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公開番号2024143066
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-11
出願番号2023055550
出願日2023-03-30
発明の名称環状酸無水物硬化剤、硬化性樹脂組成物、およびこれらの硬化物
出願人日本化薬株式会社
代理人
主分類C08G 59/42 20060101AFI20241003BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】23℃において液状である環状酸無水物硬化剤、硬化性樹脂組成物、並びに環状酸無水物とその製造方法を提供する。
【解決手段】1,3-p-メンタジエンと無水マレイン酸を付加反応させることで得られる環状酸無水物の混合物(A)と、前記環状酸無水物の混合物(A)とは異なる酸無水物(B)とを含有する環状酸無水物硬化剤(C)であって、前記環状酸無水物硬化剤(C)総量中、前記環状酸無水物の混合物(A)の含有量が85重量%以上であり、23℃において液状である環状酸無水物硬化剤(C)。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
下記式(A-a)で表される環状酸無水物と、下記式(A-b)で表される環状酸無水物と、下記式(A-c)で表される環状酸無水物とからなる環状酸無水物の混合物(A)と、前記環状酸無水物の混合物(A)とは異なる酸無水物(B)とを含有する環状酸無水物硬化剤(C)であって、
前記環状酸無水物硬化剤(C)総量中、前記環状酸無水物の混合物(A)の含有量が85重量%以上であり、
23℃において液状である環状酸無水物硬化剤(C)。
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続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記環状酸無水物の混合物(A)をガスクロマトグラフィー分析した際の前記式(A-a)~(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積の総和を100%としたとき、前記式(A-b)で表される環状酸無水物のピーク面積が90.0%以上97.5%以下である、請求項1に記載の環状酸無水物硬化剤(C)。
【請求項3】
前記環状酸無水物の混合物(A)をガスクロマトグラフィー分析した際の前記式(A-a)~(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積の総和を100%としたとき、前記式(A-a)で表される環状酸無水物のピーク面積が1.0%以上9.0%以下、前記式(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積が1.0%以上9.0%以下である、請求項2に記載の環状酸無水物硬化剤(C)。
【請求項4】
前記酸無水物成分(B)として、バイオマス由来の原料からなる酸無水物を含有する請求項1に記載の環状酸無水物硬化剤(C)。
【請求項5】
室温23℃にて1カ月静置後においても液状である、請求項1に記載の環状酸無水物硬化剤(C)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の環状酸無水物硬化剤(C)とエポキシ樹脂と硬化促進剤とを含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項8】
請求項6に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる炭素繊維強化複合材料。
【請求項9】
下記式(A-a)で表される環状酸無水物と、下記式(A-b)で表される環状酸無水物と、下記式(A-c)で表される環状酸無水物とからなる環状酸無水物の混合物(A)であって、
前記環状酸無水物の混合物(A)をガスクロマトグラフィー分析した際の下記式(A-a)~(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積の総和を100%としたとき、下記式(A-b)で表される環状酸無水物のピーク面積が90.0%以上97.5%以下である環状酸無水物の混合物(A)。
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【請求項10】
前記環状酸無水物の混合物(A)をガスクロマトグラフィー分析した際の前記式(A-a)~(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積の総和を100%としたとき、前記式(A-a)で表される環状酸無水物のピーク面積が1.0%以上9.0%以下、前記式(A-c)で表される環状酸無水物のピーク面積が1.0%以上9.0%以下である、請求項9に記載の環状酸無水物の混合物(A)。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、環状酸無水物の混合物、硬化性樹脂組成物、およびこれらの硬化物に関するものであり、半導体封止材、プリント配線板、ビルドアップ積層板などの電気・電子部品、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどの軽量高強度材料、3Dプリンティング用途、接着剤の分野で好適に使用される。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、機械強度、耐熱性、接着性、及びガスバリア性等に優れることから、様々な分野で広く使用されている。従来、エポキシ樹脂の硬化剤として酸無水物が有効であることはよく知られており、酸無水物は、アミン系硬化剤と比較して毒性や臭気が少ない事、硬化時の発熱や体積収縮が小さい事等の理由から、小型注型、大型注型、含浸成形、紛体塗料等の用途で使用されてきた。
【0003】
エポキシ樹脂や酸無水物などの硬化剤は、その原料としては石油由来のものが多く使用されてきたが、近年、石油資源の枯渇が懸念されてきており、多くの材料で植物等の再生可能資源の利用や硬化物を分解することによる再利用方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開昭55-118920号公報
特開平01-167326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は1,3-p-メンタジエンと無水マレイン酸を付加反応させることで合成した1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物について記載している。そこで、本願出願人は特許文献1に記載の方法で、1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物を製造したところ、融点が高く、常温で固体であることが確認された。
【0006】
1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物は常温で固体であるため、使用時にはドラム缶などの風袋をオーブンや湯浴で加温・溶解してから使用する必要があるが、溶解するまでに多くの時間がかかるため生産性が低く、また、加温による大量のエネルギー消費が課題となる。また、加温してから時間が経つと固体に戻ってしまい、ハンドリング性も悪い。
【0007】
特許文献2では1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸無水物の炭素-炭素二重結合を水素還元反応した1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3-ジカルボン酸無水物を得ることで融点を下げる試みがなされている。しかしながら、融点を下げても室温で固体であることは変わらず、特許文献1と同様の生産性、ハンドリング性、エネルギー消費の課題は解決できていない。
【0008】
また、特許文献2では、1-イソプロピル-4-メチル-ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3-ジカルボン酸無水物にさらに1-イソプロピル-4・5-ジメチル-シクロヘキサン-2・3-ジカルボン酸無水物を80:20~20:80の重量比で混合することで常温にて液状の酸無水物にしている。しかしながら、1-イソプロピル-4・5-ジメチル-シクロヘキサン-2・3-ジカルボン酸無水物を混合することで耐熱性が低下してしまう。
【0009】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、23℃において液状である環状酸無水物硬化剤、硬化性樹脂組成物、並びに環状酸無水物とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、以下の[1]~[10]に示すものである。なお、本発明において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
下記式(A-a)で表される環状酸無水物と、下記式(A-b)で表される環状酸無水物と、下記式(A-c)で表される環状酸無水物とからなる環状酸無水物の混合物(A)と、前記環状酸無水物の混合物(A)とは異なる酸無水物(B)とを含有する環状酸無水物硬化剤(C)であって、
前記環状酸無水物硬化剤(C)総量中、前記環状酸無水物の混合物(A)の含有量が85重量%以上であり、
23℃において液状である環状酸無水物硬化剤(C)。
(【0011】以降は省略されています)

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