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公開番号2024070149
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-22
出願番号2022180584
出願日2022-11-10
発明の名称ガス還元装置、ガス還元方法
出願人国立大学法人東北大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C25B 9/00 20210101AFI20240515BHJP(電気分解または電気泳動方法;そのための装置)
要約【課題】気体の還元を高効率で行うことができるガス還元装置、およびガス還元装置を用いたガス還元方法を提供する。
【解決手段】反応器本体10と、反応器本体10に形成されたマイクロ流路20と、反応器本体10に形成され、マイクロ流路20に連通し、マイクロ流路20内に気体を導入する気体導入口30と、反応器本体10に形成され、マイクロ流路20に連通し、マイクロ流路20内に液体を導入する液体導入口40と、マイクロ流路20の内側面に設けられた陰極50と、マイクロ流路20の内側面に設けられ、陰極50と対向する陽極60と、反応器本体10に形成され、マイクロ流路20に連通し、マイクロ流路20から反応気体を導出する気体導出口70と、を備え、マイクロ流路20は、前記気体と前記液体とからなる気液混合流を保持する、ガス還元装置1。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
反応器本体と、
前記反応器本体に形成されたマイクロ流路と、
前記反応器本体に形成され、前記マイクロ流路に連通し、前記マイクロ流路内に気体を導入する気体導入口と、
前記反応器本体に形成され、前記マイクロ流路に連通し、前記マイクロ流路内に液体を導入する液体導入口と、
前記マイクロ流路の内側面に設けられた陰極と、
前記マイクロ流路の内側面に設けられ、前記陰極と対向する陽極と、
前記反応器本体に形成され、前記マイクロ流路に連通し、前記マイクロ流路から反応気体を導出する気体導出口と、
を備え、
前記マイクロ流路は、前記気体と前記液体とからなる気液混合流を保持する、ガス還元装置。
続きを表示(約 940 文字)【請求項2】
前記陰極は、前記マイクロ流路の内側面を細線化または多孔質化された部位と、前記部位に担持された還元触媒金属と、を有する、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項3】
前記還元触媒金属は、銅、銀、鉄、ニッケル、白金、ロジウム、金、銀、亜鉛、パラジウム、錫、鉛、インジウム、チタン、タングステンおよびモリブデンから選択される少なくとも1種の金属、あるいはこれら金属の合金または酸化物である、請求項2に記載のガス還元装置。
【請求項4】
前記マイクロ流路に接続され、前記マイクロ流路から反応液体を導出する液体導出口を備える、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項5】
前記気体導出口に設けられ、前記マイクロ流路から導出される反応気体を選択的に透過し、前記反応気体に含まれる不純物を除去する気体選択透過フィルタを備える、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項6】
前記マイクロ流路の幅および高さは、0.1mm~2.0mmである、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項7】
前記気体導入口からの前記気体の流入速度は、0.01sccm~100sccmである、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項8】
前記陰極と前記陽極に電圧を印加する電圧印加手段を備える、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項9】
前記反応器本体を2つ以上備える、請求項1に記載のガス還元装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のガス還元装置を用いたガス還元方法であって、
前記液体導入口から前記マイクロ流路内に前記液体を導入する工程と、
前記気体導入口から前記マイクロ流路内の前記液体に前記気体を導入し、前記マイクロ流路内で前記気液混合流を形成する工程と、
前記陰極と前記陽極に電圧を印加し、前記液体中で前記気体を還元する工程と、
前記気体導出口を介して前記マイクロ流路から前記気体の還元によって生成した反応気体を導出する工程と、
を有する、ガス還元方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス還元装置、およびガス還元装置を用いたガス還元方法に関する。
続きを表示(約 4,100 文字)【背景技術】
【0002】
太陽光等の再生エネルギーを利用して、グリーンな燃料を作り出し、貯蔵・利用するコンセプトは、「Power-to-X(Xは、GasやFuel等)」と呼ばれ、近年注目を浴びている技術である。温暖化ガスである大気中の二酸化炭素の増加を和らげるための手法としては、例えば、二酸化炭素(CO

)を還元して、有用なエネルギー源に物質変換する技術が挙げられる。この技術は、「Power-to-X」の中でも有望な技術の1つである。一方、CO

の還元技術は、宇宙ステーションでのCO

除去や、火星(大気の95%がCO

)でのエネルギー確保等の要請も研究開発の動機となっている。
【0003】
ガスの還元手法としては、電気化学的手法、光化学的手法、生化学的手法、熱化学的手法等の、様々な還元アプローチが提案されている。
温暖化ガスである二酸化炭素からメタンを生成し、再利用する技術は、メタネーションと呼ばれている。メタネーションは、太陽光等の自然エネルギーを利用し、火力発電所等から排出される二酸化炭素を還元して、メタン等のガス資源に変換する技術である。一般的に、メタネーションは、水素と二酸化炭素を触媒で反応させてメタンにするサバティエ反応と呼ばれる化学反応を利用している。メタネーションでは、熱化学的なアプローチが用いられている。
【0004】
二酸化炭素を熱化学的に還元する方法に対して、二酸化炭素を電気化学的に還元する方法には、以下のような利点が挙げられる。
(1)燃料や有用な化学物質に変換し、利用した電解液を再利用できる。この際に消費される化学物質は、水と二酸化炭素のみである。
(2)電気化学的に還元する方法は、常圧・常温で実施できる。
(3)電気化学的還元に必要な電力は、再生可能な資源から得られる。
【0005】
二酸化炭素を電気化学的に還元する方法には、上記のような利点があるにもかかわらず、現在までに実用可能な、電気化学的還元のための触媒電極やメタネーション・システムが開発されていない。その理由としては、以下の(1)、(2)の2つの理由が挙げられる。
(1)二酸化炭素の電気化学的還元反応は、複雑な多電子移動プロセスである。
例えば、以下の(A)、(B)の電気化学的還元反応が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
CO

