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公開番号2025012409
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-24
出願番号2023115218
出願日2023-07-13
発明の名称回転電機のロータ
出願人株式会社豊田自動織機
代理人
主分類H02K 1/276 20220101AFI20250117BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】製作コストの増大および強度低下を招くことなく回転時の誘起電圧の抑制を可能する回転電機のロータの提供にある。
【解決手段】ロータコア18と、回転軸と、磁石挿入孔と、磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、を有する回転電機のロータ12である。ロータコア18の端面のうち、主磁束領域に相当する位置に設けられる応力調整部を有し、応力調整部は、端面に備えられ、ロータコア18の径方向の内側から外側へ向かうにつれて端面から離間する向きに傾斜する傾斜部と、傾斜部から径方向の内側に延設し、傾斜部を被覆する被覆部と、端面にてロータコア18の径方向へ移動可能な可動部と、を有し、傾斜部の基部から被覆部35までの距離がロータコア18の軸方向における可動部の長さ以上に設定されるとともに、被覆部35と傾斜部との軸方向の距離が径方向の内側から外側へ向かうにつれて軸方向における可動部の長さ未満に縮小する。
【選択図】 図4
特許請求の範囲【請求項1】
電磁鋼板の積層により形成されるロータコアと、
前記ロータコアの中心に挿通され、前記ロータコアと一体化された回転軸と、
前記ロータコアの磁極毎に形成され、前記回転軸の軸方向に沿って延在する磁石挿入孔と、
前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、を有する回転電機のロータにおいて、
前記ロータコアの端面のうち、主磁束領域に相当する位置に設けられる応力調整部を有し、
前記応力調整部は、
前記端面に備えられ、前記ロータコアの径方向の内側から外側へ向かうにつれて前記端面から離間する向きに傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部から前記径方向の内側に延設し、前記傾斜部を被覆する被覆部と、
前記端面にて前記ロータコアの径方向へ移動可能な可動部と、を有し、
前記傾斜部が前記端面と接する箇所を前記傾斜部の基部としたとき、
前記基部から前記被覆部までの距離が前記ロータコアの軸方向における前記可動部の長さ以上に設定されるとともに、前記被覆部と前記傾斜部との前記軸方向の距離が前記径方向の内側から外側へ向かうにつれて前記軸方向における前記可動部の長さ未満に縮小することを特徴とする回転電機のロータ。
続きを表示(約 310 文字)【請求項2】
前記応力調整部は、前記可動部が移動可能な空間を区画するカバー部材を有し、
前記傾斜部は、前記カバー部材の径方向の外側に位置することを特徴とする請求項1記載の回転電機のロータ。
【請求項3】
前記端面を形成する電磁鋼板の径方向の外側に前記傾斜部と前記被覆部が一体形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機のロータ。
【請求項4】
前記可動部は、転動可能な円柱体であることを特徴とする請求項1又は2記載の回転電機のロータ。
【請求項5】
前記可動部は、転動可能な球体であることを特徴とする請求項1又は2記載の回転電機のロータ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
この発明は、回転電機のロータに関する。
続きを表示(約 2,400 文字)【背景技術】
【0002】
回転電機のロータに関係する従来技術として、例えば、特許文献1に開示された永久磁石式回転電機が知られている。特許文献1に開示された永久磁石式回転電機は、励磁コイルを巻装した固定子と、固定子に所定の隙間をあけて相対回転自在に配置され、永久磁石を設けた回転子と、を備えている。回転子に、回転子の回転により応力が加わることで磁気特性が変化し、永久磁石の磁束を減少させる磁気特性可変素子(超磁歪素子)が設けられている。特許文献1の永久磁石式回転電機によれば、回転子の回転速度が増大すると、回転子の回転遠心力が磁気特性可変素子に応力として加わり、磁気特性可変素子の磁気特性が変化して永久磁石の磁束を減少させるので、永久磁石式回転電機の誘起電圧が抑制され、電子部品の破壊や故障を防止できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2012-228077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された永久磁石式回転電機のロータ(回転子)は、永久磁石式回転電機の誘起電圧を抑制することができるものの、高価な磁気特性可変素子を用いることで製作コストが嵩むという問題がある。