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公開番号2024115808
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-27
出願番号2023021656
出願日2023-02-15
発明の名称保護リレー装置
出願人三菱電機株式会社
代理人弁理士法人深見特許事務所
主分類H02H 3/05 20060101AFI20240820BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】保護リレー装置の異常時において、リレー要素の不要動作を防止することが可能な保護リレー装置を提供する。
【解決手段】保護リレー装置は、アナログ入力回路と演算処理部とを備える。演算処理部は、3相線路に流れる各相電流および零相電流の少なくとも1つに基づいてリレー演算を実行するリレー要素と、各相電流および零相電流のうちの少なくとも1つがアナログ入力回路のフルスケール値以上であるとの第1条件が成立するか否かを判定する第1判定部と、相電流加算値と零相電流との差分が第1閾値よりも大きいとの第2条件が成立するか否かを判定する第2判定部と、第1判定部の判定結果と、第2判定部の判定結果とに基づいて、リレー要素による保護信号の出力をロックする出力制御部とを含む。第1条件が成立せず、かつ第2条件が成立する場合、出力制御部は、保護信号の出力をロックする。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
電力系統における3相線路の電気量をディジタル変換するアナログ入力回路と、
ディジタル変換された電気量を用いて演算処理を実行する演算処理部とを備え、
前記演算処理部は、
前記3相線路に流れる各相電流および零相電流の少なくとも1つに基づいてリレー演算を実行するリレー要素と、
前記各相電流および前記零相電流のうちの少なくとも1つが前記アナログ入力回路のフルスケール値以上であるとの第1条件が成立するか否かを判定する第1判定部と、
前記各相電流を加算した相電流加算値と前記零相電流との差分が第1閾値よりも大きいとの第2条件が成立するか否かを判定する第2判定部と、
前記第1判定部の判定結果と、前記第2判定部の判定結果とに基づいて、前記リレー要素による前記電力系統を保護するための保護信号の出力をロックする出力制御部とを含み、
前記第1条件が成立せず、かつ前記第2条件が成立する場合、前記出力制御部は、前記保護信号の出力をロックする、保護リレー装置。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
第1の時間以上継続して前記第1条件および前記第2条件がともに成立している場合、前記出力制御部は前記保護信号の出力をロックする、請求項1に記載の保護リレー装置。
【請求項3】
第1の時間以上継続して前記第1条件が成立している場合、前記出力制御部は前記保護信号の出力をロックする、請求項1に記載の保護リレー装置。
【請求項4】
前記第1の時間は、前記電力系統の事故の最大継続時間よりも長い時間に設定される、請求項2または請求項3に記載の保護リレー装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記各相電流の実効値および前記零相電流の実効値のうちの少なくとも1つが前記フルスケール値以上である場合に、前記第1条件が成立したと判定し、
前記第2判定部は、前記差分の実効値が前記第1閾値よりも大きい場合に、前記第2条件が成立したと判定する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護リレー装置。
【請求項6】
前記第1判定部は、前記各相電流の瞬時値の絶対値および前記零相電流の瞬時値の絶対値のうちの少なくとも1つが前記フルスケール値以上である場合に、前記第1条件が成立したと判定し、
前記第2判定部は、前記差分の瞬時値の絶対値が前記第1閾値よりも大きい場合に、前記第2条件が成立したと判定する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護リレー装置。
【請求項7】
前記演算処理部は、前記各相電流の実効値および前記零相電流の実効値うちのいずれか1つの実効値が前記フルスケール値よりも小さい第2閾値以上であって、かつ残りの各実効値が前記第2閾値未満であるとの第3条件が成立するか否かを判定する第3判定部をさらに含み、
前記第1条件が成立し、前記第2条件が成立し、かつ前記第3条件が成立する場合、前記出力制御部は、前記保護信号の出力をロックする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護リレー装置。
【請求項8】
前記出力制御部は、前記保護信号の出力をロックする場合、前記アナログ入力回路の異常を示す警報を出力する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の保護リレー装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、保護リレー装置に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
従来、電力系統の運用を安定させるため、電力系統で発生した事故を検出する保護リレー装置が使用されている。保護リレー装置においては、その本体に異常がある場合には、当該異常を速やかに検出してリレー要素の動作をロックするとともに、異常警報を出力する必要がある。
【0003】
非特許文献1には、保護リレー装置本体の交流(例えば、電流または電圧)入力回路を監視する方法が開示されている。例えば、電流入力回路の監視方法の一つとして、以下の式(1)を用いた電流回路零相監視方式(I0導入有)が開示されている。
【0004】
|Ia+Ib+Ic-3I0|-α*max.(|Ia|,|Ib|,|Ic|)≧ε …(1)
式(1)において、|I|はIの実効値を示している。Ia,Ib,Icは、それぞれa相,b相,c相の電流を示し、3I0は零相電流を示し、αは比率係数(例えば、0.1)を示し、εは検出感度(例えば、CT定格電流の10%)を示している。電流が大きくなると保護リレー装置内の誤差が電流の大きさにほぼ比例することから、その比例誤差分を考慮した係数として比率係数αが用いられる。式(1)が一定時間継続して成立した場合にリレー異常が検出され、リレー装置の動作のロックおよび異常警報の出力が行なわれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
ディジタル形保護リレーおよび保護リレー装置 電力用規格B402 平成28年8月25日発行 日本電気協会
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
系統事故発生時には、保護リレー装置の電流入力回路のフルスケール(以下、「FS」とも称する。)を超える大きな事故電流が電流入力回路に入力される場合がある。この場合、4入力(すなわち、Ia,Ib,Ic,3I0)のうちの少なくとも1つがFSを超えると当該入力が正しく演算されないため、式(1)が成立してしまう可能性がある。
【0007】
そこで、FSを超える大電流の事故発生時に式(1)に基づくリレー要素の不要な動作ロックを防ぐために、一定時間(例えば、10秒)継続して式(1)が成立した場合に、電流入力回路の異常を検出するように構成されている。
【0008】
しかしながら、上記構成によると、系統事故ではなく保護リレー装置本体(例えば、電流入力回路)の異常が発生している場合であっても、式(1)が一定時間継続して成立しないと当該異常として確定できない。そのため、保護リレー装置本体の異常検出に基づくリレー要素の動作ロックの前に当該リレー要素が動作してしまい、結果として、保護リレー装置の不要動作を防止できないという問題があった。
【0009】
本開示のある局面における目的は、保護リレー装置の異常時において、保護リレー装置の不要動作を防止することが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある実施の形態に従う保護リレー装置は、電力系統における3相線路の電気量をディジタル変換するアナログ入力回路と、ディジタル変換された電気量を用いて演算処理を実行する演算処理部とを備える。演算処理部は、3相線路に流れる各相電流および零相電流の少なくとも1つに基づいてリレー演算を実行するリレー要素と、各相電流および零相電流のうちの少なくとも1つがアナログ入力回路のフルスケール値以上であるとの第1条件が成立するか否かを判定する第1判定部と、各相電流を加算した相電流加算値と零相電流との差分が第1閾値よりも大きいとの第2条件が成立するか否かを判定する第2判定部と、第1判定部の判定結果と、第2判定部の判定結果とに基づいて、リレー要素による電力系統を保護するための保護信号の出力をロックする出力制御部とを含む。第1条件が成立せず、かつ第2条件が成立する場合、出力制御部は、保護信号の出力をロックする。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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