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公開番号2024105987
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-08-07
出願番号2023010019
出願日2023-01-26
発明の名称トナー
出願人キヤノン株式会社
代理人個人,個人
主分類G03G 9/097 20060101AFI20240731BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】帯電立ち上がり性を有し低温低湿環境下での低印字間欠モードも安定した画像を形成できるトナー。
【解決手段】トナー粒子及びシリカ微粒子Aを有するトナーであって、(I)トナー粒子にホウ素原子に由来ピーク及びBO構造に由来ピークが検出され、トナーが、ドデシルベンゼンスルホン酸又はドデシルベンゼンスルホン酸塩を含有し、(II)シリカ微粒子Aに、ジメチルシロキサン構造に対応するフラグメントイオンが観測され、シリカ微粒子滴定操作を行ったとき、Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、0.10≦Sn≦0.80・・・(2)。(DDD/SDD)/Bが4.70×10-6以上1.40×10-3以下であり、更に(DCP/SCP)/Bが4.70×10-4以上1.00×10-2以下であり、(DCP/SCP)/(DDD/SDD)が3.00以上3.00×102以下であること。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
結着樹脂を含有するトナー粒子及びシリカ微粒子Aを有するトナーであって、
(I)該トナー粒子のTOF-SIMS測定において、ホウ素原子に由来するフラグメントピーク、及びホウ素-酸素構造に由来するフラグメントピークが検出され、
該トナーが、ドデシルベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、
(II)該シリカ微粒子AのTOF-SIMS測定において、下記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測され、
TIFF
2024105987000009.tif
36
63
(式(1)中、nは1以上の整数を示す。)
該シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し、水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、
0.10≦Sn≦0.80 ・・・(2)
(式(2)において、
aは、該シリカ微粒子Aを分散させた該混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH水溶液滴定量(L)であり、
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH水溶液滴定量(L)であり、
cは、滴定に用いたNaOH水溶液の濃度(mol/L)であり、
NAは、アボガドロ数であり、
dは、該シリカ微粒子の質量(g)であり、
eは、該シリカ微粒子のBET比表面積(nm
2
/g)である。)
該シリカ微粒子Aの固体
29
Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25ppm~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をD
DD
とし、-140ppm~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をS
DD
とし、シリカ微粒子のBET比表面積をB(m
2
/g)としたとき、
(D
DD
/S
DD
)のBに対する比の値(D
DD
/S
DD
)/Bが、4.70×10
-6
以上1.40×10
-3
以下であり、更に、
該シリカ微粒子Aの固体
29
Si-NMR CP/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25ppm~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をD
CP
とし、-140ppm~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をS
CP
としたとき、
(D
CP
/S
CP
)のBに対する比の値(D
CP
/S
CP
)/Bが、4.70×10
-4
以上1.00×10
-2
以下であり、
(D
CP
/S
CP
)の(D
DD
/S
DD
)に対する比の値(D
CP
/S
CP
)/(D
DD
/S
DD
)が、3.00以上3.00×10
2
以下であることを特徴とするトナー。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
前記ドデシルベンゼンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸塩の含有量(質量基準)が、前記トナーに対して10ppm以上1000ppm以下である、請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記トナーを誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)により測定したホウ素原子の存在量(質量基準)が、0.1ppm以上100ppm以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項4】
前記シリカ微粒子Aの一次粒子の個数平均粒径が、5nm以上50nm以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項5】
前記トナー中の前記シリカ微粒子Aの含有量が、前記トナー粒子100質量部に対して、0.2質量部以上2.0質量部以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項6】
前記シリカ微粒子AのBET比表面積が、15m
2
/g以上300m
2
/g以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項7】
前記トナー中のホウ素原子の存在量(質量基準)I
B
[ppm]及び前記トナー中のシリカ微粒子Aの含有量S
A
[質量部]と、(D
CP
/S
CP
)/Bとの関係が、下記式(7)を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
2.6×10
-5
≦{(D
CP
/S
CP
)/B}×S
A
/I
B
≦3.6×10
-3
・・・(7)
【請求項8】
前記ドデシルベンゼンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホン酸塩の含有量(質量基準)D[ppm]と前記トナー中のシリカ微粒子Aの含有量S
A
[質量部]、および(D
CP
/S
CP
)/Bの関係が、下記式(8)を満たす、請求項1又は2に記載のトナー。
7.7×10
3
≦D/{(D
CP
/S
CP
)/B}×S
A
≦1.9×10
6
・・・(8)
【請求項9】
前記トナーが、長径300nm以上3000nm以下、かつアスペクト比5.0以上50.0以下のチタン化合物粒子Bを含有する、請求項1又は2に記載のトナー。
