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公開番号2024124545
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-12
出願番号2024110033,2020080767
出願日2024-07-09,2020-04-30
発明の名称蛍光偏光免疫分析法および蛍光標識物質
出願人国立大学法人東北大学,Tianma Japan株式会社,国立大学法人北海道大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 33/533 20060101AFI20240905BHJP(測定;試験)
要約【課題】シングルドメイン抗体が蛍光色素で標識された蛍光標識物質を使用する蛍光偏光免疫分析法を提供する。
【解決手段】試料中の測定対象物質を分析するための蛍光偏光免疫分析法であって、前記測定対象物質に結合能を有するシングルドメイン抗体を蛍光色素で標識した蛍光標識物質を、前記試料に含まれる前記測定対象物質と結合させる結合工程、および前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を測定する測定工程、を含み、前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を、蛍光偏光度の下限側と上限側に飽和領域を有するシグモイド曲線を描くことにより測定する。測定対象物質を低濃度に含む試料や高分子量の測定対象物質を測定することができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
試料中の測定対象物質を分析するための蛍光偏光免疫分析法であって、
前記測定対象物質に結合能を有するシングルドメイン抗体を蛍光色素で標識した蛍光標識物質を、前記試料に含まれる前記測定対象物質と結合させる結合工程、および
前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を測定する測定工程、を含み、
前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を、蛍光偏光度の下限側と上限側に飽和領域を有するシグモイド曲線を描くことにより測定する、蛍光偏光免疫分析法。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記シングルドメイン抗体が、VHH抗体またはvNAR抗体である、請求項1記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項3】
前記蛍光色素は、フルオレセイン、ダンシル、ピレン、ローダミン、ジアルキルアミノナフタレン、ジアルキルアミノナフタレンスルホニル、インドレニン、およびルテニウムからなる群から選択される1以上である、請求項1記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項4】
前記蛍光色素は、蛍光寿命が1~3,000ナノ秒である、請求項1記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項5】
前記蛍光標識物質、前記試料、または前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質を含む試料をマイクロ流路に供給して、複数のマイクロ流路で複数の前記試料を同時に測定する蛍光偏光分析を行うものである、請求項1記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項6】
前記測定対象物質が、生物由来物質、医薬、またはウイルスである、請求項1記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項7】
試料中の測定対象物質を分析するための蛍光偏光免疫分析法であって、
シングルドメイン抗体のN末端に蛍光色素を結合した蛍光標識物質を、前記試料に含まれる前記測定対象物質と結合させる結合工程、および
前記蛍光標識物質、または前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質を含む前記試料を、マイクロ流路に供給して、前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を測定する測定工程、を含む蛍光偏光免疫分析法。
【請求項8】
前記測定工程では、複数の前記試料を複数の前記マイクロ流路に供給し、前記複数の前記試料における前記測定対象物質が結合した前記蛍光標識物質の蛍光偏光度変化を同時に測定する、請求項7記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項9】
前記蛍光偏光度変化に基づき検量線を使用し、前記試料に含まれる前記測定対象物質の濃度を10pM~10μMの範囲で測定する測定工程、を含む、請求項7記載の蛍光偏光免疫分析法。
【請求項10】
シングルドメイン抗体のN末端に蛍光色素を結合した蛍光標識物質。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、シングルドメイン抗体に蛍光色素を結合した蛍光標識物質を用いる蛍光偏光免疫分析法、および蛍光標識物質に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
蛍光を用いた免疫分析法として蛍光偏光免疫分析法がある。X.Q. Guo et al., Anal. Chem. 1998, 70, 632-637に記載されるように、蛍光偏光度と測定対象物質の体積との間には以下の関係がある。
(1/P-1/3)=(1/P0-1/3)(1+kTτ/ηV)
