TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025066728
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-23
出願番号2024231843,2023042508
出願日2024-12-27,2016-09-16
発明の名称アネキシンVの製造プロセス
出願人アネキシン ファーマシューティカルズ アーベー
代理人園田・小林弁理士法人
主分類C07K 14/47 20060101AFI20250416BHJP(有機化学)
要約【課題】アネキシンA5(AnxA5)の配列を含むタンパク質の製造のためのプロセスを提供する。
【解決手段】アネキシンA5(AnxA5)の配列を含む組換え的に発現された細胞内タンパク質の、細胞壁を持つ内毒素産生宿主細胞からの回収及び/または精製のためのプロセスであって、該プロセスは、該細胞内タンパク質を該宿主細胞から放出させることを含み、該細胞内AnxA5タンパク質を放出させる工程が、非イオン性洗剤を含むホモジナイゼーション緩衝液の存在下で実施されることを特徴とし、好ましくは、該プロセスは、AnxA5タンパク質の該宿主細胞からの放出後に、その回収及び/または精製のためにいかなる遠心分離工程も含まず、かつ/またはAnxA5タンパク質は、任意のクロマトグラフ樹脂に一時的に結合した場合を除いて該プロセス全体を通して溶液中にとどまる、プロセスとする。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
アネキシンA5(AnxA5)の配列を含む組換え的に発現された細胞内タンパク質の、細胞壁を持つ内毒素産生宿主細胞からの回収及び/または精製のためのプロセスであって、前記プロセスは、前記細胞内タンパク質を前記宿主細胞から放出させることを含み、
前記細胞内AnxA5タンパク質を放出させる前記工程が、非イオン性洗剤を含むホモジナイゼーション緩衝液の存在下で実施されることを特徴とし、
好ましくは、前記プロセスは、前記AnxA5タンパク質の前記宿主細胞からの放出後に、その前記回収及び/または精製のためにいかなる遠心分離工程も含まず、かつ/または前記AnxA5タンパク質は、任意のクロマトグラフ樹脂に一時的に結合した場合を除いて前記プロセス全体を通して溶液中にとどまる、プロセス。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
前記非イオン性洗剤は、ポリソルベート、好ましくはTween20及びTween80から選択されるポリソルベート、最も好ましくはTween80である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記細胞内AnxA5タンパク質を放出させる前記工程は、アネキシンA5と内毒素との間の前記結合を低減するまたは防止するのに有効な量の非イオン性洗剤を含むホモジナイゼーション緩衝液の存在下で実施される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記細胞内AnxA5タンパク質を放出させる前記工程は、0.01~10%(w/w)非イオン性洗剤、例えば、0.02~5%(w/w)、0.05~2%(w/w)、または約1%(w/w)非イオン性洗剤を含むホモジナイゼーション緩衝液の存在下で実施される、請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記プロセスは、前記細胞内AnxA5タンパク質を前記宿主細胞から放出させることを含み、
前記細胞内AnxA5タンパク質を前記宿主細胞から放出させる時点での、または前記細胞内AnxA5タンパク質を前記宿主細胞から放出させた後であるが、いずれのさらなるクロマトグラフ精製が行われる前の、前記ホモジナイゼーション緩衝液中の遊離カルシウムイオン濃度は、10mM未満、好ましくは5mM、1mM未満、より好ましくは500μM未満、または実質的にゼロであり、かつ/あるいは
前記ホモジナイゼーション緩衝液は、前記細胞内AnxA5タンパク質を放出させた後にカルシウム金属イオンキレート剤を含むか、またはそれを含むように改変される、アネキシンA5(AnxA5)の配列を含む組換え的に発現された細胞内タンパク質の、細胞壁を有する宿主細胞からの回収及び/または精製のための請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記カルシウム金属イオンキレート剤は、EDTAまたはその塩、EGTAまたはその塩から選択され、最も好ましくはEDTAである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
