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公開番号2025091289
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-18
出願番号2023206473
出願日2023-12-06
発明の名称メタクリル樹脂及びその製造方法、樹脂組成物、ドープ、並びに樹脂フィルム
出願人株式会社カネカ
代理人個人,個人
主分類C08F 120/18 20060101AFI20250611BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】耐熱性及び熱安定性に優れ、且つ、機械的特性に優れた成形体を製造することが可能なメタクリル樹脂及びその製造方法、そのメタクリル樹脂を含有する樹脂組成物及びドープ、そのメタクリル樹脂を含む樹脂フィルム、並びにその樹脂フィルムを用いた偏光板及びディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るメタクリル樹脂は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が98質量%以上であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される重量平均分子量(Mw)が50万以上であり、三連子表示のシンジオタクティシティが55%以上であり、メタクリル酸メチルに由来する構造単位に対する末端二重結合の割合が0.015mol%未満である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項１】
メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が９８質量％以上であり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）で測定される重量平均分子量（Ｍｗ）が５０万以上であり、
三連子表示のシンジオタクティシティが５５％以上であり、
メタクリル酸メチルに由来する構造単位に対する末端二重結合の割合が０．０１５ｍｏｌ％未満である、メタクリル樹脂。
続きを表示（約 790 文字）【請求項２】
三連子表示のシンジオタクティシティが７０％以下である、請求項１に記載のメタクリル樹脂。
【請求項３】
数平均分子量（Ｍｎ）に対する重量平均分子量（Ｍｗ）の比（Ｍｗ／Ｍｎ）が１．６～２．８である、請求項１又は２に記載のメタクリル樹脂。
【請求項４】
５％重量減少温度が３００℃以上である、請求項１又は２に記載のメタクリル樹脂。
【請求項５】
ガラス転移温度が１２０℃以上である、請求項１又は２に記載のメタクリル樹脂。
【請求項６】
メタクリル酸メチルの含有率が９８質量％以上である単量体成分を、重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下で重合する重合工程を含み、
前記重合工程では、得られるメタクリル樹脂の９０％以上が生成するまでの重合温度が１００℃未満とされ、
前記重合開始剤の１０時間半減期温度が４５℃以上であり、
前記連鎖移動剤の使用量が前記単量体成分の総量に対して０．０３０ｍｏｌ％以下であり、
前記重合開始剤の全ｍｏｌ量に対する前記連鎖移動剤の全ｍｏｌ量の比が０超３．０以下である、メタクリル樹脂の製造方法。
【請求項７】
前記重合開始剤の融点が１００℃未満である、請求項６に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
【請求項８】
前記重合工程で水系重合を行う、請求項６又は７に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
【請求項９】
前記重合開始剤がアゾ重合開始剤及び過酸化物重合開始剤から選択される少なくとも１種を含む、請求項６又は７に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
【請求項１０】
前記アゾ重合開始剤がニトリル系アゾ重合開始剤である、請求項９に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、メタクリル樹脂及びその製造方法、樹脂組成物、ドープ、並びに樹脂フィルムに関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
メタクリル樹脂は、優れた透明性、耐候性、加工性等を有することから、様々な分野で広く使用されている。特に、メタクリル樹脂を成形して得られた樹脂フィルムは、その優れた光学特性から、ディスプレイ装置等の光学用途にも使用されている。
【０００３】
樹脂フィルムの製造方法としては、Ｔダイを使用した溶融押出法や、樹脂を溶剤に溶解したドープを支持体表面に流延した後、溶剤を蒸発させてフィルム化する溶液流延法等が知られている。このうち、溶液流延法は、製膜時に樹脂フィルムにかかる物理的な応力が少ないことから、高分子の配向が生じにくく、得られる樹脂フィルムの強度や光学特性が等方的になるという利点がある。また、溶液流延法によれば、得られる樹脂フィルムの厚み精度が極めて高くなるという利点もある。
