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公開番号2024072447
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-28
出願番号2022183269
出願日2022-11-16
発明の名称フッ化物イオン電池用の負極活物質、フッ化物イオン電池、及びそれらの製造方法
出願人国立大学法人 東京大学
代理人個人,個人
主分類H01M 4/38 20060101AFI20240521BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】高容量且つ高サイクル特性を示すフッ化物イオン電池用の負極活物質を提供する。
【解決手段】La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはそれらの組合せから選択される希土類元素とAlとの金属間化合物を含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質。
【選択図】図6


特許請求の範囲【請求項1】
La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはそれらの組合せから選択される希土類元素とAlとの金属間化合物を含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質。
続きを表示(約 770 文字)【請求項2】
前記希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項3】
前記希土類元素は、La、Ce、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項4】
前記金属間化合物を含む合金中の前記希土類元素及び前記Alの割合は、原子比率で前記希土類元素:前記Al=3:1~1:3である、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項5】
前記金属間化合物は、RAl

(式中、Rは前記希土類元素)で示される組成を有する、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項6】
前記合金が、前記希土類元素のフッ化物のネットワークと、前記Alのネットワーク、前記Alのフッ化物のネットワーク、またはそれらの組み合わせのネットワークを含む、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項7】
希土類元素のフッ化物のネットワークと、Alのネットワーク、前記Alのフッ化物のネットワーク、またはそれらの組み合わせのネットワークとを含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の負極活物質を含むフッ化物イオン電池。
【請求項9】
希土類元素とAlとを溶解処理して、前記希土類元素と前記遷移金属との金属間化合物を含む合金を得ることを含む、フッ化物イオン電池用の負極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記金属間化合物を含む合金中の前記希土類元素及び前記Alの割合は、原子比率で前記希土類元素:前記Al=3:1~1:3である、請求項9に記載の製造方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化物イオン電池用の負極活物質、フッ化物イオン電池、及びそれらの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,800 文字)【背景技術】
【0002】
フッ化物イオン電池は、現行のリチウムイオン電池に比べて理論上5倍以上の質量エネルギー密度を有するため、車載用等の大容量の次世代二次電池の有力な候補である(非特許文献1)。正極に純金属を使用し、負極に純金属のフッ化物を用いたフッ化物イオン電池について検討されている(非特許文献2)。また、複数の金属元素を組み合わせて合金とすることによって高い容量を示すフッ化物イオン電池の正極材料が提案されており(非特許文献3、非特許文献4)、正極活物質については近年の発展により、初回放電において400mAh/g程度の容量を達成している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
H. Nakano et al., Chem. Mater. (2021).
M. Anji Reddy et al., J. Mater. Chem. (2011).
T. Tojigamori et al., ACS Appl. Energy Mater. (2022).
K. Nakayama et al., J. Mater. Chem. A (2022).
C. Rongeat et al., J. Mater. Chem. A (2014).
M. Nowroozi et al., ACS Appl. Energy Mater. (2018).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、フッ化物イオン電池の負極材料も提案されているが(非特許文献5、非特許文献6)、20~30mAh/g程度と正極に比べて低い容量に留まっている。
【0005】
したがって、フッ化物イオン電池を実用化する上で、高容量且つ高サイクル特性を示す負極活物質が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはそれらの組合せから選択される希土類元素とAlとの金属間化合物を含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質。
(2)前記希土類元素は、La、Ce、Pr、Nd、またはそれらの組み合わせである、上記(1)に記載の負極活物質。
(3)前記希土類元素は、La、Ce、またはそれらの組み合わせである、上記(1)に記載の負極活物質。
(4)前記金属間化合物を含む合金中の前記希土類元素及び前記Alの割合は、原子比率で前記希土類元素:前記Al=3:1~1:3である、上記(1)~(3)のいずれか
に記載の負極活物質。
(5)前記金属間化合物は、RAl

(式中、Rは前記希土類元素)で示される組成を有する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の負極活物質。
(6)前記合金が、前記希土類元素のフッ化物のネットワークと、前記Alのネットワーク、前記Alのフッ化物のネットワーク、またはそれらの組み合わせのネットワークを含む、上記(1)~(5)のいずれかに記載の負極活物質。
(7)希土類元素のフッ化物のネットワークと、Alのネットワーク、前記Alのフッ化物のネットワーク、またはそれらの組み合わせのネットワークとを含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質。
(8)上記(1)~(7)のいずれかに記載の負極活物質を含むフッ化物イオン電池。
(9)希土類元素とAlとを溶解処理して、前記希土類元素と前記遷移金属との金属間化合物を含む合金を得ることを含む、フッ化物イオン電池用の負極活物質の製造方法。
(10)前記金属間化合物を含む合金中の前記希土類元素及び前記Alの割合は、原子比率で前記希土類元素:前記Al=3:1~1:3である、上記(9)に記載の製造方法。
(11)前記金属間化合物が、RAl

