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公開番号2025009108
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023111876
出願日2023-07-07
発明の名称溶融塩電解時の副生気体吸引方法および溶融塩電解槽
出願人株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ
代理人個人,個人
主分類C25C 7/00 20060101AFI20250110BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】本発明の課題は、オーステナイト系ステンレス鋼素材の弁体よりも溶融塩電解により高温下で副生された気体による腐食に耐えることができ、弁体作動時における高い動作円滑性を兼ね備えた弁体を有する副生気体吸引方法および溶融塩電解槽を提供することである。
【解決手段】本発明に係る副生気体吸引方法は、溶融塩電解により金属を製造する際に副生される気体を吸引する方法であって、カーボン材料から成る弁体を有する吸引圧制御弁を介して前記気体を吸引する。この副生気体吸引方法によれば、溶融塩電解時に副生した気体に対する弁体の耐腐食性が著しく向上することが明らかとなった。また、弁体作動時の動作が円滑になることが確認された。このため、本発明に係る副生気体吸引方法によれば、弁体の使用可能期間のさらなる延長を実現することが可能である。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
溶融塩電解により金属を製造する際に副生される気体を吸引する方法であって
カーボン材料から成る弁体を有する吸引圧制御弁を介して前記気体を吸引する
溶融塩電解時の副生気体吸引方法。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
前記弁体が板形状である
請求項1に記載の溶融塩電解時の副生気体吸引方法。
【請求項3】
前記弁体が、炭素繊維強化炭素複合材料から成る
請求項1または2に記載の溶融塩電解時の副生気体吸引方法。
【請求項4】
前記弁体が、表面処理加工を施した炭素繊維強化炭素複合材料から成る
請求項1または2に記載の溶融塩電解時の副生気体吸引方法。
【請求項5】
前記気体が、塩素ガスである、請求項1に記載の副生気体吸引方法。
【請求項6】
電解室と、
前記電解室から延びる気体吸引孔を開閉する、カーボン材料から成る弁体を有する吸引圧制御弁と
を備える溶融塩電解槽。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融塩電解により金属化合物から金属を回収する際に副生される気体の吸引方法に関する。また、本発明は、溶融塩電解に使用される溶融塩電解槽に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
溶融塩電解は、水溶液電解では製造不可能な金属の製造が可能であるため、工業的によく用いられている。例えば、金属チタンは、工業的にはクロール法によって製造されたスポンジ状の金属チタン(以下、「スポンジチタン」と称することがある。)をもとに製造されている。そして、このクロール法によるスポンジチタンの製造工程は、塩化蒸留工程、還元分離工程、破砕工程及び電解工程の四工程に大別される。これらの工程の一つである電解工程では、四塩化チタンを金属マグネシウムで還元してスポンジチタンを製造する還元工程において副生される塩化マグネシウムを用いて溶融塩電解を行うことにより金属マグネシウムを回収する。この電解工程において用いられる溶融塩電解槽は、溶融塩の電気分解を行う電気分解室と、溶融塩の電気分解により精製した金属マグネシウムを回収するためのメタル回収室から構成されている。そして、溶融塩電解槽内に塩化マグネシウムを投入し、電気分解室内で電気分解を行うことで金属マグネシウムと塩素ガスを生成する。この場合において、金属マグネシウムを生成する際に副生する塩素ガスは電気分解室内を微負圧環境下に調整することで塩素ガス吸引配管を通じて回収される。このように電気分解室を微負圧に保つためには、吸引側の配管内で制御される吸引圧制御弁が非常に重要となる。過去に、複数の電解槽から発生する塩素ガスの吸引圧を制御するために、電気分解室に塩素ガス吸引配管の支管が設けられており、本管に設けられた吸引機により支管を介して各電解槽を一括吸引することで、各電解槽の電気分解室を負圧に保つ溶融塩電解方法が検討されてきた。