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公開番号2024151260
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-24
出願番号2023064507
出願日2023-04-11
発明の名称抗SARS-CoV-2抗体
出願人花王株式会社,株式会社Epsilon Molecular Engineering
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類C07K 16/10 20060101AFI20241017BHJP(有機化学)
要約【課題】SARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質(Nタンパク質)に結合する抗体を提供する。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を有するCDR1~3を含む構造ドメインを1つ以上有する、SARS-CoV-2に結合する抗体であって、たとえばVHH等の単一ドメイン抗体、構造ドメインの1又は複数と該構造ドメインとは抗原特異性の異なる構造ドメインの1又は複数を連結した多量体等である抗体、及び該抗体をコードする核酸を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)から選択されるCDR1~3を含む構造ドメインを1つ以上有する、SARS-CoV-2に結合する抗体。
(a)GRTFSDYDMG(配列番号1)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、SITSGGSTK(配列番号2)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びHDYFYVDNWESY(配列番号3)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(b)GFTFSRYDMS(配列番号4)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AISWNGGSTY(配列番号5)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びLDWLQWDWAY(配列番号6)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(c)GFTFSSYAMT(配列番号7)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AISRNGGSTY(配列番号8)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びGQHHQELQHWYAWDY(配列番号9)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(d)RSIFSGNAMG(配列番号10)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AITWNGGSTY(配列番号11)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びLQDHNSVLADAY(配列番号12)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(e)RSIFSGNAMG(配列番号10)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AISWSGDSTH(配列番号13)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びLGEIDGLEENDY(配列番号14)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
(f)GFTFSDYAMG(配列番号15)で示されるアミノ酸配列からなるCDR1、AISRNGGSTY(配列番号8)で示されるアミノ酸配列からなるCDR2、及びLGQNKEHVGKRIEDY(配列番号16)で示されるアミノ酸配列からなるCDR3
続きを表示(約 330 文字)【請求項2】
N-タンパク質に結合する、請求項1記載の抗体。
【請求項3】
単一ドメイン抗体又はその多量体である、請求項1又は2記載の抗体。
【請求項4】
単一ドメイン抗体がVHHである、請求項3記載の抗体。
【請求項5】
単一ドメイン抗体の多量体が、前記構造ドメインを複数連結した多量体である請求項3記載の抗体。
【請求項6】
単一ドメイン抗体の多量体が、前記構造ドメインの1又は複数と、該構造ドメインとは抗原特異性の異なる構造ドメインの1又は複数を連結した多量体である請求項3記載の抗体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の抗体をコードする核酸。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はSARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質に結合する抗体に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2,;SARS-CoV-2)は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と同様ベータコロナウイルス属に属し、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。2019年に中国湖北省武漢市付近で発生が初めて確認され、その後、COVID-19の世界的流行(パンデミック)を引き起こしている。
【0003】
