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公開番号2024128924
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-24
出願番号2023188920
出願日2023-11-02
発明の名称酸素発生反応用触媒または二元触媒、および触媒を備える電極
出願人日本特殊陶業株式会社
代理人個人,個人
主分類B01J 23/34 20060101AFI20240913BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約【課題】酸素発生反応を促進する触媒の性能を向上させる。
【解決手段】Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を有すると共に酸素発生反応を促進する酸素発生反応用触媒または二元触媒は、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、組成式:CaaDbMncEdO12-δ(但し、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す)で表され、前記a,b,c,d,δが、0.85≦(a+b)≦1.15、6.75≦(c+d)≦7.25、0.125<(a+b)/(c+d)<0.167、0≦b≦0.3、0≦d≦0.5、0<δ≦0.5を満たす。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を有すると共に酸素発生反応を促進する酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、組成式:Ca



Mn




12-δ
(但し、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す)で表され、前記a,b,c,d,δが、
0.85≦(a+b)≦1.15
6.75≦(c+d)≦7.25
0.125<(a+b)/(c+d)<0.167
0≦b≦0.3
0≦d≦0.5
0<δ≦0.5
を満たすことを特徴とする
酸素発生反応用触媒または二元触媒。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
請求項1に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
前記bが正の値である場合には、前記元素Dの原子価が1であり、
前記dが正の値である場合には、前記元素Eの原子価が2または3であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒または二元触媒。
【請求項3】
請求項2に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、前記組成式における前記元素Dおよび前記元素Eを合わせた元素として、2種以上の元素を含むことを特徴とする 酸素発生反応用触媒または二元触媒。
【請求項4】
請求項1に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
(b+d)<0.5であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒または二元触媒。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
前記δは、0.03以上であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒または二元触媒。
【請求項6】
請求項5に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒であって、
前記δは、0.10以上であることを特徴とする
酸素発生反応用触媒または二元触媒。
【請求項7】
請求項1に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒を備えることを特徴とする
電極。
【請求項8】
請求項7に記載の電極であって、
前記電極は、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかであることを特徴とする
電極。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、酸素発生反応用触媒または二元触媒、および触媒を備える電極に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
アルカリ水電解装置や金属空気二次電池など、エネルギー変換を伴う種々の装置において、酸素発生反応(OER:Oxygen Evolution Reaction)が進行し、このような反応の効率を高めるために、上記装置では酸素発生反応用触媒が用いられる。酸素発生反応用触媒としては、近年、貴金属を用いない触媒が種々検討されている。貴金属を用いない酸素発生反応用触媒としては、例えば、特許文献1では、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を含有する触媒が提案されている。また、特許文献2では、マンガン酸化物が導電性担体の表面に担持された触媒が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第5869169号公報
特開2020-161341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような酸素発生反応用触媒は、一般に、上記したような装置における酸素発生反応が進行する電極に設けられており、このような装置では、酸素発生反応を進行させるための過電圧を抑えてエネルギー効率を高めるために、酸素発生反応用触媒におけるさらなる性能の向上が望まれていた。このような課題は、例えば金属空気二次電池の空気極が備える触媒のように、酸素発生反応に加えて酸素還元反応を促進する二元触媒においても共通するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物を有すると共に酸素発生反応を促進する酸素発生反応用触媒または二元触媒が提供される。この酸素発生反応用触媒または二元触媒は、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、組成式:Ca



Mn




12-δ
(但し、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す)で表され、前記a,b,c,d,δが、
0.85≦(a+b)≦1.15
6.75≦(c+d)≦7.25
0.125<(a+b)/(c+d)<0.167
0≦b≦0.3
0≦d≦0.5
0<δ≦0.5
を満たす。
この形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒によれば、組成式:Ca



