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公開番号
2025067703
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-04-24
出願番号
2023177885
出願日
2023-10-13
発明の名称
リポソームの作製方法及びリポソーム
出願人
国立大学法人東京農工大学
代理人
弁理士法人太陽国際特許事務所
主分類
B01J
13/04 20060101AFI20250417BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】従来のリポソームの作製方法と比較してより簡便なリポソームの作製方法を提供する。
【解決手段】油相において、脂質一重膜によって内水相が覆われた油中水滴を形成することと、前記油相と前記油相に接する外水相とが油水界面を形成することと、前記油相と、前記内水相と、前記外水相との3相が接する境界点において、前記油相と前記外水相との油水界面にかかる界面張力σ
OW2
と、前記内水相と前記外水相との界面にかかる界面張力σ
W1W2
とが前記外水相側において成す角度をα
2
とした場合のcosα
2
が、0≦cosα
2
≦1を満たすことと、前記油中水滴が、前記油水界面を、前記油相から前記外水相の方向へ通過することにより、脂質二重膜によって前記内水相が覆われたリポソームを形成することと、を含む、本開示のリポソームの作製方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
油相において、脂質一重膜によって内水相が覆われた油中水滴を形成することと、
前記油相と前記油相に接する外水相とが油水界面を形成することと、
前記油相と、前記内水相と、前記外水相との3相が接する境界点において、前記油相と前記外水相との油水界面にかかる界面張力σ
OW2
と、前記内水相と前記外水相との界面にかかる界面張力σ
W1W2
とが前記外水相側において成す角度をα
2
とした場合のcosα
2
が、下記式(1)を満たすことと、
前記油中水滴が、前記油水界面を、前記油相から前記外水相の方向へ通過することにより、脂質二重膜によって前記内水相が覆われたリポソームを形成することと、
を含む、リポソームの作製方法。
0≦cosα
2
≦1 式(1)
続きを表示(約 1,100 文字)
【請求項2】
前記油相はアニオン性リン脂質を含有し、前記油相における前記アニオン性リン脂質の濃度は1mg/ml以上である、請求項1に記載のリポソームの作製方法。
【請求項3】
前記アニオン性リン脂質は1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール))]及び1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールの少なくとも一方を含有する、請求項2に記載のリポソームの作製方法。
【請求項4】
前記リポソームの直径の変動係数は10%以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のリポソームの作製方法。
【請求項5】
前記リポソームは直径15μm~55μmの単分散のリポソームである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のリポソームの作製方法。
【請求項6】
マイクロ流路構造を用いる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のリポソームの作製方法。
【請求項7】
前記マイクロ流路構造は、
少なくとも1つの内水相用入口流路と、
前記内水相用入口流路の下流に接続される少なくとも2つの油相用入口流路と、
前記油相用入口流路の下流に接続される少なくとも1つの外水相用入口流路と、
前記外水相用入口流路の下流に接続される少なくとも1つの出口と、を有し、
前記内水相用入口流路から内水相を、前記油相用入口流路から油相を、前記外水相用入口流路から外水相を、それぞれ連続的に導入することを含む、
請求項6に記載のリポソームの作製方法。
【請求項8】
前記油相用入口流路から導入された油相と前記外水相用入口流路から導入された外水相とにより、前記油水界面が形成される、請求項7に記載のリポソームの作製方法。
【請求項9】
前記外水相用入口流路より下流において、前記油相及び前記外水相はそれぞれ独立して層流を形成することと、
前記内水相と、前記油相と、前記外水相の連続的な導入を停止することにより、前記外水相用入口流路より下流において、前記油中水滴が、前記層流の界面を、前記油相から前記外水相の方向へ、dewetting現象により自発的に通過することと、
を含む、請求項7又は請求項8に記載のリポソームの作製方法。
【請求項10】
前記リポソームの直径は、前記内水相用入口流路から導入される内水相と前記油相用入口流路から導入される油相との圧力比により調節される、請求項7又は請求項8に記載のリポソームの作製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、リポソームの作製方法及びリポソームに関する。
続きを表示(約 3,300 文字)
【背景技術】
【0002】
リポソームは、脂質二重膜で構成される自己組織化された球状構造体である。リポソームは、細胞及び自然界の小胞と構造が類似しているため、科学、医学、及び産業の分野で大きな注目を集めている。例えば、リポソームは、膜輸送プロセス、膜変形、小胞の分裂及び融合、細菌の細胞分裂、イムノアッセイ、バイオセンサー、並びにリポソーム-ナノチューブネットワーク等の、様々な科学研究においてツールとして利用されている。特に近年では、標的分子を単一分子レベルで封入するためのマイクロコンパートメントとして、又は、生体分子を合成するためのバイオリアクターとしても、リポソームが利用されている。さらに、リポソームは、薬物送達及び遺伝子送達のための効率的なドラッグデリバリーシステム(DDS)として応用することが注目されている。このように、リポソームは様々な利用方法があることから、リポソームの作製方法に対するニーズは高い。
【0003】