+8H

+8e

→CH

+2H


電気化学ポテンシャルE

=-0.24V・・・(A)
CO

+2H

+2e

→CO+H


電気化学ポテンシャルE

=-0.52V・・・(B)
(2)反応の選択性が低く、様々な生成物を生成する。金、銀、亜鉛、パラジウムを電気化学電極として用いた場合、一酸化炭素が反応生成物として生成する。一方、銅を電気化学電極として用いた場合、メタン、エチレン、エタノール等の複数種の反応生成物として生成する。また、錫、鉛、インジウムを電気化学電極として用いた場合、ギ酸が発生する反応メカニズムも存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
銅を触媒として用いた場合、一般的には様々な生成物が生成する(例えば、非特許文献2、3参照)。
二酸化炭素の電気化学的還元では、Cu(111)表面にてメタンが優勢的に生成し、Cu(100)表面にてエチレンが優勢的に生成する(例えば、非特許文献2参照)。また、二酸化炭素の電気化学的還元では、プロトンの遷移を伴わない還元反応が優勢になり、一酸化炭素が電極表面でC-C結合を形成することで、エチレンが形成しやすい。白金やニッケル等の表面においても、この反応が優勢となる。また、電解めっきやスパッタ堆積で形成した多結晶Cuを利用した二酸化炭素の電気化学的還元では、エチレンの形成が優位となることが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
【0007】
Cuナノ粒子が表面に存在する電極、電解研磨されたCu電極、スパッタ体積で形成されたCu電極それぞれの表面の影響について検討したところ、粗面化されたCu電極表面は炭化水素に対して高い生成種の選択性があることが報告されている(例えば、非特許文献4参照)。
一方、その報告には、以下の2つの競合する反応が、電気化学電流に寄与するとしている。

CO

+2H

+2e



CO+H


(*は表面に吸着した分子を示す)




+2e

→H

つまり、中間生成物である一酸化炭素の生成を促進するためには、水素イオンが必要であるが、水素分子が生成してしまい、一酸化炭素の生成効率が低下するのが一般的である。
以上のように、二酸化炭素の電気化学的還元は有望な技術ではあるが、技術的な困難さのため、実用化に至っていない。
【0008】
二酸化炭素の電気化学的還元に用いられるH型セルが知られている(例えば、非特許文献5、6参照)。このセルでは、陰極の電解液に溶解した二酸化炭素しか反応物質として利用できないため、二酸化炭素の還元の反応速度は、二酸化炭素の物質移動(溶解速度)の制限によって決まる。水溶液系の電解質への二酸化炭素の溶解度は極めて小さいという事実が、二酸化炭素の還元速度を事実上決めている。また、固体電解質が陰極と陽極の間に存在すると、大きな還元電流が流せないという課題がある。
【0009】
二酸化炭素と湿気を帯びた蒸気と混合させて利用する反応器が知られている(例えば、非特許文献7参照)。この反応器では、イオン交換膜等の固体電解質膜を用いているため、固体電解質中の水素イオンの拡散が二酸化炭素の還元反応を律速する要因となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
Zhu,D.D.;Liu,J.L.;Qiao,S.Z.Recent advances in inorganic heterogeneous electrocatalysts for reduction of carbon dioxide.Adv.Mater.2016,28,3423-3452.
Kortlever,R.;Shen,J.;Schouten,K.J.P.;Calle-Vallejo,F.;Koper,M.T.M.Catalysts and reaction pathways for the electrochemical reduction of carbon dioxide.J.Phys.Chem.Lett.2015,6,4073-4082.
Kuhl,K.P.;Cave,E.R.;Abram,D.N.;Jaramillo,T.F.New insights into the electrochemical reduction of carbon dioxide on metallic copper surfaces.Energy Environ.Sci. 2012,5,7050-7059.
Tang,W.;Peterson,A.A.;Varela,A.S.;Jovanov,Z.P.;Bech,L.;Durand,W.J.;Dahl,S.;Norskov,J.K.;Chorkendorff,I.The Importance of Surface Morphology in Controlling the Selectivity of Polycrystalline Copper for CO2 Electroreduction.Phys.Chem.Chem.Phys.2012,14,76-81.
Burdyny,T.;Smith,W.A.CO2 Reduction on Gas-Diffusion Electrodes and Why Catalytic Performance Must Be Assessed at Commercially-Relevant Conditions,Energy Environ.Sci.2019,12(5),1442-1453.
D.M.Weekes,D.A.Salvatore,A.Reyes,A.Huang andC.P.Berlinguette,Electrolytic CO2 Reduction in a Flow Cell,Acc.Chem.Res.,2018,51,910-918.
L.M.Aeshala et al.,Effect of solid polymer electrolyte on electrochemical reduction of CO2,Separation and Purification Technology 94(2012)131-137.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
(【0011】以降は省略されています)

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