(式中、Rは、前記希土類元素)で示される組成を有する、上記(9)または(10)に記載の製造方法。
(12)前記合金にフッ化処理を施して前記金属間化合物の少なくとも一部を分解して、前記希土類元素のフッ化物のネットワークと、前記遷移金属のネットワーク、前記遷移金属のフッ化物のネットワーク、またはそれらの組み合わせのネットワークとを生成することを含む、上記(9)~(11)のいずれかに記載の製造方法。
(13)前記溶解処理は、真空溶解、アーク溶解、またはプラズマ溶解である、上記(9)~(12)のいずれかに記載の製造方法。
(14)負極集電体、上記(9)~(13)のいずれかに記載の製造方法で得られる負極活物質を含む負極層、フッ素系電解質層、正極層、及び正極集電体を含む積層体を得ることを含む、フッ化物イオン電池の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高容量且つ高サイクル特性を示すフッ化物イオン電池用の負極活物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、La-Alの二元系状態図である。
図2は、本開示の負極活物質を負極に含む全固体フッ化物イオン電池の一例の模式図である。
図3は、実施例1で作製したフッ化物イオン二次電池の1~5回の充放電を行ったときの充放電曲線を表すグラフである。
図4は、実施例2で作製したフッ化物イオン二次電池の1~5回の充放電を行ったときの充放電曲線を表すグラフである。
図5は、実施例3で作製したフッ化物イオン二次電池の1~5回の充放電を行ったときの充放電曲線を表すグラフである。
図6は、実施例1で作製したフッ化物イオン二次電池を20回充放電させたときの充放電曲線を表すグラフである。
図7は、実施例1~3で作製したフッ化物イオン二次電池の1~20回のサイクル特性を表すグラフである。
図8は、実施例1で合成したLaAl

合金の粉末X線回折パターンである。
図9は、実施例5で真空熱処理を施したLaAl

合金の粉末X線回折パターンである。
図10は、実施例5で真空熱処理を施したLaAl

合金の透過型電子顕微鏡(TEM)の明視野像及び電子回折パターンである。
図11は、実施例5で真空熱処理を施したLaAl

合金の1つの結晶粒から取得した環状暗視野(ADF)像である。
図12は、実施例5で真空熱処理を施したLaAl

合金の1つの結晶粒の試料内部から取得した環状明視野(ABF)像である。
図13は、実施例5で真空熱処理を施したLaAl

合金の1つの結晶粒の試料内部から取得した電子エネルギー損失分光(EELS)スペクトルである。
図14は、EELSスペクトルから得られたLaとAlの元素マッピングである。
図15は、実施例5で作製したフッ化物イオン二次電池を20回充放電させたときの充放電曲線を表すグラフである。
図16は、実施例1及び実施例5で作製したフッ化物イオン二次電池の1~20回のサイクル特性を比較したグラフである。
図17は、環状暗視野走査型透過電子顕微鏡(ADF-STEM)像、及び環状明視野走査型透過電子顕微鏡(ABF-STEM)像である。
図18は、実施例5で作製したフッ化物イオン二次電池について1回目の放電を行った後の、負極合材中のLaAl

合金の1つの結晶粒の試料内部から取得した電子エネルギー損失分光(EELS)スペクトルである。
図19は、ADF-STEM像と、同じ領域についてEELSスペクトルから得られたF、La、及びAlの元素マッピングである。
図20は、実施例4で作製したフッ化物イオン二次電池を1回充放電したときの充放電曲線を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはそれらの組合せから選択される希土類元素(以下、単に希土類元素ともいう)とAlとの金属間化合物を含む合金である、フッ化物イオン電池用の負極活物質を対象とする。
【0010】
本開示によれば、希土類元素とAlとの金属間化合物により、高容量(高エネルギー密度)及び優れたサイクル特性を有し低電位で動作するフッ化物イオン電池用負極活物質が得られる。本開示の負極活物質(以下、本負極活物質ともいう)を備えたフッ化物イオン電池は、高エネルギー密度と優れたサイクル特性を必要とするハイブリッド車や電気自動車等に好適に適用し得る。また、本負極活物質は溶解法のみで得られ、作製プロセスが容易である。
(【0011】以降は省略されています)

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