SARS-CoV-2は、そのウイルスゲノムは29,903塩基程度で、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。また、ウイルス粒子(ビリオン)は、50~200nmほどの大きさである。一般的なコロナウイルスと同様に、スパイクタンパク質、ヌクレオカプシドタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質として知られる4つのタンパク質と、RNAより構成されている。このうちヌクレオカプシドタンパク質がRNAと結合してヌクレオカプシドを形成し、脂質と結合したスパイクタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質がその周りを取り囲んでエンベロープを形成する(非特許文献1、2)。
【0004】
SARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質(以下、Nタンパク質)は、SARS-CoV-2のRNAゲノムに結合するタンパク質である。ウイルスゲノムのフォールディング・ウイルスタンパク質のアセンブリ・ウイルスの出芽といったウイルス粒子形成に関与するほか、宿主細胞の応答を抑制する機能があることが報告されている(非特許文献3)。
SARS-CoV-2のNタンパク質は、そのウイルスを構成するタンパク質の中で最も数の多いタンパク質の一つであることが報告されており(非特許文献4)、Nタンパク質の数は、SARS-CoV-2の表面に露出しているスパイクタンパク質よりも遥かに多いため、SARS-CoV-2の抗原検査では、特に検出感度の点において、標的分子として好ましいタンパク質である。
また、SARS-CoV-2のNタンパク質は、感染細胞内で主に発現するタンパク質の一つであり、強い免疫原性を示す。2002年11月より流行したSARS-CoVのNタンパク質に対するELISA法では、高い特異性で感染初期と見られる患者も診断できたことが報告されている(非特許文献5)。
【0005】
そして、近年のSARS-CoV-2により引き起こされる新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、イムノクロマト法を原理とした抗原検査の如く、POCT(Point of Care Testing:簡易迅速検査)の必要性が以前にも増して高まっている。イムノクロマト法では、予め用意された金コロイドやラテックス粒子等と結合した抗体(以下、標識抗体と呼ぶ)と被検体中に含まれる抗原が複合体を形成しながら毛細管現象によりニトロセルロース膜上を移動し、予めニトロセルロース膜上に固相化された抗体(以下、捕捉抗体と呼ぶ)が抗原-標識抗体複合体と結合することで呈色することを利用した免疫測定法である。現在、市販されているイムノクロマトキットの殆どはマウスやウサギ等に由来するモノクローナル、又はポリクローナルIgG抗体が用いられている。
【0006】
一方、ラクダ科動物の血清中から見いだされた重鎖抗体は、通常の抗体(IgG抗体など)が重鎖と軽鎖の2つの可変領域で抗原と結合するのに対し、1つの可変領域のみで結合活性と抗原特異性を示す。この抗体の可変領域はVHH(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody) と呼ばれ、抗原に結合できる免疫グロブリンフラグメントとしては最も低分子量(通常の抗体(IgG抗体など)の10分の1程度)とされる(非特許文献6)。
VHHはIgG抗体と同等の結合活性を示しながらも、(1)IgG抗体と比較して分子量が10分の1程度であり、従来の抗体では結合できない新規のエピトープが期待されること、(2)IgG抗体とは異なり、可逆性の高いタンパク質構造をもち、熱や圧に対して優れた耐性を示すこと、(3)IgG抗体とは異なり、酵母や細菌等の微生物を用いた生産が可能であること、等の特徴をもつ。さらに、(4)VHHは、cDNAディスプレイ法やファージディスプレイ法等の試験管内の抗体選抜技術との親和性が非常に高く、マウスやウサギ等への免疫によって得られるIgG抗体と比較して、より短期間に開発することが可能である。
【0007】
また、検査薬の開発においても、VHHの優位性は明らかである。特に、VHHが有する特性から、(1)VHHは粒子やニトロセルロース膜に高密度に固相化することが可能であり、より多くのパラトープを基材上に提示することができること、(2)VHHはタンパク質としての安定性に優れており、製品のより優れた保存安定性が期待できること、(3)VHHは微生物によって大量かつ安価に生産可能であるため、製造原価をより低減させることが出来ること、(4)VHHはイムノクロマト法において非特異的反応の原因となりうるFc領域を有さないこと、がIgG抗体と比較して優位であると考えられる。
【0008】
しかしながら、イムノクロマト法等の抗原検査法にVHHを用いることには課題がある。可変領域のみからなるVHHは、(1)IgG抗体と比較して低分子量であるため、基材への物理的な吸着性能が低いこと、(2)基材への固相化時に受けるタンパク質変性効果により、結合活性が低下しやすいこと、(3)IgG抗体とは異なり、VHHはFc領域を持たないため、基材へのランダムな吸着において配向性の制御が困難であること、が知られている。このような理由から、VHHを捕捉抗体として用いた場合、結合活性が低下しやすいことが課題となる。すなわち、イムノクロマト法において、VHHを捕捉抗体として用いた場合、高感度に抗原を検出することが難しいことが知られている。
【0009】
この課題に対して、非特許文献7ではコンジュゲーションパッドに標識抗体としてのVHH及びビオチン標識化されたVHHの2種類の抗体を含ませておき、そしてニトロセルロース膜上にはビオチンに対して結合活性を示すストレプトアビジンを固相化する方法が用いられている。すなわち、ニトロセルロース膜上で、標識抗体―抗原―ビオチン化VHHの複合体を形成させ、その複合体をストレプトアビジンにより捕捉する方法である(従来技術1)。
【0010】
また、非特許文献8では標識抗体にVHHを用いており、捕捉抗体としては予め用意されたビオチン化VHH―ストレプトアビジン複合体をニトロセルロース膜上に固相化する方法が用いられている。すなわち、ニトロセルロース膜におけるVHHの固相化をストレプトアビジンとニトロセルロース膜間の相互作用に依存させる方法である(従来技術2)。
(【0011】以降は省略されています)

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