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公開番号2024122980
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-10
出願番号2024080086,2021520278
出願日2024-05-16,2019-06-20
発明の名称インターロイキン-2バリアントおよびその使用方法
出願人キュージーン インコーポレイテッド,CUGENE INC.
代理人弁理士法人北青山インターナショナル
主分類C07K 19/00 20060101AFI20240903BHJP(有機化学)
要約【課題】自己免疫疾患、臓器移植の拒絶反応または関連する移植片対宿主病(GvHD)、炎症性疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、多発性硬化症、アトピー性皮膚炎、糖尿病、および免疫関連有害事象(irAE)の治療に用いるための、融合タンパク質を含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】1)IL-2バリアントポリペプチドと、2)Fcドメインとを含む単離された融合タンパク質であって、前記融合タンパク質が、二量体形態であり、前記融合タンパク質の前記IL-2バリアントポリペプチドの各々が、ペプチドリンカーによって前記Fcドメインに融合していることを特徴とする単離された融合タンパク質、前記単離された融合タンパク質を、薬剤的に許容できる担体と混合して含む、医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
単離されたインターロイキン-2(IL-2)バリアントポリペプチドであって、L19位、D20位、L21位、Q22位、R38位、F42位、N88位、S125位、またはQ126位のアミノ酸残基のうちの1または複数が別のアミノ酸と置換されている配列番号3のアミノ酸配列を含み、配列番号3によって示されるポリペプチドと比較してIL-2Rβγ受容体複合体を活性化する能力は低減されているが、IL-2Rαβγ受容体複合体を活性化する能力は保持されている、IL-2バリアントポリペプチド。
続きを表示(約 1,600 文字)【請求項2】
前記アミノ酸置換が、配列番号3の、19位におけるL19D置換、L19H置換、L19N置換、L19R置換、L19S置換、L19P置換、およびL19Y置換、20位におけるD20E置換、D20I置換、D20N置換、D20Q置換、D20S置換、D20T置換、およびD20Y置換、21位におけるL21S置換、L21R置換、およびL21N置換、22位におけるQ22N置換、Q22H置換、Q22K置換、Q22Y置換、Q22I置換、88位におけるN88E置換、N88G置換、N88T置換、N88M置換、N88Q置換、N88R置換、およびN88I置換、125位におけるS125E置換、S125K置換、S125H置換、S125W置換、およびS125I置換、並びに126位におけるQ126D置換、Q126E置換、Q126H置換、Q126K置換、Q126L置換、Q126M置換、Q126N置換、およびQ126Y置換からなる群から選択される、またはこれらの置換の任意の組み合わせである、請求項1に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項3】
配列番号3のL19位およびQ126位のアミノ酸残基に2つのアミノ酸置換を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項4】
配列番号3のL19位、S125位、およびQ126位のアミノ酸残基に3つのアミノ酸置換を含む、請求項1および2のいずれか一項に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項5】
前記アミノ酸置換が、配列番号3の、19位におけるL19D置換、L19H置換、L19N置換、L19R置換、L19S置換、L19P置換、およびL19Y置換、125位におけるS125E置換、S125K置換、S125H置換、S125W置換、およびS125I置換、並びに126位におけるQ126D置換、Q126E置換、Q126H置換、Q126K置換、Q126L置換、Q126M置換、Q126N置換、およびQ126Y置換からなる群から選択される、請求項3および4のいずれか一項に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項6】
配列番号4~43、108~146、および193~197に記載のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項7】
配列番号5~14、26~43、108~111、125~146、および193~197(をIL-2バリアントは含む)に記載のアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項6に記載のIL-2バリアントポリペプチド。
【請求項8】
