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公開番号2025029027
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-03-05
出願番号2024208040,2024022226
出願日2024-11-29,2024-02-16
発明の名称含フッ素ジオキソランの製造方法及びその製造に有用な組成物
出願人ダイキン工業株式会社
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C07D 317/16 20060101AFI20250226BHJP(有機化学)
要約【課題】HF付加体の副生が抑制された、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物の製造に有用な組成物を提供する。
【解決手段】式(3)及び式(4)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物、並びに炭酸ガスを含有する組成物とする。
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[R1~R4は、F、又はC1-C7フルオロアルキル基、Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属原子、Yは、H、又は一つ以上のHがFに置換されてよいアルキル基。]
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
式(1):
JPEG
2025029027000018.jpg
31
170
[式中、R

~R

は、それぞれ独立して、フッ素原子、又はエーテル性酸素を含んでも良いC1-C7フルオロアルキル基である。]
で表される化合物の製造方法であって、
下記工程A、工程B、工程C、及び工程Dを含む製造方法。
(工程A)
式(2):
JPEG
2025029027000019.jpg
32
170
[式中、Xは、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、又は一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されてよいC1-C3アルコキシ基であり、R

~R

は前記と同じ。]
で表される化合物を、
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、並びにアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種の塩基と反応させて、
式(3):
JPEG
2025029027000020.jpg
32
170
[式中、Mは、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子であり、R

~R

は前記と同じ。]
で表される化合物へ変換して、pH11.0を超える範囲のpHを有する反応生成物を得る工程A。
(工程B)
工程Aで得られる反応生成物又は当該反応生成物に水を混合した液に、炭酸ガスを添加して、pHを6.0~11.0に調整し、pH調整液を得る工程B。
(工程C)
工程Bで得られるpH調整液を濃縮して濃縮物を得る工程C。
(工程D)
工程Cで得られる濃縮物を加熱することにより式(3)で表される化合物を熱分解して、式(1)で表される化合物を生成する工程D。
続きを表示(約 1,500 文字)【請求項2】
前記R

~R

が、それぞれ独立して、フッ素原子、パーフルオロC1-C7アルキル基
、又はパーフルオロC1-C7アルコキシ基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記R

がトリフルオロメチル基またはフッ素原子であり、R

~R

がいずれもフッ素原子である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記Xが、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、トリフルオロメトキシ、又は2,2,2-トリフルオロエトキシである、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、及びマグネシウムエトキシドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程Bにおける6.0~11.0のpHの範囲が6.0~10.0である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程Bにおける炭酸ガスの添加量が、工程Aで得られる反応生成物に含有される式(3)で表される化合物の含有量に対し、100~10000mol%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程C及び工程Dが同じ反応器内で連続して行われる、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項9】
前記R

がトリフルオロメチル基またはフッ素原子であり、
前記R

~R

がいずれもフッ素原子であり、
前記Xが、フッ素原子、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、又はi-プロポキシであり、
前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記Mが、カリウム原子又はナトリウム原子であり、
前記工程Bにおける6.0~11.0のpHの範囲が6.5~8.5であり、
前記工程Bにおける炭酸ガスの添加量が、工程Aで得られる反応生成物に含有される式(3)で表される化合物の含有量に対し、500~6000mol%である、
項1又は2に記載の製造方法。
【請求項10】
前記R