遊離カルシウムイオンのレベル、及び/またはカルシウム金属イオンキレート剤の量は、アネキシンA5と前記宿主細胞の前記細胞壁の構成成分との間の前記結合を低減するまたは防止するのに有効である、請求項5または6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記ホモジナイゼーション緩衝液は、(前記AnxA5タンパク質の前記放出の前または後に)0.01~500mM、例えば、0.05~100mM、0.5~20mM、1~15mM、2~10mM、または約4mMカルシウム金属イオンキレート剤を含むか、またはそれを含むように調整され、好ましくは、前記カルシウム金属イオンキレート剤は、EDTAである、請求項5~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記ホモジナイゼーション緩衝液は、請求項2、3または4のいずれかに記載のプロセスに従った非イオン性洗剤を含む、請求項5、6、7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記カルシウム金属イオンキレート剤は、EDTAである、請求項9に記載のプロセス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本出願は、アネキシンA5(AnxA5)の配列を含むタンパク質の製造のためのプロセスに関する。より特定すると、本プロセスは、AnxA5タンパク質の、とりわけ細菌宿主細胞などの組換え宿主細胞からの回収及び/または精製のためのものである。本明細書に記載されるプロセスは、非常に効率的かつ費用効果あり、薬品グレードのAnxA5タンパク質生成物を迅速かつ好都合に生産するために商業規模で(例えば、約1000L以上の培養体積を有する組換え宿主細胞培養物で)使用することができる。
続きを表示(約 4,300 文字)【背景技術】
【0002】
先行公開されたと思われる文献の本明細書での列挙または考察は、必ずしも、その文献が最新技術の一部であること、または共通一般知識であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0003】
根底にある動脈硬化巣から形成される、アテローム性血栓症は、急性冠動脈疾患、脳血管及び末梢動脈閉塞症を含む、臨床的に明らかな虚血性心血管疾患の大多数の裏に潜む主要な病原性機構である。Cederholm and Frostegard,2007,Drug News Perspect.,20(5):321-6で考察されるように、アネキシンスーバーファミリーのメンバーである、アネキシンA5(以前はアネキシンVとして知られた)は、強力かつ独特の抗血栓性特性を備えたタンパク質である。アネキシンA5が発揮する抗血栓効果は、リン脂質、特にホスファチジルセリンの機械的遮蔽により、凝固反応へのそれらの可用性を低減することによって、主に媒介されると考えられている。しかしながら、その抗血栓機能に潜在的に寄与するアネキシンA5の他の興味深い特性、とりわけ、表面で発現される組織因子の下方制御、またはスルファチド及びヘパリンなどのホメオスタシスに関与する追加のリガンドとの相互作用、ならびにウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の上方制御が報告された。大きな脈管構造及び胎盤微小循環に対する体内での内因性抗血栓性系のメンバーとしてのアネキシンA5の生物学的重要性もまた示唆されてきた。
【0004】
実際、アネキシンA5は、薬品において、直接的な治療効果を提供する上での広範な有用性を有することが知られている。例としては、アネキシンA5の下記の使用が挙げられる。
WO2005/099744に記載されるようなアテローム性血栓症及び/またはプラーク破裂の予防のため(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、
WO2009/077764に記載されるような血管機能不全の治療、虚血性疼痛の低減及び/または血管疾患の治療のため(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、
WO2009/103977に記載されるような再狭窄の予防または治療のため(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、
WO2010/069605に記載されるような、酸化カルジオリピン(oxCL)の活性の阻害において使用するため、及び心血管疾患、自己免疫疾患または炎症性病態を治療する、予防する及び/またはその発症のリスクを低減するため(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)、ならびに
