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公開番号2024162444
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023077949
出願日2023-05-10
発明の名称変形量推定システム
出願人白山工業株式会社,個人,東京パワーテクノロジー株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類G01M 99/00 20110101AFI20241114BHJP(測定;試験)
要約【課題】本発明は2台の地震計間の精密な時刻同期の保証が得られない環境でも建物の変形量を低コストで簡易に推定する変形量推定システムを提供することを目的とする。
【解決手段】変形量推定システム1は第一地震計10と第二地震計20と制御部32とを備えている。第一地震計10は第一の加速度時刻歴11を取得する。第二地震計20は第二の加速度時刻歴21を取得する。制御部32は、振動数ごとの振幅比を示す振動数情報を生成する変換処理と、振動数情報のうち建物Aの変形が最大となる時点の1次固有振動数である代表1次固有振動数Fmax及び減衰定数hを求めるための最適ピークが含まれる振動数の範囲である検索範囲63を規定する規定処理と、検索範囲63を参考に振動数情報から最適ピークを抽出する抽出処理と、最適ピークの情報に基づいて建物Aの変形量a及び変形角θを算出する算出処理と、を行う。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
複数階で構成される建物の振動による変形量を推定する変形量推定システムであって、
前記建物の所定の階層である下階層に設置される第一計測部と、
前記下階層よりも上の上階層に設置される第二計測部と、
前記第一計測部及び前記第二計測部から取得した情報に基づいて、前記建物の変形量を推定する制御部と、を備え、
前記第一計測部では、前記下階層で検知した所定時間分の振動における加速度の時刻歴を示す第一の加速度時刻歴が取得され、
前記第二計測部では、前記上階層で検知した所定時間分の振動における加速度の時刻歴を示す第二の加速度時刻歴が取得され、
前記制御部では、
前記第一の加速度時刻歴及び前記第二の加速度時刻歴をそれぞれフーリエ変換することで、振動数ごとの振幅比を示す振動数情報を生成する変換処理と、
前記振動数情報のうち前記建物の変形が最大となる時点の1次固有振動数である代表1次固有振動数及び減衰定数を求めるための最適ピークが含まれる振動数の範囲である検索範囲を規定する規定処理と、
前記検索範囲を参考に前記振動数情報から、前記最適ピークを抽出する抽出処理と、
前記最適ピークの情報に基づいて前記建物の変形量、及び、前記第一計測部と前記第二計測部との間の水平方向の変形角、を算出する算出処理と、が行われることを特徴とする変形量推定システム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記振動は地震による振動であり、
前記制御部では、
前記変換処理の前に、前記第一の加速度時刻歴及び前記第二の加速度時刻歴のうち少なくとも一つに基づいて、前記振動を、地震初期の弾性領域の振動を示す初動部と、前記建物の最大応答が生ずる弾性領域又は塑性領域の振動を示す主動部と、地震の揺れが収まる弾性領域の振動を示す終動部と、に分類する分類処理が行われることを特徴とする請求項1に記載の変形量推定システム。
【請求項3】
前記制御部では、前記第一の加速度時刻歴及び前記第二の加速度時刻歴を所定時間ごとの区間に分割する分割処理が更に行われ、
前記変換処理には、
分割前の前記第一の加速度時刻歴及び前記第二の加速度時刻歴をまとめてフーリエ変換することで振動数ごとの振幅比を示す分割前振動数情報を生成する第一処理と、
分割された前記区間ごとにフーリエ変換を行って得られた振動数ごとの振幅比のピークを、それぞれ加算して、振動数ごとの振幅比を示す分割後振動数情報を生成する第二処理と、が含まれ
前記規定処理では、前記主動部における前記分割後振動数情報のピークである検索基点を含む振動数の範囲を、前記検索範囲として規定し、
前記抽出処理では、前記検索範囲を参考に前記分割前振動数情報から、前記最適ピークを抽出することを特徴とする請求項2に記載の変形量推定システム。
【請求項4】
前記制御部では、前記初動部における前記分割後振動数情報のピークの情報に基づいて前記初動部の1次固有振動数を算出する、初動部1次固有振動数算出処理、が更に行われることを特徴とする請求項3に記載の変形量推定システム。
【請求項5】
前記規定処理において、前記初動部の1次固有振動数を、前記検索範囲の規定の際の参考にすることを特徴とする請求項4に記載の変形量推定システム。
【請求項6】
前記制御部では、前記終動部における前記分割後振動数情報のピークの情報に基づいて前記終動部の1次固有振動数を算出する、終動部1次固有振動数算出処理と、
前記終動部の1次固有振動数を保存する保存処理と、が更に行われ、
