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公開番号2025094060
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-24
出願番号2025042899,2024510461
出願日2025-03-17,2021-08-27
発明の名称イオン分析における及びイオン分析に関する改良
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類H01J 49/02 20060101AFI20250617BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】イオン分析装置内で各々の振動周波数(f)の振動運動をしている所与の電荷状態(Q)の複数のイオンを表すイメージ電荷/電流信号から確定されたデータを処理する。
【解決手段】データセットが、複数の実測のイメージ電荷/電流信号に共通する実測の信号周波数(f0)と、前記複数の実測のイメージ電荷/電流信号の各々の振幅に対応する複数の推定イオン電荷値とを含む。前記推定イオン電荷値の1つを最も近い整数値に丸めたものに相当する整数電荷値([Qi])を用いて、複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(fi Cand)を計算する。計算された前記複数のイメージ電荷/電流信号周波数候補値(fi Cand)を、実測のイメージ電荷/電流信号の複数の異なる信号周波数(f)と比較し、該比較に基づいてそれらの間の類似度を表すスコア値を計算する。
【選択図】図2b
特許請求の範囲【請求項1】
イオン分析装置内で各々の振動周波数(f)の振動運動をしている所与の電荷状態(Q)の複数のイオンを表すイメージ電荷/電流信号から確定されたデータを処理する方法であって、
複数の実測のイメージ電荷/電流信号に共通する実測の信号周波数(f

)と、前記複数の実測のイメージ電荷/電流信号の各々の振幅に対応する複数の推定イオン電荷値とを含むデータセットを取得し、
前記推定イオン電荷値の1つを最も近い整数値に丸めたものに相当する整数電荷値([Q])を生成すること、及び、
(a)前記整数電荷値([Q
i
])を選択し、それを用いて、前記選択された実測の信号周波数(f

)に応じて、並びに、イオン及び/又は、イオンの同位体又は同位体分子種のうちの1又は複数の異なる電荷状態候補のうち対応する1つに応じて、複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)を計算し、そして
(b)計算された前記複数のイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)を、実測のイメージ電荷/電流信号の複数の異なる信号周波数(f)と比較し、該比較に基づいてそれらの間の類似度を表すスコア値を計算し、
前記スコア値がスコア閾値と一致するかそれを超えていたら、前記選択された実測の信号周波数(f

)の振動運動をしているイオンの電荷状態(Q)を、前記整数電荷値([Q

^])に等しいものと判定すること
を含む方法。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
整数電荷値([Q])を生成する前記ステップが、前記推定イオン電荷値をそれぞれ最も近い整数値に丸めたものに相当する複数の整数電荷値([Q])を生成すること、及び、
(c)前記生成された整数電荷値([Q])のなかの各前記整数電荷値([Q

])についてステップ(a)とステップ(b)を繰り返し、そして、
(d)最も高い前記スコア値を達成する整数電荷値([Q

^])を識別すること
を含み、前記スコア閾値が前記最も高い前記スコア値に相当し、イオンの前記電荷状態(Q)が、前記最も高い前記スコア値を達成する前記識別された整数電荷値([Q

^])に等しいものと判定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)の計算を、イオンに結合したプロトン付加陽子の数を定量化するために選択される整数をn、イオンの異なる同位体又は同位体分子種間の核内の中性子の個数差を定量化するために選択される整数をk、陽子の質量をm

、陽子の電荷をe、事前設定された較正定数をαとして、
TIFF
2025094060000049.tif
22
142
という条件を満たすように行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)の計算を、イオンに結合した質量m

の付加イオンの個数を定量化するために選択される整数をl、イオンに結合したプロトン付加陽子の数を定量化するために選択される整数をn、イオンの異なる同位体又は同位体分子種間の核内の中性子の個数差を定量化するために選択される整数をk、陽子の質量をm

、陽子の電荷をe、事前設定された較正定数をαとして、
TIFF
2025094060000050.tif
20
166
という条件を満たすように行う、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記データセットを取得することが、前記複数の実測のイメージ電荷/電流信号に共通する実測の信号周波数(f

