TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025110367
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-28
出願番号2024161088
出願日2024-09-18
発明の名称鋼板及び鋼管並びに鋼板の製造方法
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C22C 38/00 20060101AFI20250718BHJP(冶金;鉄または非鉄合金;合金の処理または非鉄金属の処理)
要約【課題】降伏強度が300MPa以上、耐SSC性及び耐HIC性に優れた鋼板を提供する。
【解決手段】表面から深さ0.1mmの位置の金属組織が、面積率で、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で70~98%を含み、平均粒径が30.0μm以下であり、表面から深さ0.5mmの位置の金属組織が、面積率で、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で75~95%を含み、鋼板の板厚をtとしたとき、鋼板の、表面から深さ2t/5の位置の金属組織が、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で、50~97%含み、平均粒径が20.0μm以下であり、鋼板の表面から深さ1.0mmまでの範囲である表層部における最高硬さであるHvmaxが220Hv以下であり、降伏比が70%以上である鋼板を採用する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
化学組成として、質量%で、
C :0.030~0.070%、
Si:0.005~0.500%、
Mn:0.80~1.65%、
P :0.015%以下、
S :0.0015%以下、
Al:0.010~0.070%、
Ti:0.004~0.018%、
Nb:0.005~0.050%、
Ca:0.0010~0.0050%、
N :0.0020~0.0070%、
Ni:0~0.50%、
Mo:0~0.50%、
Cr:0~0.50%、
Cu:0~0.50%、
V :0~0.100%、
Mg:0~0.0100%、
REM:0~0.0100%、
B :0~0.0030%、
O :0.0040%以下、
残部:Fe及び不純物、からなる鋼板であり、
前記鋼板は、
下記式(1)で定義されるCeqが0.200~0.500の範囲内であり、
下記式(2)で定義されるNPIPが、1.00以下であり、かつ、
下記式(3)で定義されるNPIMが1.5×10
-5
以上であり、
表面から深さ0.1mmの位置の金属組織が、面積率で、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で70~98%を含み、平均粒径が30.0μm以下であり、
表面から深さ0.5mmの位置の金属組織が、面積率で、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で75~95%を含み、
前記鋼板の板厚をtとしたとき、前記鋼板の表面から深さ2t/5の位置の金属組織が、ポリゴナルフェライト、グラニュラーベイナイトの1種又は2種を面積率の合計で、50~97%含み、平均粒径が20.0μm以下であり、
前記鋼板の表面から深さ1.0mmまでの範囲である表層部における最高硬さであるHvmaxが220Hv以下であり、
降伏比が70%以上である、鋼板。
Ceq=[C]+[Mn]/6+([Cu]+[Ni])/15+([Cr]+[Mo]+[V])/5 ・・・(1)
NPIP=[Ti]/[N]×0.29 ・・・(2)
NPIM=[Ti]×[N] ・・・(3)
ここで、上記式(1)~(3)中の[C]、[Mn]、[Cu]、[Ni]、[Cr]、[Mo]、[V]は、それぞれ、前記鋼板中のC、Mn、Cu、Ni、Cr、Mo、V、Ti、Nの質量%での含有量を示す。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記化学組成は、下記式(4)で定義されるESSPが1.0以上15.0以下の範囲内となる、請求項1に記載の鋼板。
ESSP=[Ca]×(1-124×[O])/(1.25×[S]) ・・・(4)
ここで、上記式(4)中の[Ca]、[O]、[S]は、それぞれ、前記鋼板中のCa、O、Sの質量%での含有量を示す。
【請求項3】
