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公開番号2024059493
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-01
出願番号2022167186
出願日2022-10-18
発明の名称COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法、キットおよびバイオマーカーの使用
出願人国立大学法人大阪大学
代理人弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
主分類G01N 33/53 20060101AFI20240423BHJP(測定;試験)
要約【課題】COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法、キットおよびバイオマーカー等を実現する。
【解決手段】本開示のCOVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法は、被験体から採取された試料においてMACROH2A1タンパク質を検出する工程を含む。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
被験体から採取された試料においてMACROH2A1タンパク質を検出する工程を含む、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法。
続きを表示(約 150 文字)【請求項2】
MACROH2A1タンパク質を検出するための物品を備える、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価するためのキット。
【請求項3】
MACROH2A1タンパク質を含むバイオマーカーの、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価するための使用。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法、キットおよびバイオマーカーの使用に関する。
続きを表示(約 4,400 文字)【背景技術】
【0002】
2019年末より世界的に蔓延したコロナウイルス感染症(COVID-19)は、治療薬およびワクチンの開発が進められているにもかかわらず、感染爆発を繰り返し、医療のひっ迫を招いている。一般に、COVID-19患者の約80%が軽症のまま回復するが、残りの約10~20%が重症化するとされている。しかしながらCOVID-19に対する患者の応答は様々であるため、現在のところ、重症化リスクのある患者を予測するための有効な手段は見つかっていない。
【0003】
重症COVID-19患者の全身性免疫応答をより良く理解するために、いくつかの研究では、シングルセルRNAシークエンシング(scRNA-seq)、プロテオミクスおよびメタボロミクスを含むマルチオミクス解析が行われている。例えば非特許文献1では、末梢血単核細胞(PBMC)のscRNA-seqと血漿のプロテオミクスおよびメタボロミクスとを行い、異なるCOVID-19重症度の患者間での免疫応答の変化が明らかにされている。また、非特許文献2では、COVID-19患者の細胞外小胞(EV)のリピドミクスおよびプロテオミクスにより、疾患の異なるステージの間でのEVラフト脂質の代謝における変化が示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Su Y et. al., Cell. 183(6):1479-1495, 2020
Lam SM et. al., Nat Metab. ;3(7):909-922, 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来技術は、主に免疫細胞の調節障害に着目しており、十分な数のタンパク質をカバーしたプロテオミクスは行われていなかった。それゆえ、従来技術では、重症COVID-19の鍵となり、難治化を予測するために有用なバイオマーカーとなり得るタンパク質が十分に調査されていなかった。
【0006】
本発明の一態様は、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法、キットおよびバイオマーカー等を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、次世代プロテオミクス解析と、末梢血のシングルセル解析および肺のシングル核解析とを組み合わせることにより、MACROH2A1タンパク質が重症COVID-19のバイオマーカー候補となり得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明の一態様は、以下の構成を含む。
<1>被験体から採取された試料においてMACROH2A1タンパク質を検出する工程を含む、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法。
<2>MACROH2A1タンパク質を検出するための物品を備える、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価するためのキット。
<3>MACROH2A1タンパク質を含むバイオマーカーの、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価するための使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、COVID-19患者の重症化または難治化のリスクを評価する方法、キットおよびバイオマーカー等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施例におけるグループ2とグループ3とを比較する2376種の血清EVタンパク質のボルケーノプロット、および、グループ2とグループ3とを区別する12種のバイオマーカー候補タンパク質の主成分分析結果を示す図である。
