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公開番号
2025014677
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-30
出願番号
2023117434
出願日
2023-07-19
発明の名称
血管平滑筋細胞指向カプシド、アデノ随伴ウイルスベクター、医薬組成物、治療方法、核酸導入方法、及びカプシド製造方法
出願人
学校法人自治医科大学
,
国立大学法人群馬大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
15/864 20060101AFI20250123BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】血管平滑筋への感染率を高めた血管平滑筋細胞指向カプシドを提供する。
【解決手段】
アデノ随伴ウイルスのカプシドであり、血管平滑筋細胞への指向性因子が付加されたことを特徴とする。この指向性因子は、ウイルス粒子の表面に提示されるペプチドである。ペプチドは、マウス(Mus musculus)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「RENKLGE」「KDTVPRE」「TETGKTA」「STPAAKE」「RNREPTE」「ARNGTTE」「KDTAERQ」「NRGGNQD」「NRPDTNS」「TRATSQE」のいずれかを含む。ヒト(Homo sapiens)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「NRPETNP」「SHDPSKE」「SEIRRDQ」「NRNKHEE」「RQDNKME」「THPPAPQ」「TRGGGSE」「TEKQTNS」「RVTMGSE」「ATKNQNE」のいずれかを含む。
【選択図】図4
特許請求の範囲
【請求項1】
アデノ随伴ウイルスのカプシドであって、
血管平滑筋細胞への指向性因子が付加された
ことを特徴とする血管平滑筋細胞指向カプシド。
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記指向性因子は、ウイルス粒子の表面に提示されるペプチドである
ことを特徴とする請求項1に記載の血管平滑筋細胞指向カプシド。
【請求項3】
前記ペプチドは、マウス(Mus musculus)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「RENKLGE」(配列番号5)、「KDTVPRE」(配列番号6)、「TETGKTA」(配列番号7)、「STPAAKE」(配列番号8)、「RNREPTE」(配列番号9)、「ARNGTTE」(配列番号10)、「KDTAERQ」(配列番号11)、「NRGGNQD」(配列番号12)、「NRPDTNS」(配列番号13)、及び「TRATSQE」(配列番号14)のアミノ酸配列のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の血管平滑筋細胞指向カプシド。
【請求項4】
前記ペプチドは、ヒト(Homo sapiens)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「NRPETNP」(配列番号15)、「SHDPSKE」(配列番号16)、「SEIRRDQ」(配列番号17)、「NRNKHEE」(配列番号18)、「RQDNKME」(配列番号19)、「THPPAPQ」(配列番号20)、「TRGGGSE」(配列番号21)、「TEKQTNS」(配列番号22)、「RVTMGSE」(配列番号23)、「ATKNQNE」(配列番号24)のアミノ酸配列のいずれかを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の血管平滑筋細胞指向カプシド。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の血管平滑筋細胞指向カプシドを備える
ことを特徴とするアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載の血管平滑筋細胞指向カプシドを備える
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
病気の治療用の組成物が含まれる請求項1乃至4のいずれかに記載の血管平滑筋細胞指向カプシドである
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項8】
動物の治療方法であって、
請求項1乃至4のいずれかに記載の血管平滑筋細胞指向カプシドにより治療用の組成物を前記血管平滑筋細胞に導入する
ことを特徴とする治療方法。
【請求項9】
請求項5に記載のアデノ随伴ウイルスベクターにより、核酸分子を前記血管平滑筋細胞に導入する
ことを特徴とする核酸導入方法。
【請求項10】
アデノ随伴ウイルスのカプシド製造方法であって、
血管平滑筋細胞への指向性因子を付加する
ことを特徴とするカプシド製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管平滑筋細胞を指向するアデノ随伴ウイルスの血管平滑筋細胞指向カプシド、アデノ随伴ウイルスベクター、医薬組成物、治療方法、核酸導入方法、及びカプシド製造方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)
【背景技術】
【0002】
アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus。以下、「AAV」という。)は1965年の発見以来、病原性がないウイルスとして存在が知られてきた。AAVは、単独での増殖能力がなく、アデノウイルスやヘルペスウイルス等に依存して宿主細胞内で増殖が可能となるウイルスであり、ヒトにおける病原性を示す報告はない。このため、近年では、AAVは、病原性がないため安全な遺伝子導入のツールとして、遺伝子治療や再生医療においての活用が期待されている。