P:偏光度、P0:回転拡散が無い場合の偏光度、k:ボルツマン定数、η:溶液の粘度、T:絶対温度、τ:蛍光寿命、V:分子の体積
特許文献1には、抗体と比較して分子量の大きな物質に抗体(または抗原)を固定化した試薬を用いる方法であって、この試薬と蛍光標識された抗原(または抗体)との特異的抗原抗体反応によって大きな蛍光偏光度の変化が生じることを利用する蛍光偏光免疫分析法が記載されている。
【0003】
蛍光偏光免疫測定法を利用して、高分子量の物質を測定する方法もある(特許文献2)。測定対象物質に特異的に結合する抗体等に、蛍光寿命が10~200ナノ秒の蛍光色素を共有結合した蛍光標識タンパク質を使用する点に特徴がある。実施例では、蛍光色素として長寿命蛍光色素であるピレンブタン酸を使用し、測定対象物質に特異的に結合する抗体として抗HDLポリクローナル抗体を使用してHDLの検量線を作成し、測定対象物質に特異的に結合する抗体として抗LDLポリクローナル抗体を使用してLDL検量線を作成している。
【0004】
また、高分子量の物質を測定する方法として、蛍光標識物質と測定対象物質とが結合する前後の分子量変化を大きくするため、低分子化抗体を蛍光標識した蛍光標識物質を使用するものもある(特許文献3)。特許文献3では、低分子抗体として、少なくとも抗原認識部位を含むFabフラグメント、Fab’フラグメント、scFv抗体(single chain antibody)を記載する。実施例では、FabフラグメントとFITC(Fluorescein isothiocyanate)を反応させてFab標識化合物を調製し、これに各種濃度のヒト血清アルブミンを加えて蛍光偏光度を測定している。その結果、低濃度領域は2~3×10
-8
M(1~2μg/mL)程度まで測定可能であると記載する。
【0005】
ここにIgG抗体などは2本の重鎖と2本軽鎖とからなるY字型の抗体であり、重鎖および軽鎖はそれぞれ可変領域を有する。Fab抗体やscFv抗体は、このような抗体の一部で構成され、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを含んでいる。これに対し軽鎖を含まず、2本の重鎖がY字型に結合した重鎖抗体も存在する。重鎖抗体の各重鎖はそれぞれ可変領域を有する。可変領域は、F1~F4からなるフレームワーク領域とCDR1~CDR3からなる相補性決定領域(CDR:complementary determining region)とを含み、この可変領域を介して抗体と特異的に結合することができる。可変領域は、フレームワーク領域とCDRとによって抗原結合性を発揮するため、これらを単一のドメイン(以下、シングルドメインと称する。)とすれば、重鎖抗体は2つのシングルドメインを有している。ラクダ科動物の血清中には重鎖抗体が含まれ、重鎖の各可変領域はVHH(Variable domain of a heavy chain antibody)と称される。ラクダ由来のVHH抗体はシングルドメイン抗体である。特許文献4には、VHH抗体の熱安定化を目的として、VHH抗体の特定のアミノ酸をグリシン等で置換した熱安定性VHH抗体を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開平3-103765号公報
特許第3255293号公報
特開平11-44688号公報
特開2019-210267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
蛍光偏光免疫分析法は測定対象物質と結合する前後の蛍光標識物質の蛍光偏光度の変化を観察するものである。蛍光偏光度は分子量に依存するため、分子量の大きな蛍光標識物質を使用した高分子量の物質の測定は容易でない。特許文献2は、高分子量の測定対象物質(約50万以上)、例えばウイルス以上の大きさの測定対象物質(粒子として約20nm以上)を測定するため、長寿命蛍光色素であるピレンブタン酸を使用して蛍光標識物質を調製し、使用している。しかしながら長寿命蛍光色素は高価であり、フルオレセインなどの蛍光寿命が10ナノ秒以下の汎用性の高い蛍光色素で高分子量の物質を測定できる蛍光偏光免疫分析法の開発が望まれる。
【0008】
また、特許文献3では、低分子抗体を使用して2~3×10
-8
M程度まで測定可能と記載する。しかしながら、微量の試料での測定を可能するために、より低濃度でも検出することができる蛍光偏光免疫分析法の開発が望まれる。
【0009】
また、特許文献4は、熱安定性が高いVHH抗体を開示するが、変異体の調製を開示するものであり、蛍光偏光免疫分析法に使用した例はない。また、VHH抗体以外のシングルドメイン抗体に関する記載もない。
【0010】
また、微量の試料での測定を可能とするため、マイクロ流路を備えた測定機器が開発されている。マイクロ流路は半導体プロセスを用いて作製する数10~数100μm程度の流路を有するデバイスである。このマイクロ流路を用いた化学反応システムは、通常のバルクサイズの化学反応と比べて、大幅な反応時間の短縮、温度や濃度の優れた均一性に起因する安定した化学反応ができる利点がある。蛍光偏光免疫分析法で使用する装置は、蛍光偏光度に影響を与えない部材で構成される必要があり、ポリジメチルシロキサン(PDMS;Polydimethylsiloxane)が使用されることが多い。PDMSは石英ガラスに匹敵する透明度を持ち、自家蛍光性が低いため蛍光反応を利用する分析に適する。加えて、液状で粘度が低いためにサブミクロンからミクロンオーダーの微細加工も可能だからである。しかしながら、蛍光偏光免疫分析法は抗原抗体反応を利用するものである。蛍光標識物質や測定対象物質、およびそれらの結合物がPDMSに付着すると、正確な測定を行うことができない。
(【0011】以降は省略されています)

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