)を選択すること、及び、前記複数の実測のイメージ電荷/電流信号の各々の実測の振幅に基づいて前記複数の推定イオン電荷値を計算すること、を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記類似度が、前記複数の実測のイメージ電荷/電流信号のなかのいずれかの信号周波数との差が所定の差分閾値より小さい計算されたイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)の個数の総和を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)を計算することが、それぞれイオンプロトン付加(n)の共通の固定した候補状態を共有する、イオンの同位体又は同位体分子種(k)の複数の異なる候補状態を選択することを含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)を計算することが、それぞれイオンの同位体又は同位体分子種(k)の共通の固定した候補状態を共有する、イオンプロトン付加(n)の複数の異なる電荷状態候補を選択することを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
複数の異なるイメージ電荷/電流信号周波数候補値(f

Cand
)を計算することが、イオンの異なるイオンプロトン付加(n)を選択するとともに、イオンの同位体又は同位体分子種(k)の異なる候補状態を選択することを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
最も高い前記スコア値を達成する前記識別された整数電荷値([Q

^])に応じて、及び、
TIFF
2025094060000051.tif
20
140
という関係により、前記選択された実測の信号周波数(f

)の振動運動をしているイオンの質量値(M)を決定することを含む、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はイメージ電荷/電流分析を用いたイオン分析のための方法及び装置並びにそのためのイオン分析装置に関する。特に、本発明はイオンの電荷を特定するためのイメージ電荷/電流信号の分析に関するが、これに限られない。例えば、イメージ電荷/電流信号は、イオン移動度分析装置、電荷検出質量分析装置(CDMS)、又は、イオンサイクロトロン、Orbitrap(登録商標)、静電型リニアイオントラップ(ELIT)、四重極イオントラップ、軌道周波数分析装置(Orbital Frequency Analyser:OFA)、平面静電型イオントラップ(Planar Electrostatic Ion Trap:PEIT)、若しくは、内部で振動運動を発生させるための他のイオン分析装置等のイオントラップ装置、により生成することができる。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
一般に、イオントラップ質量分析装置は、イオンを捕捉し、その捕捉したイオンを例えば線形軌道に沿って前後に、又は周回軌道上で、振動運動させるように機能する。イオントラップ質量分析装置はイオンを捕捉するために磁場、電磁場若しくは静電場又はそれらの場の組み合わせを発生させることができる。静電場を用いてイオンを捕捉する場合、そのイオントラップ質量分析装置は通例、「静電型」イオントラップ質量分析装置と呼ばれる。
【0003】
一般に、イオントラップ質量分析装置における捕捉イオンの振動の周波数は該イオンの質量電荷比(m/z)に依存する。なぜなら、m/z比の大きいイオンは通例、m/z比の小さいイオンに比べて振動を行うためにより長い時間を要するからである。イメージ電荷/電流検出器を用いて、振動運動をしている捕捉イオンを表すイメージ電荷/電流信号を非破壊的に時間領域で得ることができる。このイメージ電荷/電流信号は例えばフーリエ変換(FT)により周波数領域に変換することができる。捕捉イオンの振動の周波数はm/zに依存しているから、周波数領域におけるイメージ電荷/電流信号は捕捉されたイオンのm/z分布に関する情報をもたらすマススペクトルデータとみなすことができる。
【0004】
