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公開番号2024172955
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023091038
出願日2023-06-01
発明の名称異音診断システム
出願人トヨタ自動車株式会社
代理人弁理士法人アイテック国際特許事務所
主分類G01H 3/00 20060101AFI20241205BHJP(測定;試験)
要約【課題】異音の音源の特定の精度の低下を抑制する。
【解決手段】モータとモータを駆動しPWM制御されるインバータとを搭載する車両で発生する異音を診断する異音診断システムであって、異音がモータから生じていると推定されるときには、モータの回転数としてのモータ回転数に基づくモータノイズの次数に基づいて前記異音にモータノイズが含まれているか否かを判定する第1判定と、インバータのPWM制御するのに用いられるキャリア周波数とモータ回転数とに基づくキャリアノイズの次数に基づいて異音にキャリアノイズが含まれているか否かを判定する第2判定とを実行する。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
モータと前記モータを駆動しPWM制御されるインバータとを搭載する車両で発生する異音を診断する異音診断システムであって、
前記異音が前記モータから生じていると推定されるときには、前記モータの回転数としてのモータ回転数に基づくモータノイズの次数に基づいて前記異音に前記モータノイズが含まれているか否かを判定する第1判定と、前記インバータのPWM制御に用いられるキャリア周波数と前記モータ回転数とに基づくキャリアノイズの次数に基づいて前記異音に前記キャリアノイズが含まれているか否かを判定する第2判定とを実行する
異音診断システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、異音診断システムに関する。
続きを表示(約 4,900 文字)【背景技術】
【0002】
従来、この種の異音診断システムとしては、エンジンを搭載する車両で発生する異音を診断するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-100139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、モータとモータを駆動するインバータとを搭載する車両では、モータで異音が発生していると推測した場合、その異音は、モータの回転に伴うモータノイズと、インバータのスイッチングによる電流変動によるキャリアノイズ(放射音)とを含む可能性がある。そのため、異音に含まれるのがモータノイズなのかキャリアノイズなのかを判別できず、異音の音源の特定の精度の低下することがある。
【0005】
本開示の異音診断システムは、異音の音源の特定の精度の低下を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の異音診断システムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。本開示の異音診断システムは、モータと前記モータを駆動しPWM制御されるインバータとを搭載する車両で発生する異音を診断する異音診断システムであって、前記異音が前記モータから生じていると推定されるときには、前記モータの回転数としてのモータ回転数に基づくモータノイズの次数に基づいて前記異音に前記モータノイズが含まれているか否かを判定する第1判定と、前記インバータのPWM制御に用いられるキャリア周波数と前記モータ回転数とに基づくキャリアノイズの次数に基づいて前記異音に前記キャリアノイズが含まれているか否かを判定する第2判定とを実行することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の異音診断システム1を示す概略構成図。
モータ回転数Nmとノイズの周波数とモータノイズ、キャリアノイズの次数との関係の一例を示す説明図。
異音診断部21により実行される判定処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。図1は、本開示の異音診断システム1を示す概略構成図である。同図に示す異音診断システム1は、エンジンとモータとモータを駆動するインバータとを搭載するハイブリッド車や、エンジンを搭載せずにモータを搭載する電気自動車(燃料電池車両を含む)といった対象物としての車両Vで発生した異音の原因を診断するためのものであり、携帯端末10と、当該携帯端末10と通信により情報をやり取り可能なサーバ20とを含む。携帯端末10は、異音が発生した車両Vの所有者等(車両Vのユーザ)への応対や、車道あるいはテストベンチ上で車両Vを走行(作動)させて異音を再現する再現テストの実行に際して、車両販売店や整備工場等の作業者(異音診断システム1のユーザ)により利用させるものである。本実施形態において、携帯端末10は、CPUやGPUを含むSoC、ROM、RAM、補助記憶装置(フラッシュメモリ)M、表示部11、通信モジュール12、図示しないマイクロフォン等を含むスマートフォンであり、当該携帯端末10には、異音診断支援アプリケーション(プログラム)がインストールされている。そして、携帯端末10は、図1に示すように、それぞれ異音診断支援アプリケーション(ソフトウェア)と、表示部11、通信モジュール12、SoC、ROM、RAM、マイクロフォンといったハードウェアとの協働により構築される、問診情報取得部13、音取得部14、車両状態取得部15、演算処理部16、抽出部17および表示制御部18を含む。携帯端末10の表示部11は、タッチパネル式の液晶パネルあるいは有機ELパネル等を含むものである。通信モジュール12は、近距離無線通信あるいはケーブル(ドングル)を介して車両Vの電子制御装置と各種情報をやり取りすると共に、例えばインターネット等のネットワークを介してサーバ20と各種情報をやり取りすることができる。問診情報取得部13は、異音診断支援アプリケーションと、表示部11,通信モジュール12、SoC、ROMおよびRAM等との協働により構築され、表示部11または通信モジュール12を介して、車両Vの所有者等から提供される異音発生時における車両Vの状態を示す情報(以下、「問診情報」という。)を取得する。問診情報は、車両Vの所有者等からの聞き取りを行った車両販売店等の作業者により表示部11を介して携帯端末10に入力したものや、車両Vの所有者等が自身の携帯情報端末やパーソナルコンピュータ等から例えばサーバ20により提供される専用のウェブページに入力したものであってよい。