例えば、特開平9-125281号公報には、各支管に空々式ポジショナを持つゲート式自動弁をガス輸送系統と、複数の電解槽における塩素ガスの吸引圧力を検出し、各吸引圧力が目標値に管理されるように、各支管に設けられた自動弁の開度を制御する制御系統とを具備している溶融塩装置が記載されている(特開平9-125281号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平9-125281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、溶融塩電解に用いられる吸引圧制御弁の弁体素材にはSUS316などのオーステナイト系ステンレス鋼素材を使用するのが主流である。しかし、弁体素材に前記ステンレス鋼素材を使用した吸引圧制御弁は、高温下で副生された気体(上述の例においては塩素ガスに相当)により腐食されるという問題が生じていた。一般に、溶融塩電解槽における吸引圧制御弁は副生気体が発生する電気分解室の上方に設置されている場合が多いため、腐食の進行により脆弱化した弁体素材にひびや割れが生じることで、弁体素材の一部が電気分解室内に落下し、その一部が精製された金属と接触することで品質汚染となるリスクがあった。また、上記弁体の腐食が進行すると、その弁体の作動時において、腐食により損耗した弁体表面と気体吸引孔内の他の部品(例えば、パッキン部など)との間で引っ掛かりが生じ、弁体の円滑な動作が損なわれていた。この動作不良により、吸引圧制御弁が適切な圧力制御を行うことができなくなり、電気分解室内の圧力を適切な微負圧環境に保つことができなくなっていた。そのため、電気分解室内の圧力が目標値よりも強い負圧環境下となった場合は、大気を電気分解室内に吸引してしまい、その吸引された大気に含まれる酸素や水分と電気分解室内に溶融している金属とが反応することで電力効率の低下および溶融塩電解により得られる金属純度の低下を招いていた。一方で、電気分解室内の圧力が目標値よりも正圧環境下になった場合は、溶融塩電解により副生された気体が溶融塩電解槽の外部へ漏洩してしまうリスクがあった。また、溶融塩電解の性質上、前記副生気体の吸引とともに電解槽中の金属化合物もダストとして吸引されることがあり、その吸引されたダストが腐食した弁体表面に堆積することで強固な固着物が形成されることがある。このことは、弁体の深刻な動作不良につながり、ひいては吸引圧制御弁が適切な圧力制御を行うことができなくなる。
【0005】
以上のことから、弁体の腐食が発覚すると速やかに弁体の交換作業を行う必要があった。このため、弁体の腐食は、製造現場において製造効率の悪化や製造コストの増加の要因となっていた。したがって、従来よりも副生気体に対して耐腐食性が高く使用可能期間(以下、「弁体ライフ」と称することがある。)が長い弁体を有する副生気体吸引方法および溶融塩電解槽が求められている。
【0006】
本発明の課題は、オーステナイト系ステンレス鋼素材の弁体よりも溶融塩電解により高温下で副生された気体による腐食に耐えることができ、弁体作動時における高い動作円滑性を兼ね備えた弁体を有する副生気体吸引方法および溶融塩電解槽を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1局面に係る副生気体吸引方法は、溶融塩電解により金属を製造する際に副生される気体を吸引する方法であって、カーボン材料から成る弁体を有する吸引圧制御弁を介して前記気体を吸引する。
【0008】
本願発明者の鋭意検討の結果、この副生気体吸引方法によれば、弁体にオーステナイト系ステンレス鋼素材を使用した吸引圧制御弁を介した副生気体吸引方法と比べて、溶融塩電解時に副生した気体に対する弁体の耐腐食性が著しく向上することが明らかとなった。また、弁体作動時の動作が円滑になることが確認された。このため、本発明の第1局面に係る副生気体吸引方法によれば、弁体の使用可能期間のさらなる延長を実現することが可能である。
【0009】
また、本発明の第1局面に係る副生気体吸引方法は、前述の副生気体が塩素ガスである場合に特に有効に機能する。
【0010】
本願発明者の鋭意検討の結果、この副生気体吸引方法によれば、溶融塩電解時に副生した塩素ガスに対する弁体の耐腐食性が著しく向上することが明らかとなった。そのため、塩素ガスを伴う溶融塩電解時においても、弁体の使用可能期間のさらなる延長を実現することが可能となる。
(【0011】以降は省略されています)

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