【０００４】
溶液流延法により樹脂フィルムを製造する場合、メタクリル樹脂としては、一般的に分子量の高いものが使用される。高分子量のメタクリル樹脂を使用することにより、溶液流延法として好適になるだけでなく、得られる樹脂フィルムの機械的特性が良好なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
国際公開第２０１９／１６７４７１号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかし、本発明者らが検討したところ、このような高分子量のメタクリル樹脂には、耐熱性及び熱安定性の点で改良の余地があることが判明した。
【０００７】
本発明は、耐熱性及び熱安定性に優れ、且つ、機械的特性に優れた成形体を製造することが可能なメタクリル樹脂及びその製造方法、そのメタクリル樹脂を含有する樹脂組成物及びドープ、そのメタクリル樹脂を含む樹脂フィルム、並びにその樹脂フィルムを用いた偏光板及びディスプレイ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００８】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
＜１＞
メタクリル酸メチルに由来する構造単位の割合が９８質量％以上であり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー（ＧＰＣ）で測定される重量平均分子量（Ｍｗ）が５０万以上であり、
三連子表示のシンジオタクティシティが５５％以上であり、
メタクリル酸メチルに由来する構造単位に対する末端二重結合の割合が０．０１５ｍｏｌ％未満である、メタクリル樹脂。
＜２＞
三連子表示のシンジオタクティシティが７０％以下である、＜１＞に記載のメタクリル樹脂。
＜３＞
数平均分子量（Ｍｎ）に対する重量平均分子量（Ｍｗ）の比（Ｍｗ／Ｍｎ）が１．６～２．８である、＜１＞又は＜２＞に記載のメタクリル樹脂。
＜４＞
５％重量減少温度が３００℃以上である、＜１＞～＜３＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂。
＜５＞
ガラス転移温度が１２０℃以上である、＜１＞～＜４＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂。
【０００９】
＜６＞
メタクリル酸メチルの含有率が９８質量％以上である単量体成分を、重合開始剤及び連鎖移動剤の存在下で重合する重合工程を含み、
前記重合工程では、得られるメタクリル樹脂の９０％以上が生成するまでの重合温度が１００℃未満とされ、
前記重合開始剤の１０時間半減期温度が４５℃以上であり、
前記連鎖移動剤の使用量が前記単量体成分の総量に対して０．０３０ｍｏｌ％以下であり、
前記重合開始剤の全ｍｏｌ量に対する前記連鎖移動剤の全ｍｏｌ量の比が０超３．０以下である、メタクリル樹脂の製造方法。
＜７＞
前記重合開始剤の融点が１００℃未満である、請求項６に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
＜８＞
前記重合工程で水系重合を行う、＜６＞又は＜７＞に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
＜９＞
前記重合開始剤がアゾ重合開始剤及び過酸化物重合開始剤から選択される少なくとも１種を含む、＜６＞～＜８＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
＜１０＞
前記アゾ重合開始剤がニトリル系アゾ重合開始剤である、＜９＞に記載のメタクリル樹脂の製造方法。
【００１０】
＜１１＞
＜１＞～＜５＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂を含有する、樹脂組成物。
＜１２＞
＜１＞～＜５＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂、及び溶剤を含有し、
前記溶剤が、ハンセン溶解度パラメータにおける水素結合項δＨが１～１２である第１溶剤と、前記水素結合項δＨが１４～２４である第２溶剤とを含む、溶液流延法によるフィルム製造用のドープ。
＜１３＞
＜１＞～＜５＞のいずれか１項に記載のメタクリル樹脂を含む、樹脂フィルム。
＜１４＞
クラムシェル型屈曲試験における破断までの屈曲回数が６，０００回以上である、＜１３＞に記載の樹脂フィルム。
＜１５＞
前記樹脂フィルムが偏光子保護フィルムである、＜１３＞又は＜１４＞に記載の樹脂フィルム。
＜１６＞
偏光子と、＜１３＞～＜１５＞のいずれか１項に記載の樹脂フィルムとを積層してなる、偏光板。
＜１７＞
＜１６＞に記載の偏光板を備える、ディスプレイ装置。
【発明の効果】
（【００１１】以降は省略されています）

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