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公開番号2024069733
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-05-22
出願番号2021044452
出願日2021-03-18
発明の名称心不全およびその併発疾患の治療法、治療剤および診断法。
出願人国立大学法人 東京大学,国立大学法人千葉大学
代理人個人
主分類A61K 38/19 20060101AFI20240515BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明は、心不全および併発疾患の治療方法、治療剤および診断方法(診断の補助的方法)の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、活性型TGF-β1または全長TGF-β1を含有する、前記治療薬または治療用組成物、または、心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、心不全の影響を受けていない造血幹細胞を有効成分として含む、前記治療薬または治療用組成物である。さらに、本発明は、心不全の重症化の可能性を判断するための補助的方法であって、被験者由来の造血幹細胞におけるエピジェネティックな変化の有無を指標とする、前記補助的方法である。
【選択図】なし



特許請求の範囲【請求項1】
心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、
活性型TGF-β1または全長TGF-β1を含有する、前記治療薬または治療用組成物。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、
心不全の影響を受けていない造血幹細胞を有効成分として含む、前記治療薬または治療用組成物。
【請求項3】
前記心不全の影響をうけていない造血幹細胞において、TGF-β1シグナルの下流の分子が結合する遺伝子領域のクロマチンが閉鎖していないことを特徴とする、請求項2に記載の治療薬または治療用組成物。
【請求項4】
治療対象である心不全が初発の心不全である、請求項1ないし3のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
【請求項5】
治療対象である心不全が再発した心不全である、請求項1ないし3のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
【請求項6】
前記併発疾患が、腎不全および/または骨格筋再生不全であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
【請求項7】
心不全の重症化の可能性を判断するための補助的方法であって、
被験者由来の造血幹細胞におけるエピジェネティックな変化の有無を指標とする、前記補助的方法。
【請求項8】
前記エピジェネティックな変化が、TGF-β1シグナルの下流の分子が結合する遺伝子領域のクロマチンの閉鎖である、請求項7に記載の補助的方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、心不全およびその併発疾患の治療法、治療剤および診断法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
心不全は、現在の高齢化社会において、増加している疾患の1つである。従来の心不全症例の治療法は、内服治療が中心であるが、心不全で入院後、軽快退院しても半年で30%程度の再入院が生じる。さらに、心不全は一度心不全を生じると再発を繰り返すという特徴を持っており、再入院した際には、心臓の状態が前回入院より悪化しており、再発の繰り返しにより、最終的に死に至る。
【0003】
また、心不全の再発によって、腎不全、骨格筋再生不全(フレイル)などの併発疾患を発症し、このような病態も心不全の生命予後を悪化させる要因となっている。しかしながら、心不全の再発や併発疾患のメカニズムには不明な点が多く、有効な治療法や治療剤の開発が当該分野における重要な課題となっている。
【0004】
従来、心臓の機能は心筋細胞の働きによってのみ規定されているのではないかと考えられていたが、心臓内に1%程度存在する心臓マクロファージによっても強く規定されていることが報告された(非特許文献1)。また、ある種の心臓マクロファージは、自ら分泌するIL-10を介して、拡張機能障害の進行を促進することが報告されている(非特許文献2)。以上のように、心不全など心臓の機能障害には、心臓マクロファージが重要な役割を果たしていることが明らかになってきたが、心不全の再発および併発疾患の発症と、心臓マクロファージとの関連性については、不明な点が多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
Fujiuら, Nat Med 24, 1234-1245, doi:10.1038/s41591-018-0059-x, 2017.
Hulsmansら, J. Exp. Med. 215, 423-440, https://doi.org/10.1084/Jem.20171274, 2018.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、心不全および併発疾患の治療方法、治療剤および診断方法の補助的方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者らは、心臓機能が心臓マクロファージによって規定されているということに鑑み、マクロファージの起源である造血幹細胞に着目し、鋭意研究を行った結果、心不全の再発および共存疾患の発症における造血幹細胞の重要な役割を明らかにした。
発明者らは、心不全モデルマウスから採取した骨髄を、心不全を発症していないマウスに移植したところ、心機能障害および心臓線維化が引き起こされることを明らかにした。また、同様の骨髄移植により、腎臓の損傷が悪化し、骨格筋の再生が阻害されること見出した。さらに、発明者らは、心不全を経験したマウス由来の造血幹細胞ニッチにおいて、活性型トランスフォーミング増殖因子β1(transforming growth factor β1:TGF-β1)が、著しく減少していること、その結果、造血幹細胞のエピジェネティック変化が惹起されること、網羅的エピジェネティック解析により、心不全を経験したマウス由来の造血幹細胞の一部の細胞では、TGF-β1のシグナル伝達における下流分子が結合するクロマチン領域が顕著に閉じていることを明らかにした。
【0008】
さらに、発明者らは、TGF-β1のシグナル低下によってエピジェネティック変化が生じた造血幹細胞から分裂および分化した、単球およびマクロファージは、心臓保護的な成熟したマクロファージに分化出来ず、その結果心機能が低下することを見出した。発明者らは、当該知見を踏まえて心不全モデルマウスにTGF-β1を投与したところ、当該エピジェネティック変化が生じた造血幹細胞の増殖を抑制できることを見出した。
以上の結果から、心不全の影響を受けていない造血幹細胞の投与、活性型TGF-β1の投与が、心不全、特に再発した心不全および併発疾患の治療に有効であることが示唆された。また、心不全を経験した造血幹細胞のエピジェネティックな変化を指標にして、心不全の中でも、再発心不全などように重症化のリスクのある症例の診断が可能であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の(1)~(8)である。
(1)心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、活性型TGF-β1または全長TGF-β1を含有する、前記治療薬または治療用組成物。
(2)心不全および心不全の併発疾患の治療薬または治療用組成物であって、心不全の影響を受けていない造血幹細胞を有効成分として含む、前記治療薬または治療用組成物。
(3)前記心不全の影響をうけていない造血幹細胞において、TGF-β1シグナルの下流の分子が結合する遺伝子領域のクロマチンが閉鎖していないことを特徴とする、上記(2)に記載の治療薬または治療用組成物。
(4)治療対象である心不全が初発の心不全である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
(5)治療対象である心不全が再発した心不全である、上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
(6)前記併発疾患が、腎不全および/または骨格筋再生不全であることを特徴とする、上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の治療薬または治療用組成物。
(7)心不全の重症化の可能性を判断するための補助的方法であって、被験者由来の造血幹細胞におけるエピジェネティックな変化の有無を指標とする、前記補助的方法。
(8)前記エピジェネティックな変化が、TGF-β1シグナルの下流の分子が結合する遺伝子領域のクロマチンの閉鎖である、上記(7)に記載の補助的方法。
なお、本明細書において「~」の符号は、その左右の値を含む数値範囲を示す。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる治療剤は、心不全(初発の心不全および再発心不全)およびこれに伴う併発疾患を効果的に治療することが可能である。
(【0011】以降は省略されています)

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