特許ウォッチ

公開番号2023182246
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-26
出願番号2022095743
出願日2022-06-14
発明の名称臭気処理装置
出願人トピー工業株式会社
代理人個人,個人
主分類F23G 7/06 20060101AFI20231219BHJP(燃焼装置;燃焼方法)
要約【課題】臭気化合物の大気放出を抑制する臭気処理装置を提供する。
【解決手段】溶解室11と、溶解室11の上部に接続された予熱室12と、排気ダクト31に接続された燃焼室20と、予熱室12と燃焼室20とを接続する吸気ダクト13であって、予熱室12の排気に酸素を供給することなく燃焼室20に向けて流す吸気ダクト13と、を備える。そして、吸気ダクト13に接続され、予熱室12から排出された有機物を吸気ダクト13において熱分解する熱分解バーナーC1A,C1Bと、燃焼室20に接続され、燃焼室20に酸素を供給する酸素供給部と、燃焼室20に接続され、吸気ダクト13で前記有機物から熱分解された臭気化合物を酸素供給下の燃焼室20において酸化する酸化バーナーと、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項１】
溶解室と、
前記溶解室の上部に接続された予熱室と、
排気ダクトに接続された燃焼室と、
前記予熱室と前記燃焼室とを接続する吸気ダクトであって、前記予熱室の排出ガスに酸素を供給することなく前記排出ガスを前記燃焼室に向けて流す前記吸気ダクトと、
を備える臭気処理装置であって、
前記吸気ダクトに接続され、前記予熱室から排出された有機物を前記吸気ダクトにおいて熱分解する熱分解バーナーと、
前記燃焼室に接続され、前記燃焼室に酸素を供給する酸素供給部と、
前記燃焼室に接続され、前記吸気ダクトで前記有機物から熱分解された臭気化合物を酸素供給下の前記燃焼室において酸化する酸化バーナーと、を備える
ことを特徴とする臭気処理装置。
続きを表示（約 990 文字）【請求項２】
前記酸素供給部は、
酸素のみの供給を実行する酸素供給と、酸素と燃料との燃焼による酸化燃焼とに可逆的に切り替わる酸素バーナーであり、
前記酸素バーナーの駆動を前記酸化燃焼と前記酸素供給とのいずれか一方に切り替えることによって前記酸素供給部による酸素の供給量を変える制御部をさらに備える
請求項１に記載の臭気処理装置。
【請求項３】
前記酸素供給部は、
複数の前記酸素バーナーを備え、
前記制御部は、
前記駆動が切り替わる前記酸素バーナーの数量を変えることによって前記酸素供給部による酸素供給の変化を変える
請求項２に記載の臭気処理装置。
【請求項４】
前記燃焼室から排出されたガスにおける臭気を測定する臭気測定部をさらに備え、
前記制御部は、
前記臭気測定部の測定結果が低いレベルであるほど前記酸素バーナーの駆動を前記酸化燃焼から前記酸素供給に切り替える
請求項２または３に記載の臭気処理装置。
【請求項５】
前記燃焼室から排出されるガスの温度を測定する温度測定部をさらに備え、
前記制御部は、
前記温度測定部の測定結果が高いレベルであるほど前記酸素バーナーの駆動を前記酸化燃焼から前記酸素供給に切り替える
請求項２または３に記載の臭気処理装置。
【請求項６】
前記燃焼室から排出されたガスにおける臭気を測定する臭気測定部と、
前記燃焼室から排出されるガスの温度を測定する温度測定部とをさらに備え、
前記制御部は、
前記臭気測定部の測定結果が低いレベルであるほど前記臭気化合物に供給する熱量を低める第１処理と、
前記温度測定部の測定結果が高いレベルであるほど前記臭気化合物に供給する熱量を低める第２処理と、を切り替える
請求項２または３に記載の臭気処理装置。
【請求項７】
前記有機物と共に排出された一酸化炭素濃度を測定するＣＯ測定部をさらに備え、
前記制御部は、
前記ＣＯ測定部の測定結果が高いレベルであるほど、前記燃焼室に供給する酸素量を高めるように、前記酸素供給部を制御する
請求項２または３に記載の臭気処理装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本開示は、鉄スクラップから生じた臭気化合物を処理する臭気処理装置に関する。
