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公開番号
2024161662
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-20
出願番号
2023076489
出願日
2023-05-08
発明の名称
被覆活物質粒子、及びリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法
出願人
株式会社カネカ
代理人
主分類
H01M
4/485 20100101AFI20241113BHJP(基本的電気素子)
要約
【課題】電解媒体分解によるガスの発生の抑制ができ、かつ、特性に優れた、LIB用被覆活物質粒子、ならびにLIB用電極積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】活物質粒子30が被膜で被覆35された被覆活物質粒子130であって、その外表面の全面が、緩衝部42が形成される形成領域、及び前記緩衝部が形成されず、かつ、導電性支持材料が配されてなる、非形成領域からなり、前記緩衝部が、前記活物質粒子側から前記外表面に向かい、異なる材料からなる、少なくとも緩衝部B及び緩衝部Cを含む、多層膜で構成されてなる。
【選択図】図2
特許請求の範囲
【請求項1】
活物質粒子が被膜で被覆された被覆活物質粒子であって、
前記被膜の前記活物質粒子側と反対側の外表面の全面が、
緩衝部が形成される形成領域、及び
前記緩衝部が形成されず、かつ、
導電性支持材料が配されてなる、
非形成領域からなり、
前記緩衝部が、
前記活物質粒子側から前記外表面に向かい、
異なる材料からなる、
少なくとも緩衝部B及び緩衝部Cを含む、
多層膜で構成されてなる、被覆活物質粒子。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の被覆活物質粒子を含む、
活物質層が形成された集電体を、活物質層付き集電体として含む、
電極積層体の製造方法であって、順に、
前記集電体上に、
正極活物質粒子を含む正極活物質層を形成して正極活物質層付き集電体A、及び
負極活物質粒子を含む負極活物質層を形成して負極活物質層付き集電体Aを
形成する活物質層付き集電体A製造工程、
少なくとも1組の前記正極用集電体A、及び前記負極用集電体Aを対向させ、
電極積層体Aを形成する電極積層体A製造工程、
前記電極積層体Aを、電解液B中に浸漬し、条件Bで、
前記緩衝部Bとして、
正極緩衝部Bを含む正極活物質層付き集電体B、及び
負極緩衝部Bを含む負極活物質層付き集電体Bを形成して、
緩衝部Bを含む電極積層体Bを形成する、緩衝部B形成工程、
前記電極積層体Bを、電解液C中に浸漬し、条件Cで、
前記緩衝部Cとして、
正極緩衝部Cを含む正極活物質層付き集電体C、及び
負極緩衝部Cを含む負極活物質層付き集電体Cを形成して、
緩衝部Cを含む電極積層体Cを形成する、緩衝部C形成工程を含み、
前記正極、前記負極の各々の前記緩衝部である、正極緩衝部、負極緩衝部について、
前記正極緩衝部における前記正極緩衝部Bの厚さ:前記負極緩衝部における前記負極緩衝部Bの厚さ、及び
前記正極緩衝部における前記正極緩衝部Cの厚さ:前記負極緩衝部における前記負極緩衝部Cの厚さ、で表される、
前記正極及び前記負極についての前記緩衝部の各々の条件で形成される厚さが、
条件間で、各々、前記正極、前記負極の、一方に厚く、他方に薄く、偏って形成されることで、
10:5未満、又は、5未満:10である、リチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法。
【請求項3】
前記被膜は、前記活物質粒子に接するシェル膜を、さらに、有し、
前記シェル膜は、Fe、Mn、Si、及びAlからなる群から選ばれる1以上の金属を含んだリン酸イオン含有リチウム化合物を含んでおり、
前記活物質層が、断面形状が海島構造であって、島状部と、海状部を有し、
前記島状部は、前記形成領域に至る浸透性細孔ネットワークを含んでおり、
前記海状部は、
前記非形成領域に至り、かつ、
前記活物質粒子、バインダー、及び導電ネットワークを含む、
請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法。
【請求項4】
前記電解液B、及び/又は、電解液Cが、珪素含有化合物を含む、
請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法。
【請求項5】
前記負極活物質粒子が、チタン酸リチウムを含む、
請求項2~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法。
【請求項6】
前記正極活物質粒子が、リチウムニッケルマンガン酸化物を含む、
請求項2~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆活物質粒子、及びリチウムイオン二次電池用電極積層体の製造方法に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池(LIB)は、電気自動車の車載電源としての使用に適すよう高エネルギー密度化が求められ、また、太陽電池や、燃料電池の電力の一時的な蓄電システムとして、複数セルの電気的な直列接続高電圧化及び並列接続高容量化による高容量化に加えて、セル自体の高容量化が求められている。
【0003】
LIBは含まれる電解媒体により、非水電荷液LIB及び全固体LIBに分類され、全固体LIBの電解媒体としては、固体電解質、ポリマー電解質等がある。
【0004】
非水電荷液LIBには、液漏れ及び燃焼の問題があり、対策の為設計が複雑になる短所がある。
【0005】
ポリマーLIBは、電解媒体として、固体ポリマー電解質や、液体電解液含有ゲルポリマーを用いたLIBであり、優れた安定性と柔軟性を有し、小型、薄膜等、多様な形態とすることが可能である。
【0006】
ポリマーLIBの製法としては以下2種類ある。
【0007】
一方は、非水電解液に、重合開始剤と、単量体又はオリゴマーと、を混合し電解質組成物とした後、これを電極積層体が収納された電池に注入後、ゲル化(架橋)する製法であり、注入前の高粘度組成物に起因するセル内濡れ性不良により、ゲル化後の機械的強度確保が容易でないという短所がある。
【0008】
他方は、電解質組成物を電極又はセパレータの片面にコーティングし、熱やUVを用い硬化させゲルポリマー電解質を形成後に巻取又は積層した電極積層体を製造し、これを電池ケースに収納後、既存電解液を再注入する製法で、ゲル化のために加熱やUV照射することが必要で、ゲルがコーティングされたセパレータ等が水分を吸収し電池の性能や安定性が低下したり、セパレータが高熱収縮率の場合に温度変化により電極間で短絡発生したりする、信頼性低下懸念がある。
【0009】
全固体LIBについては、固体電解質が活物質、特に、正極活物質と直接接触した状態での充放電繰り返しで酸化劣化し易い「固体電解質酸化劣化」が知られており、長寿命化(例えば、サイクル特性向上)の観点から、固体電解質の劣化防止のための工夫が必要であり、バルク型と薄膜型とに大別でき、大容量化観点から活物質絶対量を多くできるバルク型が有利である。
【0010】
バルク型全固体LIBの電極材料として、これらのことから、小伝導率第一イオン伝導層(1×10-6 S/cm以上)にて、大伝導率活物質(1×10-4 S/cm以上)の二次粒子を被覆すると共に二次粒子を構成する一次粒子間間隙を充填することで、全一次粒子を充放電に直接寄与せしめ、また、第一イオン伝導層で被覆された二次粒子を、第一イオン伝導層と異なる物質である中伝導率第二イオン伝導層(1×10-5 S/cm以上)で積層被覆することで充放電の繰り返しによる二次粒子の破砕「活物質二次粒子破砕」抑制を図った材料が提案されている。
(【0011】以降は省略されています)
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