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公開番号2025070328
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-02
出願番号2023180561
出願日2023-10-19
発明の名称イオン分析装置及びイオン分析方法
出願人株式会社島津製作所
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 27/62 20210101AFI20250424BHJP(測定;試験)
要約【課題】原料ガスの種類に依らず、プラズマ点灯を良好に行う。
【解決手段】本発明に係るイオン分析装置の一態様は、原料ガスから生成したラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させるイオン分析装置であって、複数種類のガスのうちの一つを択一的に選択して及び/又は複数を混合して原料ガスとして供給するガス供給部(26)と、ガス供給部による原料ガスがその内部に導入される生成室(210)と、生成室の内部に放電を生じさせるための電力を供給する電力供給部(25)と、複数種類のガスの中で相対的に放電が生じにくい第1のガスに由来するラジカルを生成する場合に、ガス供給部において第1のガスよりも放電が生じ易い第2のガスを選択して又は第2のガスを第1のガスに混合して生成室に供給しつつ生成室の内部に電力を供給して放電を開始させ、その後に、第1のガスを選択して生成室に供給するようにガス供給部及び電力供給部を制御する制御部(3)と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
原料ガスから生成したラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させるイオン分析装置であって、
複数種類のガスのうちの一つを択一的に選択して及び/又は複数を混合して原料ガスとして供給するガス供給部と、
前記ガス供給部による原料ガスがその内部に導入される生成室と、
前記生成室の内部に放電を生じさせるための電力を供給する電力供給部と、
前記複数種類のガスの中で相対的に放電が生じにくい第1のガスに由来するラジカルを生成する場合に、前記ガス供給部において前記第1のガスよりも放電が生じ易い第2のガスを選択して又は該第2のガスを前記第1のガスに混合して前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させ、その後に、前記第1のガスを選択して前記生成室に供給するように、前記ガス供給部及び前記電力供給部を制御する制御部と、
を備えるイオン分析装置。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記ガス供給部は、前記第1のガス、前記第2のガス、及び前記第1のガスと前記第2のガスとの混合ガスのいずれかを原料ガスとして供給可能であり、原料ガスとしてそのいずれが用いられる場合であっても、前記制御部は、放電開始時に同一の混合ガスを使用するように前記ガス供給部を制御する、請求項1に記載のイオン分析装置。
【請求項3】
前記第1のガスは水素ガスであり、前記第2のガスは水蒸気である、請求項1又は2に記載のイオン分析装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ガス供給部において前記第2のガスを選択して前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させた後、前記第2のガスの流量を段階的に減少させる一方、前記第1のガスの流量を段階的に増加させることで、前記生成室に供給するガスを前記第2のガスから前記第1のガスに切り替えるべく、前記ガス供給部を制御する、請求項1に記載のイオン分析装置。
【請求項5】
複数種類のガスのうちの一つを択一的に選択して及び/又は複数を混合して原料ガスとして供給するガス供給部と、前記ガス供給部による原料ガスがその内部に導入される生成室と、前記生成室の内部に放電を生じさせるための電力を供給する電力供給部と、を備えたイオン分析装置において、前記生成室において原料ガスから生成したラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させるイオン分析方法であって、
前記複数種類のガスの中で相対的に放電が生じにくい第1のガスに由来するラジカルを生成する場合に、前記ガス供給部において前記第1のガスよりも放電が生じ易い第2のガスを選択して又は該第2のガスを前記第1のガスに混合して前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させる第1ステップと、
前記第1ステップの実施後に、前記ガス供給部において前記第1のガスを選択して前記生成室に供給する第2ステップと、
を有するイオン分析方法。
【請求項6】
前記ガス供給部は、前記第1のガス、前記第2のガス、及び前記第1のガスと前記第2のガスとの混合ガスのいずれかを原料ガスとして供給可能であり、原料ガスとしてそのいずれが用いられる場合であっても、前記第1ステップでは放電開始時に同一の混合ガスを使用する、請求項5に記載のイオン分析方法。
【請求項7】
前記第1のガスは水素ガスであり、前記第2のガスは水蒸気である、請求項5又は6に記載のイオン分析方法。
【請求項8】
前記第1ステップでは、前記第2のガスを前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させ、
前記第2ステップでは、前記第2のガスの流量を段階的に減少させる一方、前記第1のガスの流量を段階的に増加させることで、前記生成室に供給するガスを前記第2のガスから前記第1のガスに切り替える、請求項5に記載のイオン分析方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、試料に含まれる目的成分由来のイオンを分析するイオン分析装置及びイオン分析方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
