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公開番号2024097118
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-18
出願番号2023000348
出願日2023-01-05
発明の名称流体の電気加熱装置
出願人日本製鉄株式会社
代理人弁理士法人樹之下知的財産事務所
主分類F24H 1/10 20220101AFI20240710BHJP(加熱;レンジ;換気)
要約【課題】流体の加熱効率の高効率化と加熱装置の小型化とを可能にする、流体の電気加熱装置を提供する。
【解決手段】導電性の加熱管が並行した複数本で多管構造の加熱部をなし、通電加熱により昇温した加熱管の管壁から内部を流れる被加熱流体を加熱する、流体の電気加熱装置であって、(a)加熱管の各々に被加熱流体を分配する流体供給ヘッダーと、(b)加熱管の各々から被加熱流体を回収する流体排出ヘッダーと、(c)流体供給ヘッダー及び流体排出ヘッダーの各々の加熱部側の壁部と一体的に構成され、複数の加熱管の両端部を片側ずつ電気的に短絡させる管端部短絡電極と、(d)流体供給ヘッダー及び流体排出ヘッダーの各々の本体部と管端部短絡電極との間で、互いを電気的に絶縁する絶縁体と、(e)加熱管の一端又は両端と、流体供給ヘッダー及び流体排出ヘッダーの一方又は双方との間で、加熱管の熱変形を吸収する導電性の伸縮器と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
導電性の加熱管が並行した複数本で多管構造の加熱部をなし、通電加熱により昇温した前記加熱管の管壁から内部を流れる被加熱流体を加熱する、流体の電気加熱装置であって、
前記流体の電気加熱装置は、
(a)前記加熱管の各々に前記被加熱流体を分配する流体供給ヘッダーと、
(b)前記加熱管の各々から前記被加熱流体を回収する流体排出ヘッダーと、
(c)前記流体供給ヘッダーおよび前記流体排出ヘッダーの各々の前記加熱部側の壁部と一体的に構成され、複数の前記加熱管の両端部を片側ずつそれぞれ電気的に短絡させる管端部短絡電極と、
(d)前記流体供給ヘッダーおよび前記流体排出ヘッダーの各々の本体部と、前記管端部短絡電極との間で、互いを電気的に絶縁する絶縁体と、
(e)前記加熱管の一端または両端と、前記流体供給ヘッダーおよび前記流体排出ヘッダーの一方または双方との間で、前記加熱管の熱変形を吸収する導電性の伸縮器と、
を備える、流体の電気加熱装置。
続きを表示(約 260 文字)【請求項2】
前記流体供給ヘッダーおよび前記流体排出ヘッダーに配設される前記管端部短絡電極のいずれか一方を、前記流体供給ヘッダーまたは前記流体排出ヘッダーから独立させ、可撓性導体と組み合わせて前記加熱管の端部を電気的に短絡させる分離型の管端部短絡電極とする、請求項1に記載の流体の電気加熱装置。
【請求項3】
前記流体供給ヘッダーから前記加熱部を経て前記流体排出ヘッダーまでの各構成要素部が不活性ガスを充満させるシールボックス内に配設される、請求項1または請求項2に記載の流体の電気加熱装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の電気加熱装置に関し、詳しくは高い加熱効率を有して小型化可能な流体の電気加熱装置に関するものである。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化対策のために、エネルギー効率の高効率化や二酸化炭素排出量の少ない燃料への転換が進められている。大規模で大容量の流体の加熱装置の分野では、従来より、種々なものが使用されており、数百℃というような高温加熱が必要な場合には、通常、燃焼ガスを利用したボイラ等の加熱装置が使用されている。しかし、燃焼ガスを使用するボイラ等の加熱装置は、加熱効率が高効率のものでも35%程度と効率の限界がある。また、流体を効率的に高温まで加熱するためには燃焼ガスの高温化とそれに伴う耐火断熱構造が必要であり、設備の大型化と高コスト化とが避けられないという問題がある。
【0003】
このような流体の加熱設備の小型化および加熱効率の効率化のいずれの問題に対しても、大電力を限られた空間に投入できる電気加熱手段が有利であるといえる。例えば、特許文献1には、図4の(a)縦断面図(ただし、発熱体62は、横断面図での記載より単純化して2本のみを記載)と(b)横断面図とで示すような、誘導加熱による流体の電気加熱装置60が開示されている。具体的には、発熱体62は、例えばSUS304からなる非磁性管62aおよび例えばSUS430からなる磁性体としての磁性管62bによって構成される。非磁性管62aの両端は、管支え板64、66で固定支持される。また、発熱体62の外側周囲には、図示しない交流電源に接続された誘導加熱コイル72が配設される。この誘導加熱コイル72は、円筒形状の内側断熱材68と外側断熱材70との間に介在し、内側断熱材68の両端が、管支え板64、66に固定支持されることにより、位置決めされる。管支え板64、66には、それぞれ流体入口ヘッダー74、流体出口ヘッダー76が設けられ、気体または液体の被加熱流体Aは、流体入口ヘッダー74から非磁性管62aを通って加熱されて流体出口ヘッダー76へと導かれる。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、磁性管62bは、被加熱流体Aが流れる非磁性管62aの外周面に接触しており、誘導加熱により磁性管62bにおいて生じた熱は磁性管62bから非磁性管62aに、非磁性管62aから被加熱流体に熱伝導している。そのため、非磁性管62aに比べ耐食性に劣る磁性管62bに被加熱流体が接触することがなく、耐食性が向上するとする。また、複数の発熱体62を、互いに平行に、且つ、誘導加熱コイル72内で互いに略均等間隔をもって分布して配置することで、流体の電気加熱装置60の大型化を抑えながら、有効に被加熱流体を加熱することもできるとする。