Mn




12-δ
(但し、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す)で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、酸素欠損を有することにより、酸素発生反応用触媒としての触媒性能を高めることができる。また、上記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、酸素発生反応に加えて酸素還元反応を促進する活性も有しており、二元触媒として用いる場合であっても、酸素発生反応を促進する活性を高める効果が得られる。
(2)上記形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒において、前記bが正の値である場合には、前記元素Dの原子価が1であり、前記dが正の値である場合には、前記元素Eの原子価が2または3であることとしてもよい。このような構成とすれば、Caよりも原子価が低い元素Dや、Mnよりも原子価が低い元素Eは、周囲よりも電子が不足して周囲の元素から電子を受け取るアクセプタとして機能するため、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物において、電気的中性条件を満たすための酸素欠損を生じさせることができる。
(3)上記形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒において、前記Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、前記組成式における前記元素Dおよび前記元素Eを合わせた元素として、2種以上の元素を含むこととしてもよい。これは、元素Dのみで2種以上存在する、あるいは、元素Eのみで2種以上存在することとしてもよく、また、元素Dと元素Eの各々が1種以上存在して合わせて2種以上の元素が存在してもよい。このような構成とすれば、元素Dや元素Eであるすべての元素がアクセプタとして機能する元素でなくても、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物全体で化学量論比の酸素の負電荷量に対し、正電荷量が不足する状態となるならば、電気的中性条件を満たすための酸素欠損を生じさせることができる。
(4)上記形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒において、(b+d)<0.5であることとしてもよい。このような構成とすれば、元素Dおよび元素Eの含有割合を抑えることにより、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物中に副相が生じることを抑えることができる。
(5)上記形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒において、前記δは、0.03以上であることとしてもよい。このような構成とすれば、酸素発生反応用触媒としての活性をさらに高めることができる。
(6)上記形態の酸素発生反応用触媒または二元触媒において、前記δは、0.10以上であることとしてもよい。このような構成とすれば、酸素発生反応用触媒としての活性をさらに高めることができる。
(7)本開示の他の一形態によれば、電極が提供される。この電極は、(1)から(6)までのいずれか一項に記載の酸素発生反応用触媒または二元触媒を備える。
この形態の電極によれば、電極が備えるAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物が、酸素欠損を有することにより、電極で進行する酸素発生反応の活性を高めることができる。
(8)上記形態の電極は、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかであることとしてもよい。このような構成とすれば、アルカリ水電解用アノード電極、金属空気2次電池の空気極、光電極システムのアノード電極、および、固体酸化物形電解セルのアノード電極のうちのいずれかで進行する酸素発生反応用の活性を高めることができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、酸素発生反応用触媒または二元触媒の製造方法や、上記触媒を含む電極を備えたアルカリ水電解装置、金属空気2次電池、光電極システム、および、固体酸化物形電解セルなどの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の構造を模式的に表す説明図。
本実施形態の酸化物の製造方法の一例を示す説明図。
実施例の各サンプルの具体的な構成を示す説明図。
触媒性能に係る評価を行った結果を示す説明図。
OER評価としての電気化学測定結果を示す説明図。
ORR評価としての電気化学測定結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.酸素発生反応用触媒および酸素還元反応用触媒:
本実施形態の触媒は、酸素発生反応(OER:Oxygen Evolution Reaction)を促進する酸素発生反応用触媒である。また、本実施形態の触媒は、酸素発生反応に加えてさらに酸素還元反(ORR:Oxygen Reduction Reaction)を促進するため、二元触媒として用いることもできる。以下ではまず、本実施形態の触媒の構成について説明する。
【0008】
本実施形態の触媒は、第1の組成式であるCa



Mn




12-δ
で表されるAサイト秩序型ペロブスカイト(四重ペロブスカイト)酸化物を有している。上記第1の組成式において、元素Dは、アルカリ金属元素、Caを除くアルカリ土類金属元素、希土類元素から選ばれる少なくとも1種を表し、元素Eは、Mnを除く遷移元素から選ばれる少なくとも1種を表す。本実施形態の触媒は、上記組成式において、a,b,c,d,δが、以下に示す(1)式~(6)式を満たす。
【0009】
0.85≦(a+b)≦1.15 … (1)
6.75≦(c+d)≦7.25 … (2)
0.125<(a+b)/(c+d)<0.167 … (3)
0≦b≦0.3 … (4)
0≦d≦0.5 … (5)
0<δ≦0.5 … (6)
【0010】
図1は、Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の一般的な構造を模式的に表す説明図である。Aサイト秩序型ペロブスカイト酸化物は、第2の組成式AA'




12
(Aは希土類元素あるいはアルカリ土類金属元素、A'およびBは遷移金属)で表される。このようなAサイト秩序型ペロブスカイト酸化物の構造は、図1に示すように、Bサイトの元素を含むBO

八面体に加えて、元素A'を含んで秩序配列したA'O

平面を有する。
(【0011】以降は省略されています)

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