対象候補となる複数の同期発電機を選択するステップは、
前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角と初期位相角からの位相角偏差とを取得するステップと、
取得した前記位相角と前記位相角偏差とに基づいて計算される第3の評価指標が閾値を超えている同期発電機を、電制対象候補として選択するステップとを含み、
前記電力系統に設けられた同期発電機のうちでr番目の同期発電機に対する前記第3の評価指標は、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角を前記脱調判定位相角で除した値と、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角偏差を、前記電力系統に設けられた同期発電機のそれぞれの位相角偏差の最大値で除した値との積である、請求項7に記載の系統安定化方法。
【請求項10】
電制対象候補となる複数の同期発電機を選択するステップは、
前記安定度計算の結果を用いて、前記電力系統に設けられたいずれかの同期発電機の位相角が脱調判定位相角に到達した脱調判定時刻において、前記電力系統に設けられたそれぞれの同期発電機の位相角を取得するステップと、
取得した前記位相角に基づいて計算される第3の評価指標が閾値を超えている同期発電機を、電制対象候補として選択するステップとを含み、
前記電力系統に設けられた同期発電機のうちでr番目の同期発電機に対する前記第3の評価指標は、前記脱調判定時刻における前記r番目の同期発電機の位相角を前記脱調判定位相角で除した値である、請求項7に記載の系統安定化方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、系統安定化システムおよび系統安定化方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
電力系統の同期安定度の維持を目的とした系統安定化システムは、系統事故が発生すると発電機脱調を防止するため、一部の発電機を電力系統から切り離す(「遮断」または「電制(電源制限)」とも称する)。
【0003】
日本における代表的な系統安定化システムとして、中部電力のISC(Integrated Stability Control)システムなどが挙げられる。これらのシステムでは、同期安定度を維持するために同期発電機の電制をその手段としており、再生可能エネルギー発電装置を電制対象としていない。
【0004】
同期発電機と再生可能エネルギー発電装置との両方を電制対象として取り扱う系統安定化システムとして、たとえば、特開2021-141790号公報(特許文献1)に開示された系統安定化システムが知られている。この文献の系統安定化システムにおいて、「中央演算装置は、電制候補を電制した際の過渡安定度演算を行い、過渡安定度演算結果を用いて、同期安定性を不安定傾向にある同期機グループG1と安定傾向にある同期機グループG2の2機系統モデルで表し、2機系統モデルを1機無限大母線モデルに変換し、1機無限大母線モデルにおける同期発電機の角速度偏差の変化速度が電制実施時に減少する量を電制量で除算した値を、安定化効果を表す指標とし、指標が最大となる電制候補を電制対象に選択する」(特許文献1の要約を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2021-141790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1の安定化効果を表す指標では、同期発電機のほうが再生可能エネルギー発電装置に比べて安定化効果が高いため、同期発電機の方が優先的に電制対象として選択される可能性が高い。
【0007】
しかしながら、同期発電機は、再生可能エネルギー発電装置に比べて、電力系統から切り離した後に電力系統に再連系するのに負担が大きいという問題がある。たとえば、同期発電機を電制する場合には、発電機以外にボイラおよびタービンなどの機器を停止する必要があり、これらの機器を再立ち上げするのに時間がかかる。一方、代表的な再生可能エネルギー発電装置である風力発電装置および太陽光発電装置は、基本的には開閉装置の開閉のみによって電力系統に再連系が可能となる。
【0008】
本開示は、上記の背景技術を考慮してなされたものであり、その目的の1つは、再生可能エネルギー発電装置を優先的に電制対象にするともに、効果的な系統安定化を実現可能なように電制対象の選択を行う系統安定化システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態の系統安定化システムは、複数の端末装置と事後制御部と事前演算部とを備える。複数の端末装置の各々は、同期発電機および再生可能エネルギー発電装置を含む複数の発電機のいずれかに対応付けられ、遮断指令に従って対応する発電機を電力系統から遮断する。事後制御部は、電力系統で事故が生じた場合に、制御テーブルに従って遮断指令を電制対象の発電機に対応する端末装置に送信する。事前演算部は、想定事故ごとに安定度計算を行うことにより電制対象の発電機が想定事故に対応付けられた制御テーブルを予め作成する。事前演算部は、電制候補選択部と電制対象決定部とを含む。電制候補選択部は、安定度計算の結果に基づいて電制対象候補となる複数の同期発電機および複数の再生可能エネルギー発電装置を選択する。電制対象決定部は、第1の評価指標に基づく優先順位で電制対象候補の中から電制対象の再生可能エネルギー発電装置を決定し、電制対象候補の全ての再生可能エネルギー発電装置を電制しても安定度計算結果が安定にならない場合に、第2の評価指標に基づく優先順位に基づいて全電制量ができるだけ小さくなるように電制対象候補の中から電制対象の同期発電機を決定する。電制対象候補の再生可能エネルギー発電装置のうちでp番目の再生可能エネルギー発電装置に対する第1の評価指標は、p番目の再生可能エネルギー発電装置を電制したときの電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和を、p番目の再生可能エネルギー発電装置の電制量で除した値である。電制対象候補の同期発電機のうちでq番目の同期発電機に対する第2の評価指標は、q番目の同期発電機を電制したときのq番目を除く電制対象候補のそれぞれの同期発電機の出力変化量の総和である。
【発明の効果】
【0010】
上記の実施形態によれば、再生可能エネルギー発電装置を優先的に電制対象にするともに、第1の評価指標および第2の評価指標を用いることにより効果的な系統安定化を実現可能なように電制対象の発電機を選択できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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