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公開番号2025094998
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2023210745
出願日2023-12-14
発明の名称イオン分析装置及びイオン分析方法
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類H01J 49/00 20060101AFI20250619BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】分析効率を低下させることなく、ラジカル誘起解離のためのラジカルによる電極等の部材の汚染を防止する。
【解決手段】本発明に係るイオン分析装置の一態様は、ラジカルの作用で解離させたイオンを分析するイオン分析装置であって、原料ガスからラジカルを生成する生成部(21、210)と、分析の実行中に、酸化能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が酸化能を有する第1ガスと、還元能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が還元能を有する第2ガスとを、第1ガス由来のラジカルによる解離の効率が第2ガスを混合しない場合に対して下回らないように定められた所定の割合で混合した混合ガスを、原料ガスとして生成部へ供給するガス供給部(26、3)と、生成部で生成されたラジカルが導入され、該ラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させる反応室(132)と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
ラジカルの作用で解離させたイオンを分析するイオン分析装置であって、
原料ガスからラジカルを生成する生成部と、
分析の実行中に、酸化能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が酸化能を有する第1ガスと、還元能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が還元能を有する第2ガスとを、前記第1ガス由来のラジカルによる解離の効率が前記第2ガスを混合しない場合に対して下回らないように定められた所定の割合で混合した混合ガスを、原料ガスとして前記生成部へ供給するガス供給部と、
分析の実行中に、ラジカルの原料となる第1ガスと還元能を有するガスである第2ガスとを所定の割合で混合した混合ガスを、原料ガスとして前記生成部へ供給するガス供給部と、
前記生成部で生成されたラジカルが導入され、該ラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させる反応室と、
を備えるイオン分析装置。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記所定の割合は、水蒸気の流量が1に対して水素ガスの流量が0より大で2以下である、請求項1に記載のイオン分析装置。
【請求項3】
前記所定の割合は、水素ガスの流量が0.4~1.6の範囲である、請求項2に記載のイオン分析装置。
【請求項4】
前記所定の割合は、水素ガスの流量が0.7~1.4の範囲である、請求項3に記載のイオン分析装置。
【請求項5】
前記第1のガスは水蒸気である、請求項1に記載のイオン分析装置。
【請求項6】
前記第2のガスは水素ガスである、請求項5に記載のイオン分析装置。
【請求項7】
前記ガス供給部は、分析の終了時に、前記生成部への前記第1ガスの供給を停止したあと、所定時間、前記第2ガスのみを供給し続ける、請求項1に記載のイオン分析装置。
【請求項8】
原料ガスからラジカルを生成する生成部と、前記生成部で生成されたラジカルが導入され、該ラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させる反応室と、を備えるイオン分析装置を用い、前記反応室で解離したイオンを分析するイオン分析方法であって、
分析の実行中に、酸化能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が酸化能を有する第1ガスと、還元能を有するラジカルの原料となる又はそれ自体が還元能を有する第2ガスとを、前記第1ガス由来のラジカルによる解離の効率が前記第2ガスを混合しない場合に対して下回らないように定められた所定の割合で混合した混合ガスを、原料ガスとして前記生成部に供給する、イオン分析方法。
【請求項9】
前記所定の割合は、水蒸気の流量が1に対して水素ガスの流量が0より大で2以下である、請求項8に記載のイオン分析方法。
【請求項10】
前記所定の割合は、水素ガスの流量が0.4~1.6の範囲である、請求項9に記載のイオン分析方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に含まれる目的成分由来のイオンを分析するイオン分析装置及びイオン分析方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