【請求項10】
前記トナー中のホウ素原子の存在量(質量基準)I
B
[ppm]と、前記トナー中のチタン化合物粒子Bの含有量T[質量%]との関係が、下記式(9)を満たす、請求項9に記載のトナー。
5.0×10
-2
≦T/I
B
≦8.3・・・(9)
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法などの画像形成方法に用いられるトナーに関する。
続きを表示(約 3,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、複写機やプリンター等の画像形成装置は、使用目的及び使用環境の多様化が進むと共に、更なる高速化、高画質化が求められている。高速化と高画質化を同時に達成するためには、トナーの帯電立ち上がり性が重要となる。トナーの帯電立ち上がり性はトナーの帯電性及び流動性を高めることで向上することができる。
トナーの帯電性向上を目的として、特許文献1では、ジメチルジクロロシラン処理シリカのような帯電性及び流動性の高い外添剤を、トナーの表面に配置させる提案がなされている。
また、耐久性の観点で、光沢性や定着性を良化するアプローチもなされている。例えば、特許文献2においてホウ砂カップリングを使用するトナーも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2001-356521号公報
特許第6059251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1のような外添剤は、優れた帯電立ち上がり性が得られる一方で、使用形態によっては帯電性の制御が困難となる。例えば、低印字率かつ一度のプリント枚数が少ない、個人用プリンターの使用形態を想定したモード(以後、低印字間欠モード)を適用した場合、トナーの帯電機会が多くなるため、帯電性が過剰となりやすい。特に低温低湿環境下での低印字間欠モードではその傾向が顕著である。トナーの帯電性が過剰となると、後から現像部材に供給される帯電性の低いトナーと混ざり合った際、急激な帯電低下が起きるため、画像の一部が縦帯状に薄くなってしまう「縦方向濃度ムラ」という現象が起きる。
また、特許文献2では、帯電立ち上がり性向上効果が不十分であり、低温低湿環境下での性能を含め改良の余地を残している。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、優れた帯電立ち上がり性を有しつつ、低温低湿環境下での低印字間欠モードにおいても安定した画像を形成できるトナーを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子及びシリカ微粒子Aを有するトナーであって、
(I)該トナー粒子のTOF-SIMS測定において、ホウ素原子に由来するフラグメントピーク、及びホウ素-酸素構造に由来するフラグメントピークが検出され、
該トナーが、ドデシルベンゼンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸塩からなる群より選択される少なくとも一つを含有し、
(II)該シリカ微粒子Aの飛行時間型二次イオン質量分析における測定において、下記式(1)で示される構造に対応するフラグメントイオンが観測され、
【0006】
TIFF
2024105987000001.tif
36
63
(式(1)中、nは1以上の整数を示す。)
該シリカ微粒子2.00gをエタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液に分散し、水酸化ナトリウムを用いた滴定操作を行ったとき、
Sn={(a-b)×c×NA}/(d×e)で定義されるSnが、下記式(2)を満たし、
0.10≦Sn≦0.80 ・・・(2)
(式(2)において、
aは、該シリカ微粒子を分散させた該混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH水溶液滴定量(L)であり、
bは、エタノール25.0gと20質量%NaCl水溶液75.0gの混合液をpH9.0に調整するのに必要なNaOH水溶液滴定量(L)であり、
cは、滴定に用いたNaOH水溶液の濃度(mol/L)であり、
NAは、アボガドロ数であり、
dは、該シリカ微粒子の質量(g)であり、
eは、該シリカ微粒子のBET比表面積(nm
2
/g)である。)
該シリカ微粒子Aの固体
29
Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25ppm~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をD
DD
とし、-140ppm~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をS
DD
とし、シリカ微粒子のBET比表面積をB(m
2
/g)としたとき、
(D
DD
/S
DD
)のBに対する比の値(D
DD
/S
DD
)/Bが、4.70×10
-6
以上1.40×10
-3
以下であり、更に、
該シリカ微粒子Aの固体
29
Si-NMR CP/MAS法で得られるケミカルシフトにおいて、-25ppm~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をD
CP
とし、-140ppm~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をS
CP
としたとき、
(D
CP
/S
CP
)のBに対する比の値(D
CP
/S
CP
)/Bが、4.70×10
-4
以上
1.00×10
-2
以下であり、
(D
CP
/S
CP
)の(D
DD
/S
DD
)に対する比の値(D
CP
/S
CP
)/(D
DD
/S
DD
)が、3.00以上3.00×10
2
以下であることを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトナーによれば、優れた帯電立ち上がり性を有しつつ、低温低湿環境下での低印字間欠モードにおいても安定した画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
トナーの摩擦帯電量の測定に用いる装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
【0010】
〔本発明の特徴〕
トナーの帯電立ち上がり性を高めるためには、帯電性及び流動性の高いシリカ微粒子を外添剤としてトナー表面に存在させることが有効である。しかし、単純にそのようなシリカ微粒子を外添するだけでは、低温低湿環境下において低印字間欠モードで使用した場合、トナーの帯電性が過剰となり、縦方向濃度ムラが問題となる。本発明者らは上記課題の解決のため、シリカ微粒子表面及びトナー母粒子表面の適切な制御状態を鋭意検討した。その結果、ジメチルシロキサン構造を付与する表面処理剤により適正に処理され、かつ表面シラノール基の量が制御されたシリカ微粒子と、表面にドデシルベンゼンスルホン酸構造を有し、更にBO結合(ホウ素-酸素結合)を有するトナー粒子とを組み合わせることで、シリカ微粒子の高い帯電立ち上がり性を維持しつつ、過帯電を抑制できることが分かった。
(【0011】以降は省略されています)

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