また、ロータの回転時に磁気特性可変素子が変形すると、ロータに挿入されている永久磁石とロータとの間に隙間が生じ、ロータの強度が低下するおそれがある。なお、応力調整ブロックを磁気特性可変素子の径方向内側に設ける例も開示されているが、応力調整ブロックを必要とすることでさらに製作コストが増大する。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、製作コストの増大および強度低下を招くことなく回転時の誘起電圧の抑制を可能する回転電機のロータの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、電磁鋼板の積層により形成されるロータコアと、前記ロータコアの中心に挿通され、前記ロータコアと一体化された回転軸と、前記ロータコアの磁極毎に形成され、前記回転軸の軸方向に沿って延在する磁石挿入孔と、前記磁石挿入孔に挿入される永久磁石と、を有する回転電機のロータにおいて、前記ロータコアの端面のうち、主磁束領域に相当する位置に設けられる応力調整部を有し、前記応力調整部は、前記端面に備えられ、前記ロータコアの径方向の内側から外側へ向かうにつれて前記端面から離間する向きに傾斜する傾斜部と、前記傾斜部から前記径方向の内側に延設し、前記傾斜部を被覆する被覆部と、前記端面にて前記ロータコアの径方向へ移動可能な可動部と、を有し、前記傾斜部が前記端面と接する箇所を前記傾斜部の基部としたとき、前記基部から前記被覆部までの距離が前記ロータコアの軸方向における前記可動部の長さ以上に設定されるとともに、前記被覆部と前記傾斜部との前記軸方向の距離が前記径方向の内側から外側へ向かうにつれて前記軸方向における前記可動部の長さ未満に縮小することを特徴とする。
【0007】
本発明では、ロータの回転が増大すると、可動部は、遠心力を受けてロータコアの端面の径方向の外側へ移動することにより傾斜部および被覆部の間に支持され、傾斜部と被覆部との間を拡張しようとすることで回転軸の軸方向へ沿う荷重が応力調整部に付加される。ロータの回転が増大するにつれて、遠心力の増大により応力調整部に対する回転軸の軸方向へ沿う荷重は増大するので、ロータコアにおける回転軸の軸方向に沿う応力が増大し、ロータコアにおける主磁束が低減される。ロータコアにおける主磁束が低減されるので、高回転時における誘起電圧を抑制することができる。ロータの低回転時には、遠心力が高回転時と比較して小さいので、可動部は傾斜部および被覆部から離間し、応力調整部を介した回転軸の軸方向へ沿う荷重はなく、ロータコアにおける主磁束は低減されない。ロータコアにおける主磁束が低減されないので、ロータの高トルクを得ることができる。
【0008】
また、上記の回転電機のロータにおいて、前記応力調整部は、前記可動部が移動可能な空間を区画するカバー部材を有し、前記傾斜部は、前記カバー部材の径方向の外側に位置する構成としてもよい。
この場合、応力調整部は、可動部が移動可能な空間を区画するカバー部材を形成し、傾斜部はカバー部材の径方向の外側に位置する。したがって、カバー部材によって可動部が移動可能な空間を区画できるとともに、カバー部材を設けることで、可動部を保護し易くなる。
【0009】
また、上記の回転電機のロータにおいて、前記端面を形成する電磁鋼板の径方向の外側に前記傾斜部と前記被覆部が一体形成されている構成としてもよい。
この場合、ロータコアの端面を形成する電磁鋼板の径方向の外側に傾斜部と被覆部が一体形成されているので、可動部が遠心力を受けて傾斜部および被覆部に支持されると、傾斜部と被覆部との間を拡張しようとすることで回転軸の軸方向へ沿う荷重が応力調整部に対して付加される。ロータコアの端面を形成する電磁鋼板に傾斜部および被覆部を設けることができる。また、ロータコアの端面を形成する電磁鋼板を応力調整部として用いるので部品点数を抑制することができる。
【0010】
また、上記の回転電機のロータにおいて、前記可動部は、転動可能な円柱体である構成としてもよい。
この場合、可動部が転動可能な円柱体であるので、可動部を実現し易い。また、可動部が円柱体であることで、転動方向がロータコアの径方向の一方向であり、可動部がロータコアの径方向以外の方向へ転動することがなく、可動部の転動を制御し易い。
(【0011】以降は省略されています)

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