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公開番号2024158416
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023073601
出願日2023-04-27
発明の名称鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法および鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液
出願人日本製鉄株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類G01N 1/32 20060101AFI20241031BHJP(測定;試験)
要約【課題】電解抽出によって抽出された鉄鋼材料中の金属化合物微粒子を、損失させることなく安定して分散回収することが可能な、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法を提供する。
【解決手段】鉄鋼材料含む電極と対極とを電解溶液中に浸漬し、鉄鋼材料を電解する電解工程と、鉄鋼材料を電解溶液中に浸漬した状態で、電解溶液に対して、超音波を印加して鉄鋼材料の表面から前記金属化合物微粒子を脱離させて、電解溶液中に金属化合物微粒子を分散させる分散工程と、を含む、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法を採用する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
鉄鋼材料を含む電極と対極とを電解溶液中に浸漬し、前記鉄鋼材料を電解する電解工程と、
前記鉄鋼材料を前記電解溶液中に浸漬した状態で、前記電解溶液に対して、超音波を印加して前記鉄鋼材料の表面から金属化合物微粒子を脱離させて、前記電解溶液中に前記金属化合物微粒子を分散させる分散工程と、を含む、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。
続きを表示(約 2,400 文字)【請求項2】
前記電解溶液が、前記金属化合物微粒子を分散させる機能を有する請求項1に記載の、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。
【請求項3】
前記電解工程に引き続き、前記電解溶液に対して、分散回収対象の金属化合物微粒子の全てとのハンセン溶解度パラメータ距離Ra((1)式)が、8.0(J/cm


1/2
以下となるように、任意の溶媒を添加する分散液調製工程を有する請求項1に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。


=[4(δ
d1
-δ
d2


+(δ
p1
-δ
p2


+(δ
h1
-δ
h2



1/2
…(1)
ただし、式(1)におけるδ
d1
は前記金属化合物微粒子のロンドン分散力、δ
p1
は前記金属化合物微粒子の双極子間力、δ
h1
は前記金属化合物微粒子の水素結合力、δ
d2
は前記溶媒のロンドン分散力、δ
p2
は前記溶媒の双極子間力、δ
h2
は前記溶媒の水素結合力である。
【請求項4】
鉄鋼材料を含む電極と対極とを電解溶液中に浸漬し、前記鉄鋼材料を電解する電解工程と、
前記鉄鋼材料を前記電解溶液中に浸漬した状態で、前記電解溶液に対して、超音波を印加して前記鉄鋼材料の表面から金属化合物微粒子を脱離させて、前記電解溶液中に前記金属化合物微粒子を分散させる分散工程と、を含み、
前記電解溶液が、分散回収対象の金属化合物微粒子の全てとのハンセン溶解度パラメータ距離Ra((1)式)が、8.0(J/cm


1/2
以下となる溶媒を含む、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。


=[4(δ
d1
-δ
d2


+(δ
p1
-δ
p2


+(δ
h1
-δ
h2



1/2
…(1)
ただし、式(1)におけるδ
d1
は前記金属化合物微粒子のロンドン分散力、δ
p1
は前記金属化合物微粒子の双極子間力、δ
h1
は前記金属化合物微粒子の水素結合力、δ
d2
は前記溶媒のロンドン分散力、δ
p2
は前記溶媒の双極子間力、δ
h2
は前記溶媒の水素結合力である。
【請求項5】
前記電解溶液は、鉄と錯体を形成する錯化剤を含む、請求項1または請求項4に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。
【請求項6】
請求項1または請求項4に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法によって得られた前記金属化合物微粒子を含む前記電解溶液を分析する分析工程を有する、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法。
【請求項7】
前記分析工程は、前記金属化合物微粒子を分散させた前記電解溶液に対して、フィールドフローフラクショネーション法を行うことにより、前記金属化合物微粒子を粒子サイズ毎に分別する工程と、
粒子サイズ毎に分別された前記金属化合物微粒子の成分を分析する工程と、を有する請求項6に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法。
【請求項8】
前記分析工程は、前記金属化合物微粒子を分散させた前記電解溶液に対して、前記電解溶液中の前記金属化合物微粒子を残しつつ液相成分を除去することにより、前記金属化合物微粒子を含む電子顕微鏡観察用の試料を作製する工程と、
前記試料を電子顕微鏡で観察する工程と、を有する請求項6に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法。
【請求項9】
鉄鋼材料を含む電極と対極とを浸漬し、前記鉄鋼材料を電解して前記鉄鋼材料に含まれる金属化合物微粒子を抽出して前記金属化合物微粒子を分散させるための電解溶液であり、
前記電解溶液は、分散回収対象の金属化合物微粒子の全てとのハンセン溶解度パラメータ距離R