【0005】
また、特許文献2には、図5に示すような通電加熱による流体の電気加熱装置80が開示されている。その基本的な構成は、図5(a)に示すように、加熱管体82と、非加熱管体84と、管体継ぎ手86と、交流電源88とから「一加熱管体一電源」の構成である。加熱管体82は、通電により発熱する金属で形成される。この加熱管体82には、その一方の端部から他方の端部に電流を流す交流電源88が接続される。非加熱管体84は、加熱管体82の両端部に接続され、加熱管体82と同じ径寸法を有して、被加熱流体の流路をなす。管体継ぎ手86は、加熱管体82と非加熱管体84、84とを機械的に接続して流路を形成すると共に加熱管体82と非加熱管体84、84とを電気的に絶縁する。なお、加熱管体82を保持する支持台を必要とする場合には、図5(a)に示すように、支持台90と加熱管体82との間に電気絶縁体92を介在させる。
【0006】
特許文献2には、図5(b)、(c)に示すように、複数本の加熱管体82同士を接続する場合の実施形態も開示されている。図5(b)は、電気的絶縁性を有する管体継ぎ手86を使って加熱管体82同士を連結し、ジャンパー94によって加熱管体82同士を電気的に接続する場合の一例である。また、別法として、機械的に連結し且つ電気的にも接続するフランジを使って、加熱管体82同士を接続してもよいとする。あるいは、図5(c)に示すように、各加熱管体82を管体継ぎ手86で電気的に絶縁して、各加熱管体82毎に交流電源88を設けてもよいとする。
【0007】
このように、特許文献2に記載の流体の電気加熱装置80によれば、加熱管体82で被加熱流体の流路の少なくとも一部を構成するとともに、流体の流路自体を発熱手段として流体を直接電気加熱することにより、高いエネルギー効率で流体を加熱昇温することができるとする。具体的なエネルギー効率についての実験例としては、内径7mm、外形10.5mm、長さ8mのステンレス鋼管製の加熱管体に、60V、180Aの交流を流しながら、汚泥スラリーを流量80リットル/時間で流した例が示されている。この実験では、20℃から200℃まで約180℃昇温させることができ、加熱管体に与えた電気エネルギーの80~90%が汚泥スラリーの加熱に利用できたとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
特開2008-134041号公報
特開2000-213807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のようなソレノイドコイル状の誘導加熱コイル72の内側の発熱体62(磁性管62b)を加熱する場合には、次のような理由により、その加熱効率を向上させるには、限界があった。これは、誘導加熱コイル72により生じる磁束を、誘導加熱コイル内の発熱体(導体)に全て通すことは難しいからである。このような効率低下の要因を、図4(b)を参照しながら具体的に説明すると次のとおりである。
(ア)誘導加熱コイル72で発生した磁束は、誘導加熱コイル72の内側では、誘導加熱コイル72に近接した発熱体62の表層を貫通して誘導電流を起こすが、磁束の性質上、加熱に寄与する発熱体62の部位は誘導加熱コイル72側の半周程度に限られる。
(イ)一方、誘導加熱コイル72の内側の発熱体62の内、外側の発熱体62では、誘導加熱コイル72と反対の面側が、発熱体62自体の誘導加熱コイル72側の陰に隠れて、有効な磁束の貫通量が少なくなる。また中心側の発熱体62では、全体的に誘導加熱コイル72から離れており、加えて外側の発熱体62の陰に隠れる配置により、有効な磁束の貫通量が少ない。
(ウ)さらに、誘導加熱コイル72の外側の磁束は自由に放射されるため、発熱体62以外の周囲の金属に入る磁束も相当程度多い。
以上のとおり、ソレノイドコイル状の誘導加熱コイルにより生じる磁束の全てを、被加熱材に集中させることは困難であり、そのためにソレノイドコイル状の誘導加熱コイルでの加熱効率向上には限界があるという問題がある。
【0010】
また、特許文献2に記載のような流体の電気加熱装置80では、加熱管体82から被加熱流体への伝熱は、加熱管体82の内面からとなる。そのため、このような加熱装置で数百℃というような高温加熱を効率よく加熱する場合には、加熱管体を延長して伝熱面積を大きく確保する必要がある。しかし、加熱管体の延長は加熱装置の大型化に結びつきやすいことから、特許文献2に記載の発明による加熱装置の小型化には限界があるという問題がある。
(【0011】以降は省略されています)

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