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公開番号2024002334
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-01-11
出願番号2022101454
出願日2022-06-23
発明の名称浸炭二相鋼
出願人大同特殊鋼株式会社
代理人個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20231228BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】歪が小さく、かつ、疲労強度が高く、製造が容易な浸炭二相鋼を提供する。
【解決手段】浸炭二相鋼は、質量%で、0.10%以上0.35%以下の炭素(C)、0%より大きく2.0%以下のケイ素(Si)、0.4%以上2.0%以下のマンガン(Mn)、0.03%未満のリン(P)、0.05%未満の硫黄(S)、0%より大きく2.0%以下のクロム(Cr)、0.015以上2.000%以下のアルミニウム(Al)、0.005%以上0.100%以下のニオブ(Nb)、0.001%以上0.100%以下の窒素(N)、を含み、残部が鉄(Fe)及び不可避的不純物である化学組成を有し、マルテンサイト単相組織である浸炭層と、マルテンサイト組織とフェライト組織の二相組織である非浸炭層とを備える。
【選択図】図3


特許請求の範囲【請求項1】
質量%で、
C:0.10%以上0.35%以下、
Si:0%より大きく2.0%以下、
Mn:0.4%以上2.0%以下、
P:0.03%未満、
S:0.05%未満、
Cr:0%より大きく2.0%以下、
Al:0.015%以上、2.000%以下、
Nb:0.005%以上0.100%以下、
N:0.001%以上0.100%以下、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物である化学組成を有し、
マルテンサイト単相組織である浸炭層と、マルテンサイト組織とフェライト組織の二相組織である非浸炭層と、を備える、浸炭二相鋼。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
質量%で、
Cu:0.01%以上1.00%以下、または、
Ni:0.01%以上2.00%以下、
の少なくとも1種をさらに含む化学組成を有する、請求項1記載の浸炭二相鋼。
【請求項3】
質量%で、
Mo:0.01%以上1.00%以下、
をさらに含む化学組成を有する、請求項1記載の浸炭二相鋼。
【請求項4】
質量%で、
V:0.01%以上0.50%以下、または、
Ti:0.005%以上0.200%以下、
の少なくとも1種をさらに含む化学組成を有する、請求項1記載の浸炭二相鋼。
【請求項5】
質量ppmで、
B:5ppm以上30ppm以下
をさらに含む化学組成を有する、請求項1記載の浸炭二相鋼。
【請求項6】
旧オーステナイト結晶粒の結晶粒度番号が7番以上である、請求項1記載の浸炭二相鋼。
【請求項7】
前記非浸炭層におけるフェライトの面積率が、15%以上70%以下である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の浸炭二相鋼。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、マルテンサイト単相組織である浸炭層と、マルテンサイト組織とフェライト組織の二相組織である非浸炭層とを備え低歪の鋼材に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のギヤ等、鋼材を用いて作製される機械装置には、従来から、その稼働時に発生する機械音の静粛性の向上が求められてきた。とりわけ、自動車の分野では、近年、その原動機の電動化に伴い、駆動系の機械装置に対する静粛性の向上の要求がより一層大きくなってきている。
【0003】
機械音の静粛性の向上は、例えば、歯車等の機械要素を構成する鋼材の歪を低減し、かつ、鋼材の疲労強度を高めて、その設計精度を高めることにより実現可能である。ここでの「鋼材の歪」とは、下記の特許文献1~3に記載されているような、鋼材の製造工程において行われる熱処理による表面加工の際に生じる応力に起因する歪を意味している。
【0004】
鋼材の熱処理としては、例えば、浸炭焼入れ処理が知られている。しかしながら、この浸炭焼入れ処理は、マルテンサイト変態を伴うため、マルテンサイトの生成に起因する応力により、鋼材の内部に大きな歪が生じる可能性がある。
【0005】
その他の熱処理としては、例えば、軟窒化処理や窒化処理が知られている。軟窒化処理や窒化処理であれば、マルテンサイト変態を伴わないため、その処理に起因して鋼材に歪が発生することを抑制することはできる。しかしながら、軟窒化処理や窒化処理によって得られる硬化層の厚みは、鋼材の表層から0.2mm程度であるため、厚みの大きい機械要素を構成する鋼材には適さず、歯車などの機械要素に求められる疲労強度が十分に得られない可能性がある。
【0006】
鋼材表層の硬化層の厚みを確保でき、かつ、鋼材内部の歪を低減できる熱処理としては、例えば、下記の特許文献1,2に開示されているような浸炭二相焼入れがある。浸炭二相焼入れによれば、表層をマルテンサイト組織の単相とし、内部をフェライト組織とマルテンサイト組織の二相組織とする浸炭二相焼入鋼を得ることができる。浸炭二相焼入鋼によれば、表層に厚みの大きい硬化層を形成して疲労強度を高めるこができ、内部に、マルテンサイト変態に起因した歪が発生することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開平9-111405号公報
特開2001-32036号公報
特開2012-001774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の特許文献1の技術では、浸炭二相鋼を得るためにケイ素(Si)を過剰に添加する手法が用いられているが、Siは粒界酸化を助長し、浸炭二相鋼の疲労強度を著しく低下させる可能性がある。そのため、特許文献1の技術では、強度の確保と歪の低減の両立が困難であった。また、特許文献2に記載されている浸炭二相鋼では、各元素の含有割合の条件が複雑であり、設計の自由度が極めて低く、その製造は決して容易ではない。このように、浸炭二相焼入れに適し、歪が小さく、かつ、疲労強度が高い浸炭二相鋼の組成成分については、これまで十分な研究がなされてきたとは言えず、依然として改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、マルテンサイト単相組織である浸炭層と、マルテンサイト組織とフェライト組織の二相組織である非浸炭層とを備え、歪が小さく、かつ、疲労強度が高い浸炭二相鋼のより簡易な製造方法について鋭意研究を重ねてきた。その結果、本発明の発明者は、アルミニウム(Al)の含有割合を調整することにより、マルテンサイト組織とフェライト組織を含む二相領域を広げることができ、浸炭二相鋼を得るための浸炭二相焼入れを容易化できるとの知見を得た。また、本発明の発明者は、Alとともにニオブ(Nb)を所定の割合で含有させることにより、浸炭二相鋼の疲労強度を効果的に高めることができるとの知見を得た。本発明の発明者は、それらの知見に基づいて、以下の形態に示すような、製造が容易な簡素な化学組成を有し、歪が小さく、かつ、疲労強度が高い浸炭二相鋼の製造に成功した。
【0010】
本発明は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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