前記表面から深さ2t/5の位置の前記金属組織が、面積率で、ポリゴナルフェライトを、50%以上含む、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項4】
前記化学組成のうち、
Ni:0.05~0.50%、
Mo:0.05~0.50%、
Cr:0.05~0.50%、
Cu:0.05~0.50%、
V :0.010~0.100%、
Mg:0.0001~0.0100%、
REM:0.0001~0.0100%のうちの1種または2種以上を含有する、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項5】
前記化学組成のうち、
Ni:0.05~0.50%、
Mo:0.05~0.50%、
Cr:0.05~0.50%、
Cu:0.05~0.50%、
V :0.010~0.100%、
Mg:0.0001~0.0100%、
REM:0.0001~0.0100%のうちの1種または2種以上を含有する、請求項3に記載の鋼板。
【請求項6】
前記鋼板の表面から深さ1.0mmまでの範囲である表層部における最高硬さであるHvmaxが200Hv以下である、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項7】
降伏強度が、300~600MPaである、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項8】
水素圧200気圧の高圧水素環境で1000時間保持した後の破壊靭性値が55MPa√m以上である、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項9】
板厚が、10~40mmの範囲内である、請求項1または請求項2に記載の鋼板。
【請求項10】
請求項1または請求項2に記載の鋼板からなる母材部と、溶接部とを有する鋼管。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板及び鋼管並びに鋼板の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
近年、油井やガス井(以下、「油井」と総称することがある。)の掘削深度は、ますます深くなる傾向にある。これに伴い、油井用鋼管には高強度化が要求されている。また、油井用鋼管は、腐食性ガスを含む酸性の厳しい環境(高圧硫化水素環境)に曝されるので、硫化物応力割れ(Sulfide Stress Cracking、以下「SSC」ということがある。)や、水素誘起割れ(Hydrogen Induced Cracking、以下「HIC」ということがある。)が問題になる。また、油やガスを輸送するパイプラインに使用される鋼管も、油井から生産された腐食性ガスに曝される。そのため、パイプラインに使用される鋼管(ラインパイプ)にも、耐硫化物応力割れ性(耐SSC性)及び耐水素誘起割れ性(耐HIC性)が要求される。以下、耐硫化物応力割れ性(耐SSC性)及び耐水素誘起割れ性(耐HIC性)を、「耐サワー性」と総称することがある。
【0003】
SSCやHICは、主に、介在物や溶接部の近傍で発生する。そのため、従来、高強度と耐サワー性とが要求される用途には、主に、シームレス鋼管が使用されていた。また、高圧の硫化水素環境下では、普通鋼や低合金鋼ではなく、ステンレス鋼管や、高合金鋼管が使用されていた。しかしながら、最近では、製造コスト削減の観点から、高圧の硫化水素環境下で使用可能な、安価な鋼管が要望されている。
【0004】
また、ラインパイプ用鋼管には、薄肉化による材料の節約や、製品重量の軽量化のため、高強度化が要求されている。しかしながら、高強度化を目的として、合金元素の添加量を増加したり、高能率溶接のために入熱量を増大したりすると、溶接熱影響部(HAZ)の低温靱性が低下する。
【0005】
高圧の硫化水素環境下での耐サワー性を高める手法として、例えば、非特許文献1には、125ksi級の高強度油井管において、(a)非金属介在物を微細分散させて孔食を防止する、(b)ナノサイズの炭化物を活用し、高温焼戻しで転位密度を低減する、(c)M3Cの球状化と粗大炭化物M23C6の生成防止とによって粒界炭化物の形態を改善する、等の組織制御が提案されている。非特許文献1には、これらの手法を適用して開発した鋼の耐SSC性を、環境条件を変えて評価し、開発鋼が従来鋼より優れた性能を有することが開示されている。
【0006】
しかしながら、非特許文献1はシームレス鋼管に関するものであり、トランクラインなどに使用される大径溶接鋼管に適用できないという課題があった。また、非特許文献1のシームレス鋼管は、パイプラインに使用される鋼管に重要な特性である溶接性が劣る等、適用範囲が限定されるという課題もあった。
