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公開番号2024119175
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-09-03
出願番号2023025893
出願日2023-02-22
発明の名称厚鋼板の破壊靭性予測方法
出願人JFEスチール株式会社
代理人個人
主分類G01N 3/00 20060101AFI20240827BHJP(測定;試験)
要約【課題】板厚100mm以上の中心偏析部を有する厚鋼板の全厚CTOD値を、厚鋼板の元厚に比べ小サイズの試験片を用いて精度よく予測できる厚鋼板の破壊靭性予測方法を提供する。
【解決手段】中心偏析部と非偏析部とからなる厚鋼板の全厚CTOD値を予測する方法であって、前記非偏析部の小型CTOD値を求める工程(A)と、前記中心偏析部を模した芯材と前記非偏析部を模した合せ材とからなる中心偏析模擬クラッド材のCTOD値を求める工程(B)と、前記合せ材のCTOD値を求める工程(C)とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
中心偏析部と非偏析部とからなる厚鋼板の破壊靭性を予測する方法であって、
前記非偏析部の小型CTOD値を求める工程と、
前記中心偏析部を模した芯材と前記非偏析部を模した合せ材とからなる中心偏析模擬クラッド材のCTOD値を求める工程と、
前記合せ材のCTOD値を求める工程を備えることを特徴とする厚鋼板の破壊靭性予測方法。
続きを表示(約 1,100 文字)【請求項2】
中心偏析部と非偏析部とからなる厚鋼板の破壊靭性を予測する方法であって、
前記非偏析部の小型CTOD値を求める工程と、
前記中心偏析部を模した芯材と前記非偏析部を模した合せ材とからなる中心偏析模擬クラッド材から得られたCTOD値と、
前記合せ材から得られたCTOD値を用い、
前記非偏析部の小型CTOD値より前記厚鋼板の破壊靭性を予測する工程を有する、
ことを特徴とする厚鋼板の破壊靭性予測方法。
【請求項3】
前記非偏析部の小型CTOD値から下記(1)式により前記厚鋼板の全厚CTOD値の1次予測値δ
A
を算出し、前記中心偏析模擬クラッド材および前記合せ材のCTOD値から求められた補正係数αにて下記(2)式により前記厚鋼板の全厚CTOD値の最終予測値δ
B
を算出することを特徴とする厚鋼板の破壊靭性予測方法。
δ
A
=材料定数K×(非偏析部の小型CTOD値)×(B
S
/B
F

1/2
‥‥(1)
δ
B
=δ
A
×補正係数α ‥‥(2)
ここで、材料定数Kは前記厚鋼板のヤング率、降伏応力、引張強さで表され、B
S
は非偏析部の小型CTOD値を求める試験片板厚、B
F
は前記厚鋼板の板厚、補正係数α=(中心偏析模擬クラッド材のCTOD値/合せ材のCTOD値)である。
【請求項4】
前記中心偏析部の厚みが0超~0.8mmであること、および/または前記厚鋼板の板厚が100~150mmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の厚鋼板の破壊靭性予測方法。
【請求項5】
前記非偏析部の小型CTOD値を求める試験片板厚が5~10mmであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに1項に記載の厚鋼板の破壊靭性予測方法。
【請求項6】
前記中心偏析模擬クラッド材および前記合せ材のCTOD値を求める試験片板厚が15~30mmであり、前記中心偏析模擬クラッド材の芯材の厚みが0超1mm未満であること、および/または前記合せ材と前記非偏析部の組成を同一とし、前記芯材の組成を前記非偏析部の組成においてCおよびMnの含有量がそれぞれ前記非偏析部の1.5~3倍になる組成とすることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の厚鋼板の破壊靭性予測方法。
【請求項7】
前記厚鋼板の降伏強度が460~560MPaであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の厚鋼板の破壊靭性予測方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶、海洋構造物等の大型構造物に使用される厚鋼板の破壊靭性値を、小型CTOD値から予測する厚鋼板の破壊靭性予測方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
