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公開番号2025127770
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-02
出願番号2024024673
出願日2024-02-21
発明の名称磁性線材および磁性線材の製造方法
出願人大同特殊鋼株式会社,日本精線株式会社
代理人弁理士法人上野特許事務所
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250826BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】材料の厚みを極端に薄くすることなく、透磁率等の磁気特性に優れ、かつ高磁場でも磁化の飽和を起こしにくい軟磁性材料を提供する。またそのような軟磁性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金の線材として構成され、線材の軸線方向に沿った断面において、軸線方向と<111>方向の間の角度差が10°以内である結晶組織が占める割合が20%以上となっている、磁性線材とする。また、40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金材を伸線して線材を得る伸線工程と、伸線工程で得られた線材に対して、熱処理を行う熱処理工程と、を実施し、伸線工程における減面率をRed(%)、伸線後の線材の線径をφ(mm)として、Red・φを49以上とする、磁性線材の製造方法とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金の線材として構成され、
前記線材の軸線方向に沿った断面において、前記軸線方向と<111>方向の間の角度差が10°以内である結晶組織が占める割合が20%以上となっている、磁性線材。
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
0.3質量%以上0.7質量%以下のMnをさらに含有する、請求項1に記載の磁性線材。
【請求項3】
線径が0.1mm以上30mm以下である、請求項1または請求項2に記載の磁性線材。
【請求項4】
40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金材を伸線して線材を得る伸線工程と、
前記伸線工程で得られた前記線材に対して、熱処理を行う熱処理工程と、を実施し、
前記伸線工程における減面率をRed(%)、伸線後の前記線材の線径をφ(mm)として、Red・φを49以上とする、磁性線材の製造方法。
【請求項5】
前記合金材はさらに、0.3質量%以上0.7質量%以下のMnを含有する、請求項4に記載の磁性線材の製造方法。
【請求項6】
前記伸線工程において、前記線材の線径φを0.1mm以上30mm以下とする、請求項4または請求項5に記載の磁性線材の製造方法。
【請求項7】
前記伸線工程において、減面率Redを、85%以上とする、請求項4または請求項5に記載の磁性線材の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理工程において、前記線材を700℃以上の温度で加熱する、請求項4または請求項5に記載の磁性線材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性線材および磁性線材の製造方法に関し、さらに詳しくは、パーマロイより構成され、集合組織が制御された磁性線材およびその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
パーマロイPEをはじめとして、パーマロイは、高磁束密度かつ高透磁率を実現可能な軟磁性材料であることから、センサ等、各種機器に搭載される磁心やヨーク等の構成材料として、広く用いられている。特に、特許文献1等にも記載されるように、帯材として、集合組織を制御することで、磁気特性を向上させることができる。例えば、パーマロイPE帯を製造する際に、圧下率95%以上で冷間加工した後、1000℃以上の温度で熱処理を行うことで、磁化容易軸である<100>方位が圧延方向に配向した再結晶集合組織を得ることができる。そのようにして得られるパーマロイPE帯は、減磁曲線における角形比が90%以上と高くなりやすく、環状巻磁心や積層鉄心等の形で、可飽和トランスのコア材等の用途に好適に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特公平7-98975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のとおり、90%以上の角形比等、優れた磁気特性を、パーマロイ帯材に付与するためには、圧下率95%以上のように、高圧下率で冷間加工を施す必要があり、得られる帯材の厚さが小さくなってしまう。すると、厚さを必要とする製品を製造するためには、多数の帯材を積層する必要が生じる。例えば、近年の電気自動車の大電流化に対応して、自動車に搭載される可飽和トランスや電流センサのコア材において、大きな磁束を通す必要が生じており、多数のパーマロイ帯材を積層した積層鉄心が用いられている。そのように多数の帯材を積層するほど、積層の工程が煩雑になるため、製品の製造コストが増大してしまう。また、パーマロイ帯材を薄く形成するほど、渦電流による損失が大きくなりやすい。例えば、近年、ワイヤレス給電システムの普及に伴い、給電率向上を目的として、受電コイルの裏側に配置する軟磁性バックヨークの需要が拡大しており、その用途にもパーマロイ帯材が用いられている。しかし、給電システムは、85kHz等、高周波域で駆動されるため、パーマロイ帯材における渦電流損失、およびそれに伴う発熱が、問題となりやすい。このように、パーマロイ帯材に高圧下率での加工を施すと、磁束密度や角形比等の磁気特性は向上するものの、帯材が薄くなることで、多層での積層の必要性や、渦損失の増大等の問題が大きくなってしまう。材料の厚みを極端に小さくすることなく、高い磁気特性を発揮できる軟磁性材料の開発が望まれる。
【0005】
さらに、パーマロイ帯材においては、磁化容易軸である<100>方向が圧延方向に配向しやすい。そのことが、高磁束密度や高透磁率等、高い磁気特性を、パーマロイ帯材に与える要因となる。一方で、磁化容易軸が圧延方向に配向することにより、低磁場で磁化が飽和しやすくなる。よって、大電流センサ等、高磁場でも軟磁性材料が容易に磁化の飽和を起こさないことが望まれる用途には、パーマロイ帯を使用するのは困難である。高磁場でも磁化が飽和しにくい軟磁性材料を得ることができれば、それら高磁場が生じる用途に、好適に用いることができる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、材料の厚みを極端に薄くすることなく、透磁率等の磁気特性に優れ、かつ高磁場でも磁化の飽和を起こしにくい軟磁性材料を提供すること、およびそのような軟磁性材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための軟磁性材料および軟磁性材料の製造方法として、本発明にかかる磁性線材および磁性線材の製造方法は、以下の構成を有する。
[1]本発明にかかる磁性線材は、40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金の線材として構成され、前記線材の軸線方向に沿った断面において、前記軸線方向と<111>方向の間の角度差が10°以内である結晶組織が占める割合が20%以上となっている。
【0008】
[2]上記[1]の態様で、前記磁性線材はさらに、0.3質量%以上0.7質量%以下のMnを含有してもよい。
【0009】
[3]上記[1]または[2]の態様で、前記磁性線材の線径が0.1mm以上30mm以下であるとよい。
【0010】
本発明にかかる軟磁性材料の製造方法は、以下の構成を有する。
[4]本発明にかかる磁性線材の製造方法は、40質量%以上50質量%以下のNiを含有し、残部Feおよび不可避的不純物よりなる合金材を伸線して線材を得る伸線工程と、前記伸線工程で得られた前記線材に対して、熱処理を行う熱処理工程と、を実施し、前記伸線工程における減面率をRed(%)、伸線後の前記線材の線径をφ(mm)として、Red・φを49以上とする。
(【0011】以降は省略されています)

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