前記終動部の1次固有振動数が、前記地震の次に起こる次回地震の際に、前記初動部の1次固有振動数を算出する場合の参考にされることを特徴とする請求項5に記載の変形量推定システム。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、変形量推定システムに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
従来、地震等によって振動の影響を受けた建物の変形量を推定し、建物の倒壊等の危険性等を目視以外の方法で判定するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の耐震性能評価方法では、建物の基礎部と上階層にそれぞれ設置した加速度センサーを備える地震計によって、加速度を計測し、その計測結果を2階積分することで、建物の変形量を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2003-344213号公報
【非特許文献】
【0004】
山崎崇寛,天野雄一朗,大田佳奈,宮本慎宏,岡田将敏,「構造ヘルスモニタリングへの適用を目的とした無線式加速度計測システムの開発」,日本建築学会構造系論文集 第84巻 第765号,1389-1399,2019年11月
佐田貴浩,谷慎太郎,吉富信太,「構造ヘルスモニタリングにおける複数振動波形記録の事後同期補正法」,日本建築学会構造系論文集 第82巻 第742号,1873-1883,2017年12月
鹿嶋俊英,小山信,中川博人,「SMAC-M型強震計記録の再数値化」,日本地震工学会論文集 第21巻,第1号,2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した耐震性能評価方法では、各地震計について精密な時刻同期を行うことが前提となっており、高精度の地震計の設置、記録装置の設置、及び有線の連結等が必要となることから、運用コストが増大してしまう。このため、超高層建物や重要施設等以外の建物では普及が難しいという問題があった。
【0006】
この点につき、時刻同期機能と無線機能とを備えた地震計を用いて建物の変形量を推定する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の技術によれば、建物への有線回路の設置の必要がなくなるものの、無線受信装置を加速度センサーの付近に設置する必要が生じることから、その設置及び維持に係るコストが増大してしまう。
【0007】
一方、時刻同期がなされていない複数の地震計によって計測された地震波形から、事後的に時刻同期を行う手法も知られている(例えば、非特許文献2及び非特許文献3参照)。しかしながら、非特許文献2に記載の技術は、地震時における建物の弾性挙動の状態、すなわち建物の大きな破損等を伴わない状態を対象とするに留まり、建物の大きな破損等を伴う非弾性挙動の状態に当該技術を適用できるか否かが不明である。これに対し、非特許文献3に記載の技術は、地震時における建物の非弾性挙動の状態を対象としているが、この技術では、上述した時刻同期の精度そのものについての言及が見当たらない。
【0008】
本発明は、2台の地震計間の精密な時刻同期の保証が得られない環境でも、建物の変形量を、低コストで簡易に推定する変形量推定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の変形量推定システムは、複数階で構成される建物の振動による変形量を推定する変形量推定システムであって、前記建物の所定の階層である下階層に設置される第一計測部と、前記下階層よりも上の上階層に設置される第二計測部と、前記第一計測部及び前記第二計測部から取得した情報に基づいて、前記建物の変形量を推定する制御部と、を備え、前記第一計測部では、前記下階層で検知した所定時間分の振動における加速度の時刻歴を示す第一の加速度時刻歴が取得され、前記第二計測部では、前記上階層で検知した所定時間分の振動における加速度の時刻歴を示す第二の加速度時刻歴が取得され、前記制御部では、前記第一の加速度時刻歴及び前記第二の加速度時刻歴をそれぞれフーリエ変換することで、振動数ごとの振幅比を示す振動数情報を生成する変換処理と、前記振動数情報のうち前記建物の変形が最大となる時点の1次固有振動数である代表1次固有振動数及び減衰定数を求めるための最適ピークが含まれる振動数の範囲である検索範囲を規定する規定処理と、前記検索範囲を参考に前記振動数情報から、前記最適ピークを抽出する抽出処理と、前記最適ピークの情報に基づいて前記建物の変形量、及び、前記第一計測部と前記第二計測部との間の水平方向の変形角、を算出する算出処理と、が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
このような本発明によれば、2台の地震計間の精密な時刻同期の保証が得られない環境でも、建物の変形量を、低コストで簡易に推定する変形量推定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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