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公開番号
2024164725
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-27
出願番号
2023080408
出願日
2023-05-15
発明の名称
工業炉用煤塵除去装置
出願人
CYC株式会社
代理人
個人
主分類
B01D
46/02 20060101AFI20241120BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】工業炉用排ガス処理装置内等で発生し煤塵が含有された排ガスが大気に放出される前に有効に除去することができる新規な工業炉用煤塵除去装置を提供する。
【解決手段】工業炉2又は工業炉用排ガス処理装置7内で発生し煤塵を含有する排ガスが一方の管路8を介して流入するとともに該一方の管路8から流入した排ガスを冷却する冷却装置3と、この冷却装置3に他方の管路9を介して接続され、該冷却装置3により冷却された排ガスを濾過し該排ガスに含有する煤塵を捕捉するフィルタ94,95を備えた煤塵除去装置4と、を備えてなる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲
【請求項1】
炭化炉や焼却炉その他の工業炉の炉内で発生し煤塵が含有された排ガス又は該工業炉からの排ガスを化学分解する工業炉用排ガス処理装置内で発生し煤塵が含有された排ガスが一方の管路を介して流入するとともに該一方の管路から流入した排ガスを冷却する冷却装置と、
この冷却装置に他方の管路を介して接続され、該冷却装置により冷却された排ガスを濾過し該排ガスに含有する煤塵を捕捉するフィルタを備えた煤塵除去装置と、
を備えてなることを特徴とする工業炉用煤塵除去装置。
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【請求項2】
前記冷却装置は、冷却水により前記排ガスを内部で冷却させる水冷式冷却部と、この水冷式冷却部の下方に連続し該水冷式冷却部と連通してなるとともに内部空間が逆円錐状に成形された筐体を有してなる空冷式冷却部と、を有し、
上記水冷式冷却部は、円筒状に成形された内筒と、この内筒の外側に配置された外筒と、上記内筒と外筒との間に形成され冷却水が流通する冷却水流通用空間と、を有してなるとともに、上記冷却水流通用空間内に冷却水を供給する供給ポートと、該冷却水流通用空間内から加熱された冷却水を排出する排出ポートとを備え、
前記一方の管路は、上記内筒の内周面方向に上記排ガスが流入するように該内筒に対して斜めに接続されてなり、
この一方の管路から上記水冷式冷却部内に流入した排ガスは、上記内筒の内周を旋回した後に上記空冷式冷却部を構成する筐体の内周を旋回して前記他方の管路内に流入することを特徴とする請求項1記載の工業炉用煤塵除去装置。
【請求項3】
前記冷却装置を構成する内筒の内側には、先端から冷却水を噴霧する噴霧ノズルが配置され、前記一方の管路から流入した排ガスに上記冷却液が噴霧されるよう構成されてなることを特徴とする請求項2記載の工業炉用煤塵除去装置。
【請求項4】
前記空冷式冷却部の下方には、前記冷却装置内において落下した煤塵が貯留される煤塵貯留部を有し、この煤塵貯留部には、上面で該煤塵を支持するとともに該煤塵を下方に落下させる落下操作部材が配置されてなることを特徴とする請求項2又は3記載の何れかの工業炉用煤塵除去装置。
【請求項5】
前記落下操作部材は、前記塵貯留部の上端側中途部に配置され水平方向に往復動操作可能な第1のシャッタと、この第1のシャッタの下方に配置され水平方向に往復動操作可能な第2のシャッタとからなり、
上記第2のシャッタにより上記煤塵貯留部内を閉塞した状態で上記第1のシャッタを往動操作されて該第1のシャッタの上面に支持された煤塵を落下させた後に複動操作させて該煤塵貯留部の上端側中途部を閉塞し、次いで上記第2のシャッタを往動操作させて該煤塵貯留部の下端側を開放することにより、該煤塵貯留部内の煤塵を下方に落下することができるように構成されてなることを特徴とする請求項4記載の工業炉用煤塵除去装置。
【請求項6】
前記冷却装置と前記煤塵除去装置とを接続する他方の管路の一端は、該冷却装置を構成する水冷式冷却部内の中央に配置され下端は前記空冷式冷却部の上端近傍に開口を有してなる排出管の上端に接続され、
該煤塵除去装置は、上記他方の管路の他端が接続された除去用筐体と、この除去用筐体内に配置され前記排ガスに含有された煤塵が外側面で捕捉される前記フィルタとしてのバグフィルタと、このバグフィルタ内を通過した排ガスを上記除去用筐体から外部に排出する排出用管路と、を備えてなることを特徴とする請求項2又は3記載の何れかの工業炉用煤塵除去装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化炉、焼却炉その他の工業炉により熱分解された被処理物から生じた排ガスに含有する煤塵を大気に放出する前段階で除去するために使用される工業炉用煤塵除去装置に関するものである。
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【背景技術】
【0002】
炭化炉(熱分解炉)や焼却炉等の各種の工業炉は、該工業炉内に収容された被処理物をバーナー等により熱分解するために使用されるが、該被処理物がこうした熱分解されると該工業炉からはガス(排ガス、排煙)が発生し、この排ガスには煤塵硫黄酸化物(SOx)、二酸化硫黄(SO
2
)又は窒素酸化物(NOx)等が含まれていることが多く、我が国では古くからこれらの物質が汚染物資とされ、規制の対象とされてきた。そこで、こうした排ガスに含まれる汚染物質を除去する技術(排ガス処理技術)が提案され又は実施されている。そして、こうした排ガス処理技術は、湿式法、乾式法、半乾式法に大別することができ、上記湿式法は、上記汚染物質と反応させる処理剤として、アルカリ水溶液又はそのスラリーを使用するものであり、上記乾式法は、活性炭や石灰石又は石炭灰などの処理剤(又は吸着剤)により汚染物質を化学反応させ別異の化学物質に変化させ或いは吸着させるものであり、上記半乾式法は、その一例として、消石灰スラリーを反応塔中に噴霧することにより上記大気汚染物質を例えば亜硫酸カルシウム等の粉体に転化するもののように、上記湿式法と乾式法とを組み合わせたものである。