WO2012/136819に記載されるような、血管手術、とりわけ末梢血管手術後の合併症などの、外科的介入後の周術期または術後合併症の予防及び/または低減のため(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0005】
かくして、アネキシンA5は、治療上の関心及び可能性が高いタンパク質を代表する。したがって、(例えば、アネキシンA5タンパク質を、約1000L以上の培養体積を有する組換え宿主細胞培養物から収集するために)商業規模の生産に合わせて規模拡大し、それに好都合に適用することができる効率的かつ費用効果のあるプロセスによって、治療グレードのアネキシンA5タンパク質を生産するための有効な方法が、差し迫って必要とされている。
【0006】
E.coliなどの標準的な細菌宿主細胞においてアネキシンA5を組換え的に発現させる際の特定の課題は、宿主細胞由来の構成成分による、特に内毒素による汚染である。内毒素は、共有結合によって連結された脂質ならびにO抗原、外部コア及び内部コアで構成される多糖で形成されているリポ多糖(LPS)である。LPSは、グラム陰性菌の外膜において見出され、動物において強力な免疫応答を引き出す。アネキシンA5は、負荷電を持つリン脂質を含有する生体膜への強力な結合を特徴とし、このため、内毒素に対して特に高い親和性を有する。このことは、内毒素産生宿主からのアネキシンA5の商業規模での大規模生産をより困難にしている。
【0007】
現在のところ、(例えば、アネキシンA5タンパク質を、約1000L以上の培養体積を有する組換え宿主細胞培養物から収集するために)商業規模の生産に合わせて規模拡大し、それに好都合に適用することができる効率的かつ費用効果のあるプロセスによって、治療グレードのアネキシンA5タンパク質を生産するようなプロセスは全く提供されておらず、内毒素汚染に対処するやり方でのプロセスはなおさらである。
【0008】
1991年、Kumarは、Annexin A5の生産及び精製のためのプロセスの開発について報告した(Department of Chemical Engineering College of Engineering University of Arkansas(Fayetteville,AR)に提出された 「Expression,Purification,and Large-Scale Production of the Human Recombinant Annexin-V Protein」と題されるUndergraduate Honors College Thesis、https://uarkive.uark.edu/xmlui/handle/10826/981にてオンラインで入手可能)。Kumarのプロセスは、アネキシンA5を100mL培養物フラスコ中で組換えE.coli宿主細胞において発現させ、細胞をペレット化し、pH7.2の50mMトリスHCl、10mM CaCl

からなるホモジナイゼーション/溶解緩衝液の存在下で細胞を再懸濁させ、次いで超音波処理を介して細胞を分解して、アネキシンA5タンパク質を放出させることを伴った。CaCl

の添加により、カルシウム依存性様態で、細胞破片における細胞膜へのアネキシンA5の結合を引き起こし、次いで混合物は、20分間の第1の精製遠心分離工程に供され、その後、上清が破棄され、細胞破片を含有するペレット及び結合したアネキシンA5が回収された。アネキシンA5は、EDTAを使用してペレットから放出され、これに続いて、20分間の第2の精製遠心分離工程及び上清中のアネキシンA5の収集が行われた。次いで、この後に一晩の透析を行って、アネキシンA5用の緩衝液をpH8.0のトリスHClに変更してから、DEAE-セファロースカラムでの陰イオン交換、及び塩勾配を用いたアネキシンA5の溶出のさらなる工程が行われた。
【0009】
本出願者は、Kumarの方法に多数の制限及び欠点があることに気づいた。第1に、それは、100mL培養物を使用して小規模で実証されるにすぎず、精製プロセス中に2つの別個の遠心分離工程を必要とする。これは、高体積培養物(例えば、1000L以上)を使用する商業プロセスには効率的なやり方で規模拡大できない。下記でさらに考察されるように、かかる高体積の流体の遠心分離は、極めて時間を浪費し、費用がかかる。それでも、遠心分離は、細胞破片における膜へのアネキシンA5のカルシウム誘導性結合を用いることに依存するKumarの手法において、予備的捕捉工程として必要とされる。第2に、本出願者は、Kumarの方法が、例えば、第1の精製遠心分離工程の生成物の上清中の結合していない可溶性アネキシンを処分することによって、アネキシンA5タンパク質の高損失につながることに気づいた。第3に、Kumarの方法は、治療的使用に好適なレベルまで内毒素を除去することが全くできず、最終生成物中の内毒素レベルに関して検査が何ら行われないことは注目に値する。かくして、Kumarの方法は、効率的かつ時間効果のある様態で商業的生産に規模拡大することは不可能であり、アネキシンA5タンパク質の高損失(すなわち低収率)につながり、治療的使用に好適でない低グレードのタンパク質精製をもたらす。
