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公開番号
2025099381
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-07-03
出願番号
2023216014
出願日
2023-12-21
発明の名称
質量分析装置
出願人
株式会社島津製作所
代理人
弁理士法人京都国際特許事務所
主分類
H01J
49/42 20060101AFI20250626BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】リニアイオントラップを駆動する電源装置の構成を簡素化しつつ、軸方向排出の質量走査を実施する。
【解決手段】質量分析装置は、中心軸(C)を取り囲むように配置された複数本のロッド電極(20)と、その一方のイオン出射側端部の外側に又は該イオン出射側端部から突出して設けられた補助電極(21)と、補助電極の外側に配置された引出し電極(23)と、を含むリニアイオントラップ部(2)と、複数本のロッド電極及び補助電極にRF電圧を印加するRF電圧発生部(50)と、イオン捕捉空間にまでイオン引出し用の直流電場が及ぶように、引出し電極にDC電圧を印加する引出し電圧発生部(52)と、イオン捕捉空間にイオンが閉じ込められた状態でRF電圧又はDC電圧の少なくとも一方を変化させることにより、該イオンをm/zに応じて中心軸に沿った方向に排出させる制御部(4)と、を備える。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
中心軸を取り囲むように配置された複数本のロッド電極と、該複数本のロッド電極の一方のイオン出射側端部の外側に又は該イオン出射側端部から突出して設けられた、前記中心軸を囲む又は挟む補助電極と、該補助電極のさらに外側に配置された引出し電極と、を含むリニアイオントラップ部と、
前記複数本のロッド電極及び前記補助電極で囲まれるイオン捕捉空間にRF電場を形成するべく、該複数本のロッド電極及び該補助電極にRF電圧を印加するRF電圧発生部と、
前記イオン捕捉空間にまでイオン引出し用の直流電場が及ぶように、前記引出し電極に直流電圧を印加する引出し電圧発生部と、
前記RF電圧発生部及び前記引出し電圧発生部を制御する制御部であって、前記イオン捕捉空間にイオンが閉じ込められた状態で前記RF電圧又は前記直流電圧の少なくとも一方を変化させることにより、該イオンを質量電荷比に応じて前記イオン捕捉空間から前記中心軸に沿った方向に排出させる制御部と、
を備える質量分析装置。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記補助電極は、前記複数本のロッド電極から成るリニアイオントラップと同じ極数の多重極3次元イオントラップを構成する電極の一部を切り出した多重極3次元イオントラップ部分電極である、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記補助電極は、前記多重極3次元イオントラップ部分電極にあって前記中心軸の周りをくり抜いた欠損部が形成されてなる、請求項2に記載の質量分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記直流電場を一定とし、前記多重極RF電場を変化させることで、前記イオン捕捉空間に捕捉されているイオンを質量電荷比が小さくなる方向に順に排出させる、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項5】
前記リニアイオントラップ部の次段にマスフィルタが配置され、
前記制御部は、前記イオン捕捉空間から排出されるイオンの質量電荷比と前記マスフィルタを通過するイオンの質量電荷比とが一致するように、前記RF電圧及び/又は前記直流電圧と、前記マスフィルタへの印加電圧とを同期的に制御する、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項6】
前記リニアイオントラップ部は、前記複数のロッド電極のイオン出射側端部とは反対側のイオン入射側端部の外側に入口側エンドキャップ電極、を含み、
前記入口側エンドキャップ電極に、イオンの通過を許容する電圧とイオンの通過を阻止する電圧とを切り替え可能に印加する入口側電圧発生部と、
前記リニアイオントラップ部の前段に配置された、イオンの入口端と出口端とで多重極場の極数が相違する極数変換型のイオンガイドと、
をさらに備え、前記入口側電圧発生部がイオンの通過を阻止する電圧を前記入口側エンドキャップ電極に印加している期間に、前記極数変換型のイオンガイドの出口領域にイオンを蓄積するようにした、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記リニアイオントラップ部から排出されたイオンの全て又は該排出されたイオンのうちの所定の質量電荷比範囲のイオンが、該リニアイオントラップ部から所定距離だけ離れた所定の位置に同時に到達するように、前記RF電圧及び/又は前記直流電圧を変化させる際の速度又はその変化に要する時間を調整する、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項8】
前記リニアイオントラップ部の次段に直交加速飛行時間型質量分離器が配置され、
前記所定の位置は、前記直交加速飛行時間型質量分離器の直交加速部内の所定の位置である、請求項7に記載の質量分析装置。
【請求項9】
前記リニアイオントラップ部の次段にフーリエ変換型質量分離器が配置され、
前記所定の位置は、前記フーリエ変換型質量分離器におけるイオン軌道上の所定の位置である、請求項7に記載の質量分析装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)
【背景技術】
【0002】
電場の作用によりイオンを空間的に閉じ込めるイオントラップを利用した質量分析装置が従来知られている。こうしたイオントラップには、大別して、リニアイオントラップと3次元四重極型イオントラップ(パウルトラップとも呼ばれる)がある。リニアイオントラップは、3次元四重極型イオントラップと比べて、電極の形状が比較的単純であって製造が容易である、イオン捕捉空間の容量が大きく、より多くの量のイオンを保持可能である、といった利点がある。
【0003】