続きを表示（約 1,700 文字）【背景技術】
【０００２】
鉄スクラップの溶解設備は、溶解室の排ガスによって鉄スクラップを予熱し、これによって溶解の消費電力を抑える。また、鉄スクラップに混入した有機物が、予熱によって分解し、臭気化合物を生じるため、臭気化合物の大気放出を抑える技術は、鉄スクラップの予熱機能を有する溶解設備に不可欠である。
【０００３】
放出抑制の第1例は、予熱室の側壁から予熱室の内部に酸素を吹き込む。溶解室に吹き込まれた酸素は、溶解室に発生した一酸化炭素の一部を予熱室で燃焼する。一酸化炭素の燃焼は、排気温度の低下を予熱室で抑え、これによって熱分解用バーナーを要せずにプラスチックの分解を促す（例えば、特許文献１を参照）。
【０００４】
放出抑制の第２例は、予熱室とダクトとの接合部において、バーナーおよび酸素供給の少なくとも一方を用い、排出ガスの可燃性成分をほぼ完全に燃焼させる。可燃性成分の燃焼は、ダクト後段の異常燃焼を抑え、併せて臭気化合物の放出を抑える（例えば、特許文献２を参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
特開２００１－２５５０７６号公報
特開２００３－２５３３２３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
上記第１例のような予熱室の酸素供給は、一酸化炭素の燃焼を促して排ガスの温度低下を抑える。一方、予熱室の酸素供給はスクラップの酸化を助長させるため、歩留まりの低下およびスラグ量の増加が発生する。また、予熱室の局所的な酸素供給は、スクラップの過剰溶解につながるため、予熱室へのスクラップの溶着が生じる。
【０００７】
上記第２例のような接合部の酸素供給は、一酸化炭素の酸化度合いを調整して異常燃焼を抑える。一方、予熱室のダクト周辺は、予熱に関わる配管や設備の密集する部位であるため、バーナーおよび酸素供給部の設置が困難である。また、予熱室のダクト周辺での急速な酸化反応の進行は排気体積の急激な膨張を招くため、構造的および熱的な負荷がダクトにおいて甚大となってしまう。
【０００８】
そして、一酸化炭素の燃焼を専ら目的とする酸素供給は、排ガスの温度低下や異常燃焼の抑制こそ可能にするが、一酸化炭素の燃焼とは異なる経路で進行する臭気化合物の放出抑制に関しては、依然として改善の余地を残している。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題を解決するための臭気処理装置は、溶解室と、前記溶解室の上部に接続された予熱室と、排気ダクトに接続された燃焼室と、前記予熱室と前記燃焼室とを接続する吸気ダクトであって、前記予熱室の排出ガスに酸素を供給することなく前記排出ガスを前記燃焼室に向けて流す前記吸気ダクトと、を備える。そして、臭気処理装置は、前記吸気ダクトに接続され、前記予熱室から排出された有機物を前記吸気ダクトにおいて熱分解する熱分解バーナーと、前記燃焼室に接続され、前記燃焼室に酸素を供給する酸素供給部と、前記燃焼室に接続され、前記吸気ダクトで前記有機物から熱分解された臭気化合物を酸素供給下の前記燃焼室において酸化する酸化バーナーと、を備える。
【００１０】
上記構成によれば、予熱室内のスクラップに付着したポリエチレンやポリスチレンなどの有機物は、まず、酸素が供給されない予熱室や吸気ダクトのなかで、熱分解されることにより、アセトアルデヒドなどの高揮発性有機化合物（Very Volatile Organic Compounds：ＶＶＯＣ）、およびトルエンなどの揮発性有機化合物（Volatile Organic Compounds：ＶＯＣ）のような臭気化合物に熱分解される。次に、臭気化合物は、高温かつ酸素供給下、燃焼室のなかで二酸化炭素や水に酸化し、無臭化する。このように、（i）有機物の熱分解と（ii）臭気化合物の酸化とが（i）（ii）の順に進められる。
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許