がトリフルオロメチル基またはフッ素原子であり、
前記R

~R

がいずれもフッ素原子であり、
前記Xが、フッ素原子又はメトキシであり、
前記塩基が、炭酸カリウム及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であり、
前記Mが、カリウム原子であり、
前記工程Bにおける6.0~11.0のpHの範囲が6.9~7.9であり、
前記工程Bにおける炭酸ガスの添加量が、工程Aで得られる反応生成物に含有される式(3)で表される化合物の含有量に対し、600~5000mol%である、
項1又は2に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素ジオキソランの製造方法及びその製造に有用な組成物等に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)のような2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物は光ファイバーを構成するフッ素樹脂の原料モノマー等として使用されている。このパーフルオロジオキソランを製造する方法としては、例えば、次式に示すような、パーフルオロ(-3,6-ビスメチル-1,4-ジオキサン-2-オンを原料とし、2-COF体、2-カルボン酸塩、2-メチレン体へ変換する方法が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
TIFF
2025029027000001.tif
35
170
【0003】
この方法では、フッ化カルボニル体に塩基を作用させてケン化してカルボン酸塩へ変換し、加熱によりこのカルボン酸塩を熱分解して目的のジフルオロメチレン体を生成させることが一般的に行われている。しかし、フッ化カルボニル体から得られるカルボン酸塩を熱分解する際にプロトン源である水が存在すると、目的のジフルオロメチレン体だけでなく、ジフルオロメチレン体中の二重結合にHFが付加したHF付加体(例えば次に示す2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)):
TIFF
2025029027000002.tif
28
170
も生成するため、目的物の収率が低下する。
【0004】
さらにこのHF付加体の沸点が目的のジフルオロメチレン体の沸点と近いため、蒸留によってHF付加体を目的のジフルオロメチレン体から分離することが容易ではない。
【0005】
このため、カルボン酸塩に共存する水の低減に注目されている。例えば、特許文献3には、次のように記載されている。
「本発明者らは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)の製造方法について鋭意検討した結果、原料であるパーフルオロ(2,4-ジメチル-2-フルオロホルミル-1,3-ジオキソラン)およびその加水分解生成物の少なくともいずれか一方を、アルカリ金属イオンおよびアルカリ土類金属イオンからなる群から選択される1種以上のカチオンを含む塩基性水溶液と反応させた後、生じたパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ金属塩またはパーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む液体を、分液操作により分取後、水の留去および水の吸着からなる群から選
択される水分含有率低減処理の1種以上を行い、その後に液相系での脱炭酸反応に用いることにより、分離困難な2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン)の生成を抑制しながら高収率でパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)が得られることを新たに見出した。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2020/166632号
国際公開第2020/230822号
国際公開第2020/095915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、対応するカルボン酸塩から、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物(例えば、2-(ジフルオロメチレン)-4,4,5-トリフルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1,3-ジオキソラン)を製造する方法であって、HF付加体(例えば、2-ヒドロ-パーフルオロ(2,4-ジメチル-1,3-ジオキソラン))の副生が抑制された新たな方法の提供を一つの目的とする。
本開示は、HF付加体の副生が抑制された、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物の製造に有用な、前記カルボン酸塩を含有する組成物の提供を一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物の製造過程において、フッ化カルボニル体に塩基を作用させてケン化してカルボン酸塩へ変換して得られる生成物(当該生成物が非水溶液であれば当該生成物の水溶液)のpHが11.0を超える場合、炭酸ガスを使用してpHを6.0~11.0の範囲内へ調整することによって、その後のカルボン酸塩を熱分解によって、HF付加体の副生が抑制されて高純度の目的物が得られること、フッ化水素酸等の酸を使用したpH調整と比較して反応容器等の腐食を抑制できること、を見出した。
【0009】
本開示は、代表的には次の態様を包含する。
項1.
式(1):
TIFF
2025029027000003.tif
31
170
[式中、R

~R

は、それぞれ独立して、フッ素原子、又はエーテル性酸素を含んでも良いC1-C7フルオロアルキル基である。]
で表される化合物の製造方法であって、
下記工程A、工程B、工程C、及び工程Dを含む製造方法。
(工程A)
式(2):
TIFF
2025029027000004.tif
32
170
[式中、Xは、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、又は一つ以上の水素原子がフッ素原子に置換されてよいC1-C3アルコキシ基であり、R

~R

は前記と同じ。]
で表される化合物を、
アルカリ金属及びアルカリ土類金属の、水酸化物、炭酸塩、並びにアルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種の塩基と反応させて、
式(3):
TIFF
2025029027000005.tif
32
170
[式中、Mは、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子であり、R

~R

は前記と同じ。]
で表される化合物へ変換して、pH11.0を超える範囲のpHを有する反応生成物を得る工程A。
(工程B)
工程Aで得られる反応生成物又は当該反応生成物に水を混合した液に、炭酸ガスを添加して、pHを6.0~11.0に調整し、pH調整液を得る工程B。
(工程C)
工程Bで得られるpH調整液を濃縮して濃縮物を得る工程C。
(工程D)
工程Cで得られる濃縮物を加熱することにより式(3)で表される化合物を熱分解して、式(1)で表される化合物を生成する工程D。
項2.
前記R

~R

が、それぞれ独立して、フッ素原子、パーフルオロC1-C7アルキル基、又はパーフルオロC1-C7アルコキシ基である、項1に記載の製造方法。
項3.
前記R

がトリフルオロメチル基またはフッ素原子であり、R

~R

がいずれもフッ素原子である、項1又は2に記載の製造方法。
項4.
前記Xが、ヒドロキシ基、フッ素原子、塩素原子、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、トリフルオロメトキシ、又は2,2,2-トリフルオロエトキシである、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
項5.
前記塩基が、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、及びマグネシウムエトキシドからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、項1~4のいずれかに記載の製造方法。
項6.
前記工程Bにおける6.0~11.0のpHの範囲が6.0~10.0である、項1~5
のいずれかに記載の製造方法。
項7.
前記工程Bにおける炭酸ガスの添加量が、工程Aで得られる反応生成物に含有される式(3)で表される化合物の含有量に対し、100~10000mol%である、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
項8.
前記工程C及び工程Dが同じ反応器内で連続して行われる、項1~7のいずれかに記載の製造方法。
項9.
前記R

がトリフルオロメチル基またはフッ素原子であり、
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、対応するカルボン酸塩を熱分解して2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物を製造する際に、副生物である2-ヒドロ-2-トリフルオロメチル体の生成を低減でき、高純度の目的物を製造できる。
本開示によれば、カルボン酸塩の調製後に、炭酸ガスを使用して反応液のpHを6.0~11.0へ調整することにより、無機酸(硫酸、塩酸、フッ化水素酸等)の使用を回避でき、無機酸による設備(例えば反応容器)の腐食を抑制できる。
本開示の組成物は、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物の製造の原料として使用されると、副生物の生成を抑制することができ、2-(ジフルオロメチレン)構造を有する1,3-ジオキソラン化合物を高純度で得ることができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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