従来、100種類以上の野生型のAAVが同定されている。これらのAAVは、最表面を構成する外被タンパク質(以下、「カプシド」という。)のアミノ酸配列が、それぞれ異なっている。このカプシドのアミノ酸配列の相違が、それぞれのAAVの臓器、細胞種への感染特異性(以下、「指向性(Tropism)」という。)に関連している。
【0003】
特許文献1を参照すると、親AAVカプシドタンパク質に対して1つ以上の修飾をアミノ酸配列に有し、AAVビリオン中に存在する場合、未修飾の親AAVカプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる筋肉細胞の感染性と比較して増加した1種以上の筋肉細胞の感染性をもたらすAAVのカプシドタンパク質が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2020-537508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のカプシドタンパク質を用いたAAVは、骨格筋については感染性を高めているものの、血管平滑筋への感染率は十分ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の課題を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の血管平滑筋細胞指向カプシドは、アデノ随伴ウイルスのカプシドであって、血管平滑筋細胞への指向性因子が付加されたことを特徴とする。
本発明の血管平滑筋細胞指向カプシドは、前記指向性因子は、ウイルス粒子の表面に提示されるペプチドであることを特徴とする。
本発明の血管平滑筋細胞指向カプシドは、前記ペプチドは、マウス(Mus musculus)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「RENKLGE」(配列番号5)、「KDTVPRE」(配列番号6)、「TETGKTA」(配列番号7)、「STPAAKE」(配列番号8)、「RNREPTE」(配列番号9)、「ARNGTTE」(配列番号10)、「KDTAERQ」(配列番号11)、「NRGGNQD」(配列番号12)、「NRPDTNS」(配列番号13)、及び「TRATSQE」(配列番号14)のアミノ酸配列のいずれかを含むことを特徴とする。
本発明の血管平滑筋細胞指向カプシドは、前記ペプチドは、ヒト(Homo sapiens)の血管平滑筋細胞を感染対象とする場合、「NRPETNP」(配列番号15)、「SHDPSKE」(配列番号16)、「SEIRRDQ」(配列番号17)、「NRNKHEE」(配列番号18)、「RQDNKME」(配列番号19)、「THPPAPQ」(配列番号20)、「TRGGGSE」(配列番号21)、「TEKQTNS」(配列番号22)、「RVTMGSE」(配列番号23)、「ATKNQNE」(配列番号24)のアミノ酸配列のいずれかを含むことを特徴とする。
本発明のアデノ随伴ウイルスベクターは、前記血管平滑筋細胞指向カプシドを備えることを特徴とする。
本発明の医薬組成物は、前記血管平滑筋細胞指向カプシドを備えることを特徴とする。
本発明の医薬組成物は、病気の治療用の組成物が含まれる前記血管平滑筋細胞指向カプシドであることを特徴とする。
本発明の治療方法は、動物の治療方法であって、前記血管平滑筋細胞指向カプシドにより治療用の組成物を前記血管平滑筋細胞に導入することを特徴とする。
本発明の核酸導入方法は、前記アデノ随伴ウイルスベクターにより、核酸分子を前記血管平滑筋細胞に導入することを特徴とする。
本発明のカプシド製造方法は、アデノ随伴ウイルスのカプシド製造方法であって、血管平滑筋細胞への指向性因子を付加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、血管平滑筋細胞への指向性因子が付加されたことで、血管平滑筋への感染率を従来より高めたAAVを製造可能な血管平滑筋細胞指向カプシドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の実施例に係る血管平滑筋指向性AAVの作製方法の概念図である。
本発明の実施例に係るAAVのカプシド以外プラスミドの構造を示す概念図である。
本発明の実施例に係るAAVの配列付加カプシドプラスミドの構造を示す概念図である。
本発明の実施例に係るマウス大動脈平滑筋細胞でのスクリーニング結果を示す写真及びグラフである。
本発明の実施例に係るヒト脳小血管平滑筋細胞でのスクリーニング結果を示す写真及びグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、長期に安全な遺伝子導入を可能とする。これは、病原性がなく、宿主ゲノムへの組み込みが少ない等の特徴があるためである。また、AAVベクターは、ヘルパーウイルスの非存在下では増殖しないため、分裂が盛んな細胞では細胞あたりの導入遺伝子コピー数が次第に低下する点も安全性に資する。加えて、AAVベクターは、長期保存可能であり、分裂細胞、非分裂細胞ともに高効率の遺伝子導入が可能であるという特徴も備えている。
一方、近年、脳小血管病等を含む幅広い疾患において、血管平滑筋に特異的な遺伝子治療の必用性が増している。しかしながら、従来、血管平滑筋への明らかな指向性を持つAAVは存在しなかった。すなわち、従来のAAVベクターは、血管平滑筋への遺伝子導入効率は高いとは言えなかった。さらに、血管平滑筋への遺伝子導入を目指したAAVベクターは、開発されていなかった。
(【0011】以降は省略されています)
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