TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
10個以上の画像は省略されています。
公開番号2025086942
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-10
出願番号2023201230
出願日2023-11-29
発明の名称高偏極化対象物、並びに、その製造方法、高偏極化方法及び高偏極化装置
出願人国立大学法人徳島大学,国立大学法人大阪大学
代理人個人,個人,個人
主分類G01N 24/12 20060101AFI20250603BHJP(測定;試験)
要約【課題】偏極源を添加でき、十分な縦緩和時間を実現できる、トリプレットDNPによる高偏極化の対象である分子を含む高偏極化対象物、並びに、その製造方法、高偏極化方法及び高偏極化装置を提供する。
【解決手段】高偏極化対象物100は、第1分子102、第2分子104及び偏極源108を含み、第1分子及び第2分子の少なくとも一方は、トリプレットDNPにより原子核スピンを高偏極化させる対象であるターゲット分子であり、第1分子及び第2分子のうち、ターゲット分子でない分子はコフォーマ分子であり、第1分子及び第2分子は、六角形の構造を有する超分子シントンである結合部106を含む共結晶の結晶構造を構成しており、偏極源は、結晶構造のうちの一部を置換する位置に配置されている。
【選択図】図1

特許請求の範囲【請求項1】
第1分子、第2分子及び偏極源を含み、
前記第1分子及び前記第2分子の少なくとも一方は、トリプレットDNPにより原子核スピンを高偏極化させる対象であるターゲット分子であり、
前記第1分子及び前記第2分子のうち、前記ターゲット分子でない分子はコフォーマ分子であり、
前記第1分子及び前記第2分子は、六角形の構造を有する超分子シントンを含む共結晶の結晶構造を構成しており、
前記偏極源は、前記結晶構造のうちの一部を置換する位置に配置されている、高偏極化対象物。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
前記超分子シントンは、acid-acid、acid-amide、又は、amide-amideの超分子シントンを含む、請求項1に記載の高偏極化対象物。
【請求項3】
前記ターゲット分子は、安息香酸、サリチル酸、3-ニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、イソニコチンアミド、4-メチルベンズアミド、サリチルアミド、ベンズアミド、ピコリンアミド、アスピリン又はエテンザミドである、請求項1又は請求項2に記載の高偏極化対象物。
【請求項4】
前記超分子シントンは、acid-amideの超分子シントンであり、
前記第1分子及び前記第2分子の組合せは、サリチル酸及びベンズアミド、サリチル酸及びピコリンアミド、又は、3-ニトロ安息香酸及びベンズアミドのいずれかである、請求項3に記載の高偏極化対象物。
【請求項5】
前記第1分子及び前記第2分子の組合せは、サリチル酸及びサリチルアミドである、請求項3に記載の高偏極化対象物。
【請求項6】
前記第1分子及び前記第2分子の組合せは、安息香酸と、4-メチルベンズアミド、サリチルアミド又はペンタフルオロ安息香酸との組合せである、請求項3に記載の高偏極化対象物。
【請求項7】
前記ターゲット分子は、アスピリンであり、
前記コフォーマ分子は、ペンタフルオロ安息香酸である、又は、
前記ターゲット分子は、エテンザミドであり、
前記コフォーマ分子は、ペンタフルオロ安息香酸、3-ニトロ安息香酸又はサリチル酸である、請求項3に記載の高偏極化対象物。
【請求項8】
第1コフォーマ分子及び第2コフォーマ分子と、トリプレットDNPにより原子核スピンを高偏極化させる対象であるターゲット分子と、偏極源とを含み、
前記第1コフォーマ分子及び前記第2コフォーマ分子は、六角形の構造を有する超分子シントンを含む共結晶の結晶構造を構成しており、
前記ターゲット分子は、分子間力により前記第1コフォーマ分子及び前記第2コフォーマ分子、又は、前記第1コフォーマ分子に結合されており、
前記偏極源は、前記結晶構造の一部を置換する位置に配置されている、高偏極化対象物。
【請求項9】
前記超分子シントンは、acid-acid、acid-amide、又は、amide-amideの超分子シントンを含む、請求項8に記載の高偏極化対象物。
【請求項10】
前記ターゲット分子は、安息香酸、サリチル酸、ピコリン酸、酢酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ピルビン酸、蟻酸又は尿素である、請求項8又は請求項9に記載の高偏極化対象物。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、原子核スピンを高度に偏極させる対象である高偏極化対象物、並びに、その製造方法、高偏極化方法及び高偏極化装置に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
NMR(Nuclear Magnetic Resonance)分光は化学分析において、MRI(Magnetic Resonance Imaging)は医療診断において、それぞれなくてはならないツールである。これらの感度を向上できる方法の一つである動的核偏極(以下、DNP(Dynamic Nuclear Polarization)ともいう)が近年盛んに研究されている。
【0003】
NMR分光及びMRIにおいては、強い静磁場の下において物質中の原子核スピン(以下、単に核スピンともいう)を精密に制御し、核スピン間の相互作用などにより変調された電磁波信号(NMR信号)から分子レベルの豊富な情報を読出す。NMR信号の感度は偏極率に比例するが、超電導磁石によって印加される数T(テスラ)から数十Tの強磁場の下においても、核スピンのゼーマンエネルギーは非常に低い。このゼーマンエネルギーは、室温の熱エネルギーより5桁も小さいため、核スピンの向きが静磁場の方向に偏っている割合(偏極率)は10
