TOP特許意匠商標
特許ウォッチ Twitter
公開番号2024147194
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-16
出願番号2023060053
出願日2023-04-03
発明の名称等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイント
出願人協同油脂株式会社
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C10M 169/02 20060101AFI20241008BHJP(石油,ガスまたはコークス工業;一酸化炭素を含有する工業ガス;燃料;潤滑剤;でい炭)
要約【課題】高温環境でも低摩擦特性を示すことにより耐久性に優れる等速ジョイント用グリース組成物を提供すること。
【解決手段】(a)式(1)のジウレア系増ちょう剤、
R1NH-CO-NH-C6H4-p-CH2-C6H4-p-NH-CO-NHR2 (1)
(R1及びR2は独立して、C8~18アルキル基である)、
(b)基油、
(c)25℃で固体であるモリブデンジチオカルバメート、
(d)25℃で液体であるモリブデンジチオカルバメート及び25℃で液体であるモリブデンジチオホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種、
(e)Caフェネート、
(f)Caスルホネート、及び
(g)有機硫黄リン化合物、
を含有し、
(c):(d)=1:2.6~1:5.2(質量比)であり、
(g)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.05~0.30質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(a)式(1)により表されるジウレア系増ちょう剤、

1
NH-CO-NH-C
6

4
-p-CH
2
-C
6

4
-p-NH-CO-NHR
2
(1)
(R
1
及びR
2
は独立して、炭素原子数8~18のアルキル基である)、
(b)基油、
(c)25℃で固体であるモリブデンジチオカルバメート、
(d)25℃で液体であるモリブデンジチオカルバメート及び25℃で液体であるモリブデンジチオホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種、
(e)カルシウムフェネート、
(f)カルシウムスルホネート、及び
(g)有機硫黄リン化合物、
を含有し、
(c)と(d)との質量比が、(c):(d)=1:2.6~1:5.2の範囲であり、
(g)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.05~0.30質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
続きを表示(約 360 文字)【請求項2】
(d)の含有量が、組成物の全質量を基準として、1.95~3.90質量%である請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項3】
(e)と(f)との質量比が、(e):(f)=1:1~1:3の範囲である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項4】
(f)の含有量が、組成物の全質量を基準として、2.0~6.0質量%である、請求項1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項5】
摺動式等速ジョイント用である、請求項1~4のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物を封入したトリポードタイプの摺動式等速ジョイント。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイントに関する。
続きを表示(約 5,400 文字)【背景技術】
【0002】
自動車においては、車両の環境対策(CO
2
削減)を目的とした軽量化かつ居住空間の確保の点からFF車が広く普及し、FF車の動力伝達に不可欠な等速ジョイント(CVJ)が用いられている。
CVJは角度の付いた状態で回転する2本の軸の間で回転を伝達する装置であるため、ジョイント内部において部品同士が複雑なころがりすべり運動を行う。また、プランジング型CVJは、軸方向への摺動機構も併せ持つため、内部部品の摩擦により軸方向へのスライド抵抗を生じ、このスライド抵抗が大きいと振動や騒音の原因となる場合がある。
近年の自動車の騒音規制、燃費向上の要求に伴う車両仕様変更でプランジング型等速ジョイントが高温環境に曝される様になり、高温時耐フレーキング性の低下による耐久性低下を引き起こす場合がある。フレーキング性の低下は高温域における摩擦上昇に起因しており、高温環境下の低摩擦化が対策手法とされている。
これらの問題解決のため、CVJ自体の構造改良もなされてきたが、コスト面の課題が大きく、高温下での耐久性に優れるグリース(高温下で低摩擦を維持するグリース)が要求されるようになった。
CVJの常温での耐フレーキング性に優れたグリースとして、ウレアグリースにジアルキルジチオリン酸亜鉛、硫化ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、及びヘテロサイクリック硫黄窒素化合物を配合したグリース(特許文献1参照)、又はウレアグリースに、二硫化モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、石油スルホン酸のカルシウム塩、硫黄系極圧剤、植物性油脂、及びジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛を配合したグリースも提案されている(特許文献2参照)。
また常温での耐久性に加え、振動抑制性能も考慮したグリースとして、ウレアグリースにカルシウムフェネート、モリブデンジチオカルバメート、カルシウムスルホネート、及びチオホスフェートを配合したグリースが提案されている(特許文献3参照)。
このように、これまでのCVJ用グリース組成物でも、常温での耐久性における検討はされてきたが、一方で、高温での耐久性の課題、特に高摩擦係数で発生するフレーキングや焼付きによる耐久性の低下の課題においては必ずしも十分な検討がされてきたとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2008-297402号公報
特開2010-90243号公報
特開2004-323672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、高温環境でも低摩擦特性を示すことにより耐久性に優れる等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.(a)式(1)により表されるジウレア系増ちょう剤、