船舶、海洋構造物等の大型構造物では板厚・強度ともに増加する傾向にあり、それに伴い、過去の重大事故の経験から海洋構造物用の溶接用鋼材には高い安全性が求められる。母材および溶接継手部を対象に通常のシャルピー衝撃試験による靭性評価に加えて、鋼材に機械切欠とその先端に連なる疲労亀裂からなる予亀裂を導入したCTOD試験による破壊靭性評価も必須となっている。ここで、CTODとは、Crack Tip Opening Displacementを意味する。CTOD試験方法は、ISO12135(2016)やISO15653(2018)などの規格に規定されている通り、原則は鋼板の板厚のまま、つまり全厚で試験することになっている。よって、鋼材開発促進のためには、簡便な小サイズの試験片を用いて、開発鋼材の全厚試験片で測定したCTOD試験値(以下、全厚CTOD値ともいう)で評価される破壊靭性値を早期に予測することが重要となる。
【0003】
CTOD試験は通常、図4に示すCTOD試験片に三点曲げを加えて測定される(非特許文献1)。試験片厚さ(板厚)Bは評価対象の鋼材の厚さ(原厚=前記全厚と同義)とし、幅Wは2B(Bとする場合もある)とする。さらに、初期亀裂長さa
0
=0.45W~0.55Wの予亀裂を導入する。三点曲げのスパンS=4Wとされる。負荷は変位制御とし、速度の範囲は規格に規定されている。
【0004】
図5(a)に例示する疲労亀裂のような先鋭欠陥であっても、開口応力を受けると、図5(b)のように、亀裂先端ではその強い応力集中により塑性変形し、先端の形状が鈍化する。この塑性変形による亀裂先端の開口変位がCTOD値(δとも称す)である。δは亀裂先端でのひずみ集中の結果であり、亀裂先端近傍の応力場との対応があることから、亀裂のおかれている力学的厳しさを表す尺度として用いられる。CTOD試験では、実験室で予亀裂入りの試験片を開口変形させ、ぜい性破壊発生時の図5(b)のδを計測することになるが、亀裂先端の変形を実際に計測することは技術的に難しい。そのため、予亀裂入りの試験片の曲げ負荷による開口変形が、図6のように亀裂前方のある定点を中心とした回転変形をするという想定モデル(回転変形モデル)が提案されている。このモデルでは、実計測の容易な切欠き口端(Crack Mouth)の変位Vg を基に幾何学的関係からCTOD値、δを算定する。試験片切欠端のナイフエッジ(図6のハッチング部)にはクリップゲージ(図示せず)を取付け、荷重と亀裂開口変位の関係(P-Vg関係)を計測する。図6において、各記号は、W:試験片幅、z:ナイフエッジ厚さ、a
0
:初期亀裂長さ、a
f
:疲労予亀裂長さ、Vg:計測開口変位、r
p
:回転因子(0.4~0.45)、δ:CTOD値である。なお、初期亀裂長さa
0
は、試験終了後、試験片を液体窒素等で冷却して完全破断させ、破面上で測定する。
【0005】
しかしながら、厚鋼板になると、製造上不可避な中心偏析部が存在し、また、全厚試験片のサイズが大きくなり、試験の所要工数が膨大になる。そこで、中心偏析を考慮して、全厚試験片の代替として板厚を減じた小型試験片を用いて、全厚CTOD値を精度よく予測することができれば非常に有益な技術となる。
【0006】
一方、小サイズの試験片を用いて実サイズの金属材料の破壊靭性値を推定する方法として、金属材料から切り出した微小平板の中央部にスリットを形成させ、該スリットの両端に疲労亀裂を形成させてなる試験片を用いる方法が提案されている(特許文献1)。しかし、特許文献1では、SP(スモールパンチ)試験法での破壊靭性値からCT(Compact Tension)試験での破壊靭性値を推定するものであり、全厚CTOD値の予測についての開示はない。
【0007】
また、シャルピー衝撃試験片を用いる方法も提案されている(特許文献2)。しかし、特許文献2では、計装化シャルピー衝撃試験で求めた動的破壊靭性値Kjdから静的破壊靭性値Kjcを推定するものであり、全厚CTOD値の予測についての開示はない。
【0008】
また、厚鋼板の小型CTOD試験片を用いて測定したCTOD値(以下、小型CTOD値ともいう)を所定の換算式で全厚CTOD値の予測値に変換する方法が知られている(非特許文献2)。しかし、この方法による厚鋼板の全厚CTOD値の予測精度は、必ずしも十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2007-155540号公報
特開2018-173356号公報
【非特許文献】
【0010】
久保、田川:「特集:機械試験 ぜい性破壊試験―シャルピー衝撃試験、CTOD試験―」WE-COMマガジン第32号(2019年4月、(一社)日本溶接協会 溶接情報センター発行)
K. Wallin :proc FEFG intern. Conf. on Fract. Enging. Materials, Singapore, August 6-8., (1991), 83
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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