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公開番号2024071270
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-24
出願番号2022182123
出願日2022-11-14
発明の名称Al-Mg-Si系アルミニウム合金板及びその製造方法
出願人株式会社神戸製鋼所
代理人弁理士法人栄光事務所
主分類C22C 21/02 20060101AFI20240517BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】中間焼鈍時の昇温速度や加熱温度を低くした場合であっても、優れた表面性状及び成形性を得ることができるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板を提供する。
【解決手段】Al-Mg-Si系アルミニウム合金板は、Si:0.50質量%以上1.60質量%以下、Mg:0.25質量%以上1.00質量%以下、Fe:0.05質量%以上0.50質量%以下、Mn:0.01質量%以上0.30質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.30質量%以下、を含有し、残部がAl及び不可避的不純物からなり、Si含有量を質量%で[Si]と表し、前記Mg含有量を質量%で[Mg]と表す場合に、[Mg]/[Si]が0.50超であり、Cube方位の面積率が9%以下であり、更に、表面を観察した場合に、円相当径が1.5μm以上である化合物の数密度が1000個/mm2以上10000個/mm2以下である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
Si:0.50質量%以上1.60質量%以下、
Mg:0.25質量%以上1.00質量%以下、
Fe:0.05質量%以上0.50質量%以下、
Mn:0.01質量%以上0.30質量%以下、
Cu:0.001質量%以上0.30質量%以下、を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量を質量%で[Si]と表し、前記Mg含有量を質量%で[Mg]と表す場合に、[Mg]/[Si]が0.50超であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板であって、
Cube方位の面積率が9%以下であり、
表面を観察した場合に、円相当径が1.5μm以上である化合物の数密度が1000個/mm

以上10000個/mm

以下であることを特徴とする、Al-Mg-Si系アルミニウム合金板。
続きを表示(約 1,200 文字)【請求項2】
Si:0.50質量%以上1.60質量%以下、
Mg:0.25質量%以上1.00質量%以下、
Fe:0.05質量%以上0.50質量%以下、
Mn:0.01質量%以上0.30質量%以下、
Cu:0.001質量%以上0.30質量%以下、を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量を質量%で[Si]と表し、前記Mg含有量を質量%で[Mg]と表す場合に、[Mg]/[Si]が0.50以下であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板であって、
Cube方位の面積率が12%以下であり、
表面を観察した場合に、円相当径が1.5μm以上である化合物の数密度が600個/mm

以上10000個/mm

以下であることを特徴とする、Al-Mg-Si系アルミニウム合金板。
【請求項3】
Si:0.50質量%以上1.60質量%以下、
Mg:0.25質量%以上1.00質量%以下、
Fe:0.05質量%以上0.50質量%以下、
Mn:0.01質量%以上0.30質量%以下、
Cu:0.001質量%以上0.30質量%以下、を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量を質量%で[Si]と表し、前記Mg含有量を質量%で[Mg]と表す場合に、[Mg]/[Si]が0.50超であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金鋳塊を用いて、請求項1に記載のAl-Mg-Si系アルミニウム合金板を製造する製造方法であって、
均質化熱処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、中間焼鈍工程及び溶体化処理工程を有し、
前記中間焼鈍工程における熱処理温度が500℃未満であるとともに、昇温速度が1℃/秒以下であることを特徴とする、Al-Mg-Si系アルミニウム合金板の製造方法。
【請求項4】
Si:0.50質量%以上1.60質量%以下、
Mg:0.25質量%以上1.00質量%以下、
Fe:0.05質量%以上0.50質量%以下、
Mn:0.01質量%以上0.30質量%以下、
Cu:0.001質量%以上0.30質量%以下、を含有し、
残部がAl及び不可避的不純物からなり、
前記Si含有量を質量%で[Si]と表し、前記Mg含有量を質量%で[Mg]と表す場合に、[Mg]/[Si]が0.50以下であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金鋳塊を用いて、請求項2に記載のAl-Mg-Si系アルミニウム合金板を製造する製造方法であって、
均質化熱処理工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、中間焼鈍工程及び溶体化処理工程を有し、
前記中間焼鈍工程における熱処理温度が500℃未満であるとともに、昇温速度が1℃/秒以下であることを特徴とする、Al-Mg-Si系アルミニウム合金板の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、表面性状及び成形性が良好であるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板、及び製造時のCO

