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公開番号2024149205
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-18
出願番号2023062937
出願日2023-04-07
発明の名称放射性同位体の定量方法
出願人国立大学法人福島大学
代理人弁理士法人京都国際特許事務所
主分類G01N 27/62 20210101AFI20241010BHJP(測定;試験)
要約【課題】放射性同位体の含有量を正確に求めることができる定量方法を提供する。
【解決手段】目的試料の質量分析結果から放射性同位体、第1の安定同位体および第2の安定同位体の存在比を求め、スパイク試料と目的試料との混合試料の質量分析結果から混合試料における第1の安定同位体と第2の安定同位体の存在比を求め、安定同位体の含有量が異なる複数の参照試料の質量分析結果から第1の安定同位体の含有量と放射性同位体に対応する信号強度との関係を求め、混合試料、目的試料それぞれにおける第1の安定同位体と第2の安定同位体の存在比、スパイク試料における第1および第2の安定同位体それぞれの含有量から、目的試料中の第1の安定同位体の含有量を求め、第1の安定同位体の含有量、目的試料における放射性同位体と第1の安定同位体の存在比、および前記関係から、目的試料における放射同位体元素の含有量を求める。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
目的試料を質量分析法により分析した結果から、該目的試料における所定の元素の放射性同位体と、前記所定の元素の2種類の安定同位体である第1の安定同位体および第2の安定同位体の存在比を求める目的試料分析工程と、
前記第1の安定同位体および前記第2の安定同位体を含む試料であって、前記安定同位体それぞれの含有量が既知のスパイク試料と、前記目的試料とを混合してなる混合試料を調製し、該混合試料を質量分析法により分析した結果から、該混合試料における前記第1の安定同位体と前記第2の安定同位体の存在比を求める混合試料分析工程と、
前記放射性同位体は含まず前記第1の安定同位体を含む試料であって、該安定同位体の含有量が異なる複数の参照試料を用意し、該複数の参照試料を質量分析法により分析した結果から、前記第1の安定同位体の含有量と前記放射性同位体に対応する信号強度との関係を求める参照試料分析工程と、
前記混合試料、前記目的試料それぞれにおける前記第1の安定同位体と前記第2の安定同位体の存在比、前記スパイク試料における前記第1および第2の安定同位体それぞれの含有量から、前記目的試料中の前記第1の安定同位体の含有量を求め、該第1の安定同位体の含有量、前記目的試料における前記放射性同位体と前記第1の安定同位体の存在比、および前記関係から、前記目的試料における前記放射同位体元素の含有量を求める放射性同位体含有量算出工程と、を有する放射性同位体の定量方法。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
請求項1に記載の放射性同位体の定量方法において、
前記質量分析法が、表面電離型質量分析法である放射性同位体の定量方法。
【請求項3】
請求項2に記載の放射性同位体の定量方法において、
前記表面電離型質量分析法が、放射性同位体および安定同位体それぞれを検出するための検出器として二次電子増倍管を用いたものである、放射同位体の定量方法。
【請求項4】
請求項3に記載の放射性同位体の定量方法において、
前記放射同位体を検出するための検出器が、安定同位体の入射を妨げるエネルギーフィルタを備えている、放射同位体の定量方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の同位体が含まれる試料において特定の1つの放射性同位体を定量する方法に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
Sr(ストロンチウム)の同位体の1つである
90
Sr(ストロンチウム90)は、
235
U(ウラン235)の核分裂により生成される放射性同位体である。
90
Srは半減期28.8年でβ崩壊することにより、放射性同位体である
90
Y(イットリウム90)となり、さらに
90
Yが半減期64hでβ崩壊することにより、安定同位体である
90
Zr(ジルコニウム90)となる。
90
Srはβ崩壊する際に放射線であるβ線を放出するうえに、Caに類似した化学的性質を有することからヒトや動物の骨や歯に蓄積しやすいという特徴を有する。そのため、
90
Srによる被曝には、ヒトや動物の体内に取り込まれた
90
Srによる内部被曝と、体外に存在する
90
Srによる外部被曝の両方が含まれる。
90
Srによる内部被曝、外部被曝の影響を調べるため、ヒトや動物の生体試料、土壌等の環境から採取された環境試料に含まれる
90
Srを定量する試みが行われている。
【0003】
Srには
90
Srの他に、安定同位体である
84
Sr,
86
Sr,
87
Srおよび
88
Srが存在する。複数の同位体を有する元素の特定の同位体比を求める方法として、表面電離型質量分析法(TIMS、以下、表面電離型質量分析装置のこともTIMSということがある)、複数の同位体を有する元素の含有量を求める方法として、同位体希釈法を利用した表面電離型質量分析法(ID-TIMS)がある。
【0004】