1
NH-CO-NH-C
6

4
-p-CH
2
-C
6

4
-p-NH-CO-NHR
2
(1)
(R
1
及びR
2
は独立して、炭素原子数8~18のアルキル基である)、
(b)基油、
(c)25℃で固体であるモリブデンジチオカルバメート、
(d)25℃で液体であるモリブデンジチオカルバメート及び25℃で液体であるモリブデンジチオホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種、
(e)カルシウムフェネート、
(f)カルシウムスルホネート、及び
(g)有機硫黄リン化合物、
を含有し、
(c)と(d)との質量比が、(c):(d)=1:2.6~1:5.2の範囲であり、
(g)の含有量が、組成物の全質量を基準として、0.05~0.30質量%である、等速ジョイント用グリース組成物。
2.(d)の含有量が、組成物の全質量を基準として、1.95~3.90質量%である前記1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
3.(e)と(f)との質量比が、(e):(f)=1:1~1:3の範囲である、前記1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
4.(f)の含有量が、組成物の全質量を基準として、2.0~6.0質量%である、前記1に記載の等速ジョイント用グリース組成物。
5.摺動式等速ジョイント用である、前記1~4のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物。
6.前記1~4のいずれかに記載の等速ジョイント用グリース組成物を封入したトリポードタイプの摺動式等速ジョイント。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高温環境下でも低摩擦特性に優れ、耐久性に優れたグリース組成物を提供することができる。また、本発明によれば高温環境下でも低摩擦特性に優れるグリース組成物を封入してなる、高温耐久性に優れた等速ジョイントが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(a)増ちょう剤
本発明の増ちょう剤は下記式(1)で示されるジウレア系増ちょう剤である。