-5
~10
-6
(0.001~0.0001%)程度と極めて低く、共鳴する核スピンのうち検出信号に寄与する核スピンの割合は極めて小さい。したがって、NMR分光及びMRIの感度を向上させるには、核スピンの偏極率を高くすることが重要である。本明細書において「高偏極」とは、原子核スピンの偏極率が室温における偏極率を超える状態を意味する。
【0004】
1K近くの極低温及び3Tを超える高磁場下においてDNPを行うことにより、数%から数十%の核スピン偏極率を実現できる。しかし、そのための装置は、高額かつ大型である問題があった。それに対して、下記特許文献1及び非特許文献1には、偏極源としてペンタセンを添加した安息香酸とターゲット分子とを混合して共晶を形成し、これを用いてトリプレットDNPを実行することが開示されている。これにより、試料を極低温に冷却することなく、室温環境における高偏極化を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2019/039477号
【非特許文献】
【0006】
Akinori Kagawa, et al., “Dynamic Nuclear Polarization using Photoexcited Triplet Electron Spins in Eutectic Mixtures”, Phys. Chem. A, 2018, 122, 50, 9670-9675
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
偏極源が添加された固体内に偏極が拡散するには、縦緩和時間が十分に長い(例えば、10秒から100秒以上)ことが必要である。また、原薬に用いられる種々の分子を高偏極化できれば、医薬品開発に有効である。しかし、偏極源であるペンタセンは、難溶性であり、添加できる分子の種類が限られている問題がある。
【0008】
したがって、本発明は、偏極源を添加でき、十分な縦緩和時間を実現できる、トリプレットDNPによる高偏極化の対象である分子を含む高偏極化対象物、並びに、その製造方法、高偏極化方法及び高偏極化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の第1の局面に係る高偏極化対象物は、第1分子、第2分子及び偏極源を含み、第1分子及び第2分子の少なくとも一方は、トリプレットDNPにより原子核スピンを高偏極化させる対象であるターゲット分子であり、第1分子及び第2分子のうち、ターゲット分子でない分子はコフォーマ分子であり、第1分子及び第2分子は、六角形の構造を有する超分子シントンを含む共結晶の結晶構造を構成しており、偏極源は、結晶構造のうちの一部を置換する位置に配置されている。これにより、結晶構造に偏極源を取込むことができる。したがって、ターゲット分子の原子核スピンは、トリプレットDNPにより原子核スピンが高偏極化され得る。また、十分な縦緩和時間を実現できる。
【0010】
(2)上記(1)において、超分子シントンは、acid-acid、acid-amide、又は、amide-amideの超分子シントンを含むことができる。これにより、結晶構造にペンタセンなどの偏極源を容易に取込むことができ、トリプレットDNPにより、ターゲット分子の原子核スピンを効率的に高偏極化できる。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

国立大学法人徳島大学
ゼオライトの製造方法
1か月前
国立大学法人徳島大学
光位相変調モジュール
3か月前
JFEスチール株式会社
リン化合物の製造方法
3か月前
株式会社マルイ
透気測定装置、透気測定方法、及び透気測定システム
2か月前
国立大学法人徳島大学
高偏極化対象物、並びに、その製造方法、高偏極化方法及び高偏極化装置
1か月前
ナノミストテクノロジーズ株式会社
使用環境に対する超音波振動子の寿命を検出する超音波霧化システム
2か月前
国立大学法人徳島大学
器具の洗浄方法、原液処理装置および原液処理装置の操作方法
2か月前
国立大学法人徳島大学
腐敗菌情報検索方法、システム及びデータ構造並びにそのデータ構造を用いる食品安全・衛生管理システム及び方法
5か月前
日本精機株式会社
計器装置
1か月前
株式会社東光高岳
計器
29日前
株式会社豊田自動織機
産業車両
4日前
株式会社ミツトヨ
測定器
26日前
日本精機株式会社
液面検出装置
1か月前
株式会社国際電気
試験装置
11日前
個人
センサーを備えた装置
1日前
大和製衡株式会社
組合せ秤
1か月前
大和製衡株式会社
組合せ秤
1か月前
日本精機株式会社
施工管理システム
1日前
株式会社東芝
センサ
今日
大同特殊鋼株式会社
疵検出方法
26日前
エグゼヴィータ株式会社
端末装置
27日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
27日前
日本特殊陶業株式会社
ガスセンサ
27日前
株式会社CAST
センサ固定治具
4日前
株式会社田中設備
報知装置
5日前
富士電機株式会社
エンコーダ
28日前
オムロン株式会社
スイッチング装置
11日前
富士電機株式会社
エンコーダ
28日前
日本装置開発株式会社
X線検査装置
14日前
バイオテック株式会社
容器設置装置
27日前
柳井電機工業株式会社
部材検査装置
27日前
タカノ株式会社
試料分析装置
26日前
WOTA株式会社
液位検出システム
11日前
株式会社熊平製作所
刃物類判別装置
4日前
タカノ株式会社
試料分析装置
26日前
個人
ヨウ素滴定を用いたアミノ酸の定量方法
8日前
続きを見る