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公開番号2024120719
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-05
出願番号2023027724
出願日2023-02-24
発明の名称照射用容器および放射性核種製造システム
出願人株式会社日立製作所
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類G21K 5/08 20060101AFI20240829BHJP(核物理;核工学)
要約【課題】材料同士の熱膨張差や振動や衝撃による破損を生じ難く、内部に収容された被照射物質への放射性の照射によって放射性核種を効率的且つ安全に製造できる照射用容器、および、これを用いる放射性核種製造システムを提供する。
【解決手段】被照射物質を収容して放射線を照射するための照射用容器(10)であって、被照射物質を収容する内側容器(1)と、内側容器(1)を収容する外側容器(2)と、外側容器(2)に収容された内側容器(2)を弾性的に支持する弾性部材(4)とを備える。放射性核種製造システムは、原料核種を含む被照射物質に放射線を照射する照射部と、放射線の照射によって生成した生成核種を被照射物質から分離する分離部と、照射用容器(10)とを備え、照射用容器(10)は、照射部における放射線の照射時、および、照射部から分離部への被照射物質の搬送時に用いられる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
被照射物質を収容して放射線を照射するための照射用容器であって、
被照射物質を収容する内側容器と、
前記内側容器を収容する外側容器と、
前記外側容器に収容された前記内側容器を弾性的に支持する弾性部材と、を備えた照射用容器。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
請求項1に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記内側容器の側部と前記外側容器の側部との間に配置されている照射用容器。
【請求項3】
請求項2に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記外側容器に収容された前記内側容器を、前記外側容器の側部側から前記外側容器の中心軸側に向けて付勢し、
前記内側容器は、前記外側容器の側部から離隔した内側に支持される照射用容器。
【請求項4】
請求項2に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記内側容器の側部と前記外側容器の側部との間に複数配置されており、
複数の前記弾性部材は、互いに異なるばね定数を有する弾性部材を含む照射用容器。
【請求項5】
請求項2に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記内側容器の側部と前記外側容器の側部との間に複数配置されており、
複数の前記弾性部材は、前記外側容器の中心軸に沿う方向において互いに異なる位置に配置された弾性部材を含む照射用容器。
【請求項6】
請求項5に記載の照射用容器であって、
前記内側容器の重心に近い位置に配置された前記弾性部材は、前記内側容器の重心から遠い位置に配置された前記弾性部材よりもばね定数が大きい弾性部材である照射用容器。
【請求項7】
請求項5に記載の照射用容器であって、
前記外側容器の開口に近い位置に配置された前記弾性部材は、前記外側容器の開口から遠い位置に配置された前記弾性部材よりもばね定数が小さい弾性部材である照射用容器。
【請求項8】
請求項2に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記内側容器の側部と前記外側容器の側部との間、および、前記内側容器の頂部と前記外側容器の頂部との間に配置されている照射用容器。
【請求項9】
請求項1に記載の照射用容器であって、
前記内側容器は、開口が着脱自在な内側蓋部材によって開閉される構造であり、
前記外側容器は、開口が着脱自在な外側蓋部材によって開閉される構造である照射用容器。
【請求項10】
請求項9に記載の照射用容器であって、
前記弾性部材は、前記内側容器の側部と前記外側容器の側部との間、および、前記内側蓋部材と前記外側蓋部材との間に配置されている照射用容器。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、被照射物質を収容して放射線を照射するための照射用容器、および、これを用いる放射性核種製造システムに関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
近年、がんの治療法として、標的核医学治療が注目されている。標的核医学治療の一種としては、標的に対して内照射を行うRI内用療法(標的アイソトープ治療)(Targeted Radioisotope Therapy:TRT)が知られている。RI内用療法は、放射性核種が組み込まれた薬剤を投与して患部組織に集積させ、放射性核種が放出する放射線を患部組織に直接照射する治療法である。
【0003】
治療用の放射性核種としては、α線放出核種の利用が拡大している。α線放出核種は、飛程が短く、線エネルギ付与が大きいため、高い治療効果が期待されている。α線放出核種としては、ラジウム223(Ra-223)、アスタチン211(At-211)、アクチニウム225(Ac-225)等がある。治療用の放射性核種は、原料核種を核反応によって核変換させる方法で製造されている。
【0004】
Ra-223の製造法としては、Ra-226(n,γ)Ra-227反応の後にRa-227を崩壊させる方法等が知られている。At-211の製造法としては、Bi-209(α,2n)At-211反応による方法等が知られている。Ac-225の製造法としては、トリウム229(Th-229)の崩壊による方法や、Ra-226(n,2n)Ra-225反応の後にRa-225をβ崩壊させる方法や、Ra-226(γ,n)Ra-225反応の後にRa-225をβ崩壊させる方法等が知られている。
【0005】
放射性核種の製造には、原料核種を含む被照射物質が適宜の化学形態で用いられる。固体状の被照射物質としては、酸化物、塩化物、炭酸塩等が用いられている。被照射物質は、照射用容器に収容されて、核反応を起こさせるための放射線が照射される。照射用容器は、一般に、多重構造に設けられている。一般的な照射用容器は、被照射物質を収容するインナ容器と、インナ容器を収容するアウタ容器とを備えている。
【0006】
照射用容器の材料には、放射線の照射による発熱に耐える耐熱性や、放射線の照射によって放射化し難い低放射化特性や、放射線の吸収断面積が小さく放射線の透過を許容する放射線透過性や、被照射物質と化学反応し難い化学的安定性等が求められる。また、高純度な材料であることが求められる。材料に不純物が含まれていると、被照射物質への不純物の混入や、不純物の放射化が起こるためである。
【0007】
特許文献1には、医薬用放射性イットリウムや、その製造方法が記載されている。特許文献1には、原料ターゲットとして、酸化物粉末等や、粉末を高密度に圧縮成型してペレット化したものを用いることができる旨が記載されている(段落0068参照)。また、ターゲットとして粉末を用いる場合、石英管に密封し、さらにアルミニウム系の金属製照射容器に密封する旨が記載されている(段落0068参照)。
【0008】
一般に、インナ容器としては、石英管が用いられている。石英ガラスは、耐熱性、低放射化特性、放射線透過性、化学的安定性等に優れており、高純度に製造する方法が確立されている。また、アウタ容器としては、低放射化特性、放射線透過性等が良好なアルミニウム製容器が用いられている。耐圧性や耐腐食性が要求される場合には、アウタ容器としてステンレス鋼製容器が用いられることもある。
【0009】
照射用容器は、気体状の放射性物質が生成する場合には、気密性が要求される。従来、試験的な場面では、被照射物質を入れた石英管が、バーナを用いた溶封によって密閉されている。また、アルミニウム製容器が、溶接や圧接によって密閉されている。容器を密閉することによって、核反応によって生成した気体状の放射性物質の漏洩や、放射線による入熱で気化した放射性物質の漏洩が防止されている。
【0010】
特許文献2には、高エネルギの陽子を液体金属中に照射することで中性子を発生させるターゲット容器が記載されている。ターゲット容器は、容器本体、内側保護容器、および、外側保護容器による積層構造とされている。各容器は、容器の外面から突出する凸部を有している。凸部同士の溶接によって、液体金属の漏洩を低減する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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