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公開番号2024147188
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-16
出願番号2023060046
出願日2023-04-03
発明の名称消費電力が低くかつ自己ロック性に優れるグリース組成物
出願人協同油脂株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/06 20060101AFI20241008BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】高い自己ロック性と、優れた起動性とを両立したグリース組成物を提供すること。
【解決手段】樹脂製部材と金属製部材との潤滑に使用されるグリース組成物であって、
基油、
増ちょう剤として、カルシウムスルホネートコンプレックス、
添加剤として、組成物の全質量を基準として5~20質量%の粉状の金属石けん、
を含有するグリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
樹脂製部材と金属製部材との潤滑に使用されるグリース組成物であって、
基油、
増ちょう剤として、カルシウムスルホネートコンプレックス、
添加剤として、組成物の全質量を基準として5~20質量%の粉状の金属石けん、
を含有するグリース組成物。
続きを表示(約 120 文字)【請求項2】
金属石けんが、リチウム石けん、カルシウム石けん、マグネシウム石けん、亜鉛石けん、又はこれらの混合物である、請求項1に記載のグリース組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載のグリース組成物を封入した減速機。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力が低くかつ自己ロック性(すなわち、減速機にて発生してしまうすべりによるギヤの逆転を抑制する性質)に優れるグリース組成物に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
自動車部品等には、軽量化を目的として、金属製部材に代えて樹脂製部材が使用されることが多い。例えば、自動車のパワーウィンドモーターの減速機部には、樹脂(ポリアセタール)製ウォームホイールギヤと、鋼製ウォームギヤが使用されている。
これら減速機の潤滑部に使用されるグリースは、逆転防止のため高い自己ロック性が要求される。高い自己ロック性を有するには、静摩擦係数を高くする必要がある。
静摩擦係数を低減させる従来技術として、特許文献1に、増ちょう剤としてウレア化合物、金属石けん(ステアリン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、12-ヒドロキシステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、12-ヒドロキシステアリン酸バリウム、ステアリン酸ナトリウム、12-ヒドロキシステアリン酸ナトリウム等)から選ばれる少なくとも1種を添加剤として含むグリース組成物が開示されている。前記グリース組成物は、潤滑部の静摩擦係数を低くし、起動電圧を下げることができる。
特許文献2には、平均分子量が900~10000のポリオレフィンワックスを0.5~40質量%含有する潤滑グリース組成物が開示されている。
特許文献3には、増ちょう剤と基油を含むグリースに、モンタンワックスを含有させたことを特徴とする樹脂潤滑用グリース組成物が開示されている。
特許文献4には、樹脂と金属とが接触する部位に適用されるグリース組成物であって、ポリα-オレフィン油、鉱油及び高度精製鉱油の少なくとも一種を特定割合で含む基油と、金属石けん及び金属複合石けんの少なくとも一種を特定割合で含む増ちょう剤と、非極性ワックス及び極性ワックスの少なくとも一種とを含有することを特徴とする樹脂潤滑用グリース組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-314916号公報
特開平9-194867号公報
特開2002-371290号公報
特開2005-054024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、静摩擦係数を高くするだけでは自己ロック性は改善できない。他方、昨今の消費電力低減の要請に応えるには、静摩擦係数は低くして、起動電圧を下げる必要がある。したがって、本発明は、高い自己ロック性と、優れた起動性とを両立したグリース組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、増ちょう剤にカルシウムスルホネートコンプレックス、添加剤に金属石けんを含有することを特徴とするグリース組成物である。すなわち、本発明により、以下のグリース組成物を提供する。
1.樹脂製部材と金属製部材との潤滑に使用されるグリース組成物であって、
基油、
増ちょう剤として、カルシウムスルホネートコンプレックス、
添加剤として、組成物の全質量を基準として5~20質量%の粉状の金属石けん、
を含有するグリース組成物。
2.金属石けんが、リチウム石けん、カルシウム石けん、マグネシウム石けん、亜鉛石けん、又はこれらの混合物である、前記1に記載のグリース組成物。
3.前記1又は2に記載のグリース組成物を封入した減速機。
【発明の効果】
【0006】
既述の通り、高い自己ロック性と、優れた起動性とを両立するためには、静摩擦係数を低くしすぎず、動摩擦係数を高くする必要がある。本発明によれば、金属石けんとカルシウムスルホネートコンプレックスとを併用することにより、高い自己ロック性と、優れた起動性とを両立する摩擦係数を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