【0007】
これに対し、特許文献1及び非特許文献2には、耐サワー性には硬さが影響するとの知見に基づいて母材部及び溶接部の硬さを220Hv以下に規定した、耐サワー性に優れた溶接鋼管又はこの鋼管用の鋼板について、提案されている。
【0008】
また、特許文献2には、質量%で、中心偏析部の硬さを示す指標であるCP値(=4.46×[%C]+2.37×[%Mn]/6+(1.74×[%Cu]+1.7×[%Ni])/15+(1.18×[%Cr]+1.95×[%Mo]+1.74×[%V])/5+22.36×[%P])が1.0以下で、鋼組織がベイナイト組織であり、板厚方向の硬さのばらつきΔHVが30以下で、かつ、板幅方向の硬さのばらつき(ΔHV)が30以下である、耐サワーラインパイプ用高強度鋼板が提案されている。
【0009】
また、特許文献3には、金属組織がベイナイト組織であり、板厚方向の硬さのばらつきがΔHv10で25以下であり、板幅方向の硬さのばらつきがΔHv10で25以下であり、鋼板表層部の最高硬さがHv10で220以下である、鋼板内の材質均一性に優れた耐サワーラインパイプ用高強度鋼板が提案されている。
【0010】
また、特許文献4には、鋼板表面から板厚方向に1mmまでの範囲の金属組織が、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種又は2種からなり、板厚中心部から板厚方向に±1mmの範囲の金属組織において、焼戻しマルテンサイト、焼戻しベイナイトの中から選ばれる1種又は2種からなる主相が面積率で80%以上であり、主相以外の残部がフェライト、パーライト、セメンタイト、残留オーステナイトの中から選ばれる1種以上からなり、更に、鋼板表面から板厚方向に1mmの位置の硬度がビッカース硬さで250HV以下、鋼板表面から1mmの位置と板厚中心部との硬度差がビッカース硬さで60HV以下である、耐水素誘起割れ性に優れた調質鋼板が提案されている。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

日本製鉄株式会社
鋼材
8日前
日本製鉄株式会社
線材
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼線
1か月前
日本製鉄株式会社
角形鋼管
24日前
日本製鉄株式会社
柱梁接合部
23日前
日本製鉄株式会社
圧延H形鋼
24日前
日本製鉄株式会社
直流電気炉
1か月前
日本製鉄株式会社
直流電気炉
1か月前
日本製鉄株式会社
金属溶解方法
1か月前
日本製鉄株式会社
転炉吹錬方法
25日前
日本製鉄株式会社
転炉吹錬方法
25日前
日本製鉄株式会社
鋼管用ねじ継手
23日前
日本製鉄株式会社
直流電気溶解炉
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼線及びロープ
24日前
日本製鉄株式会社
鋼線及び撚り線
24日前
日本製鉄株式会社
高炉の操業方法
1か月前
日本製鉄株式会社
パネル用支持具
23日前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
4日前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
3日前
日本製鉄株式会社
ステンレス鋼材
3日前
日本製鉄株式会社
パネル用支持具
23日前
日本製鉄株式会社
補強H形鋼有孔梁
1か月前
日本製鉄株式会社
溶銑の予備処理方法
25日前
日本製鉄株式会社
制御装置及び制御方法
1か月前
日本製鉄株式会社
ガス漏洩部の補修方法
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼板及び鋼板の製造方法
17日前
日本製鉄株式会社
浅絞り成形品の製造方法
3日前
日本製鉄株式会社
鉄道用安全確認支援システム
1日前
日本製鉄株式会社
スポット溶接継手の性能推定方法
1か月前
日本製鉄株式会社
金属缶の製造方法及び金型セット
10日前
日本製鉄株式会社
金属缶の製造方法及び金型セット
10日前
日本製鉄株式会社
鋼板及び鋼管並びに鋼板の製造方法
5日前
日本製鉄株式会社
ヤード検査ロボットおよびプログラム
1か月前
日本製鉄株式会社
鋼材、及び、ガス浸炭機械構造用部品
24日前
日本製鉄株式会社
処理装置、処理方法、およびプログラム
23日前
日本製鉄株式会社
処理装置、処理方法、およびプログラム
25日前
続きを見る