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公開番号2024052483
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-04-11
出願番号2023039181
出願日2023-03-14
発明の名称最適配電網導出システム及び最適配電網導出方法
出願人株式会社明電舎
代理人園田・小林弁理士法人
主分類H02J 3/00 20060101AFI20240404BHJP(電力の発電,変換,配電)
要約【課題】開閉器の開閉状態を最適化し、電力損失を最小に抑える配電網の構成を導出することが可能な最適配電網導出システム及び最適配電網導出方法を提供する。
【解決手段】ネットワーク解析部11は、電力の供給点と需要点との接続関係を表す木構造を抽出する。電力損失条件算出部13は、木構造を用いて電力損失条件を算出する。電圧降下条件算出部15は、木構造を用いて電圧降下条件を算出する。電流容量条件算出部17は、木構造を用いて電流容量条件を算出する。無停電条件算出部19は、木構造を用いて無停電条件を算出する。放射状条件算出部21は、木構造を用いて放射状条件を算出する。次数削減条件算出部23は、5つの制約条件の次数を2次まで削減する次数削減条件を算出する。制約条件統合部25は、6つの制約条件から評価関数を構築する。最適配電網算出部26は、量子コンピュータに評価関数を渡して最適配電網を導出させる。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
量子コンピュータを用いて配電網の最適化を行う最適配電網導出システムであって、
配電網データを解析し、電力を供給する供給点と電力を受け取る需要点との間のリンクの接続/非接続を表し、前記配電網に含まれるすべての供給点をルートとした木構造を抽出するネットワーク解析部と、
前記ネットワーク解析部による木構造を用いて、前記リンクの「抵抗値」×「電流値の二乗」を総和することにより、前記配電網内の電力損失条件を算出する電力損失条件算出部と、
前記ネットワーク解析部の木構造を用いて、前記配電網内における前記リンクのいずれもが一定の電圧値を超えないようにするための電圧降下条件を算出する電圧降下条件算出部と、
前記ネットワーク解析部の木構造を用いて、前記配電網内における前記リンクの各々に流れる電流量が一定値以下とするための電流容量条件を算出する電流容量条件算出部と、
前記ネットワーク解析部の木構造を用いて、前記配電網内のどの需要点においても停電が起こらないことを保証する無停電条件を算出する無停電条件算出部と、
前記ネットワーク解析部の木構造を用いて、前記配電網内の2つ以上の供給点から電力を供給されてはいけないという放射状条件を算出する放射状条件算出部と、
前記電力損失条件、前記電圧降下条件、前記電流容量条件、前記無停電条件、及び前記放射状条件に含まれる3次以上の項について2次まで次数削減を行い、それに伴って発生する変数間の関係を規定する次数削減条件を算出する次数削減条件算出部と、
前記電力損失条件、前記電圧降下条件、前記電流容量条件、前記無停電条件、前記放射状条件、及び次数削減条件から最終的に量子コンピュータに渡す評価関数を導出する制約条件統合部と、
前記制約条件統合部により導出された評価関数を前記量子コンピュータに渡して電力損失を最小に抑える最適配電網を導出させる最適配電網算出部と、
を備えることを特徴とする最適配電網導出システム。
続きを表示(約 1,000 文字)【請求項2】
前記最適配電網の導出は、時間毎、季節毎、時期毎に行われる、ことを特徴とする請求項1に記載の最適配電網導出システム。
【請求項3】
前記電力損失条件算出部は、前記供給点をルートとした木構造の下流から上流に向かって累計した電流値に基づいて、有効電流成分と無効電流成分との和として表わされる電力損失条件を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の最適配電網導出システム。
【請求項4】
前記電圧降下条件算出部は、前記供給点をルートとした木構造の下流から上流に向かって累計した電流値を用いて、前記木構造の上流から下流に向かって電圧を累計することによって前記電圧降下条件を算出する、ことを特徴とする請求項1に記載の最適配電網導出システム。
【請求項5】
量子コンピュータを用いて配電系統の最適化を行う最適配電網導出方法であって、
配電網データを解析し、電力を供給する供給点と電力を受け取る需要点との間のリンクの接続/非接続を表し、前記配電網に含まれるすべての供給点をルートとした木構造を抽出すること、
前記木構造を用いて、前記リンクの「抵抗値」×「電流値の二乗」を総和することにより、前記配電網内の電力損失条件を算出すること、
前記木構造を用いて、前記配電網内における前記リンクのいずれもが一定の電圧値を超えないようにするための電圧降下条件を算出すること、
前記木構造を用いて、前記配電網内における前記リンクの各々に流れる電流量が一定値以下とするための電流容量条件を算出すること、
前記木構造を用いて、前記配電網内のどの需要点においても停電が起こらないことを保証する無停電条件を算出すること、
前記木構造を用いて、前記配電網内の2つ以上の供給点から電力を供給されてはいけないという放射状条件を算出すること、
前記電力損失条件、前記電圧降下条件、前記電流容量条件、前記無停電条件、及び前記放射状条件に含まれる3次以上の項について2次まで次数削減を行い、それに伴って発生する変数間の関係を規定する次数削減条件を算出すること、
前記電力損失条件、前記電圧降下条件、前記電流容量条件、前記無停電条件、前記放射状条件、及び次数削減条件から最終的に量子コンピュータに渡す評価関数を導出すること、
前記導出された評価関数を前記量子コンピュータに渡して電力損失を最小に抑える最適配電網を導出させること、
を含むことを特徴とする最適配電網導出方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、最適配電網導出システム及び最適配電網導出方法に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、配電網を構築するには、配電線を区分開閉器により複数の区間に分割し、それぞれの区間を隣接する他の区間と開閉器により接続したり切断したりすることで、通過電流の許容値に収めたり、規定された電圧に保持する等の制約条件を満たすように、最適なネットワーク構成となるような組み合わせを求める。
【0003】
特許文献1には、開閉器で区切られた区間をブロック、複数の開閉器の開閉状態を任意の整数a、bとして{a,b}の2値変数で表し、電力損失の評価関数を2値変数を用いて定式化し、アニーリングマシンへ適用して電力損失が少ない開閉器の組み合わせによる供給経路を求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許6736787号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、4ブロック以上離れている供給点からは電力を供給しないことを前提としている。しかしながら、実際の配電網を考えた場合、この条件は制約が強すぎるため、ほとんどの配電網には適用することができないという問題がある。
【0006】
また、特許文献1では、図10に示すように、その内部に複数の供給点を含むブロックB1~B6を1つの単位として、ブロックB1~B6ごとに電気抵抗、電流値が割り当てられることを前提に電力損失を求めている。したがって、ブロック内に含まれる供給点間を結ぶリンクq
12
、q
14
、q
23
、q
25
、q
36
、q
46
、q
56
ごとに電気抵抗、電流値が与えられている場合には、特許文献1による技術を適用することができない。例えば、図示のブロックB4内では、電流及び抵抗(I
41
,R
41
)、(I
42
,R
42
)、(I
43
,R
43
)...(I
4k
,R
4k
)というように、区間1つ1つに与えられるが、電流及び抵抗(I