((1)式)が、8.0(J/cm


1/2
未満となる溶媒を含む鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液。


=[4(δ
d1
-δ
d2


+(δ
p1
-δ
p2


+(δ
h1
-δ
h2



1/2
…(1)
ただし、式(1)におけるδ
d1
は前記金属化合物微粒子のロンドン分散力、δ
p1
は前記金属化合物微粒子の双極子間力、δ
h1
は前記金属化合物微粒子の水素結合力、δ
d2
は前記溶媒のロンドン分散力、δ
p2
は前記溶媒の双極子間力、δ
h2
は前記溶媒の水素結合力である。
【請求項10】
25℃における比誘電率が30以上である、請求項9に記載の鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法および鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液に関する。
続きを表示(約 3,100 文字)【背景技術】
【0002】
鉄鋼材料中に含まれる介在物や析出物(以下、金属化合物微粒子という)は、その大きさや数量、化学組成などが鉄鋼材料の特性に大きな影響を及ぼす。例えば、粒径が数十マイクロメートルオーダーの比較的大きな金属化合物微粒子は、鉄鋼材料の特性を劣化させる有害なものとして扱われている。その一方で、近年、マイクロメートルオーダーあるいはそれ以下の大きさの金属化合物微粒子を積極的に利用して鋼の組織を制御することにより、鉄鋼材料の各種の特性を向上させる技術が発展している。これに伴い、鉄鋼材料中の微小な金属化合物微粒子の定量分析や粒度分布測定等を適切に行うニーズが高まっている。
【0003】
こうしたニーズを実現するには、金属化合物微粒子が溶媒中に安定して分散する溶液を調製する必要がある。そこで、従来から、鉄鋼材料から金属化合物微粒子を抽出分離する段階と、抽出分離された金属化合物微粒子を液中に分散させる段階とを経ることにより、金属化合物微粒子を分散させた分散液の調製が試みられている。
【0004】
鋼中の金属化合物微粒子の抽出分離法としては、非水電解液を用いた電解抽出法が知られている。電解抽出法は、鉄鋼材料を陽極とし、白金電極を陰極とし、これら陽極及び陰極を非水電解液に浸漬させた上で、電気分解を行うことによって、鉄鋼材料のマトリックスである鉄を溶解させて、金属化合物微粒子を抽出させる方法である。
【0005】
非水電解液を用いた鉄鋼材料の電解抽出法では、抽出対象の物質に応じた溶媒と電位を選ぶことにより、金属化合物微粒子を選択的に抽出できるという特長がある。例えば、非特許文献1には、鉄鋼材料の電解抽出方法に使用する電解溶液として、鉄のキレート剤として10%アセチルアセトン(AA)や4%サリチル酸メチル-1%サリチル酸(MS)等を含み、支持電解質として1%塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を含む非水溶媒電解溶液が記載されている。これらの電解溶液中では、抽出された金属化合物微粒子が電解溶液中で凝集する場合があるので、金属化合物微粒子のサイズの測定を行うために、別途、適当な分散溶液中に鋼材試料を浸漬してから超音波印加するなどして、金属化合物微粒子を分散溶液中に分散させる必要がある。
【0006】
しかし、従来、電解抽出直後の鉄鋼材料の表面には、ほとんどの金属化合物微粒子が付着した状態にあり、そのままの状態で分散溶液中にて回収されていたと考えられていたが、最近になって、電解抽出工程において一部の金属化合物微粒子が鉄鋼材料の表面から脱落して電解溶液に残存してしまい、全量が分散溶液に回収されず、その結果、その後の分析段階において定量分析値が低値になるという問題が顕在化した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
“試料分析講座 鉄鋼分析”,社団法人日本分析化学会編,丸善出版株式会社,平成23年9月15日発行,p.91,p.101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電解抽出によって抽出された鉄鋼材料中の金属化合物微粒子を、損失させることなく安定して分散回収することが可能な、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法および鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 鉄鋼材料を含む電極と対極とを電解溶液中に浸漬し、前記鉄鋼材料を電解する電解工程と、
前記鉄鋼材料を前記電解溶液中に浸漬した状態で、前記電解溶液に対して、超音波を印加して前記鉄鋼材料の表面から金属化合物微粒子を脱離させて、前記電解溶液中に前記金属化合物微粒子を分散させる分散工程と、を含む、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。
[2] 前記電解溶液が、前記金属化合物微粒子を分散させる機能を有する[1]に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。
[3] 前記電解工程に引き続き、前記電解溶液に対して、分散回収対象の金属化合物微粒子の全てとのハンセン溶解度パラメータ距離Ra((1)式)が、8.0(J/cm


1/2
以下となるように、任意の溶媒を添加する分散液調製工程を有する[1]に記載の鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。


=[4(δ
d1
-δ
d2


+(δ
p1
-δ
p2


+(δ
h1
-δ
h2



1/2
…(1)
ただし、式(1)におけるδ
d1
は前記金属化合物微粒子のロンドン分散力、δ
p1
は前記金属化合物微粒子の双極子間力、δ
h1
は前記金属化合物微粒子の水素結合力、δ
d2
は前記溶媒のロンドン分散力、δ
p2
は前記溶媒の双極子間力、δ
h2
は前記溶媒の水素結合力である。
[4] 鉄鋼材料を含む電極と対極とを電解溶液中に浸漬し、前記鉄鋼材料を電解する電解工程と、
前記鉄鋼材料を前記電解溶液中に浸漬した状態で、前記電解溶液に対して、超音波を印加して前記鉄鋼材料の表面から金属化合物微粒子を脱離させて、前記電解溶液中に前記金属化合物微粒子を分散させる分散工程と、を含み、
前記電解溶液が、分散回収対象の金属化合物微粒子の全てとのハンセン溶解度パラメータ距離Ra((1)式)が、8.0(J/cm


1/2
以下となる溶媒を含む、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法。


=[4(δ
d1
-δ
d2


+(δ
p1
-δ
p2


+(δ
h1
-δ
h2



1/2
…(1)
ただし、式(1)におけるδ
d1
は前記金属化合物微粒子のロンドン分散力、δ
p1
は前記金属化合物微粒子の双極子間力、δ
h1
は前記金属化合物微粒子の水素結合力、δ
d2
は前記溶媒のロンドン分散力、δ
p2
は前記溶媒の双極子間力、δ
h2
は前記溶媒の水素結合力である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電解抽出によって抽出された鉄鋼材料中の金属化合物微粒子を、損失させることなく安定して分散回収することが可能な、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分散回収方法、鉄鋼材料中の金属化合物微粒子の分析方法および鉄鋼材料の電解抽出用の電解溶液を提供できる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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