試料に含まれる高分子化合物等の試料成分を同定したりその構造を解析したりするために、試料成分由来のイオンから特定のm/z(質量電荷比)を有するイオンを選別し、そのイオンを解離させて生成した種々のプロダクトイオンをm/zに応じて分離して検出する質量分析法が広く利用されている。イオンの解離手法としては様々な方法が知られているが、その一つとして、各種のラジカルをイオンに付着させる又はイオンと反応させることによってイオンを解離させるラジカル誘起解離法(「ラジカル付着解離法」とも呼ばれるが本明細書では「ラジカル誘起解離法」という)が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、高周波放電によって生成したヒドロキシル(OH)ラジカル、酸素ラジカル、窒素ラジカルなどをイオンに照射することでラジカル誘起解離を生じさせ、それにより生成されたプロダクトイオンを質量分析することが記載されている。また、特許文献2には、ヒドロキシルラジカル及び酸素ラジカルを用いたラジカル誘起解離法によるMS/MS分析によって、脂質の生体活性を決定付ける二重結合位置の分析が可能であることが記載されている。
【0004】
一方、特許文献3には、上述したラジカル誘起解離法において使用するラジカルを生成するためのラジカル生成装置の一例が記載されている。このラジカル生成装置は、石英管とその外周に帯状の導電体を巻回した構成であるヘリカルアンテナを有しており、石英管の内部に水蒸気等の原料ガスを導入し、ヘリカルアンテナに高周波(マイクロ波)電力を供給することによって該石英管の内部にプラズマを発生させ、そのプラズマ中でラジカルを生成させる。また、強い磁場を発生する磁石を石英管の外側に配置し、この磁場を利用した電子サイクロトロン共鳴によって、石英管内のプラズマの密度を高めるとともにプラズマの生成を安定化させる。このラジカル生成装置は、プラズマの生成及び維持に、局所的な誘導型放電と電子サイクロトロン共鳴とを利用しているため、ECR-LICP(Electron Cyclotron Resonance - Localized Inductively Coupled Plasma)型と呼ばれることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2018/186286号
国際公開第2019/155725号
国際公開第2022/059247号
国際公開第2021/053865号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ラジカル誘起解離法では様々なラジカル種の利用が可能であり、解析の目的や化合物の種類などに応じてラジカル種を使い分けることが望ましい。1台の質量分析装置で様々なラジカル種を使い分けるには、上述したようなラジカル生成装置に供給する原料ガスの種類を切り替えればよい。例えば特許文献4に記載の質量分析装置では、原料ガスとして水蒸気と水素ガスとを切り替えることで、コリジョンセル内にヒドロキシルラジカル及び酸素ラジカルと水素ラジカルとを選択的に導入可能な構成が採用されている。水素ラジカルは、イオンを解離させるのに利用できるほか、その還元作用によって、ヒドロキシルラジカル等によってコリジョンセル内の電極の表面に形成された酸化膜を除去する働きも有する。
【0007】
しかしながら、ガスの種類によってイオン化エネルギなどが相違するために、高周波電力を供給したときの放電の生じ易さはガスの種類によって異なる。そのため、コリジョンセルに供給するラジカル種を切り替えるために、ラジカル生成装置に流す原料ガスの種類を切り替えてプラズマを点灯させようとしたときに、安定して放電が起こらない、或いは、場合によっては放電が全く生じずラジカルが生成できない、といった問題があった。
【0008】
本発明はこうした課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、ラジカルの元となる原料ガスの種類に依らず、ラジカル生成装置において安定的に放電を生じさせラジカルを供給することができるイオン分析装置及びイオン分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るイオン分析装置の一態様は、原料ガスから生成したラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させるイオン分析装置であって、
複数種類のガスのうちの一つを択一的に選択して及び/又は複数を混合して原料ガスとして供給するガス供給部と、
前記ガス供給部による原料ガスがその内部に導入される生成室と、
前記生成室の内部に放電を生じさせるための電力を供給する電力供給部と、
前記複数種類のガスの中で相対的に放電が生じにくい第1のガスに由来するラジカルを生成する場合に、前記ガス供給部において前記第1のガスよりも放電が生じ易い第2のガスを選択して又は該第2のガスを前記第1のガスに混合して前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させ、その後に、前記第1のガスを選択して前記生成室に供給するように、前記ガス供給部及び前記電力供給部を制御する制御部と、
を備える。
【0010】
また本発明に係るイオン分析方法の一態様は、複数種類のガスのうちの一つを択一的に選択して及び/又は複数を混合して原料ガスとして供給するガス供給部と、前記ガス供給部による原料ガスがその内部に導入される生成室と、前記生成室の内部に放電を生じさせるための電力を供給する電力供給部と、を備えたイオン分析装置において、前記生成室において原料ガスから生成したラジカルを試料由来のイオンに接触させて該イオンを解離させるイオン分析方法であって、
前記複数種類のガスの中で相対的に放電が生じにくい第1のガスに由来するラジカルを生成する場合に、前記ガス供給部において前記第1のガスよりも放電が生じ易い第2のガスを選択して又は該第2のガスを前記第1のガスに混合して前記生成室に供給しつつ該生成室の内部に電力を供給して放電を開始させる第1ステップと、
前記第1ステップの実施後に、前記ガス供給部において前記第1のガスを選択して前記生成室に供給する第2ステップと、
を有する。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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