例えば、特許文献1には、少なくとも部分的に多重膜部分を有する単分散であるリポソームの作製方法が記載されている。より詳細には、特許文献1は、はじめにwater-in-oil-in-water(W/O/W)液滴を形成し、その後W/O/W液滴から油相を除去する、というリポソームの作製方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2013-255912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたリポソームの作製方法は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を素材としたマイクロ流路構造を用いている。この場合、リポソームの作製過程でW/O/W液滴が破裂しないようにするために、マイクロ流路構造の表面を親水化処理する必要がある。しかし、この親水化処理の操作は著しく困難である。さらに、特許文献1に記載されたリポソームの作製方法では、リポソームの作製過程で油相を除去する必要があるという問題点を有する。
【0006】
本開示は上記に鑑みてなされたものであり、本開示は、従来のリポソームの作製方法と比較してより簡便なリポソームの作製方法、及びそのリポソームの作製方法により作製されるリポソームの提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 油相において、脂質一重膜によって内水相が覆われた油中水滴を形成することと、
前記油相と前記油相に接する外水相とが油水界面を形成することと、
前記油相と、前記内水相と、前記外水相との3相が接する境界点において、前記油相と前記外水相との油水界面にかかる界面張力σ
OW2
と、前記内水相と前記外水相との界面にかかる界面張力をσ
W1W2
とが前記外水相側において成す角度をα
2
とした場合のcosα
2
が、下記式(1)を満たすことと、
前記油中水滴が、前記油水界面を、前記油相から前記外水相の方向へ通過することにより、脂質二重膜によって前記内水相が覆われたリポソームを形成することと、
を含む、リポソームの作製方法。
0≦cosα
2
≦1 式(1)
<2> 前記油相はアニオン性リン脂質を含有し、前記油相における前記アニオン性リン脂質の濃度は1mg/ml以上である、<1>に記載のリポソームの作製方法。
<3> 前記アニオン性リン脂質は1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-[ホスホ-rac-(1-グリセロール))]及び1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールの少なくとも一方を含有する、<2>に記載のリポソームの作製方法。
<4> 前記リポソームの直径の変動係数は10%以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載のリポソームの作製方法。
<5> 前記リポソームは直径15μm~55μmの単分散のリポソームである、<1>~<4>のいずれか1つに記載のリポソームの作製方法。
<6> マイクロ流路構造を用いる、<1>~<5>のいずれか1つに記載のリポソームの作製方法。
<7> 前記マイクロ流路構造は、
少なくとも1つの内水相用入口流路と、
前記内水相用入口流路の下流に接続される少なくとも2つの油相用入口流路と、
前記油相用入口流路の下流に接続される少なくとも1つの外水相用入口流路と、
前記外水相用入口流路の下流に接続される少なくとも1つの出口と、を有し、
前記内水相用入口流路から内水相を、前記油相用入口流路から油相を、前記外水相用入口流路から外水相を、それぞれ連続的に導入することを含む、
<6>に記載のリポソームの作製方法。
<8> 前記油相用入口流路から導入された油相と前記外水相用入口流路から導入された外水相とにより、前記油水界面が形成される、<7>に記載のリポソームの作製方法。
<9> 前記外水相用入口流路より下流において、前記油相及び前記外水相はそれぞれ独立して層流を形成することと、
前記内水相と、前記油相と、前記外水相の連続的な導入を停止することにより、前記外水相用入口流路より下流において、前記油中水滴が、前記層流の界面を、前記油相から前記外水相の方向へ、dewetting現象により自発的に通過することと、
を含む、<7>又は<8>に記載のリポソームの作製方法。
<10> 前記リポソームの直径は、前記内水相用入口流路から導入される内水相と前記油相用入口流路から導入される油相との圧力比により調節される、<7>~<9>のいずれか1つに記載のリポソームの作製方法。
<11> <1>~<10>のいずれか1つに記載のリポソームの作製方法を用いて作製したリポソーム。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、従来のリポソームの作製方法と比較してより簡便なリポソームの作製方法、及びそのリポソームの作製方法により作製されるリポソームが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、油中水滴がdewettingする度合いを示す模式図及び顕微鏡写真である。
図2は、油相と、内水相と、外水相との界面に係る界面張力を示す模式図である。
図3は、本開示のマイクロ流路構造の一態様を示す概略平面図である。
図4は、本開示のマイクロ流路構造の一態様の一部分の拡大図である。
図5は、マイクロ流路構造を使用した場合のリポソームの作製過程の模式図である。
図6は、油相中の各脂質の濃度とcosα
2
の関係を示すグラフである。
図7は、リポソームがdewettingする様子を示す顕微鏡写真である。
図8は、リポソームの明視野顕微鏡写真及び蛍光顕微鏡写真である。
図9は、P
2
/P
1
とリポソームの直径を示す、顕微鏡写真及びグラフである。
図10は、リポソームの脂質二重膜の単層性を示す顕微鏡写真及びグラフである。
図11は、リポソーム複合体の模式図及び顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の開示において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
(【0011】以降は省略されています)
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