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公開番号2024158327
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-08
出願番号2023073447
出願日2023-04-27
発明の名称塩素分析方法
出願人国立大学法人福島大学,PerkinElmer Japan合同会社,株式会社化研,日本原子力発電株式会社,富士電機株式会社
代理人個人,個人,個人,個人
主分類G01N 27/62 20210101AFI20241031BHJP(測定;試験)
要約【課題】塩素を迅速に高精度で分析する方法。
【解決手段】イオン化部Pと第1の四重極マスフィルタQ1とリアクションセルQ2と第2の四重極マスフィルタQ3と検出部Dとを備える誘導結合プラズマ質量分析装置1を用いた、質量数Mの塩素分析方法であり、試料溶液をイオン化部に導入してイオン化したイオン群を得る工程と、第1の四重極マスフィルタにおいて、イオン群から、質量数M以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、第1の四重極マスフィルタを通過したイオン群を、リアクションセルで水素または重水素ガスから選択される質量数mの元素からなるリアクションガスと接触させ、質量数M+2mの多原子イオンを生成する工程と、第2の四重極マスフィルタにおいて、質量数M+2m以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、第2の四重極マスフィルタを通過した質量数M+2mのイオンの信号を検出する工程を含む塩素分析方法。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
イオン化部と、第1の四重極マスフィルタと、リアクションセルと、第2の四重極マスフィルタと、検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、質量数M(Mは、35、36、及び37から選択される1以上である)の塩素の分析方法であって、
試料溶液を前記イオン化部に導入してイオン化したイオン群を得る工程と、
前記第1の四重極マスフィルタにおいて、前記イオン群から、質量数M以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、
前記第1の四重極マスフィルタを通過したイオン群を、前記リアクションセルで、水素ガスまたは重水素ガスから選択される質量数m(mは、水素ガスについては1、重水素ガスについては2である)の元素からなるリアクションガスと接触させ、質量数(M+2m)の多原子イオンを生成する工程と、
前記第2の四重極マスフィルタにおいて、質量数(M+2m)以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、
前記第2の四重極マスフィルタを通過した質量数(M+2m)のイオンの信号を検出する工程と
を含む、塩素分析方法。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
前記多原子イオンが、

Cl



Hである、請求項1に記載の塩素分析方法。
【請求項3】
前記イオン化する工程の前に、イオンクロマトグラフィーにより、前記試料溶液中の妨害元素を除去する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記質量数(M+2m)のイオンの信号を検出する工程が、質量数(M+2m)のイオンカウントの強度に基づいて質量数Mの塩素を検出する工程である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記イオンカウントの強度に基づいて質量数Mの塩素を検出する工程が、質量数(M+2m)のイオンカウントから得られるピーク形状のピーク面積の強度積算値に基づいて質量数Mの塩素を定量する工程である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記イオンカウントのピーク形状に基づいて質量数Mの塩素を検出する工程が、質量数(M+2m)のイオンカウントから得られるピーク形状のピーク高さ最大値に基づいて質量数Mの塩素を定量する工程である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Mが、35、36、及び37であり、塩素の三種の同位体を同時に検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
Mが36であり、塩素の放射性同位体を、塩素の安定同位体と識別して検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リアクションガスが重水素ガスである、請求項7または8に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素の分析方法に関する。本発明は、特には、従来法と比較して短時間で高精度に塩素を定量することが可能な分析方法に関する。
続きを表示(約 1,900 文字)【背景技術】
【0002】
質量数36の塩素(塩素36あるいはCl-36ともいう)は、半減期3.01×10

年でβ崩壊し、最大エネルギー709keVのβ線を98.1%の放出率で放出する長半減期核種である。Cl-36の定量分析法としては、β線を測定する手法が知られており、液体試料中のCl-36分析法が制定されている。
【0003】
β線を測定する手法では、試料中の塩化物イオン濃度を予めイオンクロマトグラフィーなどにより定量し、確認した上で、分析に必要となる塩化物イオン担体を加える。試料中の塩素は、硝酸及び過マンガン酸カリウムを順次添加し加熱する酸化ガス化回収操作により精製する。これらの操作により、Cl-36が放出するβ線を測定する上で妨害となる元素が分離精製操作により除去されていることを確認した後、Cl-36が放出するβ線を測定することで、試料中のCl-36濃度(Bq/g)を求める。このβ線を利用する分析法は、化学分離操作により液中に共存する妨害元素を分離し、Cl-36を単離する操作が必要である。このため、煩雑な処理操作が必要で、その作業に時間が掛かるなどの問題がある。
【0004】
Cl-36と同様に、定量が困難な放射性核種として、質量数90のストロンチウム(Sr-90)がある。Sr-90を短時間で、高精度で分析する方法としては、四重極マスフィルタを用いる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2015-87363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2012年の原子炉等規制法の改正に伴い、今後、高経年化した原子力発電所の廃止措置が増加することが予想される。既に廃止措置が決定された東海原子力発電所は、黒鉛減速炭酸ガス冷却型の原子炉を採用しており、この炉型において発生するCl-36の放射能量は、他の軽水炉と比較して多い。そのため、廃炉にあたって、Cl-36の迅速測定が求められている。黒鉛減速炭酸ガス冷却型の原子炉は、イギリスやフランスの原子力発電所に多くみられ、今後、廃止措置の増加が予測されるため、国際的にもCl-36の迅速測定の要請が高まっている。このため、測定に5日間程度要する従来のβ線を測定する手法では、今後、測定の需要増加に間に合わない。
【0007】
Sr-90については、特許文献1に示すように迅速分析方法が確立されてきた。しかし、Cl-36は、同重体の存在に起因して、質量分析法によって十分な感度を達成するのは困難であることに加え、Cl-36と安定同位体との天然存在比に起因して、テーリングによるバックグラウンドノイズの上昇が顕著であった。すなわち、Cl-36を高感度で定量することは、Sr-90の定量よりもさらに困難な問題があった。
【0008】
上述した問題に対し、質量数の異なる塩素同位体を区別して、迅速かつ正確に測定する分析方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一実施形態によれば、イオン化部と、第1の四重極マスフィルタと、リアクションセルと、第2の四重極マスフィルタと、検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、質量数M(Mは、35、36、及び37から選択される1以上である)の塩素の分析方法であって、
試料溶液を前記イオン化部に導入してイオン化したイオン群を得る工程と、
前記第1の四重極マスフィルタにおいて、前記イオン群から、質量数M以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、
前記第1の四重極マスフィルタを通過したイオン群を、前記リアクションセルで、水素ガスまたは重水素ガスから選択される質量数m(mは、水素ガスについては1、重水素ガスについては2である)の元素からなるリアクションガスと接触させ、質量数(M+2m)の多原子イオンを生成する工程と、
前記第2の四重極マスフィルタにおいて、質量数(M+2m)以外の質量数を持つイオンを除去する工程と、
前記第2の四重極マスフィルタを通過した質量数(M+2m)のイオンの信号を検出する工程と
を含む、塩素分析方法に関する。
【0010】
前記塩素分析方法において、前記多原子イオンが、

Cl



Hであることが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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