同位体希釈法は、存在比および含有量(重量)がいずれも既知であり、目的試料と異なる存在比の複数の同位体を含むスパイク試料を、前記複数の同位体の含有量は未知であるが存在比は既知の目的試料と混合し、該混合試料中の前記複数の同位体の存在比と前記目的試料中の前記複数の同位体の存在比とから、前記目的試料に含まれる含有量を求める方法である。
【0005】
TIMSでは、試料をフィラメントの表面に焼き付けた後、TIMS内でフィラメントに電流を流して加熱することにより試料中の同位体をイオン化する。生成したイオンを質量電荷数比(m/z)毎に分離する。分離された各イオンを検出するための検出器を配置し、各m/zに分離された同位体イオンの強度を前記検出器で同時に検出することにより試料中の同位体の存在比を求めることができる(非特許文献1参照)。
【0006】
したがって、ID-TIMSで測定対象である放射性同位体の量を算出する場合,試料に含まれる安定同位体の量を同位体希釈法で算出し,同時に別な検出器で測定した
90
Srの強度の比から目的試料中の放射性同位体の量を算出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
Chihiro Ito, Ryoya Shimode, Takashi Miyazaki, Shigeyuki Wakaki, Katsuhiko Suzuki and Yoshitaka Takagai, "Isotope Dilution-Total Evaporation-Thermal Ionization Mass Spectrometric Direct Determination of Radioactive Strontium-90 in Microdrop Samples", Analytical Chemistry,(米国), 米国化学会発行, 2020年11月10日, 第92巻, 16058-16065頁
Shigeyuki Wakaki, Jo Aoki, Ryoya Shimode, Katsuhiko Suzuki, Takashi Miyazaki, Jenny Roberts, Hauke Vollstaedt, Satoshi Sasaki and Yoshitaka Takagai, "A part per trillion isotope ratio analysis of 90Sr/88Sr using energy-filtered thermal ionization mass spectrometry", Scientific Reports,(英国), ネイチャーリサーチ発行, 2022年1月21日, 第12巻, 1-10頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
TIMSでは、m/z毎に分離されたイオンをそれぞれ同時に検出するため、複数の検出器を有しており、m/z毎に分離されたイオンは、集束される位置に配置された複数の検出器に入射される。ところが、イオンの一部は、本来入射すべき検出器の隣に配置された別の検出器に入射してしまうことがある。放射性同位体のように含有量が非常に少ない同位体に対応する検出器に別の同位体イオンが入射すると、その数がわずかであっても該放射性同位体イオンの数の変化率が大きいため、放射同位体と安定同位体の正しい同位体比を求めることができない。そのため、誤った放射性同位体の含有量が算出されることになり、含有量の測定精度が低下するという問題があった。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、放射性同位体の含有量を正確に求めることができる定量方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る放射性同位体の定量方法は、
目的試料を質量分析法により分析した結果から、該目的試料における所定の元素の放射性同位体と、前記所定の元素の安定同位体である第1の安定同位体および第2の安定同位体の存在比を求める目的試料分析工程と、
前記第1の安定同位体および前記第2の安定同位体を含む試料であって、前記安定同位体それぞれの含有量が既知のスパイク試料と、前記目的試料とを混合してなる混合試料を調製し、該混合試料を質量分析法により分析した結果から、該混合試料における前記第1の安定同位体と前記第2の安定同位体の存在比を求める混合試料分析工程と、
前記放射性同位体は含まず前記第1の安定同位体を含む試料であって、該安定同位体の含有量が異なる複数の参照試料を用意し、該複数の参照試料を質量分析法により分析した結果から、前記第1の安定同位体の含有量と前記放射性同位体に対応する信号強度との関係を求める参照試料分析工程と、
前記混合試料、前記目的試料それぞれにおける前記第1の安定同位体と前記第2の安定同位体の存在比、前記スパイク試料における前記第1および第2の安定同位体それぞれの含有量から、前記目的試料中の前記第1の安定同位体の含有量を求め、該第1の安定同位体の含有量、前記目的試料における前記放射性同位体と前記第1の安定同位体の存在比、および前記関係から、前記目的試料における前記放射同位体元素の含有量を求める放射性同位体含有量算出工程と、を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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