〔基油〕
本発明のグリース組成物の基油としては、鉱物系潤滑油や合成潤滑油を使用することができる。その種類は特に制限されるものではないが、鉱物系潤滑油としては、パラフィン系鉱物油、ナフテン系鉱物油、及びそれらの混合油を使用できる。合成潤滑油としては、合成炭化水素油、エーテル油、エステル油、及びフッ素油等を使用できる。合成油が好ましく、合成炭化水素油がより好ましく、ポリαオレフィンがさらに好ましい。なお、合成油は、動植物などから生まれた生物資源を原料として製造される、所謂バイオマス油でもよい。例えば、植物油を原料とする各種脂肪酸とアルコールとから合成されるバイオマスエステル油や、パーム油、コーン油、大豆油などの植物油を用いたバイオマス炭化水素油を使用することもできる。
本発明の基油の40℃における動粘度は、低温性及び耐久性の観点から、15~450mm
2
/sであり、15~200mm
2
/sであるのが好ましく、15~70mm
2
/sであるのがさらに好ましい。
本発明のグリース組成物中の基油の含有量は、グリースを製造するのに通常用いられる量であり、例えば45~90質量%であり、低温性の観点から、47.5~87質量%が好ましく、50~82質量%がより好ましい。
【0008】
〔カルシウムスルホネートコンプレックス増ちょう剤〕
本発明のカルシウムスルホネートコンプレックスは、カルシウムスルホネートと、スルホン酸以外の酸のカルシウム塩とを含むコンプレックス(複合石けん)である。
カルシウムスルホネートを構成するスルホン酸としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、石油スルホン酸等があげられる。スルホン酸としては、ドデシルベンゼンスルホン酸が好ましい。
スルホン酸以外の酸としては、12-ヒドロキシステアリン酸、酢酸、炭酸及びほう酸があげられる。
本発明で用いるカルシウムスルホネートコンプレックスとしては、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムと、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムとから形成されるコンプレックスが特に好ましい。さらに特に、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムと、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウムと、炭酸カルシウムと、酢酸カルシウムとから形成されるコンプレックスが好ましい。本発明のコンプレックスは、ホウ酸カルシウム及び炭酸カルシウムを含んでもよい。
本発明の組成物におけるカルシウムスルホネートコンプレックス増ちょう剤の含有量は、本発明のグリース組成物のちょう度を例えば235~415の範囲に調整できる量であり、通常、組成物の全質量を基準として、5~40質量%、好ましくは8~35質量%、より好ましくは10~33質量%である。
なお、カルシウムスルホネートコンプレックスは、本発明において、耐摩耗剤、防錆剤としても機能し得る。
本明細書において、用語「ちょう度」は60回混和ちょう度を指し、JIS K2220 7.に従って測定することができる。本発明のグリース組成物のちょう度は、低温性の観点から、好ましくは235~415であり、より好ましくは280~415である。
【0009】
〔金属石けん〕
本発明のグリース組成物は、添加剤として、粉状の金属石けんを含む。金属石けんとしては、リチウム石けん、カルシウム石けん、マグネシウム石けん、亜鉛石けん、又はこれらの混合物があげられる。このうち、起動性の観点から、リチウム石けん、亜鉛石けんがより静摩擦係数を下げるため好ましい。なお、金属石けんは、グリースの増ちょう剤として使用されることも多い。一般に、増ちょう剤は、基油中で網目構造を形成することにより、液体である基油を保持して固体又は半固体(すなわち、グリース)にできる。本発明で使用している金属石けんは、粉状の金属石けんを配合しているため、網目構造を形成せず、増ちょう剤としては作用しない。
本発明のグリース組成物中の金属石けんの含有量は、5~20質量%であり、起動性の観点から、8~20質量%が好ましく、13~20質量%がより好ましい。
【0010】
〔任意添加剤〕
本発明のグリース組成物は、グリースに通常用いられる添加剤をさらに含んでもよい。このような添加剤としては、酸化防止剤、金属腐食防止剤、油性剤、固体潤滑剤等があげられる。
酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤や、フェノール系酸化防止剤等があげられる。
金属腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等があげられる。
油性剤としては、例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン酸エステル等があげられる。
固体潤滑剤としては、例えば、CaO、ZnO、MgOなどの酸化金属、CaCO
3
又はZnCO
3
などの炭酸金属塩、二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE、MCA等があげられる。このうち、焼付き寿命延長の観点から、CaCO
3
が好ましい。
なお、これらの添加剤の添加量は、本発明の目的を損なわない程度であれば特に限定されるものではない。例えば、組成物の全質量を基準にして0~15質量%、好ましくは0~12質量%である。
本発明のグリース組成物はまた、カルシウムスルホネートコンプレックス以外の増ちょう剤を含まないのが好ましい。
本発明のグリース組成物はまた、添加剤として、ワックスを含まないのが好ましい。
(【0011】以降は省略されています)

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