実施例におけるグループ2とグループ3との比較において1.5を超える変化倍率で有意にアップレギュレーションされていたか0.67未満の変化倍率で有意にダウンレギュレーションされていたEVタンパク質についてIngenuity Pathway Analysisにより決定された上位10個のカノニカルパスウェイ、ならびに上位10個の疾患および機能を示す図である。
実施例におけるグループ2および3とグループ1とを比較する2376種の血清EVタンパク質のボルケーノプロット、および、グループ2および3とグループ1とを区別する174種のバイオマーカー候補タンパク質の主成分分析結果を示す図である。
実施例におけるグループ2および3とグループ1との比較において2を超える変化倍率で有意にアップレギュレーションされていたか0.5未満の変化倍率で有意にダウンレギュレーションされていたEVタンパク質についてIngenuity Pathway Analysisにより決定された上位10個のカノニカルパスウェイ、ならびに上位10個の疾患および機能を示す図である。
実施例におけるプロテオミクスで検出されたMACROH2A1タンパク質を含むタンパク質の原因調節分子および代表的な因果関係ネットワークを示す図である。
実施例において健常群およびCOVID-19患者群のノンターゲットプロテオミクス解析により決定されたMACROH2A1のレベルを表す図である。
実施例における健常群および重症COVID-19患者群(グループ2および3)の血清EVのイムノブロット結果を示す図である。
実施例におけるMACROH2A1によるCOVID-19重症度グループの診断に対するROC解析結果を示す図である。
実施例におけるCOVID-19患者および対照の肺組織切片の組織学的解析結果、ならびにMACROH2A1陽性細胞の割合を示す図である。
実施例において細胞集団ごとに、またはMACROH2A1のmRNA転写レベルによって着色した、COVID-19患者群および健常群のPBMCのUMAP可視化結果を示す図である。
実施例における各重症度での各細胞タイプの割合を示す図である。
実施例におけるPBMCの各細胞でのMACROH2A1遺伝子の発現を示すドットプロットを表す図である。
実施例におけるPBMCの各細胞での、示されたグループ間のMACROH2A1遺伝子の差次的発現解析結果を示す図である。
実施例における単球の各サブタイプでの、示されたグループ間のMACROH2A1遺伝子の差次的発現解析結果を示す図である。
実施例の致死COVID-19患者および対照群から得られた肺のsnRNAデータ解析結果を埋め込んだUMAP可視化結果を示す図である。
実施例における対照群およびCOVID-19患者群での図19の各細胞タイプの相対的寄与を示す棒グラフを表す図である。
実施例の対照群および致死COVID-19患者群におけるMACROH2A1遺伝子のRNA発現レベル(log正規化)によって着色したUMAP可視化結果を示す図である。
実施例における対照群およびCOVID-19患者群の各肺細胞でのMACROH2A1遺伝子の発現レベルを表すバイオリンプロットを示す図である。
実施例における単球およびマクロファージでのMACROH2A1遺伝子の差次的発現解析結果を示す図である。
実施例において1μg/mLのIFNγを用いて、または用いずに、1μg/mLのR848、100ng/mLのLPSまたは1μg/mLのPam3CSK4で48時間処理した後、PMAで分化させたTHP-1細胞のイムノブロット解析結果を示す図である。
実施例において1μg/mLのIFNγを用いて、または用いずに、示された濃度のTNFαで48時間処理した後、PMAで分化させたTHP-1細胞のイムノブロット解析結果を示す図である。
実施例の血清EVプロテオミクス、PBMCのscRNA-seqおよび肺組織のsnRNA-seqにおいて解析した分子ネットワークにおける上位10個のパスウェイを示す図である。
MACROH2A1遺伝子の上流の分子ネットワークであって、実施例におけるグループ2とグループ3との比較においてp<0.05、かつ変化倍率が1.5を超えるか、または0.67未満であるEVタンパク質の分子ネットワークを表す図である。
MACROH2A1遺伝子の上流の分子ネットワークであって、実施例におけるグループ2および3とグループ1との比較においてPBMC由来の単球のscRNA-seqの差次的発現解析において有意にアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされている遺伝子の分子ネットワークを表す図である。
MACROH2A1遺伝子の上流の分子ネットワークであって、実施例における対照と致死COVID-19との比較において肺由来の単球のsnRNA-seqの差次的発現解析において有意にアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされている遺伝子の分子ネットワークを表す図である。
MACROH2A1遺伝子の下流の分子ネットワークであって、実施例におけるグループ2とグループ3との比較においてp<0.05、かつ変化倍率が1.5を超えるか、または0.67未満であるEVタンパク質の分子ネットワークを表す図である。
MACROH2A1遺伝子の下流の分子ネットワークであって、実施例におけるグループ2および3とグループ1との比較においてPBMC由来の単球のscRNA-seqの差次的発現解析において有意にアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされている遺伝子の分子ネットワークを表す図である。
MACROH2A1遺伝子の下流の分子ネットワークであって、実施例における対照と致死COVID-19との比較において肺由来の単球のsnRNA-seqの差次的発現解析において有意にアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションされている遺伝子の分子ネットワークを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態について、以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。遺伝子名について本明細書中では便宜的に斜字体で表記しないが、図面中では斜字体で表記する。
(【0011】以降は省略されています)

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