1
NH-CO-NH-C
6

4
-p-CH
2
-C
6

4
-p-NH-CO-NHR
2
(1)
式(1)中のR
1
及びR
2
は互いに独立して、炭素原子数8~18のアルキル基である。
増ちょう剤はグリース流動性に強く影響しており、CVJ内においては摺動部にグリースが十分に供給される必要があることから、せん断によって早期に軟化しやすい脂肪族ジウレア増ちょう剤であることが好ましく、式(1)中のR
1
及びR
3
が、炭素原子数8又は18のアルキル基である脂肪族ジウレア増ちょう剤がより好ましく、一方がオクチル基であり、他方がオクタデシル基である脂肪族ジウレア増ちょう剤がさらに好ましい。
増ちょう剤の含有量は、グリースのちょう度を、等速ジョイント用グリースのちょう度として通常の範囲である310~340に調整できる量であればよく、具体的には、組成物の全質量を基準として、3~10質量%であるのが好ましく、4~9質量%であるのがより好ましく、5~8質量%であるのがさらに好ましい。なお、本明細書において、「ちょう度」は、JIS K 2220.7により測定される60回混和ちょう度を意味する。
【0008】
(b)基油
本発明に使用できる基油は特に限定されず、鉱油又は合成油、あるいは上記基油の混合油を使用することが出来る。鉱物油としては、パラフィン系、ナフテン系があげられる。合成油としては、ポリαオレフィン等の炭化水素系合成油、アルキルジフェニルエーテルに代表されるエーテル系合成油等があげられる。なお、合成油は、動植物などから生まれた生物資源を原料として製造される、所謂バイオマス油でもよい。例えば、植物油を原料とする各種脂肪酸とアルコールとから合成されるバイオマスエステル油や、パーム油、コーン油、大豆油などの植物油を用いたバイオマス炭化水素油を使用することもできる。本発明の基油としては、コストの観点から鉱油を用いることが好ましい。
本発明の基油の100℃における動粘度は、油膜形成の観点から、5~25mm
2
/sであるのが好ましく、7~20mm
2
/sであるのがより好ましく、9~15mm
2
/sであるのがさらに好ましい。
本発明の組成物中の基油の含有量は、組成物の全質量を基準にして、好ましくは50~91質量%、より好ましくは60~90質量%、さらに好ましくは70~88質量%である。このような範囲で基油を含ませることにより、優れた流入性を担保できる。
【0009】
(c)25℃で固体であるモリブデンジチオカルバメート
(d)25℃で液体であるモリブデンジチオカルバメート及び25℃で液体であるモリブデンジチオホスフェートからなる群から選ばれる少なくとも1種
本発明の(c)又は(d)として使用できるモリブデンジチオカルバメートは、有機金属系耐荷重添加剤のうち、金属基がモリブデンであるものの総称であり、一般に極圧剤として広く用いられている。モリブデンジチオカルバメートには、非油溶性(すなわち、25℃で固体)と、油溶性(すなわち、25℃で液体)とが存在する。
モリブデンジチオカルバメートの好ましい例としては、式(2)で示される化合物があげられる。
[R
3

4
N-CS-S]
2
-Mo
2

m

n
(2)
式(2)中、R
3
及びR
4
は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれが独立して、炭素数1~24、好ましくは3~18の直鎖又は分岐アルキル基を表し、mは0~3、nは4~1、m+n=4である。
本発明の(d)として使用できるモリブデンジチオホスフェートの好ましい例としては、式(3)により示される油溶性のモリブデンジチオホスフェートが挙げられる。
[(R
5
O)(R
6
O)PS-S]
2
-Mo
2

m1

n1
(3)
式(3)中、R
5
及びR
6
はそれぞれ独立して、炭素数1~24のアルキル基又は炭素6~30のアリール基であり、m1は0~3、n1は4~1、m1+n1=4である。
成分(c)と成分(d)は、低摩擦特性の観点から、(c)と(d)との質量比が、1:2.6~1:5.2の範囲、好ましくは1:2.8~5.0の範囲、より好ましくは1:3.0~1:4.8の範囲である。
成分(c)の含有量は、低摩擦特性の観点から、組成物の全質量を基準として、0.4~1.5質量%、好ましくは0.5~1.3質量%、より好ましくは0.6~1.1質量%である。
成分(d)の含有量は、組成物の全質量を基準として、1.95~3.90質量%、好ましくは2.10~3.75質量%、より好ましくは2.25~3.60質量%である。この範囲で低摩擦が得られる。
【0010】
(e)カルシウムフェネート
本発明に使用するカルシウムフェネートは、炭酸カルシウムにより過塩基性とされているもの、中性とされているもの、いずれも使用することが出来る。低摩擦の観点から、塩基価が100~300mgKOH/g、好ましくは120~290mgKOH/g、より好ましくは125~280mgKOH/gである。なお、本発明における塩基価は、JIS K 2501に準拠して測定した値である。
(f)カルシウムスルホネート
本発明に使用するカルシウムスルホネートは、炭酸カルシウムにより過塩基性とされているもの、中性とされているもの、いずれも使用することが出来る。低摩擦性の観点からカルシウムスルホネートの塩基価が0.5~50mgKOH/gが好ましく、0.5~35mgKOH/gがより好ましい。
成分(e)及び(f)の含有比率は、低摩擦性の観点から、(e)カルシウムフェネート:(f)カルシウムスルホネート=1:1~1:3が好ましい。またカルシウムスルホネートは清浄分散剤としての効果があり、過剰に含有することで、グリース性状の耐熱性指標である滴点を低下させることがある。耐熱性を確保できる滴点を考慮すると、成分(e)及び(f)の含有比率は、(e)カルシウムフェネート:(f)カルシウムスルホネート=1:1~1:2が、より好ましい。
また低摩擦の観点から、成分(e)の含有量は、組成物の全質量を基準として、0.7~6.0質量%が好ましく、1.0~5.0質量%がより好ましい。
また低摩擦の観点から、成分(f)の含有量は、組成物の全質量を基準として、2.0~6.0質量%が好ましく、耐熱性を確保できる滴点を考慮すると2.0~4.0質量%がより好ましい。
なお、本発明における滴点はJIS K 2220 8.に準拠して測定した値である。
(【0011】以降は省略されています)