質量分析では、イオン分析装置(例えばイオントラップ)内で振動運動をしている1又は複数のイオンが、イメージ電荷/電流信号の検出のために構成された装置のセンサ電極によって検出可能なイメージ電荷/電流信号を誘導する。このようなイメージ電荷/電流信号を分析するための十分確立された方法の1つはこの時間領域信号を周波数領域に変換することである。このために最も広く用いられている変換はフーリエ変換(FT)である。フーリエ変換は時間領域信号を、それぞれ特定の周波数(又は周期)、振幅及び位相を持つ正弦波成分に分解する。これらのパラメータは測定されたイメージ電荷/電流信号中に存在する周期成分(周波数成分)の周波数(又は周期)、振幅及び位相と関係している。それら周期成分の周波数(又は周期)は、それぞれのイオン種の電荷状態が分かっていればそのm/z値又は質量と容易に関連付けることができる。普通の質量分析(MS)では多数のイオンがイオン分析器に同時に注入されることが典型的である。しばらくするとそれらのイオンは空間内で孤立したコンパクトなイオンパケット(クラウド)になる。各クラウドは同じ(又は非常に近い)質量電荷比(m/z)の値に対応している。周波数領域における各信号ピークの位置と、所与の分子イオン種の異なる電荷状態に対応する隣接ピーク間の周波数差とを利用して、各イオンクラウド中のイオンの電荷を再び得ることを試みることができる。しかしそれを行うには、1つのクラウド中の全イオンが同じ電荷を持つと仮定しなければならない。この仮定は問題である。なぜなら、イオンクラウドの組成、例えばそれに含まれるイオン数や振動の途中でクラウドから失われたイオンが何個あるかが分からなければ、1つの電荷を1つの所与の周波数ピーク振幅に帰属させることは必ずしも正しくないからである。一般に、1つのクラウド中の全イオンが同じ電荷を持つという仮定は正しくない。なぜなら、クラウド中に同じ(又は非常に近い)m/z値(例えばより大きい質量Mとより高い電荷Z)を持つ他のイオンがあるかもしれないからである。試料中に数多くの種が混在する実際の実験にとってこの状況は典型的である。更に、イオン質量が非常に大きく(例えば約1MDa以上に)なると、既存の分析法ではm/z電荷状態信号のピークを区別することが難しくなることがあり、時には全く区別できなくなる。これに加えて、特に各イオンが多価である場合、イオンクラウド中の空間電荷が事態を悪化させる。この空間電荷は空間中でイオンクラウドを急速に不鮮明にし(拡散させ)、イオン分析器からの信号のスペクトルの質が低下する。イオンの真の電荷状態の情報は実測のイメージ電荷/電流信号中のノイズ(機器ノイズ等)の影響のせいで正確に測定することが難しい、ということが分かる可能性がある。その結果、各イオン種の質量値の測定精度が低下する。
【0005】
本発明は以上の事柄に鑑みて成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2012/116765(A1)
【非特許文献】
【0007】
W. Shockley: “Currents to Conductors Induced by a Moving Point Charge”, Journal of Applied Physics 9, 635 (1938)
S. Ramo: “Currents Induced by Electron Motion”, Proceedings of the IRE, Volume 27, Issue 9, Sept. 1939
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
イメージ電荷/電流信号は捕捉された何らかのイオン種の振動に対応する周期成分を含む信号の非破壊検出を利用する質量分析装置において得ることができる。しかし、本発明は周期成分を含む信号を分析する必要がある他のいかなる分野のイオン分析にも適用できる。イオン運動の周波数はイオンの質量電荷(m/z)比に依存し、イオン分析器(例えばイオントラップ)内に複数パケットのイオンが存在する場合は、イオン分析器の収束特性により、同じm/z比を持つイオンの各パケットの運動が同期することがある。
【0009】
イメージ電荷を利用したイオンの検出はショックレー(非特許文献1)及びラモ(非特許文献2)により導き出された諸原理に基づいている。ここでは、有限の大きさの電極の傍を通過して移動する電荷のイメージ(鏡像)により該電極内に測定可能な電流が誘導されることが示された。速度ベクトル(v(r))で自由空間内を移動する電荷Qにより検出装置の電極上に誘導されるイメージ電荷qは、該移動する電荷の位置r及び速度、並びに検出装置の電極の構成にのみ依存する。イメージ電荷qは電極に印加されるバイアス電圧にも、存在する空間電荷にも依存せず、次式で与えられる。
TIFF
2025094060000002.tif
15
138
【0010】
ここでV(r)は、電荷Qが存在しない状態で選択された電極が単位電位にあり、他の電極は全てゼロ電位にある、という状況下で、検出装置内でベクトルrにより与えられる電荷の位置における静電場の電位である。誘導されるイメージ電荷/電流Iはこの量の変化率によって次のように与えられる。
TIFF
2025094060000003.tif
16
154
(【0011】以降は省略されています)

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