この場合、携帯端末10は、作業者の操作に応じて、サーバ20から通信モジュール12を介して問診情報を取得する。問診情報は、車台番号あるいは車両識別番号といった車両Vの車種を特定するための車種情報、車両Vの所有者等から提供された異音の発生状態の詳細な内容としてのご用命事項、発生日時、発生頻度、音の種類、車速等の車両Vの走行に際して変化する車速、エンジンを搭載した車両のおけるエンジン回転数、モータを搭載した車両におけるモータ回転数等の物理量、始動やアイドリング、停車、発進などの車両Vの運転状態などの選択項目等を含む。音取得部14は、異音診断支援アプリケーションと、SoC、ROM、RAMおよびマイクロフォン等との協働により構築され、再現テストが実行される際に音(音圧)の時間軸データを取得する。車両状態取得部15は、異音診断支援アプリケーションと、SoC、ROM、RAM、表示部11および通信モジュール12等との協働により構築され、再現テストが実行される際に音取得部14による音の時間軸データの取得に同期して車両Vの状態を示す情報(以下、「車両状態情報」)を取得する。車両状態情報は、上述の問診情報の項目に対応した複数の物理量(例えば、車速、モータ回転数Nm等)を含む。また、車両状態情報には、モータを駆動するインバータをPWM制御する際のキャリア周波数fcなど車両Vの電子制御装置や各種センサ等により算出または検出されて通信モジュール12を介して取得されるものと、作業者等が再現テストの開始前等に問診情報に基づいて表示部11から入力するものとが含まれる。演算処理部16は、異音診断支援アプリケーションと、SoC、ROMおよびRAM等との協働により構築され、音取得部14により取得された音の時間軸データの解析処理を実行する。抽出部17は、異音診断支援アプリケーションと、SoC、ROMおよびRAM等との協働により構築され、上述の問診情報等に基づいて演算処理部16の解析処理の結果の絞り込みを行う。表示制御部18は、異音診断支援アプリケーションと、SoC、ROMおよびRAM等との協働により構築され、表示部11を制御する。
【0009】
異音診断システム1のサーバ20は、CPU、ROM、RAM、入出力装置等を含むコンピュータ(情報処理装置)であり、例えば上記車両Vを製造する自動車製造者により設置・管理される。サーバ20には、CPUやROM、RAMといったハードウェアと、予めインストールされた異音診断アプリケーション(プログラム)との協働により、車両Vで発生した異音を診断する異音診断部21が構築されている。異音診断部21は、携帯端末10により取得された問診情報や音の時間軸データ等に基づいて車両Vで発生した異音の原因や異音の発生源となった部品を診断するように教師あり学習(機械学習)により構築されたニューラルネットワーク(畳み込みニューラルネットワーク)を含むものである。異音診断部21の構築に用いられる教師データは、車両Vで発生することが判明している複数の異音ごとに、異音が発生するタイミングを含む時間範囲について取得された音の時間軸データや上記問診情報の各項目の内容(値)等を含む。また、サーバ20では、車両Vでの新たな異音の発生が判明した場合、当該新たな異音について取得された音の時間軸データや上記問診情報の各項目の内容等を教師データとする異音診断部21の再学習が実行される。異音診断部21を構築するための技術としては、例えば、次の(1)-(5)の論文に記載されたもの、またはそれらの組み合わせを利用することができる。更に、サーバ20は、車種ごとに、当該車両で発生することが判明している複数の異音についての情報や車両Vの車台番号あるいは車両識別番号に対応する車両の諸元(ロータに埋め込まれた磁石数Nmagなどのモータの仕様)を格納したデータベースを記憶する記憶装置22を含む。当該データベースは、複数の異音の各々に、音の時間軸データ、異音の発生原因、発生源となる部品、所有者等から提供された問診情報の内容、異音を解消するための対策といった情報を紐付けして格納すると共に、車台番号あるいは車両識別番号と車両の諸元とを紐付けして格納するものである。また、サーバ20は、車両Vを含む多数の車両から取得される情報や、自動車製造者(開発者等)、車両販売店、整備工場等から送信される新たに判明した異音に関する情報等に基づいて当該データベースを更新する。
【0010】
(1)“Unsupervised Filterbank Learning Using Convolutional Restricted Boltzmann Machine for Environmental Sound Classification”に記載された“CNN with filterbanks learned using convolutional RBM + fusion with GTSC and mel energies”および“CNN with filterbanks learned using convolutional RBM + fusion with GTSC”
(2)“LEARNING FROM BETWEEN-CLASS EXAMPLES FOR DEEP SOUND RECOGNITION”に記載
された“EnvNet-v2 (tokozume2017a) + data augmentation + Between-Class learning”および“EnvNet-v2 (tokozume2017a) + Between-Class learning”
(3)“Novel Phase Encoded Mel Filterbank Energies for Environmental Sound Classification”に記載された“CNN working with phase encoded mel filterbank energies
(PEFBEs), fusion with Mel energies”
(4)“Knowledge Transfer from Weakly Labeled Audio using Convolutional Neural Network for Sound Events and Scenes”に記載された“CNN pretrained on AudioSet”
(5)“Novel TEO-based Gammatone Features for Environmental Sound Classification”に記載された“Fusion of GTSC & TEO-GTSC with CNN”
(【0011】以降は省略されています)

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