この特許をJ-PlatPatで参照する

関連特許

協同油脂株式会社
消費電力が低くかつ自己ロック性に優れるグリース組成物
3日前
協同油脂株式会社
等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイント
3日前
CYC株式会社
炭化装置
2日前
ENEOS株式会社
情報処理装置
4日前
本田技研工業株式会社
ガソリン製造装置
4日前
ENEOS株式会社
情報処理装置
4日前
三洋化成工業株式会社
粘度指数向上剤及び潤滑剤組成物
12日前
本田技研工業株式会社
バイオマスガス化装置
9日前
本田技研工業株式会社
解重合液生成システム
9日前
川研ファインケミカル株式会社
摩擦低減剤及び潤滑油組成物
8日前
JFEスチール株式会社
コークス炉の補修方法
8日前
NTN株式会社
グリース組成物および自在継手
15日前
コスモ石油株式会社
A重油組成物
8日前
JFEスチール株式会社
コークスの製造方法
9日前
コスモ石油株式会社
A重油組成物
8日前
コスモ石油ルブリカンツ株式会社
潤滑油組成物
9日前
出光興産株式会社
冷凍機油組成物及び冷凍機用組成物
15日前
エスケイ工業有限会社
炭化装置
1日前
JFEスチール株式会社
コークス強度の推定方法
10日前
川崎重工業株式会社
炭化水素の製造方法及び製造システム
4日前
コスモ石油ルブリカンツ株式会社
内燃機関用潤滑油組成物
8日前
コスモ石油ルブリカンツ株式会社
油圧作動油用潤滑油組成物
9日前
コスモ石油ルブリカンツ株式会社
湿式クラッチ用潤滑油組成物
8日前
コスモ石油ルブリカンツ株式会社
ガスエンジン用潤滑油組成物
8日前
株式会社レゾナック
炭素材製造用ピッチとナフタレンの製造方法
1日前
出光興産株式会社
金属加工油組成物
4日前
UBE三菱セメント株式会社
バイオマス燃料の製造装置、及び、バイオマス燃料の製造方法
15日前
JFEスチール株式会社
コークス炉の原料配置方法およびコークスの製造方法
2日前
日鉄テックスエンジ株式会社
コークス炉用排煙口装置、およびコークス炉用カーボン燃焼装置
10日前
JFEスチール株式会社
コークスの製造方法
1日前
協同油脂株式会社
消費電力が低くかつ自己ロック性に優れるグリース組成物
3日前
ENEOS株式会社
粘度指数向上剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
1日前
ENEOS株式会社
粘度指数向上剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
1日前
ENEOS株式会社
粘度指数向上剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
1日前
ENEOS株式会社
粘度指数向上剤、冷凍機油及び冷凍機用作動流体組成物
1日前
協同油脂株式会社
等速ジョイント用グリース組成物及びそれを封入した等速ジョイント
3日前
続きを見る