試料に含まれる高分子化合物等の試料成分を同定したりその構造を解析したりするために、試料成分由来のイオンから特定のm/z(質量電荷比)を有するイオンを選別し、そのイオンを解離させて生成した種々のプロダクトイオンをm/zに応じて分離して検出する質量分析法が広く利用されている。イオンの解離手法としては様々な方法が知られているが、その一つとして、各種のラジカルをイオンに付着させる又はイオンと反応させることによってイオンを解離させるラジカル誘起解離法(「ラジカル付着解離法」とも呼ばれるが本明細書では「ラジカル誘起解離法」という)が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、高周波放電によって生成したヒドロキシル(OH)ラジカル、酸素ラジカル、窒素ラジカルなどをイオンに照射することでラジカル誘起解離を生じさせ、それにより生成されたプロダクトイオンを質量分析することが記載されている。また、特許文献2には、ヒドロキシルラジカル及び酸素ラジカルを用いたラジカル誘起解離法によるMS/MS分析によって、脂質の生体活性を決定付ける二重結合位置の分析が可能であることが記載されている。
【0004】
一方、特許文献3には、上述したラジカル誘起解離法において使用するラジカルを生成するためのラジカル生成装置の一例が記載されている。このラジカル生成装置は、石英管とその外周に帯状の導電体を巻回した構成であるヘリカルアンテナを有しており、石英管の内部に水蒸気等の原料ガスを導入し、ヘリカルアンテナに高周波(マイクロ波)電力を供給することによって該石英管の内部にプラズマを発生させ、そのプラズマ中でラジカルを生成させる。また、強い磁場を発生する磁石を石英管の外側に配置し、この磁場を利用した電子サイクロトロン共鳴によって、石英管内のプラズマの密度を高めるとともにプラズマの生成を安定化させる。このラジカル生成装置は、プラズマの生成及び維持に、局所的な誘導型放電と電子サイクロトロン共鳴とを利用しているため、ECR-LICP(Electron Cyclotron Resonance - Localized Inductively Coupled Plasma)型と呼ばれることもある。
【0005】
上述したように、ラジカル誘起解離法では様々なラジカル種の利用が可能であり、解析の目的や化合物の種類などに応じてラジカル種を使い分けることが望ましい。1台の質量分析装置で様々なラジカル種を使い分けるには、上述したようなラジカル生成装置に供給する原料ガスの種類を切り替えればよい。例えば特許文献4に記載の質量分析装置では、原料ガスとして水蒸気と水素ガスとを切替えることで、コリジョンセル内にヒドロキシルラジカル及び酸素ラジカルと水素ラジカルとを選択的に導入可能な構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2018/186286号
国際公開第2019/155725号
国際公開第2022/059247号
国際公開第2021/053865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したラジカル誘起解離を利用したMS/MS分析(以下「ラジカル誘起型MS/MS分析」という)が可能な質量分析装置において、分析感度を向上させるには、ラジカル誘起解離の効率を高めることが重要である。ラジカル誘起解離の効率を高めるには、多くの量のラジカルをコリジョンセルに導入すると共に、コリジョンセルに入射したプリカーサイオンにラジカルを効率良く接触させ、さらに生成されたプロダクトイオンを無駄なく収集して後段へと送ることが重要である。ところが、ヒドロキシルラジカルや酸素ラジカルは酸化能を有するため、コリジョンセル内の電極等の金属部材の表面に金属酸化物を形成し易い。電極等の表面に金属酸化膜が形成されるとそこに不所望のチャージアップが生じ、所期の電場が形成されなくなるためにイオンの挙動を適切に制御し得なくなるという問題があった。
【0008】
これに対し、上記の特許文献4に記載の質量分析装置では、分析実行中に原料ガスとして水蒸気を選択することで、コリジョンセル内にヒドロキシルラジカル及び酸素ラジカルを導入して試料由来のイオンのラジカル誘起解離を促す一方、装置のメンテナンス時には原料ガスとして水素ガスを選択して水素ラジカルをコリジョンセル内に供給している。水素ラジカルは、イオンを解離させるのにも利用可能であるが、強い還元作用を有しており、電極等の金属部材の表面に形成された金属酸化物を除去する働きもする。そのため、上記従来の質量分析装置では、装置メンテナンス時に電極等の表面に形成された金属酸化膜を除去し、次の分析時に不所望のチャージアップが生じるのを軽減することが期待できる。
【0009】
しかしながら、例えば質量分析装置の前段に液体クロマトグラフを接続した液体クロマトグラフ質量分析装置では、一つの試料を分析するのに時間が掛かることも多く、分析開始から時間が経過するに従い電極等の汚染が進行して分析感度が低下してしまう場合があった。また、一旦、電極等の汚染がひどくなると、装置メンテナンス時に水素ラジカルを供給しても酸化物を除去するのに時間が掛かるという問題もあった。
【0010】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、ラジカル誘起解離のためのラジカルに起因する電極等の部材の汚染を防止又は軽減し、ラジカル誘起解離の効率を改善することができるイオン分析装置及びイオン分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)

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