発明の詳細な説明【技術分野】 【0001】 本発明は、非接触電力伝送によって電力を多段伝送する非接触電力伝送装置に関する。 続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】 【0002】 近年、電力伝送に配線を用いない非接触電力伝送が多く用いられるようになってきている。そのような非接触電力伝送の設計において様々な課題が存在する中の一つに出力制御がある。多くの出力制御では、出力側の情報を無線通信によって送電側にフィードバックする手法が採用されているが、無線通信の遅延や不確実性などが制御システムの構築を困難にするという問題がある。このような背景の中、制御機構なしに、負荷変動に対して出力(例えば、電圧や電流)を一定にしようとする「負荷非依存技術」がある。 【0003】 負荷非依存技術の中の一つに、「負荷非依存のインバータ」と呼ばれる技術がある(例えば、非特許文献1参照)。これは、インバータの中に複数の共振回路を構成することにより、負荷変動が生じても出力電流または出力電圧が一定となる回路である。また、この回路では、負荷変動に対し常にソフトスイッチングが達成される。 【0004】 この負荷非依存のインバータを用いたワイヤレス給電システムも提案されており、例えば、非特許文献2では、負荷非依存インバータに結合部、出力回路を接続することにより、出力電流が一定となるワイヤレス給電システムが開発されている。 【0005】 また、この負荷非依存のインバータを用いた多段の非接触電力伝送において、送電部や受電部の共振形態を適切に選択することによって、例えば、すべての整流部の出力が電圧一定または電流一定になるようにしたり、複数の整流部が交互に電圧一定、電流一定になるようにしたりすることができる(例えば、特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0006】 特開2022-127021号公報 【非特許文献】 【0007】 R. E. Zulinski, K. J. Grady, "Load-independent class E power inverters: part I. theoretical development," IEEE Trans. Circ. Syst. -I, vol. 37, no. 8, pp. 1010-1018, August 1990 S. Aldhaher, D. C. Yates, P. D. Mitcheson, "Load-independent class E/EF inverters and rectifiers for MHz-switching applications," IEEE Trans. Power Electron., vol.33, no.10, pp. 8270-8287, October 2018 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 負荷非依存のインバータを用いた多段の非接触電力伝送においては、定常状態において、負荷が変動したとしても、一定出力電圧または一定出力電流を実現することができる。ここで、コイルやコンデンサを含む回路では、一般にそのインダクタンスやキャパシタンスの大きさに応じて定常状態に至るまでの時間、すなわち過渡状態における時定数が異なる。負荷非依存インバータを用いた多段の非接触電力伝送においても、電源投入直後の過渡状態において、電力の出力先の回路において定常状態よりも大きな電流、すなわち突入電流が流れることがある。また、その突入電流によって、電力の出力先の回路の故障や動作不良等を引き起こす可能性もある。 【0009】 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、非接触電力伝送装置の立ち上げ時に発生する突入電流に起因する回路の故障や動作不良等が起こらないようにすることができる非接触電力伝送装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 上記目的を達成するため、本発明の一態様による非接触電力伝送装置は、非接触電力伝送によって電力を多段伝送する非接触電力伝送装置であって、負荷非依存動作をさせるべく負荷変動に対して自動的にソフトスイッチングを達成するインバータと、インバータからの交流電力を非接触で送電する送電部を有する第1段のユニットと、前段のユニットから非接触で電力を受電する受電部、及び後段のユニットに非接触で電力を送電する送電部を有する第2段から第N-1段の整流ユニットと、第N-1段の整流ユニットから非接触で電力を受電する受電部を有する第N段の整流ユニットと、を備え、Nは3以上の整数であり、第2段から第N段の整流ユニットは、非接触電力伝送された交流電力を整流して出力する整流部と、整流部から出力された直流電力によって動作する動作回路と、動作回路と同じインピーダンスを有するダミー抵抗と、整流部からの直流電力が動作回路及びダミー抵抗のいずれか一方に出力されるように切り替えるスイッチと、を備え、スイッチは、非接触電力伝送装置の立ち上げ時には、整流部からの直流電力をダミー抵抗に出力し、非接触電力伝送装置の立ち上げ後に、整流部からの直流電力が動作回路に出力されるように切り替えられる、ものである。 (【0011】以降は省略されています) この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する