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公開番号2024052354
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2022159018
出願日2022-09-30
発明の名称超高分子ガンマ-ポリグルタミン酸、該ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株及び該バチルス属細菌変異株のスクリーニング方法
出願人国立大学法人神戸大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類C12N 15/01 20060101AFI20240404BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】平均分子量2000万以上の超高分子ガンマ-ポリグルタミン酸を提供する。該超高分子γ-PGAを産生可能なバチルス属細菌変異株を提供する。該超高分子γ-PGAを産生可能なバチルス属細菌変異株のスクリーニング方法等を提供する。
【解決手段】バチルス属細菌変異株を作製し、平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸を産生させる。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
次の工程(I)~(III)を含む、平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株のスクリーニング方法:
(I)次の工程(I-1)又は(1-2)
(I-1)PgsBCA及びPgdSを発現可能なバチルス属細菌を培地で培養する工程、
(I-2)バチルス属細菌とポリヌクレオチドとを混合し、培地で培養する工程、
(II)前記工程(I)で培養して得た培養物を平板培地に接種し、コロニーを形成させる工程、
(III)前記工程(II)で形成させたコロニーから光沢を有するコロニーを選択する工程、
ここで、工程(I-2)において、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsA断片をコードする塩基配列を有し、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsB断片をコードする塩基配列を有し、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsC断片をコードする塩基配列を有し、且つ、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来PgdS断片をコードする塩基配列を有する、及び/又は、工程(II)においてバチルス属細菌由来PgdSタンパク質存在下でコロニーを形成させる。
【請求項3】
更に、前記工程(III)で選択したコロニーを培養し、培養物中のガンマ-ポリグルタミン酸の平均分子量を決定する工程を含む、
請求項2に記載のスクリーニング方法。
【請求項4】
バチルス属細菌が枯草菌である、請求項2又は3に記載するスクリーニング方法。
【請求項5】
請求項2又は3に記載するスクリーニング方法により得られたバチルス属細菌変異株を培養する工程を含む、平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸の製造方法。
【請求項6】
平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株。
【請求項7】
バチルス属細菌変異株が、以下の(A)及び(B)を備える枯草菌変異株である、請求項6に記載のバチルス属細菌変異株:
(A)PgsBCAを発現する、
(B)PgsAが次の(B1)~(B4)のいずれかに示すアミノ酸配列からなる、
(B1)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から56番目までのアミノ酸配列、
(B2)前記(B1)に記載する1番目から56番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、
(B3)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から368番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、
(B4)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から380番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
超高分子ガンマ-ポリグルタミン酸、該ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株及び該バチルス属細菌変異株のスクリーニング方法等に関する。
続きを表示(約 3,300 文字)【背景技術】
【0002】
納豆菌をはじめとする一部のバチルス属(Bacillus)細菌は、γ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)を産生できることが知られている。γ-PGAは、L体とD体のγ-グルタミン酸からなるγ-LD-ポリグルタミン酸(γ-LD-PGA)である。バチルス属細菌がγ-PGA生産する目的のひとつとして高塩条件等の外部ストレスへの適応が挙げられる。γ-PGAは粘性を有しており、細胞の周囲に粘性のあるγ-PGAを排出することで、外部ストレスから細胞を保護しているといわれている。代表的なバチルス属細菌の一種である枯草菌(Bacillus subtilis)は、グラム陽性菌のモデル微生物として知られており、その安全性と遺伝子操作の簡便性から研究が進んでいる。
【0003】
このようなバチルス属細菌では、PgsB、PgsC、PgsA及びPgsEの4つのタンパク質から構成されるγ-PGA合成酵素複合体PgsBCAEによってγ-PGAが産生されることが知られている。しかし、γ-PGA産生には、これらのうちPgsEは必須ではなく、PgsBCAの発現で十分であることが確認されている。一方、PgsBCAのうちPgsAの必要性については矛盾した報告が散見され、例えば、γ-PGA生産には、PgsB、PgsC及びPgsAの全てが必須であるとの報告ある一方で、PgsAは必須ではないという報告もある。PgsAは必須ではないという報告の例として、特許文献1には、プラスミドを用いてPgsBCのみを発現する組換え微生物を作製したところ、γ-PGAが生産されたことが報告されている。