イオントラップでは、単にイオンを保持するのみならず、保持しているイオンを質量電荷比(m/z)に応じて分離しつつトラップの外側へと放出する質量分離(又は質量選別)の機能を持たせることができる。イオントラップにおける質量分離の際には、一般に、共鳴励起排出が利用される(特許文献1等参照)。リニアイオントラップにおける共鳴励起排出では、イオンをイオン捕捉空間に閉じ込めるためのRF電圧を各ロッド電極に印加するのに加え、特定のm/zを有するイオンを共振させるようなイオン励振用の交流(AC)電圧を特定のロッド電極に印加する。これにより、RF電場の作用によってイオン捕捉空間に捕捉されている各種のイオンの中で、その特定のm/zを有するイオンのみが選択的に大きく振動し、ロッド電極に形成されている開口を通して外側に放出される。
【0004】
特許文献1に記載の質量分析装置は、リニアイオントラップに保持したイオンをそのリニアイオントラップのイオン光軸に直交する方向に排出する直交排出型のリニアイオントラップであるが、特許文献2に記載のように、共鳴励起排出を利用して、イオン光軸と同じ方向つまり軸方向にイオンを排出する軸方向排出型のリニアイオントラップも知られている。軸方向排出型のリニアイオントラップは、例えばそのイオン光軸と後段に配置した多重極型イオンガイドやマスフィルタ等のイオン光学素子のイオン光軸とを同軸にすることができるため、そうしたイオン光学素子の配置が容易になるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2018-73703号公報
国際公開第2023/203620号
特開2020-35726号公報
国際公開第2020/129199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共鳴励起排出では、比較的高い質量分解能で以てイオンの質量分離を実現することができる。しかしながら、共鳴励起排出では、RF電圧に加えてイオン励振用のAC電圧をロッド電極に印加する必要がある。そのため、例えば特許文献3に記載されているように、ロッド電極に電圧を印加するための電源装置の構成が複雑である。それにより、装置が大形になり重量も大きくなる、電源のコストが高くなる、といった問題がある。
【0007】
本発明はこうした課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、電源装置の構成を簡素化しつつ、質量走査を行いながら軸方向排出を行うことができるリニアイオントラップを搭載した質量分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析装置の一態様は、
中心軸を取り囲むように配置された複数本のロッド電極と、該複数本のロッド電極の一方のイオン出射側端部の外側に又は該イオン出射側端部から突出して設けられた、前記中心軸を囲む又は挟む補助電極と、該補助電極のさらに外側に配置された引出し電極と、を含むリニアイオントラップ部と、
前記複数本のロッド電極及び前記補助電極で囲まれるイオン捕捉空間にRF電場を形成するべく、該複数本のロッド電極及び該補助電極にRF電圧を印加するRF電圧発生部と、
前記イオン捕捉空間にまでイオン引出し用の直流電場が及ぶように、前記引出し電極に直流電圧を印加する引出し電圧発生部と、
前記RF電圧発生部及び前記引出し電圧発生部を制御する制御部であって、前記イオン捕捉空間にイオンが閉じ込められた状態で前記RF電圧又は前記直流電圧の少なくとも一方を変化させることにより、該イオンを質量電荷比に応じて前記イオン捕捉空間から前記中心軸に沿った方向に排出させる制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る質量分析装置の上記態様では、共鳴励起排出のように、RF電圧とAC電圧という二つの異なる交流電圧を重畳してロッド電極に印加する必要がない。そのため、本発明に係る質量分析装置の上記態様によれば、質量電荷比の順にイオンをリニアイオントラップから軸方向に放出させる質量走査を実現しながら、リニアイオントラップを駆動する電源装置の構成を簡単にすることができる。その結果として、電源装置を小形・軽量化することができ、そのコストも抑えることができる。また、イオンをリニアイオントラップの軸方向に排出するため、例えば四重極マスフィルタや多重極型イオンガイドなどのイオン光学素子を後段に配置する際に、両方のイオン光軸を同軸とすることができ、イオン光学素子の配置が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明に係る質量分析装置に用いられるリニアイオントラップの一実施形態のロッド電極の構造を示す概略斜視図。
図1に示したロッド電極の構造の説明図。
本実施形態におけるリニアイオントラップの概略正面縦断面図(A)、A-AA矢視線断面図(B)、及びB-BB矢視線断面図(C)。
図3に示したリニアイオントラップを用いた質量分析装置の概略構成図。
本実施形態のリニアイオントラップにおけるイオン軌道のシミュレーション結果の一例を示す図。
リニアイオントラップを駆動する際の印加電圧の変化の一例を示すタイミング図(RF電圧を変化させる場合)。
リニアイオントラップを駆動する際の印加電圧の変化の他の例を示すタイミング図(引出し直流電圧を変化させる場合)。
本実施形態のリニアイオントラップにおけるRF電圧とイオン引出し効率との関係の計算結果の一例を示す図。
本実施形態のリニアイオントラップにおけるイオンのm/z値とイオン引出し効率との関係の計算結果の一例を示す図。
本実施形態のリニアイオントラップを用いた質量分析装置の一構成例を示す図。
図10に示した質量分析装置におけるタイミング図の一例。
本実施形態のリニアイオントラップを用いた質量分析装置の他の構成例を示す図。
本実施形態のリニアイオントラップを用いた質量分析装置のさらに他の構成例を示す図。
リニアイオントラップの他の例を示す概略正面縦断面図。
リニアイオントラップのさらに他の例を示す概略正面縦断面図。
図15に示したリニアイオントラップを駆動する際の印加電圧の変化の一例を示すタイミング図
リニアイオントラップのさらに他の例におけるイオン軌道のシミュレーション結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
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