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公開番号2023181901
公報種別公開特許公報(A)
公開日2023-12-25
出願番号2022095284
出願日2022-06-13
発明の名称塩及びそれを含む固体電解質
出願人国立大学法人 東京大学,株式会社日本触媒
代理人弁理士法人アスフィ国際特許事務所
主分類C07D 207/04 20060101AFI20231218BHJP(有機化学)
要約【課題】従来提案されていた柔粘性イオン結晶とは異なる組成の柔粘性イオン結晶を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、アニオン成分としてのテトラシアノボレートと、カチオン成分とから構成され、融点未満のいずれかの温度で柔粘性イオン結晶相を示し、融点と、固相から柔粘性イオン結晶相への転移温度との差が10℃以上である塩である。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項1】
アニオン成分としてのテトラシアノボレートと、カチオン成分とから構成され、融点未満のいずれかの温度で柔粘性イオン結晶相を示し、融点と、固相から柔粘性イオン結晶相への転移温度との差が10℃以上であることを特徴とする塩。
続きを表示(約 740 文字)【請求項2】
柔粘性イオン結晶相から液相への相転移温度が50℃以上である請求項1に記載の塩。
【請求項3】
固相から柔粘性イオン結晶相への相転移温度が0℃以下である請求項1に記載の塩。
【請求項4】
柔粘性イオン結晶相から液相への相転移温度が50℃以上であり、固相から柔粘性イオン結晶相への相転移温度が0℃以下である請求項1に記載の塩。
【請求項5】
前記カチオン成分は2種以上のカチオンを含む請求項1または4に記載の塩。
【請求項6】
前記カチオン成分は、2種以上の有機カチオンを含む請求項5に記載の塩。
【請求項7】
前記カチオン成分は、有機カチオンと無機カチオンを含む請求項5に記載の塩。
【請求項8】
前記無機カチオンは、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン及びマグネシウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも一種である請求項7に記載の塩。
【請求項9】
前記無機カチオンに対する有機カチオンのモル比(有機カチオン/無機カチオン)が、50/50~99.9/0.1である請求項7に記載の塩。
【請求項10】
前記カチオン成分は、下記式(1)で表される含窒素環状化合物を含む請求項1または4に記載の塩。
TIFF
2023181901000004.tif
27
34
上記式(1)中、環は炭素原子と1つの窒素原子とから構成される4~8員の飽和環であり、R
1
及びR
2
はそれぞれ独立して炭素数が1~12のアルキル基である。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、塩及びそれを含む固体電解質に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
柔粘性結晶(プラスチッククリスタル)は、結晶状態を取りながら柔軟性を有する固体(結晶)と液体の中間状態を示す物質である。結晶とは、結晶を構成する分子の配向と重心位置に規則性がある状態であり、液体は構成分子の配向及び重心位置のいずれも規則性が失われた状態である一方で、柔粘性結晶相は、構成分子の重心位置には規則性があるものの、構成分子の配向には規則性のない状態である。柔軟性結晶は高温にすると通常の結晶と同様に融解し、結晶が柔軟性を示し始める固体-固体転移温度(T
s-s
)以下では通常の結晶状態となる。
【0003】
柔粘性結晶の代表的な化合物として、四塩化炭素、シクロヘキサン、フラーレンなどの柔粘性分子結晶の他、有機カチオン成分とアニオン成分からなるイオン性化合物(柔粘性イオン結晶)が知られている。柔粘性イオン結晶は、リチウム二次電池、色素増感太陽電池燃料電池などの電気化学デバイスに用いられる電解質の固体化を実現する材料としての可能性を有するため注目されている材料である。
【0004】
従来の柔粘性イオン結晶化合物では、アニオンの主成分が、ヨウ化物イオン(I
-
)であるもの(特許文献1)、ビスフルオロスルホニルイミドアニオンであるもの(特許文献2)、[BF
3
(CF
3
)]
-
であるもの(特許文献3)、[C(SO
2
F)
3