排出量を低減することができるAl-Mg-Si系アルミニウム合金板の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、地球環境などへの配慮から、自動車車体の軽量化の社会的要求はますます高まってきている。かかる要求に答えるべく、自動車車体のうち、大型ボディパネル(アウタパネル、インナパネル)に、それまでの鋼板等の鉄鋼材料に代えて、アルミニウム合金材料を適用することが行われている。上記大型ボディパネルの内、特にアウタパネル(外板)については、Al-Mg-Si系のJIS6000系(以下、単に6000系ともいう。)アルミニウム合金板が使用されている。
【0003】
ところで、プレス成形を施した6000系アルミニウム合金板においては、リジングマークとよばれる筋状の模様や肌荒れ不良が生じやすいという課題がある。そこで、例えば特許文献1には、素材とするアルミニウム合金の組成が制御されているとともに、板に存在する結晶粒のCube方位密度(C)、ND回転Cube方位密度(N)、RD回転Cube方位密度(G)の値や、(N)と(C)との比、及び(G)と(C)との比を制御したアルミニウム合金板が開示されている。上記特許文献1によると、耐肌荒れ性と耐リジング性に優れた成形加工用アルミニウム合金板を得ることができることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、所定の組成を有するアルミニウム合金からなる鋳塊の均質化処理後における平均冷却速度、総冷間圧延率や熱間圧延前の保持条件等を制御し、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延する、成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法が開示されている。上記特許文献2によると、曲げ加工性、及び、耐リジング性に優れた成形加工用アルミニウム合金圧延板を製造することができることが記載されている。
【0005】
一方、自動車用外装用部材には、一般にプレス成形が施されることから、適用されるアルミニウム合金板には優れた成形性も求められる。特に、欧米の自動車メーカにおいては、成形性に優れるアウタパネルが求められており、板材の成形性を評価するための指標の1つであるランクフォード値(r値)の異方性(Δr)が小さい材料が要求されている。しかし、上記特許文献1及び2に記載のアルミニウム合金板又はアルミニウム合金圧延板の製造方法では、Cube方位以外の方位制御が不十分であり、r値の異方性が大きいか、又は平均r値が低いことが懸念される。
【0006】
また、特許文献3には、アルミニウム合金組成が制御されているとともに、ランクフォード値(r値)の異方性及び15%引張変形後の180°曲げ加工における内側限界曲げ半径を規定したアルミニウム合金板が開示されている。上記特許文献3によると、曲げ加工性及び塗装焼付硬化性に優れ、とくに自動車用外板に適した記載のアルミニウム合金板を得ることができることが記載されている。
【0007】
さらに、特許文献4には、アルミニウム合金板の組成が制御されているとともに、溶体化処理、焼入れ後において、Mg-Si系化合物の最大径が10μm以下、2~10μm径の化合物の数が1000個/mm

以下であり、所定の条件における内側限界曲げ半径が0.5mmであるアルミニウム合金板が開示されている。
【0008】
しかし、特許文献3に記載のアルミニウム合金板においても、r値は高い値を示しているものの、r値の異方性の値が高く、所望の成形性を得ることができない。また、特許文献4においては、r値の異方性が考慮されておらず、所望のr値異方性を得ることができない可能性がある。
【0009】
そこで、特許文献5には、アルミニウム合金組成が制御されているとともに、Cube方位密度分布、r値の平均値、r値の面内異方性指数の絶対値、平均結晶粒径、並びに時効後の耐力及び加熱後の耐力が規定されたアルミニウム合金板が開示されている。上記特許文献5によると、プレス成形性、フラットヘム加工が可能な曲げ加工性、形状凍結性、塗装焼付硬化性、及び耐食性のすべてに優れた自動車パネル用Al-Mg-Si系アルミニウム合金板を得ることができることが記載されている。
【0010】
さらに、特許文献6には、アルミニウム合金組成が制御されているとともに、Cupper方位、Brass方位、S方位、P方位、Q方位の合計ピーク強度が所定の範囲に限定されており、Cube方位面積率Wの標準偏差、及び最終調質後に放置した後の導電率が制御されたアルミニウム合金板が開示されている。上記特許文献6によると、プレス成形性、リジングマーク性、BH性に優れた6000系アルミニウム合金板が得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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