【0010】
2008年、University of Washington Medical CenterのDepartment of Laboratory Medicine、Tait Research Laboratoryは、「Production of Recombinant Annexin V from plasmid pET12a-PAPI」と題される文献を公開した。それは、https://depts.washington.edu/labweb/Faculty/Tait/108.pdfにてオンラインで入手可能である。記載された方法は、Kumarによって提案された手法と非常に類似している。この方法は、1L培養物中で組換えE.coli宿主細胞においてアネキシンA5を発現させ、細胞をペレット化し、pH7.2の50mMトリスHCl、10mM CaCl

からなるホモジナイゼーション/溶解緩衝液の存在下で細胞を再懸濁させ、次いで超音波処理を介して細胞を分解して、アネキシンA5タンパク質を放出させる。CaCl

の添加により、カルシウム依存性様態で、細胞破片における細胞膜へのアネキシンA5の結合を引き起こし、次いで混合物は、20分間の第1の精製遠心分離工程に供され、その後、上清が破棄され、細胞破片を含有するペレット及び結合したアネキシンA5が回収された。アネキシンA5は、EDTAを使用してペレットから放出され、続いて、20分間の第2の精製遠心分離工程及び上清中のアネキシンA5の収集が行われた。次いで、この後に透析工程を行って、アネキシンA5用の緩衝液をpH8.0のトリスHClに変更してから、Mono Qカラムでの陰イオン交換、及び塩勾配を用いたアネキシンA5の溶出のさらなる工程が行われた。本出願者は、Kumarの方法における多数の制限及び欠点がこの方法にも当てはまることに気づいた。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

東ソー株式会社
炭素-窒素結合形成方法
1か月前
株式会社トクヤマ
グルコンアミド誘導体
4か月前
株式会社トクヤマ
四塩化炭素の製造方法
1か月前
株式会社トクヤマ
シロキサン類の回収方法
1か月前
株式会社半導体エネルギー研究所
有機化合物
2日前
株式会社トクヤマ
ビオチン誘導体の製造方法
24日前
日産化学株式会社
ピリジン化合物の製造方法
3か月前
ダイキン工業株式会社
シラン化合物
4か月前
株式会社トクヤマ
ベンザゼピン化合物の製造方法
7日前
株式会社コスモス
液状炭化水素の増産方法
8日前
株式会社コスモス
液状炭化水素の増産方法
9日前
株式会社トクヤマ
グルコンアミド誘導体の製造方法
4か月前
日本特殊陶業株式会社
メタン製造装置
2か月前
信越化学工業株式会社
新規化合物
1か月前
ユニチカ株式会社
ビスマレイミドおよびその製造方法
2か月前
金剛化学株式会社
ボルチオキセチンの製造方法
2か月前
artience株式会社
四塩基酸無水物の製造方法
1か月前
四国化成工業株式会社
エポキシ化合物およびその利用
2か月前
日産化学株式会社
ピラゾール化合物及び有害生物防除剤
1か月前
日産化学株式会社
ピラゾール化合物及び有害生物防除剤
22日前
国立大学法人京都大学
細胞質送達ペプチド
4か月前
株式会社トクヤマ
サフィナミド若しくはその塩の製造方法
1か月前
国立大学法人東京農工大学
深共晶溶媒
1日前
四国化成工業株式会社
テレフタル酸化合物およびその利用
2か月前
四国化成工業株式会社
イソフタル酸化合物およびその利用
2か月前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
2か月前
東ソー株式会社
免疫グロブリン結合性タンパク質の保存溶液
1か月前
株式会社カネカ
プロピレンオキサイド(PO)製造システム
2か月前
JNC株式会社
有機ケイ素化合物およびこれを用いた重合体
8日前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
3か月前
ダイキン工業株式会社
SF5含有シラン化合物
3か月前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
2か月前
小川香料株式会社
化合物及び香料組成物
4か月前
小川香料株式会社
化合物及び香料組成物
4か月前
キヤノン株式会社
有機化合物及び有機発光素子
1か月前
旭化成株式会社
トリオキサンの製造方法
1か月前
続きを見る