-
であるもの(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2012-89465号公報
特開2017-91813号公報
WO2008/081811号
WO2016/031961号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来提案されていた柔粘性イオン結晶とは異なる組成の柔粘性イオン結晶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成した本発明は以下の通りである。
[1]アニオン成分としてのテトラシアノボレートと、カチオン成分とから構成され、融点未満のいずれかの温度で柔粘性イオン結晶相を示し、融点と、固相から柔粘性イオン結晶相への転移温度との差が10℃以上であることを特徴とする塩。
[2]柔粘性イオン結晶相から液相への相転移温度が50℃以上である[1]に記載の塩。
[3]固相から柔粘性イオン結晶相への相転移温度が0℃以下である[1]に記載の塩。
[4]柔粘性イオン結晶相から液相への相転移温度が50℃以上であり、固相から柔粘性イオン結晶相への相転移温度が0℃以下である[1]に記載の塩。
[5]前記カチオン成分は2種以上のカチオンを含む[1]~[4]のいずれかに記載の塩。
[6]前記カチオン成分は、2種以上の有機カチオンを含む[5]に記載の塩。
[7]前記カチオン成分は、有機カチオンと無機カチオンを含む[5]に記載の塩。
[8]前記無機カチオンは、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン及びマグネシウムカチオンよりなる群から選択される少なくとも一種である[7]に記載の塩。
[9]前記無機カチオンに対する有機カチオンのモル比(有機カチオン/無機カチオン)が、50/50~99.9/0.1である[7]または[8]に記載の塩。
[10]前記カチオン成分は、下記式(1)で表される含窒素環状化合物を含む[1]~[9]のいずれかに記載の塩。
TIFF
2023181901000002.tif
27
34
上記式(1)中、環は炭素原子と1つの窒素原子とから構成される4~8員の飽和環であり、R
1
及びR
2
はそれぞれ独立して炭素数が1~12のアルキル基である。
[11]前記R
1
とR
2
とが互いに異なる[10]に記載の塩。
[12]上記式(1)で表される含窒素環状化合物は、1-エチル-1-メチルピロリジニウムである[11]に記載の塩。
[13][1]~[12]のいずれかに記載の塩を含む固体電解質。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来とは異なる組成で柔粘性イオン結晶相を有する塩が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1は、実施例1-1で得られた塩の示差走査熱量測定の結果を表すグラフである。
図2は、実施例1-2で得られた塩の示差走査熱量測定の結果を表すグラフである。
図3は、実施例1-3で得られた塩の示差走査熱量測定の結果を表すグラフである。
図4は、実施例2-1で得られたLi
+
がドープされた塩のX線回折測定の結果を示すグラフである。
図5は、実施例2-1で得られたLi
+
がドープされる前後の塩で、示差走査熱量測定を行った結果を表すグラフである。
図6は、実施例2-2で得られたLi
+
がドープされた塩のX線回折測定の結果を示すグラフである。
図7は、実施例2-1で得られたLi
+
がドープされる前後の塩について、Li
+
ドープ量と融点との関係を示すグラフである。
図8は、実施例2-2で得られたLi
+
がドープされた塩について、温度とリチウム伝導度との関係を示すグラフである。
比較例1で得られた塩の示差走査熱量測定の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の通り、上記特許文献1~4で開示されるイオン性柔粘性結晶化合物は、アニオンの主成分がヨウ化物イオン(I
-
)、ビスフルオロスルホニルイミドアニオン、[BF
3
(CF
3
)]
-
、または[C(SO
2
F)
3

-
であったが、本発明者らはアニオン成分としてのテトラシアノボレートと、カチオン成分とから構成される柔粘性イオン結晶相を示す塩を見出した。柔粘性イオン結晶相は、上述の通り、固体(結晶)と液体の中間状態であり、融点未満のいずれかの温度で発現する。
(【0011】以降は省略されています)

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