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公開番号2024172530
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023090310
出願日2023-05-31
発明の名称摺動部材用のビスマス基オーバレイ層
出願人大同メタル工業株式会社
代理人個人,個人
主分類C25D 15/02 20060101AFI20241205BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】添加粒子が含有されていても耐疲労性の高いビスマス基オーバレイ層を提供する。
【解決手段】この発明の摺動部材用のビスマス基オーバレイ層は、ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
摺動部材用のビスマス基オーバレイ層であって、
ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
前記マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である前記結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む、ビスマス基オーバレイ層。
続きを表示(約 530 文字)【請求項2】
前記添加粒子の含有量は前記マトリックスにおいて、1.0vol~15.0vol%である、請求項1に記載のビスマス基オーバレイ層。
【請求項3】
硬度が20HV以上である、請求項1に記載のビスマス基オーバレイ層。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のビスマス基オーバレイ層を備える、摺動部材。
【請求項5】
添加粒子の表面を処理して該表面の濡れ性を制御するステップと、
前記処理された添加粒子をビスマス若しくはビスマス合金用のめっき液へ投入して撹拌するステップと、
摺動部材の基体を準備するステップと、
前記添加粒子が投入されためっき液で前記摺動部材の基体の表面へビスマス基オーバレイ層を積層する、積層ステップと、
を備えてなる摺動部材の製造方法。
【請求項6】
前記めっき液に対する前記添加粒子の投入量は、前記めっき液1L当たり15g~150gである、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記添加粒子の表面へプラズマ処理やUV照射処理を行い、前記めっき液に対する前記表面の濡れ性を向上させる、請求項5に記載の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は摺動部材用のビスマス基オーバレイ層、その製造方法及びそのオーバレイ層を備えた摺動部材の改良に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
環境負荷の軽減等の見地から、摺動部材用のオーバレイ層のマトリックスとしてビスマスが採用されている。かかるビスマス基オーバレイ層には硬質粒子や固体潤滑粒子を含有させることができる。これにより、オーバレイ層に耐摩耗性や低摩擦性が得られる(特許文献1、特許文献2)。
その他、本発明に関連する先行文献として特許文献3を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2003-156046号公報
特許6905926号公報
英国特許公開第2534120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
摺動部材を昨今の高出力エンジンの軸受として使用したとき、上記のように硬質粒子や固体潤滑粒子を含有したビスマス基オーバレイ層には下記の課題があることが判明した。
即ち、ビスマス基をマトリックスとしているので、ビスマスの特性に由来する脆さがオーバレイ層に影響し、オーバレイ層が疲労しやすくなる。
硬質粒子や固体潤滑粒子を含有させたビスマス基オーバレイ層の耐疲労性がこれらの粒子を含有させていないビスマス基オーバレイ層の耐疲労性に比べて、一般的には劣ると考えられていた。
【0005】
硬質粒子や固体潤滑粒子などの添加粒子はビスマス基オーバレイ層に耐摩耗性や低摩擦性を与えるものである。したがって、高出力エンジンの軸受等に適用される摺動部材にビスマス基オーバレイ層を適用するときは、これに当該添加粒子を含有させることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討をしたところ、ビスマス基オーバレイ層のマトリックスを構成する結晶粒子のミスオリエンテーションに着目して、下記の発明に想到した。即ち、この発明の第1局面は次のように規定される。
摺動部材用のビスマス基オーバレイ層であって、
ビスマス若しくはビスマス合金を含む材料からなる結晶粒子を含む多結晶のマトリックスと、該マトリックスに分散される添加粒子とを含み、
前記マトリックスは、GOS(Grain Orientation Spread)が1度以下である前記結晶粒子が、全結晶粒子の85%以上となる領域を含む、ビスマス基オーバレイ層。
【0007】
このように規定される第1局面のビスマス基オーバレイ層によれば、添加粒子がオーバレイ層に与える特性(耐摩耗性や低摩擦性等)を維持しつつ、その耐疲労性が向上する。
GOSが1度以下の結晶粒子は亀裂の起点になり難いため、その比率を85%以上と調整することで、マトリックスにおいて、亀裂に起因する疲労が生じにくくなるためと考えられる。
ここに、結晶粒子の比率は、結晶粒子の個数比を指す。
【0008】
オーバレイ層の層厚は特に限定されず、摺動部材の用途等に応じて適宜選択される。
ビスマス合金とはビスマス(Bi)を主成分として、鉛(Pb)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びアンチモン(Sb)等から選ばれる1種若しくは2種以上、又はそれらの合金である。
マトリックスを構成する結晶粒子の平均粒径は0.1μm~5.0μmとすることができる。この平均粒径の測定方法はオーバレイ試料断面を任意の結晶粒観察手法を用い、さらに画像解析ソフトによって「最大フェレット径」(粒子の輪郭上の任意の2点間での最長距離)を計測し平均値を算出した。
GOSとは、結晶粒子内において、ある測定点と残りの全ての測定点間とのミスオリエンテーションの平均値を指す。より詳しくは、木村らによる「EBSD法及びX線回析法によるステンレス鋼の塑性変形におけるミスオリエンテーションの解析」、日本機械学会論文集(A編)、71巻、712号(2005-12)を参照されたい。そして、この論文の内容をこの明細書に引用して参照する。
【0009】
添加粒子としての硬質粒子はビスマス基オーバレイ層の機械的な特性を補強する。
ビスマス基オーバレイ層の耐摩耗性を補強する添加粒子としては、ビスマス若しくはビスマス合金より硬質な粒子が採用される。かかる硬質粒子として、炭素繊維、ガラス繊維、窒化ホウ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化アルミニウム及び酸化チタンのうちから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。硬質粒子の平均粒径は、1nm~10μmとすることができる。更に好ましくは、0.1μm~3.0μmである。かかる硬質粒子の平均粒径はめっき液投入前にレーザー回折・散乱法で測定して得ることができる。
【0010】
ビスマス基オーバレイ層の低摩擦性を補強する添加粒子としては、固体潤滑粒子が採用される。かかる固体潤滑粒子として、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化タングステン及びボロンナイトライドの板状結晶粒子のうちから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
固体潤滑材の平均粒径は、1nm~5.0μmとすることができる。更に好ましくは、0.1μm~3.0μmである。固体潤滑剤の形状は板状より粒状の方がGOSの制御が容易である。かかる固体潤滑剤の平均粒径はめっき液投入前にレーザー回折・散乱法で測定して得ることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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