単離されたIL-2バリアントポリペプチドであって、配列番号3に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号3によって示されるポリペプチドと比較してIL-2Rβγ受容体複合体を活性化する能力は低減されているが、IL-2Rαβγ受容体複合体を活性化する能力は保持されている、IL-2バリアントポリペプチド。
【請求項9】
1)請求項1~8のいずれか一項に記載のIL-2バリアントポリペプチドと、2)異種タンパク質と、を含む、単離された融合タンパク質。
【請求項10】
前記IL-2バリアントポリペプチドが、そのN末端アミノ酸において、前記異種タンパク質のC末端アミノ酸に、所望によりペプチドリンカーを介して融合している、請求項9に記載の単離された融合タンパク質。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本出願は2018年11月2日に出願された米国仮出願第62/755,016号、および2018年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/689,055号の利益を主張するものであり、当該仮特許出願の全内容は参照により本明細書に援用される。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
インターロイキン2(IL-2)はT細胞に関連して記述がなされた最初の増殖因子である。その発見以後、IL-2は、インビトロにおいてはT細胞の増殖および生存を促進することが示され(Smith、KA.(1988年)、Science.、240巻、頁1169-76)、T細胞性ウイルス感染(T viral infection)(Blattman、JNら(2003年)、Nat Med、9巻、頁540-7)やワクチン(Fishman、M.ら(2008年)、J Immunother.、31巻、頁72-80、Kudo-Saito、C.ら(2007年)、Cancer Immunol Immunother.、56巻、頁1897-910;Lin、CT.ら(2007年)、Immunol Lett.、114巻、頁86-93)との関連においては免疫応答をブーストする能力が示されている。
【0003】
IL-2はがん治療で用いられている。組換えヒトIL-2は転移性黒色腫および腎がんに対する効果の高い免疫療法であり、およそ10%の患者で持続的な反応が見られる。しかし、半減期が短く、毒性が強いことで、IL-2の最適用量は制限を受けている。さらに、IL-2は、そのヘテロ三量体型受容体のIL-2Rαβγに対して、より大きな親和性で結合するため、高レベルのIL-2Rαを恒常的に発現している免疫抑制的な制御性T細胞(Treg)の優先的な増殖が起こる。Tregの増殖はがん免疫療法にとってのIL-2の望ましくない効果となる。しかし、低用量でもTreg細胞を刺激できるIL-2の能力は、自己免疫性障害および種々の炎症性障害の治療で利用できる可能性があった。
【0004】
Tregは免疫系恒常性の中心となり、(自己反応性)エフェクターT細胞を抑制することにより末梢性免疫寛容の維持で主要な役割を担っている。複数の自己免疫性疾患および炎症性疾患において、Treg細胞数またはTreg機能の欠損が示された。結果として、Treg細胞の数および/または機能を増強する治療法の開発には大きな関心が寄せられている。検討中の自己免疫疾患に対する1つの治療アプローチは、Treg細胞のターゲティングのために低用量のIL-2を用いるものであるが、これは、Treg細胞が、IL-2Rαレベルが恒常的に高いために、より低濃度のIL-2に多くの他の免疫細胞種よりも応答するためである(Klatzmann D、2015年、Nat Rev Immunol.、15巻:頁283-94)。種々のGvHD患者(Koreth、J.ら、2011年、N Engl J Med.、365巻:頁2055-66)およびHCV関連自己免疫性脈管炎患者(Saadoum、D.ら、2011年、N Engl J Med.、365巻:頁2067-77)の、低用量IL-2による治療の臨床試験は、Tregレベルの増加と臨床効果の兆候を示した。しかし、これらの低い用量においても、安全性および忍容性において深刻な問題が生じた。以上のことから、IL-2よりも特異的にTreg細胞を標的とする、Treg細胞の数および機能を増強できる、効果的な自己免疫性/炎症性疾患治療が求められている。
【0005】
さらに最近になって、細胞傷害性のエフェクターT細胞またはTreg細胞のどちらかを選択的に刺激するよう、IL-2を改変できることが分かった。様々なアプローチにより、免疫刺激能が改善され選択的となったIL-2バリアントが作製された(例えば、米国特許第7,186,804号、米国特許第7,105,653号、米国特許第6,955,807号、米国特許第5,229,109号、米国特許出願公開第20050142106号を参照)。本発明においては、この分子の、主に高親和性の受容体(α鎖、β鎖、およびγ鎖)によりシグナル伝達する能力を増強し、中間親和性の受容体(β鎖およびγ鎖)によりシグナル伝達する能力は増強しないように、IL-2バリアントの設計を行った。基本的な考え方としては、確認された毒性作用の原因であると考えられた、エフェクターT細胞およびNK細胞におけるシグナル伝達は促進せずに、Treg細胞におけるシグナル伝達を促進することとした。重要なこととして、天然の調節性T細胞を刺激する能力に基づいて、インビボにおいてネイティブIL-2よりも大きな治療効果を有するIL-2バリアントに関する先行技術の開示はない。しかし、IL-2バリアントの初期の研究以後、この分野の研究によって、Treg細胞が、IL-2Rα(CD25)を、IL-2Rβおよびγcと共に恒常的に高発現していることの、より完全な証明がなされ、IL-2Rαβγ選択的アゴニストとしてのIL-2バリアントはTreg細胞に対し選択的であるはずである。