【0003】
例えば、特公昭61-39095号公報(特許文献1)に開示された排ガス処理技術は、上記乾式法に分類される排ガス処理技術である。そして、この技術は、ボイラによる燃焼ガスを石灰からなるミクロン粒子を噴霧することにより石灰と燃焼ガス中の硫黄酸化物を反応させる工程と、その後に無水石膏を未反応石灰及び煤塵と共に集塵装置により排煙中より除去する工程を備え、上記集塵装置で回収した粉塵を分級機にかけて無水石膏および未反応石灰を多く含んだ細粉と、主として灰分からなる粗粉に分け、細粉を水素および一酸化炭素またはそのいずれか一方を含む高温の還元ガス中に噴霧して硫化カルシウムに還元した後、該ガスを冷却することによって、硫化カルシウムと炭酸ガスおよび水蒸気を反応させて炭酸カルシウムと硫化水素にし、このガス中から集塵装置で炭酸カルシウムの微粒子を分離し、これを排ガス処理剤としてボイラの中に再度噴霧する一方、集塵装置から排出されたガス中から硫化水素を回収することを特徴とするものである。こうした技術によれば、排ガス処理工程によって発生した物質を廃棄物として処理する必要性が減少し、再利用することができる点で評価に値する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特公昭61-39095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された(乾式法による)排ガス処理技術では、該特許文献1に開示された図面からも明らかなように、各工程を経るためのプラントは複雑化しているばかりか巨大化されており、高コストとならざるを得ず、また広大な設置面積が必要となることから、採用することができない。また、こうした排ガス処理技術では、新たにプラントを建設する場合であればともかく、既に設置された炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更したり組み込んだりすることにより、簡易に排ガス処理することができない。
【0006】
他方、上記湿式法により排ガス処理する場合には、スラリーを循環させたり多量の水が必要となったりするため、炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉とは別個に排水処理施設が必要となる。特に、炭化炉により熱分解する対象が、使用済リチウムイオン電池である場合には、該炭化炉による熱分解によりコバルト等の高価な稀金属を回収する点のみを挙げれば、炭化炉による熱分解は効果的である。しかし、その一方において、この湿式法により排ガス処理する場合、特に一般的に用いられる方法であるスクラバー法(石灰水による湿式洗浄法)による場合では、先に記載したように排水処理設備が必要であることは言うまでもなく、該排水処理設備内には、石灰水との間における化学反応により生成されたフッ化カルシウムが沈殿すること、装置に付着するスケールを適宜処理する必要性があること、水に溶解して腐食性・有毒性の強いフッ化水素酸(フッ酸)が発生すること等を理由として、該装置及びメンテナンス作業が共に複雑となる。また、この場合では、上記フッ化水素は、ガラスも侵すほどの強い腐食性を有することに鑑みれば、上記炭化炉(熱分解炉)からの排ガスを湿式法により処理する処理設備の構成部材の素材として上記耐腐食性を有する素材の選定作業はかなりの困難性を伴う。また、上記湿式法による排ガス処理を行う場合であっても、新たにプラントを建設する場合であればともかく、先に記載した乾式法に係る課題と同じように、既に設置された炭化炉や焼却炉等の各種の工業炉の一部を変更することにより、簡易に排ガスに含まれた汚染物質を排ガス処理することができない。
【0007】
そこで、本出願人は、上述した一般的な湿式法や乾式法に係る排ガス処理技術や上記特許文献1に開示された排ガス処理技術が有する課題を解決するために、工業炉の排気塔の中途部に、工業炉用排ガス処理装置を配置したものを提案した。この工業炉用排ガス処理装置は、排ガスに含まれた所定の汚染物質を処理する処理剤が収容された内側容器を上下に段積みしたものである。上記処理剤は、排ガス処理される汚染物質との間で化学反応する物質又は該汚染物質を物理的に吸着する物資であり、例えば、生石灰や消石灰等のカルシウム化合物、石灰石(炭酸カルシウム系)や骨灰等である。
【0008】
しかしながら、上記工業炉内で発生し又は上記処理剤として上記石灰を主成分とした処理剤を使用した工業炉用排ガス処理装置から発生した煤塵(ダスト)が発生することがあり、こうした煤塵が含まれた排ガスを大気に放出することは近隣住民からの苦情の原因ともなりかねず決して好ましいものではない。
【0009】
そこで、本発明は、上記煤塵を含有する排ガスが大気に放出される前に有効に除去することができる新規な工業炉用煤塵除去装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、炭化炉や焼却炉その他の工業炉の炉内で発生し煤塵が含有された排ガス又は該工業炉からの排ガスを化学分解する工業炉用排ガス処理装置内で発生し煤塵が含有された排ガスが一方の管路を介して流入するとともに該一方の管路から流入した排ガスを冷却する冷却装置と、この冷却装置に他方の管路を介して接続され、該冷却装置により冷却された排ガスを濾過し該排ガスに含有する煤塵を捕捉するフィルタを備えた煤塵除去装置と、を備えてなることを特徴とするものである。
(【0011】以降は省略されています)
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