【0004】
特許文献2には、平均分子量500万以上の超高分子γ-PGAが得られたこと、特に平均分子量1500万の超高分子γ-PGAも得られたことが報告されているが、一般的には、γ-PGAの平均分子量は数万~500万程度であるとの報告が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2009-89708号公報
【0006】
特開2008-202043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平均分子量2000万以上の超高分子ガンマ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)を提供することを目的とする。また、平均分子量2000万以上の超高分子γ-PGAを産生可能なバチルス属細菌変異株を提供することを目的とする。また、平均分子量2000万以上の超高分子γ-PGAを産生可能なバチルス属細菌変異株のスクリーニング方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、かねてよりバチルス属細菌やγ-PGAについて鋭意検討を重ねていたところ、γ-PGAを生産するバチルス属細菌において、D体グルタミン酸とL体グルタミン酸、あるいは、L体グルタミン酸とL体グルタミン酸との間の結合を切断する機能を持つ分解酵素PgdSを過剰発現させると、γ-LD-PGAが分解されるためにコロニーは光沢を失うものの、光沢を失わないコロニーが出現することを見出した。また、このように出現したコロニーについて更に調べたところ、PgdSの欠失によりコロニーが出現したと思われる株もみられたが、それ以外に、PgdSが欠失していないにもかかわらずコロニーを形成可能であると思われる株が認められ、これらは全てγ-L-PGAを生産可能であり且つPgsAをコードするアミノ酸配列又は塩基配列に変異を持つ変異株であることを見出した。本発明は該知見に基づき更に検討を重ねて完成されたものであり、本開示は例えば下記に代表される発明を包含する。
項1.平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸。
項2.次の工程(I)~(III)を含む、平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株のスクリーニング方法:
(I)次の工程(I-1)又は(1-2)
(I-1)PgsBCA及びPgdSを発現可能なバチルス属細菌を培地で培養する工程、
(I-2)バチルス属細菌とポリヌクレオチドとを混合し、培地で培養する工程、
(II)前記工程(I)で培養して得た培養物を平板培地に接種し、コロニーを形成させる工程、
(III)前記工程(II)で形成させたコロニーから光沢を有するコロニーを選択する工程、
ここで、工程(I-2)において、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsA断片をコードする塩基配列を有し、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsB断片をコードする塩基配列を有し、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来pgsC断片をコードする塩基配列を有し、且つ、
バチルス属細菌とポリヌクレオチドの少なくとも一方が、バチルス属細菌由来PgdS断片をコードする塩基配列を有する、及び/又は、工程(II)においてバチルス属細菌由来PgdSタンパク質存在下でコロニーを形成させる。
項3.更に、前記工程(III)で選択したコロニーを培養し、培養物中のガンマ-ポリグルタミン酸の平均分子量を決定する工程を含む、
項2に記載のスクリーニング方法。
項4. バチルス属細菌が枯草菌である、項2又は3に記載するスクリーニング方法。
項5.項2~4のいずれか一項に記載するスクリーニング方法により得られたバチルス属細菌変異株を培養する工程を含む、平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸の製造方法。
項6.平均分子量2000万以上のガンマ-ポリグルタミン酸を産生するバチルス属細菌変異株。
項7.バチルス属細菌変異株が、以下の(A)及び(B)を備える枯草菌変異株である、項6に記載のバチルス属細菌変異株:
(A)PgsBCAを発現する、
(B)PgsAが次の(B1)~(B4)のいずれかに示すアミノ酸配列からなる、
(B1)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から56番目までのアミノ酸配列、
(B2)前記(B1)に記載する1番目から56番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、
(B3)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から368番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列、
(B4)配列番号1で表されるアミノ酸配列の1番目から380番目までのアミノ酸配列において1又は複数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列。
【発明の効果】
【0009】
平均分子量2000万以上の超高分子γ-PGA及びその製造方法を提供することができる。平均分子量2000万以上の超高分子γ-PGAを産生するバチルス属細菌変異株のスクリーニング方法を提供することができる。平均分子量2000万以上の超高分子γ-PGAを産生するバチルス属細菌変異株を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、配列番号1及び2を示す。
図2は、配列番号3及び4を示す。
図3は、配列番号5及び6を示す。
図4は、配列番号7及び8を示す。
図5は、試験例1の株の構築手順を示す。
図6は、試験例1の株の構築手順を示す。
図7は、試験例1で作製した変異株が産生するγ-PGAの平均分子量を示す。
図8は、試験例2のDNA断片の構築手順を示す。
図9は、試験例2で得た変異株を示す。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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