【0006】
要約すると、IL-2は、様々な細胞集団の生物活性に非常に関りがある、高度に多面的なサイトカインである。この特性は、IL-2を、免疫応答の制御における重要な交点とし、各治療方法および複雑な免疫調節の魅力的な標的としている。さらに、受容体サブユニットにバイアスがかかったIL-2バリアントは、ヘルパー細胞および細胞傷害性エフェクターT(Teff)細胞を最小限としながら、調節性T細胞(Treg)の増殖および活性を促進するための、IL-2を介した選択的な免疫調節の達成を可能とし、炎症誘発性シグナル伝達分子のレベルを低下させた。
【発明の概要】
【0007】
一つの態様において、本発明は、変異型のIL-2バリアントの作製に関する。これらのバリアントは、通常CD4+T細胞、細胞毒性効果を有するCD8+Tリンパ球、およびNK細胞を超えて、Treg(T CD4+CD25+FoxP3+)細胞刺激における選択性が増強されていることを特徴とする。具体的には、これらのバリアントは自己免疫性・炎症性障害におけるIL-2療法を向上させるための実際的な解決法を提供する。本発明は、1個~数個のアミノ酸が変異していることを除き、ヒトIL-2と一次配列を共有している、ポリペプチドに関する。これらのバリアントは、IL-2のIL-2Rβおよび/またはγcとの相互作用に対応する位置においてアミノ酸置換を有しており、その結果、これらのバリアントは、IL-2Rβγ受容体複合体に対する親和性が減少しており、IL-2Rβγ発現細胞を活性化する能力が低減または消失しているが、IL-2Rαに結合する能力と、IL-2Rαβγ受容体複合体に結合しそれを活性化する能力は保持している。本発明はまた、自己免疫性障害および種々の炎症性障害を治療するための、これらの変異型バリアントの治療用途を包含する。
【0008】
一つの態様において、本発明は、変異型のIL-2バリアントの作製に関する。これらのバリアントは、Treg選択的活性、凝集低減、発現増加、製造性向上、および開発適合性向上による、属性の組み合わせを有する。これらのバリアントはまた、タンパク質の生物物理学的特性の向上と、IL-2分子に関連した免疫原リスクの低減と、をもたらす。これらのバリアントは、IL-2療法を向上させるためのより優れた解決法と、自己免疫性・炎症性障害における毒性の低減と、をもたらす。本発明は、1個~数個のアミノ酸が変異していることを除き、ヒトIL-2と一次配列を共有している、ポリペプチドに関する。
【0009】
一つの態様において、本発明は、細菌性毒の成分に類似した提案された「
19
LDL」モチーフを除去することを特徴とした、変異型IL-2バリアントの作製に関する(Baluna R、Rizoら、Proc Natl Acad Sci、1999年;96巻:頁3957-62)。この「毒性モチーフ」は、IL-2の直接的な血管毒性に部分的に関与している。毒素様ドメインの決定的な残基であるD20または隣接する2つの残基を除去するために導入される変異は、毒性モチーフを除去し、内皮細胞の損傷を防ぎ、VLSを大幅に低減させることが期待される。重要なことに、このモチーフはIL-2Rβとの接触面に位置しているため、このモチーフに対するアミノ酸置換はIL-2Rβに対してのその親和性を減少させ、得られた分子は、Treg細胞活性化においての選択性および内皮損傷の低減を含む、2つの有益な特性を有することが期待されるだろう。本発明は、1個~数個のアミノ酸が変異していることを除き、ヒトIL-2と一次配列を共有している、ポリペプチドに関する。本発明はまた、Treg細胞欠損型の自己免疫性障害および種々の炎症性障害を治療するための、これらの変異型バリアントの治療用途を包含する。
【0010】
本発明は、自己免疫性障害および種々の炎症性障害の治療における、現在のIL-2ベースの免疫調節戦略の、実質的な改善を可能にする。具体的には、本明細書に記載の変異型バリアントによるネイティブIL-2の置換によって、Treg細胞のCD25に偏った選択的刺激が生じる。種々の実施形態において、IL-2バリアント(または変異体)は、配列番号3に記載の成熟ヒトIL-2ポリペプチドの配列に由来するIL-2バリアント(または変異体)の配列を含む。種々の実施形態において、IL-2バリアントはIL-2アゴニストとしての機能を有する。種々の実施形態において、IL-2バリアントはIL-2アンタゴニストとしての機能を有する。種々の実施形態において、IL-2バリアントは、配列番号4~43、108~146、および193~197に記載の配列を含む。
(【0011】以降は省略されています)

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