,R

)のようにブロック(連結成分)単位では与えられない。
【0007】
具体的に言うと、電力損失の計算は、供給点から見て末端から累積した電流値を利用するため、電力損失の計算はブロック内での需要点同士の繋がり方(供給点から見てどちらが上流でどちらが下流か)に依存する。ブロック内での供給点同士の関係(どちらが上流でどちらが下流か)は、ブロック間を結ぶ開閉器の開閉状態によって入れ替わってしまうため、単純にブロック内の電気抵抗、電流値のそれぞれ総和だけでは、電力損失を求めることはできないという問題がある。
【0008】
図11は、特許文献1で生じる問題を説明するための概念図である。図示の例では、開閉器C1を閉じている場合(Case1)と開閉器C2を閉じている場合(Case2)とで、上流/下流が入れ替わるため、電力損失計算におけるブロックB2の寄与の仕方が異なる。すなわち、ブロックB2に含まれる電気抵抗、電流値の総和のようなブロック単位で割り当てられた数値を用いることを前提とした場合、電力損失を計算することは不可能である。以上から、ブロック単位で抵抗値、電流値が与えられていることを前提としている技術は適用することができないという問題がある。
【0009】
また、特許文献1では、最大電流条件、最高許容電圧条件として、十分大きなLに対し、L乗の演算を行うとしている。しかしながら、量子アニーリングマシンにより計算を実行するには、2次形式の形で評価関数を定義する必要があり、この場合、次数下げの方法を少なくとも(L-2)回適用する必要がある。次数下げの方法を1回適用するごとに制約項が1つ追加されるため、Lが大きい場合、制約項の数は膨大になり、実質、量子アニーリングを適用して最適解を導出することが困難になるという問題がある。
【0010】
JPEG
2024052483000002.jpg
47
170
(【0011】以降は省略されています)

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